四半期報告書-第13期第1四半期(平成28年4月1日-平成28年6月30日)

【提出】
2016/08/10 15:32
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24項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
2016年5月15日から17日に茨城県つくば市において、日本、米国、英国、カナダ、ドイツ、フランス、イタリアのG7各国大臣および代表と、欧州委員会(EU)の担当委員が一堂に介し、「G7 茨城・つくば科学技術大臣会合」が開催されました。初日に開催された記念シンポジウムでは、当社の山海社長が基調講演を行ったほか、16日の大臣会合ではアジェンダの一つである「グローバル・ヘルス - 保健医療と科学技術」において、各国の大臣に対しスピーチを行いました。また、17日には各国の代表団が当社を視察に訪れ、ロボットスーツHAL®をはじめとする当社製品を見学したほか、デモ体験を行いました。
最終日の17日に採択された共同声明「つくばコミュニケ」には、G7各国および多くの新興国が急速な高齢化社会に直面するなかで、高齢者が健康的に年を重ね、良質なケアを受けられる社会システムの構築を含む、科学に基づいたイノベーションの重要性が強調されており、ロボティクスの活用による、高齢者の福祉や生活の質の向上および介護者の負担軽減への可能性と、社会科学研究と医療・ICT・ロボット支援を統合して、家族や社会の負担を軽減することの決意が表明されています。これは、当社が目指す『重介護ゼロ®社会』と軌を一にしており、当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使することにより、これら深刻化する社会課題の解決と、医療・介護福祉・作業支援分野にフォーカスした「人支援産業」という新産業の創出を目指し、研究開発および事業展開をさらに加速して進めてまいります。
当連結会計期間において、医療分野では、HAL®医療用(下肢タイプ)について、2016年4月25日に厚生労働省が神経筋難病疾患に対するHAL®医療用(下肢タイプ)を用いた治療に係る技術料等の保険点数解釈を公表し、ロボット治療として世界で初めて公的医療保険の償還価格が決定しました。当該保険算定については、一回あたりの診療報酬が最大で85,100円~49,600円であり、効果が確認される場合には回数に制限なく算定可能となっています。当社では、今後の脳卒中や脊髄損傷など他の疾患への適用拡大に向けて、国内外の医療機関と連携して臨床試験を加速してまいります。さらに、少しでも多くの麻痺患者への適用範囲拡大に向け、有力医療研究機関とも連携して、HAL®と再生医療を組み合わせた革新的機能再生治療の研究も進めております。また、HAL®自立支援用(単関節タイプ)およびバイタルセンサーについても、医療機器化に向けて手続きを推進しております。欧州においては、既に医療機器認証を取得し、ドイツで治療サービス事業を展開しています。ドイツではHAL®医療用(下肢タイプ)を利用した治療に公的労災保険が適用されていますが、新たに公的医療保険への適用拡大を目指し、2015年10月27日、InEK(病院医療報酬制度協会)に対して、急性期から回復期に相当する期間の対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請を提出しました。また、2015年10月30日にはG-BA(ドイツ連邦合同委員会)に対して、急性期から回復期に相当する期間を終えたすべての対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請を提出しました。米国においては、FDA(米国食品医薬品局)からの医療機器承認を見越して米国法人(CYBERDYNE USA Inc.)の設立手続きに入るとともに、各種保険適用を米国事業の重要なマイルストーンとして位置付け、戦略的に推進しております。
HAL®医療用(下肢タイプ)は、今後の対象疾患の適用拡大を目指して国内外での臨床試験を推進し、2016年6月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて145台が稼働中ですが、今後は公的医療保険適用を背景に国内医療機関への本格導入を開始いたします。またHAL®自立支援用(単関節タイプ)も臨床研究を目的として日本国内での病院を中心に導入が進み、2016年6月末時点で173台が稼働中です。
介護福祉の分野においては、HAL®福祉用等の下肢タイプは、自立動作支援を目的として日本国内の福祉施設や病院等で運用され、2016年6月末時点で473台が稼働中です。また、介護離職に悩む介護施設での介助者の腰部負荷低減による労働環境改善を目的としたHAL®介護支援用(腰タイプ)は、2016年6月末時点で293台が稼働中です。厚生労働省の介護ロボット導入支援事業による増加は、第3四半期以降を見込んでおります。
作業支援の分野においては、少子高齢化による労働人口の減少を背景に深刻な人手不足が発生している物流倉庫業や建設業や各種工場での作業者の腰部負荷低減による労務環境改善を目的としたHAL®作業支援用(腰タイプ)は、2016年6月末時点において235台が稼働中です。今後は防水性等の機能付加により利用範囲の大幅な拡大が見込まれます。また、クリーニングロボットおよび搬送ロボットは、2016年6月末時点において17台が稼働中で、今後は空港等への導入拡大を見込んでいます。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は主にHAL®腰タイプ(介護支援用・作業支援用)等の新製品の稼働台数の大幅増加により271,930千円(前年同期比60.4%増加)を計上する一方で、新製品の量産による原価低減効果により売上原価が90,777千円(同35.5%増加)に留まった結果、売上総利益は181,153千円(同76.6%増加)と大幅に増加し、売上総利益率も66.6%(同6.1%増加)と大幅に向上いたしました。
研究開発費はJST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の受託研究事業の加速などにより232,397千円(同84.8%増加)と大幅に増加した一方で、その他の販売費及び一般管理費は主に事業税(資本割)等の租税公課の増加などにより306,998千円(同3.2%増加)に留まった結果、営業損失は358,243千円(同11.8%増加)を計上しました。
営業外収益につきましては、上記の研究開発加速に伴う受託研究収入の増加により144,434千円(同128.8%増加)と大幅に増加する一方で、営業外費用につきましては、転換社債の権利行使による株式転換に伴う一時費用である株式交付費96,231千円が発生したことにより109,025千円(同800.1%増加)を計上することにより、経常損失は322,834千円(同19.8%増加)を計上しました。
また、法人税等1,945千円の計上及び非支配株主に帰属する当期純損失が0千円となった結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は325,041千円(同21.3%増加)を計上しています。
(2) 財政状態の分析
① 資産
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて301,932千円減少し47,232,537千円となりました。これは、主として建設仮勘定が5,623,635千円増加し、現金及び預金が4,091,326千円、有価証券が1,499,980千円減少したことによるものです。
② 負債
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて19,922,293千円減少し548,242千円となりました。これは、主として転換社債型新株予約権付社債の償還によるものです。
③ 純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて19,620,361千円増加し46,684,295千円となりました。これは、主として転換社債型新株予約権付社債の権利行使による株式転換によるものです。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は232,397千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。