四半期報告書-第14期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)

【提出】
2017/08/14 15:31
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【項目】
21項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当社グループは、人・ロボット(機械)・情報系が融合複合したサイバニクス技術を駆使して、医療、介護福祉、生活(職場環境を含む)分野を対象として、人とロボット系と情報系を機能的につなぎ、物理的・情報的・生理的インタラクションを実現することで、超高齢社会が直面する課題を解決することを目指し、研究開発から社会実装に至るまで一貫して推進しています。
我が国の第5期科学技術基本計画においては、科学技術イノベーションが先導する新たな超スマート社会のコンセプトである「Society 5.0」(サイバー空間とフィジカル空間の融合により経済・社会的課題を解決し、人々が質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会)の推進が掲げられており、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの社会実装や、高齢者・障害者の安全・安心な生活に向けた支援ロボット等の研究開発、支援を必要とする方の自立促進及び看護・介護等サービスの効果的提供の支援技術の研究開発等が重点分野とされています。
当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使することにより、研究開発及び事業展開をさらに加速して進め、社会が直面する課題解決と経済サイクル確立の両立を図り、医療・介護福祉・生活分野における社会変革や産業変革によるサイバニクス革命を目指し、引き続き「Society5.0」の実現を牽引してまいります。
当第1四半期連結会計期間において、医療分野では、医療用HAL®(両脚モデル)は、2016年9月に神経筋難病疾患に対する公的な医療保険診療が開始されて以降、国内拠点病院を中心に導入が進んでおります。そして脳卒中への適用拡大に向けて、2016年9月より医療用HAL®(単脚モデル)の医療機器承認のための医師主導治験が継続して実施されております。また、革新的医療技術の普及に向けて、公的保険に加え民間保険と協働する取り組みとして、当社と業務提携契約を締結している大同生命保険株式会社は、2017年7月3日に、民間保険会社として世界で初めて、医療用HAL®による難病治療に対して、受療者の治療費用負担軽減のための新商品「HALプラス特約」の発売を開始しました。
欧州においては、既に医療機器認証を取得し、ドイツで治療サービス事業を展開しています。ドイツでは医療用HAL®を利用した治療に公的労災保険が適用されていますが、公的医療保険への適用拡大を目指し、各種手続きを進めております。また、ポーランドの医療機関において、2017年7月より医療用HAL®によるサイバニクス治療に対する民間の保険適用が開始しました。これは、医療用HAL®を導入している医療機関が、民間保険会社との間でサイバニクス治療の保険適用に関する契約を締結した初めての事例になります。
米国においては、当社は、2015年以降、米国食品医薬品局(FDA)に対して、医療用HAL®が、1)患者の歩行を補助する装具や繰り返し動作を患者に行わせるロボットではないこと、2)患者自身の機能改善・機能再生を目的とした革新的なサイバニクス治療のための医療機器であることについて、使用目的並びに技術的特徴や医学的治療効果を踏まえ、説明を継続してまいりました。2016年11月にFDAにPre-Submissionを提出して正式な協議を重ねてきた結果、2017年6月19日(米国時間)にFDAに対して医療用HAL®の市販承認申請書類を510(k)プロセス(クラスⅡ)に従って提出しました。
超軽量・コンパクトで肘・膝関節に対応したHAL®単関節タイプについては、医療機器化に向けた臨床研究を推進しております。手のひらサイズの動脈硬化度・心電計であるバイタルセンサーについては、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)と医療機器申請に向けた事前相談を行い、申請に向けた準備を進めております。
医療用HAL®は、神経筋難病疾患に対する公的な医療保険診療によって国内医療機関での導入が進む一方で、今後の適用拡大を目指して国内外での臨床試験を推進しており、2017年6月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて210台(内、国内レンタル54台)が稼働中です。引き続き、各地域に中核病院の拠点化を進めながら、順次、拡充していく予定です。また、HAL®単関節タイプも臨床研究を目的として日本国内での病院を中心に導入が進み、2017年6月末時点で220台が稼働中です。
介護福祉の分野においては、HAL®福祉用等の下肢タイプは、自立動作支援を目的として日本国内の福祉施設や病院等で運用され、2017年6月末時点で423台が稼働中です。また、介護離職に悩む介護施設での介助者の腰部負荷低減による労働環境改善を目的としたHAL®介護支援用(腰タイプ)は、2017年6月末時点で758台が稼働中です。
作業支援の分野においては、少子高齢化による労働人口の減少を背景に深刻な人手不足が発生している物流倉庫業や建設業や各種工場での、作業者の腰部負荷低減による労務環境改善を目的としたHAL®作業支援用(腰タイプ)は、2017年6月末時点において280台が稼働中です。今後は防水等の高機能化により利用範囲の大幅な拡大を見込んでおります。クリーニングロボット及び搬送ロボットは、2017年6月末時点において22台が稼働中ですが、今後は高機能化により大幅な拡大を見込んでおります。
また、当社は、超高齢化社会の課題解決のため、サイバニクス技術を中心とした超スマート社会「Society 5.0」の実現を目的として、独自の高い技術を持ったパートナー企業に対して、資本出資を含む事業連携や事業提携を推進しております。2017年5月15日に大手企業向けERPパッケージで国内リーディングカンパニーである株式会社ワークスアプリケーションズへの資本出資と業務提携を発表し、当社のサイバニクス技術による次世代システムの共同開発などを進めております。また、2017年6月15日には3D 触力覚技術を有するテクノロジーベンチャー企業であるミライセンス株式会社への資本出資と業務提携を発表し、VR(仮想現実)体感技術を組み込んだ様々な革新的デバイスの共同開発を進めるとともに、同社に対する各種事業支援を行ってまいります。さらに、2017年8月7日にSIMフリースマートフォンなどの各種情報通信機器の設計開発や製造において品質・スピード・コストに優れた競争力を有する株式会社コヴィアと、あらゆるヒトやものがインターネットでつながるIoH(Internet of Humans)/IoT(Internet of Things)に関する通信・デバイス事業を目的とした合弁会社「CYBERDYNE Omni Networks株式会社」の設立を発表しました。サイバニックデバイスから得られたヒトとモノの情報を収集するための小型組込通信デバイスの開発・販売、通信デバイスから得られる膨大なビッグデータをデータセンターに集めて解析し、最終的にデータをセキュアに一元管理するシステム及びサービスの構築・提供を一体的に展開してゆきます。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は主に医療用HAL®やHAL®介護支援用(腰タイプ)の導入台数の大幅な増加により353,176千円(前年同期比29.9%増加)を計上した結果、売上総利益は242,351千円(同33.8%増加)と増加しました。
研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及びJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)における「重介護ゼロ社会を実現する革新的サイバニックシステム」の受託研究事業の実施により198,915千円(同14.4%減少)を計上、その他の販売費及び一般管理費は主に外形標準課税制度の見直しに伴う法人事業税(資本割)等の租税公課の増加などにより353,580千円(同15.2%増加)を計上した結果、営業損失は48,099千円減少し、310,144千円を計上しました。
営業外収益は、受託研究収入などにより54,451千円(同62.3%減少)を計上する一方で、営業外費用は、前年の転換社債の権利行使による株式転換に伴う一時費用である株式交付費の減少により107,610千円減少し、1,414千円(同98.7%減少)を計上することにより、経常損失は65,727千円減少し、257,107千円を計上しました。
また、法人税等1,329千円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は258,436千円を計上しています。
(2)財政状態の分析
① 資産
当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて288,126千円減少し46,560,141千円となりました。これは、主として現金及び預金が1,459,435千円減少し、投資有価証券が1,204,058千円増加したことによるものです。
② 負債
当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて20,481千円減少し601,638千円となりました。これは、主として買掛金が73,277千円増加し、未払法人税等が97,887千円減少したことによるものです。
③ 純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて267,644千円減少し45,958,502千円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少によるものです。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は198,915千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。