有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/10/23 15:00
【資料】
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【項目】
90項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因となり得る主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1) インターネット技術分野における技術革新について
当社の製品・サービス群はインターネット技術を基盤にしておりますが、インターネット関連技術は技術革新の進捗が早く、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが急速に変化し、関連製品やサービスが逐次生み出されております。当社も技術革新及び顧客ニーズの変化に対応すべく、積極的に最新の情報の収集、技術の蓄積及びそれらの技術を使用した製品・サービスの開発に取り組んでおります。しかしながら、当社の対応力を上回る急激な技術革新が生じた場合、当社製品やサービスの陳腐化や競争力の低下を引き起こし、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) システムダウン及び情報セキュリティに係るリスクについて
当社がクラウドで提供しているソフトウェアは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。従って、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、クラウドサービスの提供が不可能となります。また、予想外の急激なアクセス増加による一時的な過負荷によるサーバーダウンや、当社や取引先のハードウェアやソフトウェアの不具合等により、当社のクラウドサービスが停止する可能性があります。このようなシステム障害等が発生し、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生した場合には、当社の業績の低下につながる可能性があります。また、コンピューターウィルスの混入や外部からの不正な手段によるサーバー内への侵入による顧客情報等の漏洩、役職員の過誤等による重要なデータの消去等の可能性があり、このような事態が発生した場合には、当社に直接的・間接的な損害が発生する可能性があるほか、当社クラウドサービスへの信用が失墜し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社内で取り扱う顧客情報等の管理につきましては、顧客情報の取り扱い部門において情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得し、その取り扱いには留意しておりますが、当該情報の漏洩等が発生した場合には、当社の信用が失墜し、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 国内グループウェア市場について
多額の初期投資負担や自社でのサーバー構築の困難性などから、国内企業の99.7%を占める中小企業(「中小企業白書2014 附属統計資料」)が、従来は利用したくても利用できなかった製品をクラウドサービスという新たな形で利用を拡大していくことが予測されることなどから、当社では、今後も国内グループウェア市場は拡大すると予測しております。しかしながら、上記の予想通りに国内グループウェア市場が拡大しなかった場合には、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4) グループウェア製品への高い依存度について
当社の主力製品である「desknet's」は、有力なグループウェアとして発売以来多くのユーザーの支持を得ております。また、グループウェア市場は、今後の有望な成長分野であることから、当社としては引き続き販売に注力していく予定であります。仕事の効率化に対する要望は強く、企業における主要なコミュニケーションの仕組みとして、今後も引き続きグループウェア製品の市場は順調に拡大すると思われますが、グループウェアに代替する仕組みが登場する等の何らかの理由により、グループウェアの必要性が低下した場合、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
(5) 競合について
当社が属しますグループウェア市場は、パッケージやクラウドともにユーザー当たりの価格単価が低下する傾向にあります。こうした傾向を受け、国内大手ソフトウェアベンダの中には自社開発製品の継続開発を停止している企業も出ており、競合他社も実勢価格での低価格な営業活動を行っております。また、今後、当市場に更なる低価格や無償での提供を行う新規参入する企業も予想されます。
当社の製品・サービスについては、同業他社と比較して機能、性能、価格面等で優位性を有していると判断しておりますが、当社と比較して企業規模の大きい企業が豊富な資本力を背景に更なる低価格や無料提供で本格的に市場に参入してきた場合は、当社製品・サービスの競争優位性が低下し、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
(6) 業績の変動要因について
当社は、競合他社との差別化を図るために、新製品及びバージョンアップ製品等への開発投資を常に行い、開発した製品等を随時市場に投入しております。当社は投入した新製品等のソフトウェアに係る減価償却を比較的短期間にて実施する方針をとっておりますので、それらを市場に投入する時期によっては、四半期決算の減価償却費が増加又は減少し、当該四半期の収益が大幅に変動する可能性がありますが、当該四半期決算の経営成績だけをもって、当社の当該事業年度又は次期事業年度の経営成績を見通すことは困難である点には留意する必要があります。
(7) 特定のデータセンター業者への依存について
当社が提供するクラウドサービスのサービス基盤としては、安全性、安定性、価格を総合的に勘案し、株式会社ビットアイルの提供する「ビットアイルクラウド」を中心に利用しております。当社は株式会社ビットアイルの提供する「ビットアイルクラウド」のサービスパートナーに認定されており、同社とは良好な関係を構築しておりますが、今後、大規模自然災害の発生等の理由により株式会社ビットアイルがサービスを継続できなくなった場合や当社へのサービス提供を中止した場合には、アマゾンウェブサービス(AWS)をはじめとする他のサービス基盤も利用できる体制を構築しているものの、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
(8) 知的財産権について
当社はソフトウェア業界に属しており、知的財産権の保護については重要な課題であると認識しております。ただし、製品の開発過程等において意図しない形で、第三者の知的財産権等を侵害する可能性があります。そうした事態が生じた場合、当該第三者より損害賠償の訴訟等が提起され、不測の損害が生じる可能性があります。
(9) 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長齋藤晶議(戸籍名:齊藤章浩)は、創業以来の当社の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しております。
こうした属人的な経営体制を改めるために、権限の委譲や業務分掌に取り組んだ結果、事業展開における当人への依存度は低下しつつありますが、今後不慮の事故等何らかの理由により当人が当社の事業展開に関与することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に悪影響を与える可能性があります。
(10)小規模組織であることについて
当社は、現在従業員数が78名(平成27年9月末現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)技術者の人材確保と育成について
当社は、継続的に技術者の新卒採用を行い技術者の育成に努めております。しかしながら、学生の理系離れや団塊世代の退職による採用需要の高まりにより、新卒採用で優秀な人材を適切に確保することの困難性が高まっております。今後一層、新卒採用に注力してまいりますが、人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合には、当社の事業展開に支障が生じ、当社の事業成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的規制について
現時点で、今後の当社の事業そのものを規制する法的規制はないと認識しておりますが、インターネット業界の変革は激しく、状況に応じては、今後新たな法令等の整備が行われる可能性があり、その内容によっては、当社の経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(13)保有有価証券における価格下落のリスクについて
当社は、資産運用上の効率性に着目し、余剰資金の一部を市場で流通している債券(社債)で運用しております。余剰資金の運用にあたっては、安全性の高いものを選択しておりますが、急激な市場金利や為替の変動、発行主体の急激な業績悪化等により、保有する有価証券の市場価額が著しく下落した場合、減損が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本提出日現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は100,600株であり、発行済株式総数1,041,000株の9.7%に相当しております。
(15)資金使途について
当社の公募増資(自己株式の処分)による調達資金の使途については、新製品・サービスの研究開発及び市場販売目的のソフトウェアの制作費用等に充当する予定であります。しかしながら、外部環境等の影響により、目論見通りに事業計画が進展せず、調達資金が上記の予定通りに使用されない可能性があります。また、予定通りに使用された場合でも、想定通りの効果を上げることができず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。