有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/01/06 15:01
【資料】
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【項目】
89項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。経営者は、債権、たな卸資産、投資、繰延税金資産等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われるさまざまな要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
第22期事業年度(自 平成25年7月1日 至 平成26年6月30日)
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は16億24百万円(前事業年度末比9.0%増加)となり、1億34百万円増加しました。これは主にたな卸資産が1億14百万円増加、売掛金が74百万円増加したこと等によるものです。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は14億87百万円(前事業年度末比2.0%減少)となり、29百万円減少しました。これは主に関係会社株式が4百万円減少、長期貸付金が34百万円減少したこと等によるものです。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は12億35百万円(前事業年度末比4.8%減少)となり、62百万円減少しました。これは主に支払手形が68百万円減少したこと等によるものです。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は10億30百万円(前事業年度末比10.5%減少)となり1億21百万円減少しました。これは主に長期借入金が1億78百万円減少した一方で、退職給付引当金が23百万円増加、役員退職慰労引当金が27百万円増加したこと等によるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は8億46百万円(前事業年度末比51.6%増加)となり2億88百万円増加しました。これは主に資本金が43百万円増加、その他利益剰余金が2億41百万円増加したこと等によるものです。
第23期第1四半期会計期間(自 平成26年7月1日 至 平成26年9月30日)
(資産)
当第1四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べ3百万円減少し、31億8百万円となりました。これは主として、新規出店に伴う建設協力金が37百万円増加した一方、商品在庫が52百万円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当第1四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末に比べ1億9百万円減少し、21億56百万円となりました。これは主として、長期借入金の返済により借入金が81百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第1四半期会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べ1億5百万円増加し、9億51百万円となりました。これは主として、四半期純利益の計上による利益剰余金が1億5百万円増加したこと等によるものであります。
(3)経営成績の分析
第22期事業年度(自 平成25年7月1日 至 平成26年6月30日)
(売上高)
当事業年度の売上高は52億29百万円(前事業年度比17.8%増加)となりました。
事業セグメントごとの内訳は、キーパー製品等関連事業が35億58百万円(前事業年度比16.9%増加)、キーパーLABO運営事業が16億70百万円(前事業年度比19.9%増加)となりました。キーパー製品等関連事業では、主力販売先であるキーパープロショップ登録店が、前事業年度末3,179店舗に対して当事業年度末には3,952店舗(24.3%増加)に増加し、キーパープロショップへの主力商品であるダイヤモンドキーパーケミカル、レジン2などKeePerブランドのボディガラスコーティングに関わる製品の販売本数の伸長(前事業年度比37.6%増加)により、当事業の売上高の増加に貢献いたしました。
一方、キーパーLABO運営事業においては、年間の来店客数が206,606人(前事業年度比15.1%増加)と伸長し、さらに主力商品であるクリスタルキーパーを21,686台施工(前事業年度比24.1%増加)、ダイヤモンドキーパーを5,876台施工(前事業年度比49.3%増加)と施工台数が増加しました。
また、加えて販売単価の上昇と新規出店2店舗の効果等により、当事業の売上高は増加することとなりました。
(売上総利益)
当事業年度の売上総利益は、35億74百万円(前事業年度比18.7%増加)となりました。
(営業利益)
当事業年度の営業利益は4億50百万円(前事業年度比36.5%増加)となりました。
これは、キーパー製品等関連事業においては、トレーニングセンターなどの当事業を支えるインフラがひと通り整ってきて、固定費用の増加が減り、販売費及び一般管理費などの増加分を売上総利益の増加が上回って営業利益の増加に結びついたものです。
また、キーパーLABO運営事業においては、クリスタルキーパー、ダイヤモンドキーパーなど高価格商品の伸びが著しく、平均単価の上昇と共に作業効率が上がり、人時生産性が5,287円/人時(前事業年度比4.1%増加)となり、人件費の上昇を吸収しました。また、既存店での減価償却費の減少と効率的な店舗運営に取り組んだ結果、営業利益の増加に結びついたものです。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は、営業外収益14百万円と営業外費用13百万円を考慮した結果、4億51百万円(前事業年度比48.0%増加)となりました。
(税引前当期純利益)
当事業年度の税引前当期純利益は、特別利益3百万円と特別損失3百万円を考慮した結果、4億50百万円(前事業年度比46.5%増加)となりました。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は、法人税等1億88百万円を計上したことにより、2億62百万円(前事業年度比49.0%増加)となりました。
第23期第1四半期累計期間(自 平成26年7月1日 至 平成26年9月30日)
当第1四半期累計期間における売上高は13億83百万円、売上総利益は9億46百万円、営業利益は1億99百万円、経常利益は1億97百万円、税引前四半期純利益は1億84百万円、四半期純利益は1億25百万円となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載しております。
(5)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
① 当社のビジネスパートナーについて
当社の顧客であるガソリンスタンドが属するカーアフターマーケット業界は、温暖化防止の流れの中で、電気自動車の普及や化石燃料販売減少により、今後減退が懸念される産業であります。当社のビジネスパートナーとしてのガソリンスタンドは、戦略的にパートナーとして適しているかとの懸念がありますが、ほとんどのガソリンスタンドは、立地条件と当社がビジネスとして必要とするインフラを備えております。また、ガソリンなど燃料油での収益が衰退していく流れの中で、当社のカーコーティングビジネスを採用して油外収益で経営的な補完を果たしている店舗が数多くあります。このような店舗は燃料マージンが低くなっても競争力が高く、業界内で勝ち残っていくと考えております。さらにキーパーコーティングの施工を専門とした店舗運営に移行する可能性もあり、すでにそのような意向を持つ店舗が複数店現れております。
② 若者の車離れや「車好き」の減少について
当社の経営戦略における企業ビジョンの中に「日本人独特の高い美的感覚に訴える高品質な洗車やカーコーティングなど、車の美的事業を日本国中に広げ、日本国中の車をより美しくする事でお客様に喜びを提供し、みんなと共に喜ぶ。車の美的事業に関わる日本国中の店舗を誇りを持って従事できる喜びの職場にし、日本独特の洗車文化を作り上げる。」とありますように、当社は日本人の車に対する美的感性の高さを事業のベースとしております。しかし、最近では若者が「車離れ」をして「車好きが減った」と言われるようになり、車をキレイにするこのビジネスの今後に不安があるのではないかという懸念があります。しかし、当社がターゲットとしているマーケットは「マニアック」な顧客ではなく、車を家族の共有の財産として「移動する家」として使うような人達であり、キーパーLABO店舗に来店する顧客もファミリー層が多く、むしろ増加傾向にあり、家族共有の場であれば「清潔に」「キレイに」は自然の流れであります。従いまして、当社企業ビジョンをビジネスの根拠としていくことに、現在も今後も問題はないと考えております。
③ 職場環境について
少子化が進む中で冷暖房のない屋外の職場で人員の確保ができるのか、あるいは継続するのか、そのような懸念があります。しかし、当社のキーパーLABO運営事業における各店舗の社員の離職率は低く、高い定着率を継続している実績があります。
企業ビジョンに「日本国中の車をより美しくする事でお客様に喜びを提供し、みんなと共に喜ぶ。」とあるように、当社のビジネスはお客様に直接「キレイになった」喜びをいただける仕事であり、それもプロの施工技術を伴った「キレイ」は、お客様の驚きとも言えるレベルの喜びをいただけます。
キーパーLABO店舗スタッフは「お客様が喜んでくれるのがすごく楽しい。やりがいがある。」と言います。これはきれい事のように聞こえますが、お客様の喜びを、自らの喜びとすることが出来る職場は若者にとっても魅力的な職場といえるのではないかと考えております。
なお、当社のキーパーLABO店舗におけるコーティングブースは、全店エアコン完備をしております。