有価証券報告書-第16期(平成28年11月1日-平成29年10月31日)

【提出】
2018/01/30 15:14
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【項目】
106項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用所得環境の改善等を背景に、個人消費が緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外におきましては、米国の金融政策や欧州の政治情勢等の不安感から、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループが関連する小売業界におきましては、賃金の伸び悩みや社会保険料の負担増加が可処分所得の重石となり、若年層を中心に消費性向の低下が持続し、消費トレンドは依然として節約志向が強い状態が継続しました。一方、当社グループが属するEC市場におきましては、宅配料金の値上げや宅配総量の規制等の不安もある中、国内・海外ともに個人消費者の購買状況は引き続き上昇傾向にあります。
このような状況の中、当社グループの主力事業であります「ECマーケティング事業」につきましては、継続的なビッグデータの収集とその分析を進め、マーケットニーズに沿った事業展開を推し進めてまいりました。EC店舗におきまして、平成29年10月31日時点における出店店舗数は合計で52店舗となりました。国内EC事業に関しては当社独自の戦略であるEC Platform Optimization(以下「EPO」といいます。)を推進・強化し、販売サイトのリニューアルや各種集客と売上拡大施策を展開し、引き続き増収傾向を維持しております。
海外におけるECマーケティング事業につきましては、平成27年11月より、クロスボーダー電子商取引(国を越えた電子商取引。以下「越境EC」といいます。) として、中国の「KJT.com」(中国(上海)自由貿易試験区正定路530号)に参画しておりますが、上海市政府と協業予定にあったCharoen Pokphand Group Company Limited(以下「CPグループ」といいます。)、伊藤忠商事株式会社、中国移動通信集団公司、中国中信集団有限公司各企業のKJT.com事業への参画が白紙になったことにより、KJTの集客施策が計画と乖離することとなり、想定していた売上高には至りませんでした。その後、上海市政府から香港の企業が事業を譲り受け、KJTは拡大を推進している状況となっております。当社は、このような状況ではありますが、保守的な処理としてKJTに在庫してあった全ての在庫について100%の評価減を実施することといたしました。なお、評価減した商品は翌期以降も販売を行い販売実績に応じて売上計上してまいります。
また、北京において、越境ECサイトとしてスタートした洋桃派については、現地運営企業がサイトをクローズしたことを受け、当社は資本参加予定であった北京移動納維信息科技服務有限公司(英語:MOBILE NAVI BEIJING CO.,LTD)への出資を中止いたしました。
商品企画関連事業につきましては、売上拡大を図るべく既存のラインナップに加え、新規の商材開発への投資を加速させてまいりました。当連結会計年度におきましては、新規の商材の売上が好調となり、売上高及び利益ともに順調に推移いたしました。
当社が事業投資を行っていたWEFT,Inc.社につきましては、投資時の事業計画と大きく乖離したことにより、全額を投資有価証券評価損として特別損失に計上しております。
また、在庫の評価減による損失につきましては、税務上は損金に算入されないことから、税金等調整前当期純利益が32百万円に対し、法人税等合計が37百万円と法人税の負担率が大きく増加しており、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナスとなっております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,632百万円と前年同期と比べ1,130百万円(17.4%)の増収となりましたが、KJT.comでの在庫の100%評価減に加え、配送単価の上昇に伴い、物流コストが増加し、営業利益は17百万円と前年同期と比べ65百万円(78.9%)の減益、経常利益は42百万円と前年同期と比べ24百万円(36.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純損失は5百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益45百万円)となりました。
セグメントの業績については、以下のとおりであります。
①ECマーケティング事業
ECマーケティング事業につきましては、前連結会計年度から引き続き、継続的に収集されるビッグデータの分析に基づき各種マーケティング施策を実施し、売上拡大に向けて積極的に取り組んでまいりました。各モールにおける取扱商品については、新規取引先との契約件数を増加させることで商品取扱数の選別を図りました。また、他社のECに関するサポート事業も積極的に受注するなど、引き続き好調に推移しております。
システム面では、当社が独自に開発したオペレーションシステム(GPMS:Generation Pass Management System)及びEPOを推進するためのビッグデータの収集及びその分析を行うシステム(MIS :Marketing Information System)の改善・実装を行う等、売上拡大及び利益改善に向けた基盤整備のための投資を進めてまいりました。
物流の面では、昨今の配送会社の人員不足に起因して、前回発表時に想定できなかった配送の総量規制が実施され、出荷準備は行えているものの、配送が行われないという事態が発生し、売上高の伸びが抑えられることとなりました。この結果、売上高につきましては、対予算比では不足することとなりました。また、物流コストにつきましては、前回発表時では昨今の上昇傾向を反映させた計画を組んでおりましたが、期初に想定していた以上に配送単価が上昇したことから、計画よりも増加することとなりました。
海外におけるECマーケティング事業につきましては、上述したとおり、KJT.comでの売上低下及び在庫の100%評価減に加え、洋桃派サイトのクローズによる影響で売上高及び営業利益ともに計画を大きく下回りました。
なお、当社グループは今後も拡大する越境EC事業は株主であるCPグループの協力のもと、積極的に継続していく方針に変更はありません。
以上の結果、売上高は6,424百万円と前年同期と比べ1,070百万円(20.0%)の増収となりましたが、KJT.comでの在庫の100%評価減に加え、配送単価の上昇に伴い、物流コストが増加し、セグメント利益は98百万円と前年同期と比べ60百万円(37.8%)の減益となりました。
②商品企画関連事業
商品企画関連事業につきましては、一部納期に変更があり、翌期以降に売上計上がずれ込んだものの、主要取引先からの受注が好調に推移し、ベトナム、カンボジア及びマレーシア工場における生産が順調な稼働状況となりました。また、新規取引先からの受注を獲得したことから、家具や雑貨等の輸入に関する売上及び利益が堅調に推移いたしました。新たな生産能力増強の基盤作りに向けての投資として、試作品の製造及び適切な人材の確保・育成につきましても引き続き資源を投下しております。
以上の結果、売上高は1,154百万円と前年同期と比べ49百万円(4.5%)の増収し、セグメント利益は125百万円と前年同期と比べ36百万円(40.7%)の増益となりました。
③アクトグループ事業
アクトグループ事業につきましては、当連結会計年度において、平成29年9月22日に株式を取得いたしましたアクトインテリア株式会社は、平成29年10月31日をみなし取得日としているため、貸借対照表のみを連結しております。これに伴い、アクトインテリア株式会社の子会社であるヤマセイ株式会社及び株式会社YARN HOMEも貸借対照表のみを連結しております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べて219百万円増加し、954百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は193百万円(前連結会計年度は251百万円の使用)となりました。これは主に、仕入債務の増加(90百万円)、未払金の増加(35百万円)、税金等調整前当期純利益(32百万円)、たな卸資産の減少(18百万円)、前渡金の減少(16百万円)があった一方で、売上債権の増加(16百万円)があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は13百万円(前連結会計年度は9百万円の使用)となりました。これは主に、貸付けによる支出(100百万円)、無形固定資産の取得による支出(13百万円)があった一方で、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入(128百万円)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は2百万円(前連結会計年度は2百万円の獲得)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出(2百万円)があったことによるものであります。