訂正有価証券報告書-第28期(平成27年3月1日-平成28年2月29日)

【提出】
2016/06/30 9:27
【資料】
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【項目】
124項目

研究開発活動

当社グループは、地球環境保全を経営の重要課題と位置付けており、資源の再利用化(リサイクル)及び廃棄物の減容化を目指しております。プラスチックの中でも特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で資源を循環させることを目指し、食品関連製品の基材開発だけでなく、工業・医療の分野も視野に入れ、広範囲にわたる顧客ニーズに応えたPET製品を提供するための研究開発を進めております。
当連結会計年度の研究開発は当社の開発営業部においてリサイクル技術や製品に付加価値をもたせることができる基材の開発を行っており、研究開発スタッフは9名です。
当連結会計年度における研究開発費は、62,223千円であり、研究開発活動については次のとおりであります。
なお、当社グループは、印刷関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
(1)薄肉剛性容器の開発
パッケージング業界はコストダウンという大きなニーズとともに廃棄物の減容も重要な課題であります。廃棄物を減らすために、PETの分子配向による結晶化技術を応用し、剛性を強化することで材料のシートを薄くし、軽量化した容器の開発を行っております。
PETの成型容器は材料のシートを熱板成型や真空成型することで容器になります。従来の技術ではPETの薄いシートがなく、食品包材分野でも薄い容器はポリスチレン(PS)の市場になっておりました。従来のPETの軽量化とともにPS容器の代替としての拡販も進めております。
(2)透明耐熱PET容器の開発
PETの分子配向による結晶化技術、ブレンド技術と成型などの加工技術を応用し、透明耐熱PET容器の連続成型用シートの開発及び加工技術の開発を行っております。
透明容器の分野ではポリプロピレン(PP)、PS、PETが主流でありますが、従来のPETは耐熱性に乏しく、用途が限定されておりました。透明PETで耐熱性が必要である電子レンジ対応容器などの食品分野やメディカル分野への採用を進めております。
(3)NC-PET(超高耐熱PET容器)の開発
PETの改質技術、ブレンド技術と成型などの加工技術を応用し、超高耐熱(190℃以上)のPET容器の開発を行っております。食品包材分野ではコストダウンが重要であるためブレンドする原料を見直し、コストダウンに繋がる技術開発も行っております。
PPやPSのプラスチック容器では、グラタンなどオーブンで調理すると融点を超えるため、ほとんどは紙容器が採用されております。しかしながら、紙容器では形状に制限があることから、オーブンにも対応ができる安価な高耐熱プラスチック容器を開発することでその市場での競争力強化を進めております。
(4)HS-PET(ヒートシールPET)の改良・開発
プラスチックの袋のほとんどはヒートシールで加工されております。ヒートシールが可能なプラスチックとしてポリエチレン(PE)やPPが採用されておりますが、PETの改質技術や加工技術を応用し、ヒートシールが可能なPETの開発を行っております。
PE、PPの袋に油物(たとえば唐揚げなど)を入れて電子レンジで加熱することは、融点を超えるために不可能です。PETの融点を生かした用途の袋やヒートシールが必要な分野への採用を進めております。
(5)その他
PETの改質技術を応用した材料、延伸や成型などの加工技術を応用した包材等、食品包材分野のニーズに対応する研究開発を進めております。