有価証券報告書-第13期(平成29年9月1日-平成30年8月31日)

【提出】
2018/11/28 15:56
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【項目】
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事業内容

当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下「当社グループ」)は、当社、連結子会社13社及び関連会社2社の計16社で構成されており、「新しい価値の概念を追求し、誠実に世の中に価値を提供する」ことを企業理念に掲げ、「すべてのソフトウェアにMade in Japanの品質を」を合言葉としてソフトウェアテストサービスを中心に展開しております。当社グループの事業内容は次のとおりであります。
ソフトウェアは通常、ユーザーにどのようなサービスを提供できるか、それを達成するために必要な仕様や機能を設計する要求定義・要件定義フェーズから、開発フェーズ、そして動作検証を行うテストフェーズを経てリリースされます。
そのうち、要求定義から開発まではコンサルティングファームや上流SIerによるアウトソーシングが一般的ですがテストフェーズは、標準化が図られておらず、また専門技術、知識が必要であるという認識も大変低いため、社内エンジニアを中心とした作業とするところが多く、国内ではアウトソーシングが進んでおりません。
このテストフェーズの市場規模は、主としてソフトウェア業を営む企業の売上高が14兆8,966億円(総務省及び経済産業省による「平成29年情報通信業基本調査」)あり、開発工程に占めるテスト工程の割合が約33%(IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)による「ソフトウェア開発データ白書2016-2017」)であることから、約5兆円と推定されます。
また、こうしたテストアウトソーシングマーケットは、エンタープライズ向けの受託開発・パッケージソフトウェアのテスト作業(エンタープライズ系)、組込みソフトウェアのテスト作業(エンベデット系)、そしてソーシャルゲームなどのゲームソフトウェアのテスト作業(エンターテインメント系)に分類できますが、とりわけエンタープライズ系は高度な業務知識や開発知識が必要とされるため参入障壁が高く、アウトソースがほとんど進んでいない状況と考えております。
加えて、エンタープライズ向けソフトウェアは、確実で安全に動作することが社会的に求められてきており、また、そのようなソフトウェアを選定していくことが重要な経営課題として位置づけられてきているため、高度なソフトウェアテストに関する専門知識を有する第三者による検証やアウトソーシングをすることが必須要件となりつつあります。
このように、発展的成長が見込まれる魅力的な市場に対し、当社グループは単なる人材リソースの提供にはとどまらず、独自の方法論に基づき標準化された高品質かつ費用対効果の高いテストアウトソースを実現するソリューションサービスから、そこで培ったノウハウや膨大なデータを基に行われる高付加価値のコンサルティングサービスまでを一貫して提供しております。
[当社グループのソフトウェアテストの特徴について]
当社グループが展開するソフトウェアテストサービスは、開発上流工程から提供するプロジェクトマネジメント支援、より円滑で不具合の出にくい開発の実現に向けたコンサルティングサービス、下流工程にて開発された製品に対して実施するテスト設計、テスト実行サービスなど開発工程のそれぞれのフェーズに対応するサービスを展開しております。
コンサルティングサービスは、当社設立以来の継続事業でありますが、2009年11月にソフトウェアテスト事業を開始し、安心安全なソフトウェア製品で満たされた社会の実現を目指し、それぞれのサービスが密接な連携を保ちながら、当社グループ事業を牽引しています。いずれのサービス領域においても、これまでの属人的に行われてきたソフトウェア開発工程を効率化・標準化することで新しい価値を創造し、顧客企業に「ソフトウェアにMade in Japanの品質を」を支援しています。
それらを支えるテスト実行業務を提供するテストエンジニアについては、独自に開発した検定制度である「CAT検定(※)」により、ソフトウェアテストの適性を評価しております。これによりソフトウェア開発経験の有無に関わらずソフトウェアテストの本質的な適性を評価でき、広く優秀な人材による高品質なテスト実行業務の提供が可能となっております。
また、テスト実行の生産性を評価するために、独自に開発したテスト支援ツール「CAT(※)(以下CATという)」を運用しており、テスト実行の進捗状況・問題工程がリアルタイムで可視化されるため、テスト実行時の問題発見を迅速に行うことが可能です。CATは、当社グループのバックグラウンドでもある製造業向けコンサルティングで培った「効率化」「可視化」「再現可能性」の工程管理手法を盛り込んだシステムになっており、属人性を減らし生産性の高いテスト業務を行うことを可能としております。

※CAT検定・・・当社グループが独自に開発したソフトウェアテスト適性を評価するための検定試験。ソフトウェアテスト管理者、設計者、実行者、ソーシャルゲームテスターの4区分での検定試験により適性を評価できる。
※CAT・・・高速で信頼性に優れ簡単に管理できるテスト設計、実行を支援する統合環境。テスト設計の支援ツールTD(Test Design)とテスト実行支援ツールTCM(Test Cycle Management)で構成される。
※自動テストのためのスクリプト・・・あらかじめテストを実施するステップを定義しておき、各ステップ実施による予期される結果を記載したもの。ソフトウェアの品質を保証するための文書化された証拠となる。
上記サービスを提供する各セグメントは以下の通りです。
① エンタープライズ市場
エンタープライズ市場とは、金融業、流通業、製造業、通信業、ウェブサービス業など大規模かつ社会基盤を支える企業における業務システムや情報システムにおいて、ソフトウェアの品質保証に関するサービス全般を提供するものであります。
既述の通り、ソフトウェアテスト工程をアウトソーシングする文化がない業界における挑戦のため、第三者による検証の重要性、コスト効果などのメリットに基づく啓発活動を実施しながら、獲得するトライアル案件での顧客期待を上回る成果を出すことにより、信頼を獲得し新たなニーズを創造してまいりました。
具体的には、顧客企業に対し、これまで培った開発業界における企業情報、開発、不具合情報をもとに、それぞれの事業会社の要求を満たすための製品・ベンダーの選出、ソフトウェアテストや品質保証の体制構築の支援、ソフトウェアテストに関する戦略、計画の策定支援、ソフトウェアテストの設計工程の受託などをしております。
システム開発計画段階から当社グループのコンサルタントが参画し、体制・計画・教育までを含めた組織的ソリューションを品質向上・テスト作業効率向上の観点から提案実行、安定した品質の作り込みを実現することで顧客企業の課題解決に貢献しております。
エンタープライズ領域における主なサービス提供例は以下のとおりです。
提供するサービスの例内容
テストCoE(※)サービス主に大手事業会社を中心に展開しているサービス。1社あたり複数の開発プロジェクトが進行している際、それぞれにおけるテスト業務部分を横串に切り出しリソース、情報の共有化を図ることにより、プロジェクト毎の品質レベルのバラつきなどを防ぎ、コストメリットの高い開発プロジェクトと高品質な製品リリースを支援しております。
PMO(※)サービス当社グループの品質保証ノウハウ・ナレッジを効果的に提供するため、PMOの立場として開発計画段階から、開発体制構築・テスト設計・テスト実行の方法論を計画し、開発工程の上流から下流までをトータルで支援しております。
テスト戦略立案支援サービス品質管理に課題を抱える顧客企業に対し、顧客企業の開発、テストに関する現況を調査し、ニーズにあわせた最適な品質保証体制を提案し、構築することを支援しております。また、テストの自動化を計画する企業に対し、テスト自動化の体制構築を支援することも行っております。

※テストCoE・・・テストCenter of Excellenceの略。
※PMO・・・プロジェクトマネジメントオフィス。企業内で、個々のプロジェクトのマネジメント支援を専門に行う部門。社内のプロジェクトマネジメント方式の標準化や研修などを通じての普及、実施中のプロジェクトの管理業務の支援、プロジェクト間の調整などを行う。
② エンターテインメント市場
エンターテインメント市場とは、モバイルゲーム、コンシューマーゲーム、アミューズメントゲームなどを中心とした娯楽を提供する企業向けに、品質保証に関するサービス全般を提供するものであります。
大手同業企業様が既に市場開拓されたレッドオーシャンではありますが、最後発である当社グループは、競合他社との明確な差別化を図り、2013年の業界参画以来、新規顧客数、新規タイトル数とそれに伴った売上高など毎年堅調に伸ばしております。
[事業系統図]
当社グループの事業系統図は、以下のとおりであります。