訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2015/06/05 10:22
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研究開発活動

第4期連結会計年度(自 平成26年1月1日 至 平成26年12月31日)
当社は創業以来、世界初のiPS細胞由来細胞の臨床応用に向け、これまで研究開発活動を行って参りました。
iPS細胞とは、皮膚等の体細胞にいくつかの遺伝子を導入することによって作り出された、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力(多能性)と、ほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持ち合わせた人工多能性幹細胞であり、平成18年に京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功いたしました。
当社では、このiPS細胞をRPE細胞に分化誘導するとともに、RPE細胞の懸濁液又はシートをiPSC再生医薬品として作製して罹患者に移植することにより加齢黄斑変性、網膜色素変性等の十分な治療法が確立されていない失明疾患の治療を可能にするという最先端の再生医療の実用化研究に関する研究開発活動を中心に実施しております。加えて、今後については、RPE細胞以外の領域についても基礎研究を進めていく方針としております。
また、当社は、平成25年12月20日付でアキュメンからBBG250を含有する眼科手術補助剤に関する事業を譲り受けており、今後化合物医薬品分野についても研究開発活動を進めていく方針であります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、327,060千円であります。なお、当該費用は、国内におけるRPE細胞製品の共同開発先である大日本住友製薬による開発費用の負担分を控除した後の金額になります。
(1)化合物医薬品分野
当連結会計年度においては、わかもと製薬に対してサブライセンスの付与を行っているHLM0021について製造販売承認に向けた取組みが進捗いたしました。
なお、HLM0021について製造販売承認を受けるためには、(i)国内で欧州での製剤(HLM0022)を用いて第Ⅲ相試験を実施することは問題がない、(ii)承認申請の原薬及び製剤については医薬品GMPに基づくこと、 (iii)医薬品GMPに基づき製造された申請用製剤及び原薬の品質がHLM0022の品質と同様であることについての適切な説明を申請資料中に記載することの3つの条件を満たすことが必要と考えられますが、当社は、このうち、医薬品GMPに基づく新たな原薬の製造体制の確立に向けての検討を行っております。また、製剤に関しましても、前述の原薬を用いて、HLM0022を製造している受託製造会社において製剤の作製の準備を行っております。
また、HLM0022の製剤を用いて、九州大学医学部眼科学教室の石橋達朗教授により硝子体手術における内境界膜剥離の適応症で第Ⅲ相試験(医師主導治験)が完了しております。なお、かかる試験の成績は、平成26年10月に最終報告書として取りまとめられています。
(2)iPSC再生医薬品分野
① iPS細胞由来のRPE細胞による加齢黄斑変性治療
当連結会計年度においては、世界初のiPSC再生医薬品となるRPE細胞の研究開発が治験への準備段階に進みました。国内研究面では、iPSC再生医薬品としてのRPE細胞の安定性・有効性を追求するため、製造方法の最適化を行い、基本プロトコールはほぼ確定いたしました。品質管理試験ではRPE細胞の機能を評価するための新たな試験方法が構築され、RPE細胞の更なる品質向上のために活用されています。この成果をもとに、細胞の工場であるCPC内での製造方法の検討段階へ進みました。CPC(細胞培養センター:Cell Processing Centerの略)内では、治験での使用を目的とした無菌のRPE細胞を製造するために、アイソレーター(無菌環境保持装置)を用いて外部環境から隔離された無菌状態が維持可能な環境下で細胞培養を行います。
次にRPE細胞の安全性と有効性の検討として、動物試験を進めました。安全性では、移植されたRPE細胞の生体内の造腫瘍性試験及び移植部位ではない他臓器への分布を確認する試験を行い、いずれの試験においても製品の安全性を担保する良好な結果が得られています。有効性では、細胞保護効果のある添加物を懸濁液に混合し、有効性の向上を検討する動物試験を開始しました。同時に、RPE細胞の移植を行う病院での使用を想定した検討も進みました。CPCからの出荷を想定した細胞懸濁液の冷凍保存及び病院での使用を想定した懸濁液の輸送方法、解凍方法ならびに移植に使用する機材等の検討を継続して行いました。
このように、当社では、世界初の治験に向けて、有効で安全なiPSC再生医薬品の開発のために、これからも包括的な研究開発を国内外で進めてまいります。
② iPS細胞由来のRPE細胞の自動培養研究
自動培養装置の開発にあたっては、動作の基準となる人の培養操作を確定する必要があります。当連結会計年度はアイソレーターを用いたRPE細胞の製造について、培養操作の検討を行いアイソレーター用の作業手順書を作成しました。また、平成26年度経済産業省委託事業においてアイソレーターの運用を実施し、作成した作業手順書に沿って作業をすることでRPE細胞が製造できることを実証しました。また、CPCでの試験製造立ち上げにおいて培養操作、資材搬入操作、購買管理などに対してノウハウを蓄積いたしました。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
第5期第1四半期累計期間(自 平成27年1月1日 至 平成27年3月31日)
当第1四半期累計期間においては、開発人員の増強を行い、開発体制の強化を推進したほか、以下のとおり、化合物医薬品分野及びiPSC再生医薬品分野について、研究開発を推進いたしました。
当第1四半期累計期間における研究開発費の総額は、117,069千円であります。なお、当該費用は、国内におけるRPE細胞製品の共同開発先である大日本住友製薬による開発費用の負担分を控除した後の金額になります。
(1)化合物医薬品分野
当第1四半期累計期間においては、欧州で販売されている眼科手術補助剤(HLM0022)の日本での製造販売承認(HLM0021)に向けた取組みを進めました。具体的には、HLM0021の原薬については、医薬品GMPに対応した技術開発を終え、安定性試験に向けた原薬の製造を開始しました。また、HLM0021の製剤についても、HLM0022を製造している欧州の受託製造会社において製造する体制を構築するための検討を進めました。
(2)iPSC再生医薬品分野
当第1四半期累計期間においては、iPS細胞由来のRPE細胞を用いた治験への準備が国内外で進捗しました。
国内においては、iPSC再生医薬品としてのRPE細胞の安定性・有効性を追求するため、当社の神戸研究所において製造方法の最適化作業を行ってきましたが、その基本プロトコールはほぼ確定したことからCPCへ技術移管を開始しています。また、RPE細胞の有効性の向上を目的に細胞保護効果のある添加物を懸濁液に混合した試験は動物試験において良好な結果が得られております。同時に、RPE細胞の移植を行う病院での使用を想定した開発も進んでおります。具体的には、CPCからの出荷を想定した細胞懸濁液の冷凍保存及び輸送方法、解凍方法の検討を継続して行いました。
また、海外においては、海外での治験に用いるRPE細胞の受託製造会社に対して、当社が国内で確立したiPS細胞をRPE細胞へと分化誘導する技術の移管を進めています。
なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。