四半期報告書-第14期第2四半期(平成29年7月1日-平成29年9月30日)

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2017/11/14 15:33
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26項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業績の状況
当社グループは、人・ロボット(機械)・情報系が融合複合したサイバニクス技術を駆使して、医療、介護福祉、生活(職場環境を含む)分野を対象として、人とロボット系と情報系を機能的につなぎ、物理的・情報的・生理的インタラクションを実現することで、超高齢社会が直面する課題を解決することを目指し、研究開発から社会実装に至るまで一貫して推進しています。
我が国の第5期科学技術基本計画においては、科学技術イノベーションが先導する新たな超スマート社会のコンセプトである「Society 5.0」(サイバー空間とフィジカル空間の融合により経済・社会的課題を解決し、人々が質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会)の推進が掲げられており、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの社会実装や、高齢者・障害者の安全・安心な生活に向けた支援ロボット等の研究開発、支援を必要とする方の自立促進及び看護・介護等サービスの効果的提供の支援技術の研究開発等が重点分野とされています。
当社グループは、革新的サイバニクス技術を駆使することにより、研究開発及び事業展開をさらに加速して進め、社会が直面する課題解決と経済サイクル確立の両立を図り、医療・介護福祉・生活分野における社会変革や産業変革によるサイバニクス革命を目指し、引き続き「Society5.0」の実現を牽引してまいります。
当第2四半期連結会計期間において、医療分野では、医療用HAL®下肢タイプ(両脚モデル)は、2016年9月に神経筋難病疾患に対する公的な医療保険診療が開始されて以降、国内拠点病院を中心に導入が進んでいます。そして脳卒中への適用拡大に向けて、2016年9月より医療用HAL®下肢タイプ(単脚モデル)の医療機器承認のための医師主導治験が継続して実施されています。
欧州においては、既に医療機器認証を取得し、ドイツで治療サービス事業を展開しています。ドイツでは医療用HAL®を利用した治療に公的労災保険が適用されていますが、公的医療保険への適用拡大を目指し、各種手続きを進めております。また、ポーランドの医療機関において、2017年7月より医療用HAL®によるサイバニクス治療に対する民間の保険適用が開始しました。
米国においては、2015年以降、米国食品医薬品局(FDA)に対して、医療用HAL®が、1)患者の歩行を補助する装具や繰り返し動作を患者に行わせるロボットではないこと、2)患者自身の機能改善・機能再生を目的とした革新的なサイバニクス治療のための医療機器であることについて、使用目的並びに技術的特徴や医学的治療効果を踏まえ、説明を継続してきた結果を踏まえ、2017年6月にFDAに対して医療用HAL®の市販承認申請書類を510(k)プロセス(クラスⅡ)に従って提出し、審査が進行中です。
そのほか、サウジアラビアでは、2017年8月にSFDA(サウジアラビア食品医薬品局)より医療用HAL®の製造販売承認を取得し、2017年10月に、当社のビジネスパートナーであるAbdul Latif Jameelグループの医療機関であるAbdul Latif Jameel Hospitalに医療用HAL®を出荷しました。医療用HAL®は、2017年9月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて226台(内、国内レンタル61台)が稼働中です。
超軽量・コンパクトで肘・膝関節に対応したHAL®単関節タイプについては、2017年10月に、脳卒中急性期の治療を目的として、京都大学医学部付属病院を研究開発代表機関とする医師主導治験が日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業として採択されました。今後、医師主導治験を経て、医療機器化を進めてまいります。HAL®単関節タイプは、臨床研究を目的として日本国内での病院を中心に導入されており、2017年9月末時点で226台が稼働中です。手のひらサイズの動脈硬化度・心電計であるバイタルセンサーについては、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)と医療機器申請に向けた事前相談を行い、医療機器化に向けた準備を進めております。
介護福祉の分野においては、HAL®福祉用等の下肢タイプは、自立動作支援を目的として日本国内の福祉施設や病院等で運用され、2017年9月末時点で411台が稼働中です。また、介護離職に悩む介護施設での介助者の腰部負荷低減による労働環境改善を目的としたHAL®腰タイプ介護支援用は、2017年9月末時点で785台が稼働中です。さらに当社は、2017年10月に、足腰の弱った方などの体幹・下肢機能の維持向上を目的とする新製品「HAL®腰タイプ 自立支援用」の発売を開始いたしました。本製品の導入により、介助なしでの立ち座りなど、介護される人の QOL(クオリティ オブ ライフ;生活の質)が向上することに加えて、介護する人の身体的負担が大きく軽減されることが期待され、今後の大幅な拡大を見込んでおります。
作業支援の分野においては、少子高齢化による労働人口の減少を背景に深刻な人手不足が発生している物流倉庫業や建設業や各種工場での、作業者の腰部負荷低減による労務環境改善を目的としたHAL®腰タイプ作業支援用は、2017年9月末時点において284台が稼働中です。2017年12月に防塵・防水対応の新モデル(LB03)を発売することにより雨天時や粉塵の多い建設現場などの屋外作業や、高湿の屋内作業など利用範囲の大幅な拡大を見込んでおります。クリーニングロボット及び搬送ロボットは、2017年9月末時点において23台が稼働中です。クリーニングロボットは高機能化新モデルの展開準備を進めております。
当社は、HAL®の普及に向けて、公的保険に加え民間保険会社との業務提携による協働の取り組みを進めております。大同生命保険株式会社は、2017年7月に、民間保険会社として世界で初めて、医療用HAL®による難病治療に対して、受療者の治療費用負担軽減のための新商品「HALプラス特約」の発売を開始しました。また、AIGジャパン・ホールディングス株式会社は、2017年10月に、社会貢献の一環として、脊髄に障害を持つ神奈川県内の小中高生50名を対象にHAL®を活用した歩行機能向上促進プログラムを無償で提供することを発表しました。さらに、当社は、損害保険ジャパン日本興亜株式会社と、2017年10月に、革新的サイバニクス技術とリスクファイナンスの融合による、健康で豊かな社会システムの構築を目的とした包括的業務連携に関する協定を締結しており介護分野を手始めに取り組んでまいります。
また、当社は、超高齢社会の課題解決のため、サイバニクス技術を活用した超スマート社会「Society 5.0」の実現を目的として、独自の高い技術を持ったパートナー企業に対して、資本出資や事業提携を推進しております。2017年8月に株式会社コヴィアと、あらゆるヒトやものがインターネットでつながるIoH(Internet of Humans)/IoT(Internet of Things)に関する通信・デバイス事業を目的とした合弁会社「CYBERDYNE Omni Networks株式会社」の設立を発表しました。また、2017年10月には、医療用の電子血圧計等の設計・開発・製造に関するノウハウと実績を多数有する株式会社志成データムへの資本出資と業務提携を発表しました。当社の開発するバイタルセンサーの更なる多機能化等、血管情報の測定管理を通じて脳卒中・心筋梗塞等の生活習慣病の予防ビジネスを強化・ 加速してまいります。
なお、川崎市殿町(キングスカイフロント)における革新的医療産業創出推進拠点については、2020年の東京オリンピック前の建設コスト増大を鑑みて、計画を再調整しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は主に医療用HAL®や、HAL®腰タイプ 介護支援用等のレンタル台数の増加により761,095千円(前年同期比26.7%増加)を計上した結果、売上総利益は525,481千円(同36.0%増加)と増加しました。
研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及びJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)における「重介護ゼロ社会を実現する革新的サイバニックシステム」の受託研究事業の実施により394,294千円(同7.9%減少)を計上、その他の販売費及び一般管理費は主に外形標準課税制度の見直しに伴う法人事業税(資本割)等の租税公課の増加などにより687,155千円(同5.3%増加)を計上した結果、営業損失は138,429千円改善し、555,968千円を計上しました。
営業外収益は、受託研究収入などにより122,458千円を計上する一方で、営業外費用は持分法による投資損失などにより6,629千円を計上することにより、経常損失は70,137千円改善し、440,138千円を計上しました。
また、法人税等2,659千円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は442,797千円を計上しています。
(2)財政状態の分析
① 資産
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて511,130千円減少し46,337,136千円となりました。これは、主として現金及び預金が2,183,705千円減少、及び、投資有価証券が1,208,202千円増加したことによるものです。
② 負債
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて63,314千円減少し558,805千円となりました。
③ 純資産
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて447,815千円減少し45,778,331千円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,483,705千円減少し10,892,027千円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、157,025千円の資金流出(前年同四半期累計期間は529,051千円の資金流入)となりました。これは主に、減価償却費を187,569千円計上したものの、たな卸資産増加による資金流出が68,727千円、売上債権の減少による資金流入が62,328千円、及び、税金等調整前四半期純損失440,138千円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,319,103千円の資金流出(前年同四半期累計期間は15,362,488千円の資金流入)となりました。これは主に、投資有価証券取得による支出1,199,940千円、有形固定資産取得による資金流出572,868千円、関係会社株式の取得による資金流出494,920千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、11,192千円の資金流出(前年同四半期累計期間は98,820千円の資金流出)となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は394,294千円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。