有価証券報告書-第11期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 11:26
【資料】
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【項目】
75項目

事業等のリスク

当社が事業を継続していく上で、リスクとして考えられる事項のうち、主なものは以下のとおりです。なお、文中において将来について記載した事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 住宅建築市場の悪化
断熱工事に対する需要は、マクロ経済指標である新設住宅着工件数の影響を受けます。これまで当社は新設住宅着工件数が伸び悩む中でも、積極的な営業展開、事業の範囲の拡大などで、業績を拡大してまいりました。今後においても、着実な成長を持続するために営業所の新設、施工能力の拡充、価格競争力の強化、建築物向け断熱施工の強化などの施策を実行していく所存ですが、金融危機の発生、消費税等の増税、金利の上昇などにより住宅建築市場が悪化した場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(2) 原材料の調達環境の悪化
当社の施工原料であるアクアフォーム®の主原料は石油製品であり、原油価格の上昇や円安により原料価格が高騰した場合、当社の原料調達価格が上昇する可能性があります。また、原料メーカーが当社以外の断熱施工会社に安価な原料を供給するようになった場合、当社の価格競争力が低下する可能性があります。加えて、何らかの理由により、内外の原料メーカーからの調達が困難になり、施工に使用する原料が不足するという状況に陥った場合、工期に遅延が生じる可能性があります。当社は、原料メーカーとの協力関係を強化し、安定購買の継続、国内における原料ストックヤードの整備着手によりこれらの事象が発生した場合でも影響を最小限度に抑えていく方針です。しかし、構造的な要因で長期にわたってこれらの事象が発生した場合には、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(3) 受注の伸びに対する施工体制の遅れ
当社は平成23年に自社施工を本格化しました。これは認定施工店のみでは、当面の受注拡大に対応が困難になると判断したためであります。その後、自社の工務社員数を積極的に増やし、国内全域にわたって施工に対応しうる体制を整えました。さらに、建築物分野事業の開始に伴い、工務社員の増強が急務となっています。当社は新規採用による工務社員数の増加を図っておりますが、何らかの理由で工務社員の新規採用が困難になった場合、または教育スケジュールに遅れが生じた場合、これを原因として受注機会を逸する可能性があり、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(4) 高性能断熱材市場への新規参入
アクアフォーム®は、硬質ウレタンフォーム以外の断熱材に比べ、相対的に高価格である一方、高い断熱性能を有しております。しかしながら、当社と同じ硬質ウレタンフォームを使用して性能等で優位性のある製品を供給する業者が現れた場合や、新しい素材を使用して優れた断熱性能を発揮する強力な断熱材が商品化された場合、当社の事業成長に悪影響が及ぶリスクがあります。
(5) 事故や瑕疵による当社に対する信頼感の低下
当社は、断熱施工会社としてその施工中の事故や施工の瑕疵に対して責任を負います。当社は作業の安全と施工品質の確保のため、自社の工務社員はいうまでもなく認定施工店に対しても研修と指導を行っております。また、新しい断熱材の原料を導入する際には、テストを繰り返して仕様を改良してから採用しています。しかしながら、自社または認定施工店で、施工者の不注意により重大な事故が発生した場合、工事や断熱原料に由来する瑕疵に対して重大なクレームが発生した場合は、当社に対する信頼感が低下し、当社業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(6) 売上の季節変動
断熱工事に対する売上計上基準は、完工基準により行います。また、当社の断熱工事は、住宅が完成する2,3か月前に行いますので、住宅の引渡しが多くなる年度末12月の2,3か月前より完工がピークとなり、その傾向は、第3四半期に増加し始め、第4四半期に集中する傾向があります。その結果、第1四半期及び第2四半期で売上が停滞し経費が過多になるため、損失が出るリスクがあります。
第10期事業年度(自 平成25年1月1日 至 平成25年12月31日)及び第11期事業年度(自 平成26年1月1日 至 平成26年12月31日)の各四半期における売上高を参考までに掲げると以下の通りです。
四半期ごとの売上高の推移
第1四半期
(1月~3月)
第2四半期
(4月~6月)
第3四半期
(7月~9月)
第4四半期
(10月~12月)
平成25年12月期(千円)1,855,2342,184,7702,561,0963,224,173
平成26年12月期(千円)3,000,5053,014,2653,169,6263,835,710

(7) 株式会社桧家ホールディングス及びその関係会社との関係
①資本的関係について
当社は、株式会社桧家ホールディングスの連結子会社であり、平成26年12月末現在、同社は当社発行済株式総数の50.68%を保有しております。同社グループは、11社の子会社並びに持分法非適用関連会社1社で構成されており(平成27年1月1日現在)、注文住宅の請負・販売、設計、施工及び監理を行う注文住宅事業、戸建分譲住宅の設計、施工、販売並びに土地の分譲及び仲介を行う不動産事業、保育・介護事業等を中心とした事業を営んでおります。平成21年2月の株式譲渡により当社は同社の子会社となり、以降、当社は同社グループにおいて断熱材事業を行っております。
②人的関係について
当社取締役7名のうち、株式会社桧家ホールディングス及びその子会社出身者は、常務取締役江川弘の1名であり、同社グループからの受入出向者はおりません。
③取引関係について
株式会社桧家ホールディングスの関係会社は、断熱材施工販売事業において当社の販売先の位置付けにあります。この取引にかかる価格をはじめとする取引条件は、他の取引先と同水準にて設定しております。
④経営の独立性について
上記のとおり、当社は株式会社桧家ホールディングスを親会社としつつも、取締役における同社出身者は1名であり、当社売上高に占める同社グループへの依存度は1割程度に留まることから、経営や取引における独立性は確保している状況にあります。しかしながら、今後も同社が当社の大株主であることは継続すると見込まれるため、同社の事業戦略やグループ管理方針等の変更がされた場合、当社の経営に影響を及ぼすリスクがあります。
(8) 特定人物への依存
当社代表取締役社長の中村文隆は、創業以来、豊富な業務知識とリーダーシップにより当社の営業を企画推進してまいりました。当社では、過度に特定の役員に依存しない経営管理体制の強化に努めておりますが、現時点において何らかの事情により同氏が業務を遂行できない事態となった場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(9) 訴訟等
本書提出日現在で、当社が関係する訴訟等は以下のとおりです。今後も事業遂行上、偶発的に発生する訴訟や訴訟に至らない請求等を受ける可能性があり、その場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
①当社は、平成25年1月16日、元従業員の2名及び彼らの勤務するフォーム断熱株式会社に対して、平成24年10月頃より準備していた不正競争防止法違反による総額12,245千円の損害賠償請求を名古屋地方裁判所に提訴しました。
②平成24年12月19日、①の元従業員2名を含む5名の元従業員より、長野一般労働組合(長野県松本市)に加入したので、団体交渉を申し入れる旨通知を受けました。当社はこれに応じて、平成25年1月17日に第1回の話し合いを実施し、合計5回にわたり話し合いを実施しました。相手側の要求は、過去2年間の残業代の支払い及び職務上の威圧行為に対する損害賠償その他でありますが、当社の認識とは大きく相違しております。当社は話し合いの場で当社の正当性を主張しておりますが、合意には至っておりません。
③平成25年10月30日、団体交渉の当事者である上記5名中3名の元従業員を原告とし当社を被告とした訴状を 横浜地方裁判所より受領しました。
訴状の内容につきましては、未払い残業代等の総額29,787千円の支払請求であり、団体交渉の内容と同様のものでありますので、今後、裁判の場で当社の正当性を主張して参ります。なお、5名中残り2名からの提訴はありません。
上記①、③の訴訟及び②の労働組合との話し合いとも継続中であり、今後の推移によっては当社の主張が認められず、当社に金銭その他の損害が発生するリスクがあります。
(10) 法的規制
当社は、建設業法、建築基準法、住宅の品質確保の推進等に関する法律、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、消防法、道路交通法、土壌汚染対策法等、多くの法令や規制のもとで事業活動を遂行しております。これらの法令等を遵守するため、役職員のコンプライアンス意識の強化に取り組んでおりますが、万一役職員の一部がこれらの法令等の遵守を怠った場合は、当社の社会的信用が失墜し、当社の経営に重大な悪影響が及ぶリスクがあります。また、当社にとって対応が困難な法的規制が新たに設けられた場合、当社の業績に悪影響が及ぶリスクがあります。
(11) 主要な事業活動の前提となる事項について
当社の主要な事業活動である熱絶縁工事業は建設業許可が必要な事業であり、当社では一般建設業許可(熱絶縁工事業)を取得しております。
建設業許可は、5年ごとの更新が義務付けられており、本書提出日現在の許可の有効期限は平成31年1月であります。また、建設業法第29条に建設業許可の取消し、第28条において業務停止等の処分の要件が規定されており、当該要件に抵触した場合には、許可の取消しまたは期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。
当社には、現時点において許可の取消しまたは業務の停止等の事由となる事実はないと認識しておりますが、当該許可の取消しまたは業務の停止等を命じられた場合には、社会的信頼の毀損や契約破棄等により当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。