臨時報告書

【提出】
2022/06/17 9:52
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主である株式会社光通信(以下「光通信」といいます。)から、会社法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本売渡請求」といいます。)の通知を受け、2022年6月15日開催の当社取締役会において、本売渡請求を承認することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本報告書を提出するものであります。光通信は、本日現在、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)13,256,100株(議決権所有割合74.88%)を、また、光通信の完全子会社である株式会社総合生活サービス(以下「総合生活サービス」といいます。)は当社株式3,915,001株(議決権所有割合22.11%)を所有しており、光通信と総合生活サービスが有する当社株式に係る議決権所有割合は97.00%であることから、光通信は貴社の会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となっております。
(注)「議決権所有割合」とは、当社が2022年5月13日に公表した「2022年3月期 決算短信[IFRS](連結)」(以下「本決算短信」といいます。)に記載された2022年3月31日現在の当社の発行済普通株式総数(18,089,402株)から、本決算短信に記載された同日現在の当社の所有する自己株式数(387,094株)を控除した株式数(17,702,308株)に係る議決権数(177,023個)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下同じとします。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年6月15日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号株式会社光通信
本店の所在地東京都豊島区西池袋一丁目4番10号
代表者の氏名代表取締役社長 和田 英明

(3)当該通知の内容
光通信は、当社の会社法第179条第1項に定める特別支配株主として当社の株主の全員(光通信及び当社を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部(以下「本売渡株式」といいます。)を売り渡すことを請求することを決定したとのことであり、当社は、本日付で光通信から以下の内容の通知を受領いたしました。
① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号・第3号)
光通信は、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その所有する本売渡株式1株につき1,894円の金銭を割当交付いたします。
③ 本新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2022年7月15日
⑤ 本売渡対価の支払いのための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
光通信は、本売渡対価を、自己資金を原資として支払うことを予定しております。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本売渡対価は、取得日以降合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載若しくは記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付するものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、本売渡対価の交付について当社の本店所在地にて貴社が指定した方法により(本売渡対価の交付について当社が指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本売渡対価の支払いを行うものとします。なお、かかる支払いに関する当社又は光通信から本売渡株主に対する通知は、取得日の前日における最終の当社の株主名簿に記載若しくは記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所に宛ててすれば足り、当該通知は、それが通常到達すべきであった時に到達したものとします。
2.本売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1) 当該通知がされた年月日
2022年6月15日
(2) 当該決定がされた年月日
2022年6月15日
(3) 当該決定の内容
光通信からの通知のとおり、光通信による本売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
ア 承認に関する判断の根拠及び理由
当社は、1999年12月に光通信の連結子会社として、生命保険・損害保険の募集業務及び付帯業務、通信販売業務を目的として設立されました(当時の商号は㈱テレコムスタンダード)。
2002年5月には商号を株式会社ニュートン・フィナンシャル・コンサルティングに変更し、同年7月にはコールセンターによる保険販売事業を本格的に開始し、2014年6月に当社株式は東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)に上場されました。その後、2014年12月に子会社化した株式会社保険見直し本舗等を通じて、店舗による保険販売も強化しております。2019年6月にはプラス少額短期保険株式会社を子会社化し、少額短期保険事業を開始いたしました。2019年10月に持株会社体制へ移行し、商号を株式会社NFCホールディングスに変更いたしました。2022年4月の東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、当社は東証スタンダード市場へ移行し、現在に至っています。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社10社、持分法適用関連会社5社により構成されており、保険代理店関連事業及び少額短期保険事業を展開しております。
保険代理店関連事業においては、子会社を通じて、複数の保険会社の商品を取り扱うことでお客様に最適な保険商品を選択していただきやすくなる乗合代理店を主力として運営し、全国のお客様をカバーできる大手保険代理店グループの1者として、コールセンター、店舗、WEB及び訪問の4つのチャネルを通じて、マーケットに対して多様で複合的なアプローチによって保険募集活動を行っております。また、保険募集活動等を行う企業へのコンサルティング業務や、保険会社からの業務受託も行っております。少額短期保険事業においては、子会社である少額短期保険事業会社が、当社グループの保険代理店関連事業が取り扱う商品を補完するような、認知症介護の経済的負担を軽減する認知症保険、葬儀費用などの備えとなる死亡保険、差額ベッド費用補償保険等を展開しております。少額短期保険事業は、保険料収入により中長期に亘る持続的な利益成長が見込まれるストック利益型事業であり、同事業が堅調に推移するなかで、当社は、同事業を新たな基軸事業として位置付けております。
当社の親会社である光通信は、1988年2月に設立され、その普通株式は1999年9月に東京証券取引所市場第一部に上場され、光通信の完全子会社である総合生活サービスを含む連結子会社123社及び持分法適用関連会社118社(2022年3月31日現在)から成る企業集団(以下「光通信グループ」といい、光通信グループから当社グループを除外したものを「親会社グループ」といいます。)全般の経営管理機能を担っているとのことです。光通信は、本日現在、当社株式13,256,100株(議決権所有割合にして74.88%)を所有しております。
光通信の完全子会社である総合生活サービスは、2014年11月に設立され、生活関連事業会社向けの機器レンタルサービス事業や純投資を事業として行っているとのことです。2021年8月20日付「株式会社総合生活サービスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」及び2021年9月18日付「株式会社総合生活サービスによる当社株式に対する公開買付けの結果並びにその他の関係会社及び主要株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、総合生活サービスは、当社の第二位株主であったSBI Ventures Two株式会社の所有する当社株式の全部(2,754,000株(所有割合(注)にして15.56%))及び当社の第三位株主であるSBIホールディングス株式会社の所有する当社株式の全部(1,068,000株(所有割合(注)にして6.03%))のみを取得する純投資を目的として、2021年8月23日から2021年9月17日までを買付け等の期間として公開買付けを実施したところ、当社株式3,915,001株の応募があり、当該公開買付けが成立し、総合生活サービスが、2021年9月28日をもって、当社株式3,915,001株(所有割合:22.12%)を取得しました。これにより、光通信及び総合生活サービスの当社株式の所有割合を合算すると97%となり、光通信は当社の特別支配株主となっております。
(注)「所有割合」とは、当社が2021年8月20日に公表した「株式会社総合生活サービスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」に記載された定義によるものをいい、当該公表時点の所有割合となります。
2021年11月中旬以降、当社は、少額短期保険事業を新たな基軸事業として位置付けて成長させていくという経営方針を前提とした経営課題等について検討するなかで、上場維持への課題や上場廃止の選択肢等についても検討するため、光通信との間で、定期的に協議の場を設けてまいりました。少額短期保険事業に関しては、当該事業における保険契約の新規獲得が堅調に推移する状況において、光通信との間で、先行投資額、その効果及び財務に及ぼす影響等について意見交換し、検証を重ねてまいりました。当該議論の中で、当社の企業価値向上のために少額短期保険事業が寄与する一方で、同事業は成長過程において費用が先行し、資本や資金が必要となる事業であることから、当社の企業価値の最大化を図るためには、短期中期的な利益達成にとらわれずに長期的な業績向上に取り組む必要があり、財務面・損益面でより制約の少ない非上場会社となることには合理性があるとの共通理解を確認しました。
一方、当社は、2021年12月29日付で開示した「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下「本計画書」といいます。)に記載のとおり、当社は流通株式比率について基準を満たしておらず、2025年3月までに上場維持基準(25%)を充たすためにコーポレートガバナンスに関する基本方針や中長期ビジョンの公表及び中長期的な当社の企業価値向上に向けた具体的な施策に関する光通信等との検討を進めることとしており、本計画書に沿って光通信等と協議を行っておりました。また、当社の流通株式比率は、スタンダード市場において経過措置として適用される流通株式比率に係る上場維持基準の5%を充たしていないことから、流通株式比率5%を2023年3月末日までに達成するための施策内容についても光通信等と協議を進めて参りました。2022年1月中旬、当社から総合生活サービスに対し、当社株式の売却の見通しについて照会したところ、総合生活サービスとしては、当社株式の上場維持に向けた最適な方策を実行する意向に変更はないものの、現状の当社の株価水準に照らせば、現時点においては保有する当社株式の売却を具体的に検討することは難しく、現時点では具体的に決定している事項は無いとの回答がありました。光通信としては、当社株式は親会社としての政策保有であり、その時点で当社株式の一部売却を具体的に検討しておらず、上場維持基準の充足に関しては当面は総合生活サービスの状況を見守る方針でした。このように当社としては本計画書に沿って光通信等と協議を進めてきたものの、具体的な施策内容が見出せていない状況にあります。
このような状況の下で、当社は、少額短期保険事業を基軸事業として当社の企業価値の最大化を図りつつ、かつ、少数株主の皆様の利益保護の方法として上場廃止という選択肢も排除することなく幅広く検討することとし、その旨を光通信に伝えました。これを受けて、光通信から、2022年1月20日、当社が上場廃止を選択する場合には当社の少数株主に不利益を及ぼさないことを前提に光通信としても協力できる可能性があり、具体的な方法としては光通信が当社の特別支配株主であることから特別支配株主による株式売渡請求を行うことが選択肢に入る旨の意向が示されました。
光通信によれば、当社グループの保険代理店関連事業及び少額短期保険事業ともに成長余地があると考えているとのことですが、保険代理店関連事業はすでに国内大手となっており、これまでに蓄積した収益もあることから、成長のための新規出店等で資金が必要となり費用が先行する場合であっても、自らのキャッシュフローによって、資金繰りや損益のバランスを大きく崩さない範囲で十分な成長を実現できるものと考えているとのことです。少額短期保険事業は、少額短期保険会社として的確に商品開発ができれば、保有顧客の増加に対応して、収益が積み上がり、長期的に安定した利益が確保できると考えているとのことであり、少額短期保険事業を成長させることは、当社グループの企業価値向上に寄与するものと考えているとのことです。一方で、少額短期保険事業においては、新規顧客の獲得時に販売チャネルに対して代理店手数料支払等の費用と資金支出が先行することや、少額短期保険会社としての適切なシステム投資のために資金支出が先行すること、責任準備金繰入等によって損益面で赤字が先行する性質があることから、高い成長率を実現し維持するためには、事業開始から現在までの顧客からの収益やそこから蓄積される資本だけでは不足が生じ、事業外からの資金や資本の提供が必要であると考えているとのことです。この点で、保険代理店関連事業の資金や当社グループ全体の資本を少額短期保険事業に投下し、保険代理店関連事業の利益によって当社グループ全体の利益のバランスをとって運営することがまず想定されますが、それでもなお資金や資本が不足するおそれがあると考えているとのことです。
具体的には、光通信が当社との協議の過程で当社からのヒアリングに基づき作成したシミュレーションによれば、当社の少額短期保険事業の成長を最大化するため、積極的な販売活動を継続した場合、当社の連結純利益が4期連続、累計120億円程度に及ぶ赤字となり、当社グループ外からの増資などの資本増強を考慮せず、銀行など金融機関からの資金調達の良化及び悪化のいずれをも考慮しない場合、将来的に連結純資産が2期連続、最大30億円程度の債務超過となり、当社の現預金は最大で90億円程度不足するとの計算結果になったとのことです。なお、このシミュレーションにおいては少額短期保険事業におけるシステム投資を考慮しておらず、実際にはシステム投資のための資金支出とシステム償却の費用計上が生じることになるとのことです。これは、当社が少額短期保険事業の成長を通じて企業価値の最大化を目指すことと、当社が上場維持することを両立させることが困難であることを示していると考えているとのことです。
このような理解にもとづき、光通信としては、当社が上場維持を前提とする場合には、販売活動を抑制した事業運営をせざるを得ないとの理解に至り、かかる事業運営とした場合にも、一定の営業費用を投下することから、赤字とならないまでも複数期間にわたり利益が低迷することとなり、そのことによって株価が下落するリスクも否定できない中で、かかるリスクを少数株主に負担させることなく、現在の株価水準に対してプレミアムを付した水準での株式等売渡請求をすることは、少数株主の皆様の利益に資するものであると考えたとのことです。
また、本計画書に記載のとおり、光通信等と当社との間において、当社の上場維持基準の適合に向けた当社株式の流通株式比率向上のための具体的な方策について協議・検討を重ねたなかで、当社株式の株価水準や出来高の推移、少数株主の皆様に対する希薄化のデメリット等を総合的に勘案し、光通信等による当社株式の売却や光通信グループ以外の者を引受人とする第三者割当増資等を実施するよりも、前述のとおり現在の株価水準に対してプレミアムを付した水準での株式等売渡請求をすることは、少数株主の皆様の利益に資するものであると考えたとのことです。
以上の理由により、光通信は、当社株式の上場廃止が合理的な選択であり、当社が経営上の課題の解決のために上場廃止を選択する場合は、親会社として協力することは可能であると考えたとのことです。
当社は、光通信による当社の完全子会社化の可能性を含む対応について具体的な検討を開始したことから、同月に、当社のリーガル・アドバイザーとして新幸総合法律事務所(以下「SSLO」といいます。)を選任し、その助言を踏まえて、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置等についての検討を開始しました。当社は、当社が光通信の連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、本取引の公正性を担保するため、当社のリーガル・アドバイザーであるSSLOの助言を踏まえ、直ちに、光通信から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討・交渉等を行う体制の構築を開始いたしました。具体的には、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、当社は、2022年1月20日に光通信から本取引について検討を進めることの提案を受けた後、直ちに、東京証券取引所への届出に基づき独立役員として指定されており当社及び光通信との間で利害関係を有さず独立性が高い、社外取締役の竹之内洋右氏並びに社外監査役の隈部泰正氏及び水澤良氏の3名について、本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、特別委員会の委員に求められる独立性・適格性に関するSSLOの助言も踏まえ、特別委員会の委員の候補として選定いたしました。その上で、2022年1月25日開催の当社取締役会により、上記の3名から構成される特別委員会を設置し、特別委員会に対し、①本取引を行うことについて当社取締役会が承認を行うべきか否かを検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、②当社取締役会における本取引についての決定が、当社の少数株主(一般株主)にとって不利益なものでないかを検討し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本諮問事項」といいます。)を諮問し、この点についての意見を当社に提出することを委嘱いたしました(なお、諮問事項①の検討に際しては、(i)当社の企業価値の向上に資するかという観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、(ii)当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性(本取引のために講じられた公正性担保措置の内容を含む。)について検討・判断するものとしております。)。また、当社は、上記取締役会において、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、及び本特別委員会が本売渡請求の実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本売渡請求を承認しないこととすることを決議するとともに、本特別委員会に対し光通信との間で取引条件等についての交渉(当社役職員やアドバイザー等を通じた間接的な交渉を含みます。)を行うこと、上記の諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らの財務若しくは法務等に関するアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担します。)、又は、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含みます。)すること(なお、本特別委員会は、当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができます。)、本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めること、事業計画の内容及び作成の前提に係る情報を含め、当社の役職員から本取引に関する検討及び判断に必要な情報を受領すること、並びにその他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項について権限を付与することを決議いたしました。また、当社は、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、特別委員会において、当社のリーガル・アドバイザーであるSSLO並びに当社の第三者評価機関である株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)について、光通信及び当社からの独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。さらに、当社は、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、光通信及び当社から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性の観点から問題がないことについて、特別委員会の確認を得ております。その上で、当社は、SSLOから本取引における手続の公正性を担保するための対応を含む法的助言を受けるとともに、プルータスから当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書の提供を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に協議及び検討を行ってまいりました。
当社においては、2022年2月28日付けで、光通信より本売渡対価を1株当たり1,750円とする提案を受領いたしました。本特別委員会は、同年3月16日付けで、プルータスから受領した当社の株式価値の算定結果や2019年6月28日から2022年2月28日までに公表されたMBO及び親会社による上場子会社の買収事案に係るプレミアム分析資料に記載された類似事案におけるプレミアム水準等を踏まえて、本売渡対価を1株当たり1,750円とする提案は少数株主保護の観点から十分な金額には至っていないことから、光通信に対して再検討を要請しましたが、光通信からは、同年3月25日付けで、1,750円の提案を据え置く旨の回答がありました。
その後、同年3月31日付け及び同年4月8日付けで、光通信より、当社が光通信の完全子会社となっていることを前提として、当社の事業の一部を対象とする出資等の提案を光通信が外部の会社から受けており、この提案について慎重に検討を進めているとの説明がありました。なお当該出資等の対象となる事業は具体的な範囲は未定であるものの、当社グループの保険代理店関連事業の一部が想定されており、少額短期保険事業は含まれておりません。光通信としては、仮に当該出資等について合意する場合には、当該出資等の対象とならない少額短期保険事業を含む当社グループの事業全体について、当該出資が行われなかった場合と比べて事業価値が毀損されることが無いよう、事業部門間の連携等について当該外部の会社との間で取り決めることを前提とすることを想定しているとのことです。
これに対して、同年5月25日付けで、本特別委員会は、類似事例におけるプレミアム水準及び保険代理店関連事業について光通信が外部の会社から受けている提案における当社グループの一部事業に対する事業価値評価等も踏まえて、光通信に対して価格の再検討を要請しましたが、光通信からは、同年5月26日付けで、他社事例のプレミアム率の平均値や中央値を上回らないことをもって妥当性を欠くことにはならないこと、外部の会社から受けている提案における当社グループの一部事業に対する事業価値評価等は法的な拘束力の無いものであり、仮にその一部事業に対する事業価値評価等を参照する場合であっても、光通信の提案している当社の株価評価は十分に妥当であると考えていることなどの理由により、1,750円の提案が妥当である旨の回答がありました。これに対し、本特別委員会は、同年5月27日付け及び6月2日付で、同年5月26日付け上記光通信の提案書面記載の理由に対して見解を述べた上で、価格の再検討を依頼しました。
同年6月6日、光通信より、本売渡対価を1,830円とする提案することは可能という結論に達したとの回答がありましたが、本特別委員会は、6月7日付けで、類似事例におけるプレミアム水準等から光通信の提案金額は一般株主の利益を図る立場から十分な金額であるとは考えられないことを理由に、価格の再検討を要請しました。光通信より、6月9日付けで、二段階買収ではなく90%超の保有比率から上場廃止した事例等が少ないことから、他社事例を参照できるほどには他社事例が存在しない事例として本取引を捉えることも合理的である可能性があるとの主張と共に、本売渡対価を1,830円とする提案価格は十分に妥当な水準にあるものと考えているが、1,830円以上の提案ができるか否かについて引き続き検討を継続する旨の回答がありました。これに対して、本特別委員会は、光通信が事例は少ないとしながらも提示した、二段階買収ではなく90%超の保有比率から上場廃止した事例は、本取引の参考にはならず、少数株主の立場からすれば支配株主による公開買付けの方法は参考になるとして、6月11日付けで価格の再検討を要請しました。
その結果、本特別委員会は、6月13日、光通信より、本売渡対価を1株当たり1,894円とする最終提案を受領し、これを受け、6月14日、本売渡対価を1,894円とすることを承認しております。以上の交渉過程において、本特別委員会が、当社の役職員を通じて、光通信との間で協議・交渉を行う際には、当社の役職員は、事前に本特別委員会において審議の上で決定した再提案価格の提示方法、具体的な再提案価格や光通信との間でコミュニケーションを取る場合には、その内容等の交渉方針に従って対応を行っており、また、光通信から本売渡対価についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行っております。また、プルータスが当社株式の価値算定において基礎とする事業計画について、その作成経緯、目的、内容及び重要な前提条件等について特別委員会に対し説明を行うとともに、特別委員会との間で質疑応答を行っております。
その上で、当社は本日、特別委員会から答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました。本答申書の概要については、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。
以上の経緯のもとで、当社は本日開催の当社取締役会において、SSLOから受けた法的助言、及びプルータスから提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書の内容を踏まえ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか及び本取引の条件の妥当性について、慎重に協議及び検討を行いました。
当社は、保険代理店関連事業において、コールセンター、店舗、WEB及び訪問の4つのチャネルを通じて保険募集活動を行っているところ、店舗と訪問の販売網を拡充しつつ、生産性の向上、収益の向上に向けて4つのチャネルの販売網の連携強化に注力するなど努力しておりますが、中長期的にみた場合、人口の減少、少子高齢化や晩婚化、非婚化が進むことによる家族形成の変化によりお客様のライフスタイルやニーズが多様化する傾向にあり、それら多様化するお客様のニーズの変化をいち早くキャッチし、よりきめ細かく対応できる体制の構築といった課題があります。一方で、自社サービスである少額短期保険事業については、保険代理店関連事業における代理店手数料とは違い、お客様の契約が継続する全期間にわたって将来的なストック利益(お客様から継続的に支払われる保険料等の収入から顧客維持コスト等を除いた利益分をいいます。)が見込める長期安定的なビジネスモデルであり、これまで、当社グループ内の代理店販路を活用した拡販を行ってまいりましたが、2022年3月期より営業費用を投下しグループ外部の代理店販路の開拓及び販売を強化、当期(2022年3月期)の少額短期保険事業においては、経常収益は1,062百万円(前期比200.8%)、営業損失は1,867百万円(前期営業損失は258百万円となります。)となりましたが、保有契約数は25,722件(前期比263%)、ストック利益は688百万円(前期比487%)と大幅に増加し、堅調に推移しております。当社は、当社の中長期的な企業価値の向上のために、当社の有する独自の販路を生かすことができ、かつ、将来的なストック利益が見込める長期安定的なビジネスモデルである少額短期保険事業を、当社の新たな基軸事業として位置付けており、経営資源を当該事業に集中させることが必要であると考えております。少額短期保険事業を更に成長させるためには、お客様のニーズの変化に即応した的確な商品開発と、営業費用を投下しグループ外部の代理店販路の開拓を加速させる必要があると考えております。具体的な資金としては、少額短期保険事業の成長の最大化を図る場合、3年間で最大で70億円程度必要であるとの試算に至っており、資金調達の確実化及び安定化の確立が喫緊の経営課題であると考えております。加えて、更なる優秀な人材の確保と人材育成、少額短期保険の代理店開拓、経営意思決定の迅速化等が必要であると考えております。当社は上場会社として、当社の少数株主の利益を尊重し、当社としての独立性の確保に努める観点から、光通信グループの資金、人材及び販路等の経営資源を共通活用することについては慎重な姿勢をとっておりましたが、光通信グループの有する経営資源を十分に有効活用することにより、当社が本取引を通じて、光通信の完全子会社となることで、以下のとおり、これらの課題等に対応できるものと考えております。
(a) 資金調達の確実化、安定化
当社グループが必要とする少額短期保険事業の資金については、上場会社として、公募増資や第三者割当増資などの方法により、資金を調達することは可能ではあります。とりわけ、光通信グループ以外の者を引受人とする第三者割当増資による資金調達によって、当社が上場維持のための流通株式基準を維持するという選択肢もあり得ますが、当社の少数株主に対して希薄化によるデメリットを限定的にする範囲で株価や株数の条件を設定しながら70億円程度の調達を実現することは、現実的ではないと判断いたしました。光通信の完全子会社となった場合は、光通信は十分な資金を有していることから、資本・負債の別を問わず光通信から資金調達が可能となり、当社の資金調達は確実化、安定化するものと考えられます。
(b) 人材確保と人材育成
当社グループのなかで比較的新しい事業である少額短期保険事業では、今後の成長も考慮すれば、更なる優秀な人材の確保及び人材育成が必須となります。少額短期保険会社は生損保の保険会社に準じた、若しくは生損保の保険会社と同等の質の、保険業に精通した人材を確保する必要がありますが、国内の保険会社の数は限定的であり、その中から適した人材を確保することは容易ではありません。光通信はその完全子会社として損害保険会社と、複数の少額短期保険会社を運営しており、これらの保険会社に在籍する保険業に精通した人材と交流できることは有意義であるほか、これらの保険会社の人材採用と連携できることは、当社グループの少額短期保険事業の人材確保の効率性と実現性を高め、人材育成に寄与するものと考えております。
(c) 少額短期保険の代理店開拓
当社グループは保険代理店関連事業を主要な事業としてまいりましたが、当該事業は保険業法の定めにより例外的な場合を除いて復代理(再委託)が禁止されており、二次代理店を設置することができません。そのため、当社グループは代理店開拓に取り組んだ歴史が浅く、ノウハウも多くは有しておりません。一方、親会社グループは、代理店を活用した販売網の構築、代理店の営業活動の支援推進や管理について、当社よりも長い歴史と実績があり、多くのノウハウを有しております。当社グループの少額短期保険事業を成長させる過程では、当社グループ内の販売チャネルのみに限定されない、新たな販売チャネルの開拓、すなわち、代理店の開拓が必要となります。光通信の完全子会社である少額短期保険会社では、実際に、親会社グループの事業子会社と連携することによる代理店開拓の実績が出ているとのことです。本取引の実行により、親会社グループの事業子会社との連携を強められることが、少額短期保険事業の販売チャネルの増強につながるものと考えられます。
なお、上記のとおり、当社グループの一部事業について現在、光通信が外部の会社が出資等の提案を受け検討しているとのことですが、光通信としては、当該出資等が実行された場合でも、当該出資等が実行されない場合と比べて当該事業の事業価値が毀損されることが無いよう、事業部門間の連携等について当該外部の会社との間で取り決めることを前提とすることを想定しているとのことです。
(d) 経営意思決定の迅速化
当社ではこれまでも、経営課題等について十分に適切な検討を行いながらも迅速に経営意思決定できることを重視して経営してまいりましたが、資金調達や、事業計画策定、親会社グループとの連携などの点については、親会社である光通信と上場会社である当社の少数株主の間には構造的な利益相反関係が懸念され、当社が一定の独立性を確保して事業運営を行う必要があることから、必要以上の時間や慎重なプロセスを要しておりました。本取引が実行され、当社が非上場会社となった場合には、経営意思決定の迅速化を図ることができるものと考えております。
(e) 上場維持コストや業務負担の軽減
当社は、保険代理店や少額短期保険会社を運営する会社として、適切な経営体制の確保のために人材を配置しコストを投じており、その方針は今後も不変ですが、上場維持のための体制や業務負担は、年間上場料金等の固定的なコストや、上場会社としての監査費用等のコストに加え、 近年のコーポレート・ガバナンス・コードの改訂に見られるようなコーポレート・ガバナンスに関する規制の強化への対応などのために、年々増大しており、このような業務のための人材確保も容易ではありません。当社が光通信の完全子会社となった場合、非上場とはいえ上場会社の子会社であることから、一定のコストや業務負担は引き続き必要となることが想定されますが、当社が上場会社である場合と比べ、コストや業務負担の軽減が期待され、当社の財務健全性に一定の貢献をするものと考えております。
上記のとおり、当社の企業価値向上のために少額短期保険事業の成長に向けた取組みを加速させることが不可欠であると考えておりますが、そのためには少額短期保険事業へ多額の先行投資が必要であり、かつ、これらの先行投資による収益化は不確実性を伴うものであるため、短期的・中期的には、利益水準の低下、キャッシュフローの悪化及び有利子負債の増加等により財務状況の悪化を招来するリスク等があり、これらの懸念点が顕在化した場合には、資本市場から十分な評価を得られず、当社の株価の下落を招き、中長期にわたり当社の株主の皆様に対して悪影響を与えてしまうこと等も否定できません。
また、当社が2021年12月29日付で開示した本計画書に記載のとおり、当社は、光通信等との間で当社の上場維持基準の適合に向けた当社株式の流通株式比率向上のための具体的な方策について協議・検討を重ねてきましたが、当社株式の株価水準や出来高の推移、少数株主の皆様に対する希薄化のデメリット等を総合的に勘案し、光通信等による当社株式の売却や光通信グループ以外の者を引受人とする第三者割当増資等の実施が困難であると判断しました。
このような見通しをもとに、当社の企業価値向上のために少額短期保険事業の成長に向けた取組みを短期的・中期的な業績に左右されることなく継続し、長期的な視点から当社の企業価値を最大化させていくという方法を取り財務面・損益面でより制約の少ない非上場会社となるとともに、現在の株価水準に対してプレミアムを付した水準での株式等売渡請求をすることは、少数株主の皆様の利益に資するものであると考えるに至りました。
なお、当社が上場廃止となった場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として当社が享受してきた社会的な信用の向上等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかしながら、当社は、2014年の上場以来、エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施していないこと、上記のとおり、今後、少額短期保険事業の成長に向けた資金需要が生じますが、資金力を有する光通信からの資金調達が可能であると考えられるため、当面は当社におけるエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は低いと考えられます。また、当社は保険代理店関連事業においては、国内大手として一定の地位を有しており、社会的な信用性やブランドは当社グループの長年の事業活動により確立されていると評価できること、また、上場会社であり知名度が高い光通信の完全子会社となること等に鑑みると、今後も継続して株式の上場を維持する必要性は高くないと考えております。
したがって、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
また、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、非公開化のメリットは、そのデメリットを上回るとの判断には一定の合理性があり、非公開化は中長期的観点から当社が成長するための有効な選択肢であるとの特別委員会の答申内容も踏まえ、当社取締役会は、本日付で、本取引により当社株式を非公開化することは、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、本売渡対価(1,894円)が、(a)下記「イ 算定に関する事項」の「② 算定の概要」に記載されているプルータスによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のとおり、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央値を相当程度上回る数値であること、(b)本取引の公表日の前営業日である2022年6月14日の東証スタンダード市場における当社株式の終値1,468円に対して29.02%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアム率の計算において同じです。)、2022年6月14日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,475円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して28.41%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,423円に対して33.10%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,397円に対して35.58%のプレミアムがそれぞれ加算されており、プルータスから提供された公開買付けを利用した親会社による上場子会社の買収事案におけるプレミアム水準としては、類似事案2019年8月6日から2022年2月28日までに公表された38件の事例のうち、公表日前日のプレミアム水準が30%未満である事案が11件(10%未満3件、10%以上20%未満1件、20%以上30%未満7件)、公表日前日までの過去1ヶ月間プレミアム水準が30%未満である事案が8件(10%未満0件、10%以上20%未満2件、20%以上30%未満6件)、公表日前日までの過去3ヶ月間プレミアム水準が40%未満である事案が17件(10%未満1件、10%以上20%未満2件、20%以上30%未満2件、30%以上40%未満12件)、公表日前日までの過去6ヶ月間プレミアム水準が40%未満である事案が19件(10%未満1件、10%以上20%未満3件、20%以上30%未満5件、30%以上40%未満10件)と相当数存在するため、類似事案に比して遜色なく、合理的なプレミアムが付されていると考えられること、(c)下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置がとられていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)本売渡対価が、上記利益相反を解消するための措置がとられた上で、当社と光通信の間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること、より具体的には、プルータスによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容やSSLOによる本取引に関する意思決定の過程及び方法その他の留意点についての法的助言等を踏まえ、かつ、本特別委員会と光通信との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として、当初提示額(1株当たり1,750円)よりも約8.2%(小数点以下第一位を四捨五入)引き上げられた価格(1株当たり1,894円)で提案された価格であること、(e)本計画書に記載のとおり、当社株式の流通株式比率の向上に向けて光通信等との間で協議を行うも、2022年1月時点では、総合生活サービスは当社の株価水準を前提とすると当社株式の売却を具体的に検討することは難しいとの意向であり、光通信は当社株式を当該時点で一部売却することは具体的に検討しておらず、上場維持基準の充足に関して当面は総合生活サービスの状況を見守る方針であるという意向が示されており、当社としては具体的な施策内容が見出せていない状況において、本取引は株主の皆様に対して一定の合理性を有するプレミアムを付した価格での合理的な株式の売却の機会を提供するものであると評価できること、(f) 本売渡対価が、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、本売渡対価について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当社取締役会は、本売渡対価及び本取引に係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本取引は、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社取締役会は、本日、審議及び決議に参加した当社の取締役全員一致で、光通信からの通知のとおり、本売渡請求を承認する旨の決議をいたしました。
当該取締役会の意思決定過程の詳細については、下記「エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
なお、当社は、今般の東京証券取引所における市場区分の見直しに関し、2021年12月29日付で、2022年4月に予定される新市場区分への移行に際して、スタンダード市場を選択する旨の申請書を提出するとともに、本計画書を開示しており、本計画書のなかで、上場維持基準の達成に向けて光通信と協議を進めていくこととしております。本計画書の公表時点では、上場廃止の方針については選択肢として議論の対象にはなっておりましたが、可能性が全く不透明であったことから、当社としては、本計画書の提出時点においては、東証スタンダード市場への上場継続を前提として、上場維持基準への適合に向けて取り組むべきとの判断から、本計画書を提出しております。しかしながら、上記の検討過程により、本日、本売渡請求を承認するとともに、その結果として当社株式が上場廃止となることを踏まえ、本計画書を撤回することを決議しております。
イ 算定に関する事項
① 算定機関の名称並びに当社及び光通信との関係
当社は、本売渡請求に対する判断を行うにあたり、光通信から提示された本売渡対価に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、光通信及び当社から独立した第三者評価機関であるプルータスに対し、当社株式の株式価値の算定及び付随する財務分析を依頼し、2022年6月14日付で、当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得しました。プルータスは、光通信及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、プルータスから本売渡対価の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、本取引に係るプルータスの報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
② 算定の概要
プルータスは、当社の株式価値の各種評価手法を検討し、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの判断に基づき、当社株式が東証スタンダードに上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法を、将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行っております。プルータスによれば、類似会社比較法の採用も検討しましたが、当社の事業計画において少額短期保険事業に大幅な増減益が見込まれており、類似会社との適切な倍率の対応を図ることができないため採用しなかったとのことです。プルータスによれば、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価平均法: 1,397円~1,475円
DCF法: 1,411円~2,095円
市場株価法では、基準日を 2022年6月14日として、東証スタンダードにおける当社株式の基準日終値(1,468円)、直近1ヶ月間(2022年6月14日から2022年5月16日まで)の終値の単純平均値(1,475円)、直近3ヶ月間(2022年6月14日から 2022年3月15日まで)の終値の単純平均値(1,423円)及び直近6ヶ月間(2022年6月14日から2021年12月15日まで)の終値の単純平均値(1,397円)を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を1,397円から1,475円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した 2023年3月期から2032年3月期までの事業計画(以下「本事業計画」 といいます。)、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2023年3月期以降に創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フロー(以下「FCF」といいます。)を一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を分析し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を1,411円から2,095円までと算定しております。割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、5.897%から7.962%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、成長率を0%として分析しております。
プルータスがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。上記DCF法の基礎とした事業計画については、営業利益及びFCFの大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的な増益要因は少額短期保険事業における保険契約の新規獲得の伸長に基づくストック利益の積み上げを2024年3月期から2026年3月期まで見込んでおります。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果及び少額短期保険事業の成長を最大化させた場合の損益については、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、以下の財務予測には加味しておりません。
(単位:百万円)

2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期2027年3月期2028年3月期
売上高24,82825,67626,55627,52828,55229,307
営業利益8791,3421,6362,0152,4242,901
EBITDA8671,3311,6242,0042,4132,890
FCF▲3956179351,3001,6662,171

2029年3月期2030年3月期2031年3月期2032年3月期
売上高29,61729,69429,77429,818
営業利益3,6593,8863,9684,014
EBITDA3,6483,8753,9574,003
FCF2,8193,0743,1873,258

ウ 上場廃止となる見込み
当社株式は、本日現在、東証スタンダード市場に上場しておりますが、本売渡請求の承認により、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に該当することになり、本日から 2022年7月12日まで整理銘柄に指定された後、7月13日をもって上場廃止となる予定です。上場廃止後は、当社株式を東証スタンダード市場において取引することはできなくなります。
エ 公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
光通信は、当社の支配株主(親会社)であるため、当社取締役会による本売渡請求に関する承認は、当社にとって支配株主との取引等に該当するとともに、本取引が光通信と少数株主との皆様の間における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本売渡対価を含む本取引に係る取引条件の公正さを担保するため、以下の措置を講じております。
① 当社における独立した特別委員会の設置
(ⅰ)設置の経緯
上記「ア 承認に関する判断の根拠及び理由」に記載のとおり、当社は、2022年1月20日に光通信から本取引について協議を開始することの提案を受けた後、直ちに、光通信から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の少数株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討・交渉等を行う体制の構築を開始し、東京証券取引所への届出に基づき独立役員として指定されており当社及び光通信との間で利害関係を有さず独立性が高い、社外取締役の竹之内洋右氏並びに社外監査役の隈部泰正氏及び水澤良氏の3名について、本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことを確認した上で、特別委員会の委員に求められる独立性・適格性に関するSSLOの助言も踏まえ、特別委員会の委員の候補として選定いたしました。その上で、2022年1月25日開催の当社取締役会により、上記の3名から構成される特別委員会を設置するとともに、特別委員会に対し、本諮問事項を諮問し、本諮問事項についての意見を当社に提出することを委嘱いたしました。また、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、本売渡請求への賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うこと、及び本特別委員会が本売渡請求の実施又は取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本売渡請求の実施を承認しない(本売渡請求に賛同しないことを含みます。)こととすることを決議するとともに、本特別委員会に対し光通信との間で取引条件等についての交渉(当社役職員やアドバイザー等を通じた間接的な交渉を含みます。)を行うこと、上記の諮問事項に関する答申を行うに際し、必要に応じ、自らの財務若しくは法務等に関するアドバイザーを選任し(この場合の費用は当社が負担します。)、又は、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名し若しくは承認(事後承認を含みます。)すること(なお、本特別委員会は、当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができます。)、本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めること、事業計画の内容及び作成の前提に係る情報を含め、当社の役職員から本取引に関する検討及び判断に必要な情報を受領すること、並びにその他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項について権限を付与することを決議しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は固定額で支払うものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
(ⅱ)検討の経緯
特別委員会は、2022年2月3日より同年6月14日までの間に合計21回、合計約27時間にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定を行う等して、本諮問事項についての協議及び検討を行いました。
具体的には、特別委員会は、まず、各委員の独立性について相互に確認を行った上で、当社のリーガル・アドバイザーであるSSLO及び当社の第三者評価機関であるプルータスについて、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任を承認しました。さらに、特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことを確認しております。
その上で、本特別委員会は、SSLOから特別委員会の設置が求められる背景、特別委員会の役割等について説明を受け、本取引に関する意思決定の過程、方法その他の本取引に関する 意思決定に当たっての留意点等についての法的助言を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。
また、特別委員会は、光通信に対して、本取引によるシナジーの内容及び当社の完全子会社化が必要な理由、検討依頼に至った経緯、当社を取り巻く事業環境及び経営課題、当該経営課題解決のための具体的な施策、本売渡対価についての考え方、本売渡請求というスキームを選択した理由、本取引後の経営方針(外部の会社と交渉中の本取引後における保険代理店関連事業への出資等を含みます。)、上場廃止のデメリットについての考え方及び本取引のスキーム・手続・条件等について、書面による質問を行い、光通信から回答を受領するとともに、これらの事項について、光通信の担当者からも直接説明を受け、質疑応答を行っております。
さらに、特別委員会は、プルータスが当社株式の価値算定において基礎とする事業計画について、その作成経緯、目的、内容及び重要な前提条件等に関して説明を受けるとともに、質疑応答を行い、その合理性を確認しております。その上で、特別委員会は、プルータスが実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件(DCF法による算定の前提(永久成長率(PGR)及び割引率(WACC)を含みます。))について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。
また、特別委員会は、本売渡株主にとってできる限り有利な取引条件を引き出すために、相互に独立した当事者間のM&Aで行われる一般的な交渉プロセスに即して十分な交渉を実施することを含む本取引に係る交渉方針について、SSLOから事前に説明を受け、その内容を審議・検討するとともに、2022年2月28日に光通信より本売渡対価を1株当たり1,750円とする最初の提案を受領して以降、当社が光通信から価格提案を受領する都度、当社から適時にその内容について報告を受け、当社の見解を聴取するとともに、プルータスから受けた財務的見地からの助言も踏まえてその内容を審議・検討した上で、光通信との交渉方針について当社に意見を述べる等、当社と光通信との間の本売渡対価に関する協議・交渉過程において中心的な位置付けで関与し、その結果、当社は同年6月14日に光通信より本売渡対価を1株当たり1,894円とする最終提案を受けるに至っております。
さらに、特別委員会は、SSLOから、当社が開示予定の本売渡請求に係る本プレスリリースのドラフトの内容について説明を受け、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
(ⅲ)判断内容
特別委員会は、以上の経緯の下で、SSLOから受けた法的助言、2022年6月14日付でプルータスから提出を受けた本株式価値算定書及びプレミアム分析資料の内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2022年6月15日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出しております。
(a)答申内容
ⅰ 本取引について当社取締役会は承認すべきであると考える。
ⅱ 本取引についての決定は、当社の少数株主(一般株主)にとって不利益なものではないと考える。
(b)答申の理由
ⅰ 以下の点より、本特別委員会は、当社の中長期的観点からの企業価値の向上に資するかという観点から、本取引は合理性を有するものであると判断する。
・当社の保険代理店関連事業の事業環境に関して、中長期的に見た場合、多様化するお客様のニーズに対応する必要があるという認識が示され、また、少額短期保険事業が、保険代理店関連事業における代理店手数料とは異なり、保険料収入により中長期に亘る持続的な利益成長が見込まれるストック利益型事業であるという認識が示されているが、当該認識は一般的に説明されている内容と整合するものである。また、当社は、中長期的に安定的な少額短期保険事業を基軸事業として成長させることは当社グループの企業価値に向上すると考えているが、そのことについて当特別委員会として異論はない。
・当社及び光通信は、少額短期保険事業を成長させていくための課題として、少額短期保険事業が先行投資型の事業であり、事業外からの資金や資本の提供が必要となり、当社の試算として、少額短期保険事業の成長の最大化を図る場合に、3年間で最大で70億円程度の資金需要が発生すると予測しているが、当該認識についても特段の不合理な点はないと思料される。なお、当社の予測及び光通信のシミュレーションについて、本特別委員会において、その金額の妥当性や当該試算、シミュレーションの根拠を検討したものではないため、これら試算やシミュレーションの確度は不明であるが、後述のプルータスによる株式価値算定に用いられた当社の事業計画を踏まえれば、相当程度の資金需要が必要となるという範囲では不合理であるとは思われない。
・当社の資金調達に関して、少数株主へのデメリットを限定的にしつつ、公募増資等により70億円程度の調達を実現することが現実的ではないという当社の判断や当社が上場会社としての独立性の確保の観点から、光通信の資金を活用することについては慎重な姿勢をとっていたところ、光通信の完全子会社となった場合は、十分な資金を有する光通信からの資金調達が可能となり、当社の資金調達は確実化、安定化するとの考えについては、当社が上場以来、エクイティ・ファイナンスによる資金調達を実施したことがないこと、光通信の開示資料に示される光通信の財務状況、光通信が資金提供を行う意向を有していることからすれば不合理であるとはいえない。
・本取引に至る経緯について、総合生活サービスが2021年に実施した公開買付における買付価格が1,750円であること、2022年1月に当社が総合生活サービスに対し当社株式の売却の見通しについて行った照会に対し、総合生活サービスから、当社の株価水準を前提とすると当社株式の売却を具体的に検討することは難しい等の回答があり、また、光通信も、当社株式をこの時点で一部売却することは具体的に検討しておらず、上場維持基準の充足に関して当面は総合生活サービスの状況を見守る方針であったこと、光通信グループ以外の者を引受人とする第三者割当増資等の実施については少数株主に対する希薄化のデメリットなどが想定されたことなどからすれば、当社が猶予期間の満了日(2023年3月31日)までに経過措置による流通株式比率の基準を満たすことができない可能性があると考え、少額短期保険事業を基軸事業として当社の企業価値の最大化を図りつつ、かつ、少数株主の利益保護の方法として、上場廃止を検討するに至ったことは不自然、不合理であるとは言えないと思料する。
また、当社は2021年12月29日付で開示した本計画書において、流通株式比率の維持を図るための当社の経営課題として株価の向上をあげているが、上記のような事業環境の下で、株価向上のために少額短期保険事業の成長を抑制することは当社企業価値の向上を損なうことになりかねず、さらには、光通信や総合生活サービスが当社株式を早期に売却する具体的な方針が示されていなかったことなども考慮すれば、当社が、短期的な株価の向上を目指して少額短期保険事業の推進を抑制しなかったことは、本取引に至る経緯として不合理とまでは評価できないと思料する。
さらに、当社によれば、本計画書の公表時点で上場廃止の方針は選択肢として議論の対象にはなっていたが、可能性が全く不透明であったことから、本計画書の提出時点では、上場継続を前提として上場維持基準への適合に向けて取り組むべきとの判断であったことから本計画書を開示したとのことである。この点、当社が2022年1月に、総合生活サービスに対し、同社が保有する当社株式の売却に関する照会を行っていることからすれば、当社は2022年に入った後も、株式保有比率の縮小という課題の解決を放棄せず、当社としての対応は進めていたものであると考えられることからすれば、当社が示した上記の見解を特段に疑うべき事情までは認められないと思料する。
以上のことからすれば、当社は、流通株式比率の維持という課題と少額短期保険事業を成長させることによる企業価値の向上について、いずれか一方だけではなく、両者の検討を進めていく中で、光通信や総合生活サービスの株式売却の意向等も考慮したうえで本取引の検討を進めてきたと考えることができるが、このような経緯は本取引に至る経緯として不合理であるとまではいえないと思料する。
・光通信によれば、現在、当社グループの一部事業について、外部の会社から、当社が光通信の完全子会社となる前提での出資等の提案を受け慎重に検討しているとのことである。現時点において出資等の受け入れが実行されるのかは明確ではないが、これが実現された場合について検討すると、現状、当該提案の実行に関し確定した事項は存在しないとのことであるが、光通信としては、当該出資等が実行された場合でも、当該出資等が実行されない場合と比べて当該事業の事業価値が毀損されることが無いよう、事業部門間の連携等について当該外部の会社との間で取り決めることを前提とすることを想定しているとのことである。
この点、光通信が示した上記の想定や意向等について、これを疑わせるような具体的な事実の存在を本特別委員会として認識していないこと、少額短期保険事業における販売チャネルについても、現在の当社グループの少額短期保険事業の販売チャネルだけでなく、2022年3月期より営業費用を投下しグループ外部の代理店販路の開拓及び当該外部チャネルを通じた販売を現に進めていることなどからすれば、本取引により当社が光通信の完全子会社化された後に出資の合意が実行された場合であっても、当社の企業価値が損なわれる現実的な危険性までを認めることはできないと思料する。
・当社が示している当社の非公開化により可能となる経営課題等への対応について、これまで、当社が上場会社として、当社の少数株主の利益を尊重し、当社としての独立性の確保に努める観点から、光通信グループの資金、人材及び販路等の経営資源を共通活用することについては慎重な姿勢をとっていたとのことであることからすると、非公開化によりこれらが実現可能となるという当社の考えが不合理であるとは言えない。
・人材確保と人材育成、少額短期保険の代理店開拓、経営意思決定の迅速化、上場維持コストや業務負担の軽減において示された事項について、それぞれ記載された内容(上記「ア 承認に関する判断の根拠及び理由」の(b)ないし同(e)参照)に特段の不合理な点は見当たらない。
・少額短期保険事業の推進が株主に悪影響を与える可能性について、少額短期保険事業が先行投資型の事業であることからすれば、短期的・中期的には、利益水準の低下や財務状況の悪化リスクがあり、これらが顕在化した場合に当社の株価の下落を招き、中長期にわたり当社の株主に対して悪影響を与えてしまう可能性が否定できないという当社の考えは不合理であるとはいえない。
・一般に上場のメリットとしては、資金調達の円滑化・多様化、企業の社会的信用力と知名度の向上等が挙げられるが、当社が、エクイティ・ファイナンスによる資金調達をこれまで実施したことがないこと、また、今後、少額短期保険事業の成長に向けた資金需要については光通信からの資金調達も考え得る状況であるとすれば、当面は当社におけるエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くないと考えているとの当社の判断が不合理とは言えない。また、当社は、社会的な信用性やブランドが当社グループの長年の事業活動により確立されており、上場会社の光通信の完全子会社となること等に鑑みると、今後も継続して株式の上場を維持する必要性は高くないと考えているとのことであるが、当特別委員会においてその判断を不合理であるといえる具体的な事情は認識していない。
・本特別委員会は、その他非公開化により生じるデメリットについて検討し、光通信及び当社に質問したが、具体的なデメリットは顕出されなかった。以上を総合的に考慮すると、非公開化のメリットはそのデメリットを上回るとの判断には、一定の合理性があり、非公開化は中長期的観点から当社が成長するための有効な選択肢であると思料する。
ⅱ 以下の点より、本特別委員会は、独立した第三者算定機関の算定結果、本売渡価格の決定プロセス等に照らして妥当であること及び本取引の条件について特に問題視すべき点が存在しないことに照らし、当社の一般株主の利益保護を図る観点から、取引条件の妥当性が確保されていると判断する。
・プルータス作成の本株式価値算定書における算定手法である市場株価法及びDCF法は、現在の評価実務に照らして、一般的、合理的な手法であると考えられる。マーケット・アプローチのうち、類似会社比較法の採用も検討したが、当社の事業計画において少額短期保険事業に大幅な増減益が見込まれており、類似会社との適切な倍率の対応を図ることが出来ないため採用しなかったとのことであったが、先行投資型である少額短期保険事業の特性からすれば、プルータスの説明に不合理な点は認められない。
・本売渡価格1,894円は、本売渡請求の公表日の前営業日である2022年6月14日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値1,468円に対して29.02%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値1,475円に対して28.41%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値1,423円に対して33.10%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値1,397円に対して35.58%のプレミアムがそれぞれ加算されているところ、プレミアム分析資料に記載された、2019年6月28日から2022年2月28日までに公表された親会社による上場子会社の買収事案(以下「類似事案」という。)におけるプレミアム水準の平均値・中央値からはやや低い水準となっているが、プルータスから提供を受けたプレミアム分析に記載された類似事案(38例)において、公表日前日のプレミアム水準が30%未満である事案が11件(10%未満3件、10%以上20%未満1件、20%以上30%未満7件)、公表日前日までの過去1ヶ月間のプレミアム水準が30%未満である事案は8件(10%未満0件、10%以上20%未満2件、20%以上30%未満6件)、公表日前日までの過去3ヶ月間のプレミアム水準が40%未満である事例は17件(10%未満1件、10%以上20%未満2件、20%以上30%未満2件、30%以上40%未満12件)、公表日前日までの過去6ヶ月間のプレミアム水準が40%未満である事例は19件(10%未満1件、10%以上20%未満3件、20%以上30%未満5件、30%以上40%未満10件)と相当数存在する。
・本売渡価格である1,894円は、DCF法により算定された当社の1株当たりの株式価値の範囲(1,411円から2,095円)の中央値を相当程度上回る数値である。
・本特別委員会は、第三者算定機関であるプルータスによる算定結果及びプルータスから提供を受けた類似の完全子会社化事案のプレミアム分析資料をもとに、本売渡価格を妥当な水準にまで高めるために、光通信との間で交渉を複数回にわたり実施し、光通信は交渉の当初提案価格を据え置く態度を示していたものの、かかる交渉の結果として当初提示額よりも144円引き上げられた価格で決定されている。
・以上の点を総合的に考慮すると本売渡価格は妥当であると判断する。
iii 以下の点より、当社の一般株主の利益保護を図る観点から、本取引の手続には公正性が認められると判断する。
・当社取締役会は、光通信及び当社から独立した本特別委員会を設置している。本特別委員会は、付与された上記権限に基づき実質的に充実した審議、検討を通じた複数回にわたる真摯な交渉が行われており、実質的に有効な公正性担保措置として機能したと評価できる。
・当社は、光通信から提示された本売渡価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、光通信及び当社から独立した第三者算定機関であるプルータスに対して、当社株式の価値の算定を依頼し、2022 年6月14日付で本株式価値算定書を取得している。
・当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適法性を担保するために、 光通信及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてSSLOを選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けている。
・当社は、光通信から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断(当社の株式価値の評価の基礎となる事業計画の作成など高い独立性が求められる職務を含む。)を行うための体制を当社の社内に構築している。
・当社取締役である大和田征矢氏及び、同杉田将夫氏、並びに監査役である大嶋敏也氏は、本取引において当社と利益相反のおそれがあることを踏まえて、上記の当社取締役会の審議及び決議には一切参加しない予定である。また、本取引に係る当社取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場において、本取引に係る検討並びに光通信との協議及び交渉に一切参加していない。
・本売渡請求の性質上、本取引においてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されることはない。なお、光通信が当社の普通株13,256,100株(議決権所有割合にして74.88%)を所有し、また、光通信の完全子会社である総合生活サービスは、本日現在、当社株式3,915,001株(議決権所有割合:22.12%)を所有していることからすれば、仮に、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定された場合、取引の成立を不安定なものとし、かえって一般株主の利益に資さない可能性もある。その意味では、当社において他に十分な公正性担保措置が講じられていることも踏まえると、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されることがない売渡請求が選択されることについて手続きの公正性が損なわれることはないと考えられる。
・本取引は特別支配株主による株式売渡請求であるため、M&A に関する事実を公表し、公表後に他の潜在的な買収者が対抗提案を行うことが可能な環境を構築した上でM&Aを実施することによるいわゆる間接的なマーケット・チェックや、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討するいわゆる積極的なマーケット・チェックも行われていないが、本件では上記のとおり、公正性担保措置としては充実した措置が取られ、また、支配株主による買収においても例外的にマーケット・チェックが機能し得る事情を現時点で認めることもできないから、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると評価できる。
・当社から行われる予定の情報開示については、当社の株主の適切な判断に資する充実した情報の開示であると評価できる。
iv 以上から、本取引は企業価値の向上に資するものと考えられ、取引条件には妥当性が認められ、手続には公正性が認められるため、本売渡請求について当社取締役会が承認すべきであると考える。
v また、本取引が当社の企業価値向上に資すると考えられ、本取引の取引条件は妥当性を有すると認められ、また、本取引に係る手続の公正性が確保されていると認められ、その他、少数株主(一般株主)にとって不利益となるような事情も認められないため、本取引についての決定は当社の少数株主にとって不利益でないと思料する。
② 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言の取得
当社は、本取引に係る手続の公正性に関する専門的助言を得るため、上記「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、光通信及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてSSLOを選任し、本取引において手続の公正性を担保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。
なお、SSLOは、光通信及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
③ 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者評価機関からの株式価値算定書の取得
当社は、当社株式の価値評価及び価格交渉等に関する専門的助言及び補助を得るため、上記「①当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、光通信及び当社から独立した第三者評価機関としてプルータスを選任し、財務的見地からの助言を受けるとともに、2022年6月14日付で本株式価値算定書を取得しております。本株式価値算定書の概要については、上記「イ 算定に関する事項」をご参照ください。上記「イ 算定に関する事項」に記載のとおり、当社はプルータスから本売渡対価の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
なお、プルータスは、光通信及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における独立した検討体制の構築
上記「ア 承認に関する判断の根拠及び理由」に記載のとおり、当社は、光通信から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2022年1月20日に光通信行から本取引について協議を開始することの提案を受けた後、直ちに、当社と光通信との間の本売渡対価を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程、及び当社株式の価値評価の基礎となる事業計画の作成過程においては、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、当社取締役である大和田征矢氏及び杉田将夫氏は光通信の執行役員を兼務していることから、当社監査役である大嶋敏也氏は光通信の部長職の従業員を兼務していることから、本取引に係る取引条件に関する交渉過程においては、関与させないこととしており、かかる取扱いを継続しております。また、かかる取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性の観点から問題がないことについては、特別委員会の確認を得ております。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社取締役会は、上記「ア 承認に関する判断の根拠及び理由」に記載のとおり、SSLOから受けた法的助言、プルータスから受けた本株式価値算定書及びプレミアム分析資料の内容を踏まえつつ、本答申書において示された特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本売渡対価を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討いたしました。
その結果、当社は、上記「ア 承認に関する判断の根拠及び理由」に記載のとおり、本日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役全員一致で、光通信からの通知のとおり、本売渡請求を承認する旨を決議いたしました。
上記取締役会には、当社の監査役4名のうち、利害関係を有しない監査役全員(松本亜三雄氏、隈部泰正氏、水澤良氏)が出席し、その全てが、当社の取締役会が本売渡請求を承認する旨の意見を表明しております。
なお、当社取締役である大和田征矢氏及び杉田将夫氏は光通信の執行役員を兼務していることから、意思決定における公正性を担保し、利益相反の疑いを回避する観点から、本売渡請求に関する議案について、その審議及び決議に一切参加しておりません。また、当社監査役である大嶋敏也氏は光通信の部長職の従業員を兼務していることから、意思決定における公正性を担保し、利益相反の疑いを回避する観点から、本売渡請求に関する議案について、その審議に一切参加しておりません。
以 上