有価証券報告書-第16期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/30 12:51
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事業内容

当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社、100%出資子会社の株式会社日本かきセンター及び株式会社中尾水産テクノロジーの3社で構成され、「牡蠣の新たな価値を創造し、画期的な未来を提供します」という企業理念の下で、牡蠣を主体とするレストラン(オイスターバー)を経営する直営店舗事業と、安全性の高い牡蠣の生産研究、産地の開拓、牡蠣の安定供給を目的として、牡蠣の卸売事業を展開しております。
当社グループは、直営店舗事業を通じて安全安心な牡蠣を提供しております。卸売事業においては、牡蠣を安全に提供するため、厚生労働省の定める保菌基準をさらに下回る当社グループ独自の基準を定め、この基準をクリアするため、独自の浄化工程を実施しております。この安全への取り組みは、当社グループだけでなく、牡蠣生産者のご理解、ご協力もいただくことで、より盤石なものとなり、安全かつ安心な牡蠣を消費者に提供することを可能としております。このような取り組みを行う当社グループが提供する安全安心な牡蠣を召し上がっていただくことで、古来より伝わる日本の伝統食材である牡蠣がより多くの人々に親しまれることを目指しております。
また、身入りが充実して加熱しても身が縮まず、死骸ロスが少ない高品質な牡蠣の生産を目的として、連結子会社である株式会社中尾水産テクノロジーで牡蠣種苗生産を開始するなど、当社グループは、牡蠣の生産から販売まで一気通貫で手掛ける体制の構築を目指しております。
(1) 直営店舗事業
当事業では、国内最大級のオイスターバーチェーンとして、東京を中心とした首都圏の百貨店や商業施設を軸に「ガンボ&オイスターバー」をはじめとする複数の当社ブランドによる飲食店舗の運営を行っております。
オイスターバーは、牡蠣を生で食するスタイルが中心となっております。そのため、当社の直営店舗では、海域の特性により産地毎、季節毎で風味や味わいが違うという特性を生かし、複数産地の生牡蠣を盛り合わせた「オイスタープレート」をメインとして提供しております。また、外食の非日常性という点から、焼き・蒸し等の方法により普段家庭では経験し難い新しい牡蠣の食し方の提案を行っており、外食ならではの体験ができる場としてお客様にご利用頂けるよう、こだわりを持ったメニュー、空間演出を心掛けた店舗展開を行っております。
また、当事業では、顧客の再来店(リピート率の向上)を促す施策として、オイスター・ピース・クラブという会員制度を導入しております。同クラブは、平成19年2月に制度を発足して以来、入会数を順調に伸ばし、平成24年11月に会員数は20万人を突破し、平成26年9月に30万人を突破いたしました。平成28年4月からはアプリも導入し、会員数増加を加速化しております。
平成26年8月からは、富山県下新川郡入善町において、その清浄性に着目して海洋深層水(注1)を利用した第2浄化センターを稼動しております。直営店舗では、この自然の力を利用して浄化された牡蠣を「Organic Refined Oyster(略称:ORO)(注2)」として売り出し、ブランディングを強化しております。
上記の施策を実施する直営店として、平成28年3月31日現在、東北地区(宮城)1店舗、北陸地区(富山)1店舗関東地区(東京、神奈川、千葉、茨城)21店舗、中部地区(名古屋)1店舗、関西地区(大阪、神戸)5店舗、九州地区(福岡)2店舗の計31店舗を立地、顧客特性に応じてブランドを分けて展開しております。
(注) 1.海洋深層水とは、深度200メートル以深の海水であります。生活排水が流入しないこと及び太陽光が届かず光合成が行われないため植物プランクトンが活動を休止すること等から、雑菌が表層水の1,000分の1以下という清浄性を有します。
2.Organicとは、その語源より、牡蠣「本来の力」を意図しております。
ブランド毎の特徴は以下のとおりであります。
ブランド名特 徴店舗数
ガンボ&オイスターバーガンボと牡蠣の融合を提案するレストラン。
「ガンボ」とは、アメリカ南部のルイジアナ州ミシシッピ川周辺の郷土料理であるケイジャン料理を代表するもので、魚介類と香味野菜を数種類のスパイスで煮込んだ料理のことです。ルイジアナ州のニューオリンズでは、このケイジャン料理と牡蠣を楽しむ「オイスターバー」が有名であり、この食文化を日本に提案した当社基幹ブランドとなるブランドであります。
12店舗
シュリンプ&オイスターバーエビと牡蠣の融合を提案するレストラン。
牡蠣が少し苦手なお客様でもオイスターバーには行ってみたいというニーズに応え、ワインに合う代表的なシーフードであるエビ料理を提供することで客層の幅を拡げることを狙ったブランドであります。
1店舗
フィッシュ&オイスターバー魚料理と牡蠣の融合を提案するレストラン。
牡蠣が少し苦手なお客様でもオイスターバーには行ってみたいというニーズに応え、旬の新鮮な魚介類をテーマに料理を提供するブランドであります。
2店舗
オイスタールーム「ガンボ&オイスターバー」のアップグレード型レストラン。
ガンボ&オイスターバーよりも店舗規模は広くゆったりとした空間と時間を提供することで落ち着いた大人のお客様のニーズに応えられるブランドであります。
2店舗
シュリンプ&オイスターハウス「シュリンプ&オイスターバー」のアップグレード型レストラン。
魚介を中心とした食材にこだわった、ちょっと贅沢なシーフードブランドであります。
1店舗
オイスターテーブル幅広い年齢層をターゲットとした路面型のカジュアルレストラン。
牡蠣以外のシーフードは勿論、お酒に合うメニューの幅を広げたシーフードブランドであります。
3店舗
キンカウーカ
グリル&オイスターバー
リゾートスタイルのテーマ型レストラン。
店名である「キンカウーカ」とは豪州の先住民であるアボリジニーの言葉で「綺麗な水」を意味しております。心地よいテラス席が特徴的であり、グリル料理やバーベキュー料理も提供し、夏季はビアガーデンスタイルにもなるシーフードブランドであります。
1店舗
ステーションオイスターバー主要ターミナル駅の駅ビル、駅隣接地に出店エリアを特化したレストラン。
「ガンボ&オイスターバー」のスタイルを踏襲して客層・価格帯も同じ展開の別ブランドであります。
2店舗
ザ・カーブ・ド・オイスター和テイストを取り入れたオイスターレストラン。
我が国に古来より根付いた牡蠣という食材を和テイストの創作料理でメニュー構成しております。また、ゆっくりと寛げる空間づくりから、気軽に利用できるワインサービングシステム(自動購入機)など幅広い客層を取り込めるブランドであります。
1店舗
キンカウーカ
スペシャリティオイスター
「ガンボ&オイスターバー」と基本メニューは揃え、牡蠣の浄化に用いている海洋深層水の清浄性を強くアピールするため、アボリジニーの言葉で「綺麗な水」を意味するキンカウーカを冠にしたブランドであります。2店舗

ブランド名特 徴店舗数
ラ・テラス一年を通して四季ごとに、イタリアン、スパニッシュ、ビストロなどテーマが変わるテラスレストランであります。1店舗
入善牡蠣ノ星レストランと加工浄化センターを併設した形のヴィレッジ業態。
海洋深層水で浄化したての「きときとの牡蠣」と地元の海の幸、畑の幸を素材のおいしさそのままにお召し上がりできる地元密着型のブランドであります。
1店舗
ルーフガーデンオイスターバー「カフェ」感覚の「オイスターバー」として、ハレノヒではなく気軽に牡蠣を楽しむ日常使いの店としてご利用いただきたく開発し他ブランドであります。1店舗
ザ・スチーム
シーフードポット&オイスター
「スチーム」は油を使わないためヘルシーで、しかも栄養の損失が少なく素材本来の良さをそのまま生かすことを目的としたレストラン。
「魚介を愉しく味わう!」をコンセプトに、鮮魚や貝類をメインにしながら野菜なども加え、食材の旬の時期に体に優しい調理法でお楽しみいただけるブランドであります。
1店舗

(注)平成28年3月31日現在の店舗数を記載しております。
(2) 卸売事業
平成18年末から平成19年初めにかけてノロウィルスによる食中毒報道が数多く取り沙汰され、また、その原因の多くが牡蠣であるかのような報道もあり、この風評被害の影響は甚大でありました。そこで、当社グループでは安全と安心は自社で確立するものと考え、自社で安全に対するトレーサビリティを確立するため、牡蠣の安全管理・集荷・出荷の施設である、株式会社日本かきセンターを平成19年9月広島県呉市に設立しました。
当事業では、自社で安全性を確保するために確立した浄化・検査体制を整えるとともに、直営店舗事業における牡蠣消費量を背景とした集中購買を全国各地の牡蠣生産者から実施しております。これらの取り組みにより、安全、高品質かつ低価格の牡蠣を直営店舗に提供するとともに、グループ外の飲食店舗に対して卸売しております。
当事業の特徴として以下の点があげられます。
① 安全性確保のための検査体制
当事業で取り扱う牡蠣は、幾重ものチェック工程を経て、はじめて流通ルートに乗っております。具体的には、以下の施策を実施しております。
a.産地段階での一次検査
生食用の牡蠣として厚生労働省が指定している保菌基準を下回る牡蠣のみを仕入れております。
b.当社グループ集荷施設での浄化
当社グループでは、紫外線で殺菌した海水を用いた浄化施設及び海洋深層水を利用した浄化施設を保有しております。これらの施設では、ほぼ無菌の海水で満たされた水槽内で牡蠣を蓄養し、牡蠣自体の生態活動の結果により、厚生労働省の指定する基準よりも厳しく規定している自社基準をクリアする生食用の牡蠣に仕上げております。
c.当社グループ二次検査
出荷前にa.の一次検査の基準である厚生労働省が指定している保菌基準を下回る基準として当社グループが定めた基準により再検査を行っております。厚生労働省の指定する基準と当社グループの定める自社基準との差は以下のとおりとなっております。
(厚生労働省の指定する基準との比較)
検査項目厚生労働省基準自社基準
一般細菌数50,000/g 以下15,000/g 以下
大腸菌群(E.coli)230/100g 以下130/100g 以下
腸炎ビブリオ100/g 以下10/g 以下
ノロウィルス(注1)10コピー未満(陰性)(注2)UD(Undetermined)検出されず

(出所:食品、添加物等の規格基準 (昭和34年厚生省告示第370号))
(注) 1.ノロウィルスは、食品衛生法で定められていない自主検査です。厚生労働省のガイドラインでは、10コピー未満が陰性、10コピー以上が陽性です。
2.コピーとは、ノロウィルス量の単位であります。
当社グループの提供する牡蠣は、これらの浄化、検査工程における基準を全て通過したうえで出荷されております。
また、海域の細菌やウィルス状況を監視するため、産地毎の降雨量、海水温度などを毎日収集して、当社グループが長年培ったノウハウにより、これらを分析してリスク回避と事前のアラームで警告する体制を整えております。
② 飲食店舗への卸売販売
牡蠣メニューを提供している全国の飲食店舗に、直営店舗事業との競合環境を踏まえて原則として出荷制限を設けることなく高品質の牡蠣を積極的に卸売しております。
③ 品質向上に関する開発技術
ノロウィルスに代表されるウィルスに汚染されない牡蠣の生産技術を開発するべく、東京大学と共同で牡蠣の陸上養殖技術の開発に向けた研究に取り組んでおります。
④ 種苗生産に関する取り組み
安全な牡蠣を提供する原点である牡蠣の種を人工的に作る種苗生産にも取り組んでおります。自然環境に影響されず人工的環境下で品質コントロールされた種により、身入りが充実して加熱しても身が縮まず、死骸ロスも少ない高品質の牡蠣を生産すること及び生産が自然環境に左右されやすい天然の岩牡蠣を安定的に提供することを目指して取り組んでおります。
[平成28年3月31日までの事業系統図]

平成28年4月1日より、会社分割の方式で持株会社体制に移行し、当社は株式会社ゼネラル・オイスターに商号変更を行っております。株式会社日本かきセンターは、株式会社海洋深層水かきセンターへ商号変更を行い、新設子会社に卸売事業を事業譲渡しております。また株式会社中尾水産テクノロジーは、株式会社ジーオーシードへ商号変更を行っております。持株会社体制移行後の連結子会社の概要及び事業系統図は、次のとおりであります。
事業の内容会社名
直営店舗事業
新規業態店舗事業
卸売事業
富山入善ヴィレッジ事業
加工事業及び岩手大槌ヴィレッジ事業
陸上養殖事業
種苗及び海面養殖事業
株式会社ヒューマンウェブ
株式会社ジーオー・ストア
株式会社日本かきセンター
株式会社海洋深層水かきセンター
株式会社ゼネラル・オイスター・ヴィレッジ
株式会社ジーオー・ファーム
株式会社ジーオーシード

[平成28年4月1日からの事業系統図]