訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/12/07 15:00
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59項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当社グループの財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3重要な会計方針」に記載しております。
連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(2) 経営成績の分析
① 売上収益の状況
第9期連結会計年度(自 2014年1月1日 至 2014年12月31日)
当連結会計年度売上収益の84.4%を占めるボールビジネスは前期比19.0%増の30,404百万円、14.6%を占めるリニアビジネスは前期比21.9%増の5,271百万円、主に2013年6月に買収したSpheric Trafalgar LTD.グループの売上収益が年間で貢献したことや中国、新興国で成長鈍化は見えるものの自動車販売は堅調に推移し、グローバルな産業機械需要の回復により、売上収益は前期比19.2%増の36,049百万円となりました。
第10期第3四半期連結累計期間(自 2015年1月1日 至 2015年9月30日)
当第3四半期連結累計期間の売上収益の84.8%を占めるボールビジネスは前年同四半期比11.6%増の25,256百万円、14.2%を占めるリニアビジネスは前年同四半期比12.4%増の4,229百万円、中国をはじめとする新興国での成長鈍化はあるものの、米国自動車販売は堅調に推移し、欧州ではVW問題による影響は不透明なものの回復傾向が続きました。また、産業機械需要も引き続き堅調に推移したことから、売上収益は前年同四半期比11.6%増の29,767百万円となりました。
② 損益の状況
第9期連結会計年度(自 2014年1月1日 至 2014年12月31日)
売上原価は売上収益の増加及び一時的なコスト増加要因に伴い前期比19.5%増加の26,329百万円となり、売上総利益は前期比18.4%増加の9,720百万円となりました。この結果、売上総利益率は0.1ポイント減少し、27.0%となりました。売上総利益率が減少した理由は、売上の増加に伴う固定費吸収効果はあるものの、当連結会計年度において一時的に発生した評価減等の要因と考えております。販売費及び一般管理費は前期比10.8%増加の3,257百万円となりました。主な増加理由は、2013年6月に買収したSpheric Trafalgar LTD.グル-プによる固定費負担や売上収益の増加にともない販売費が増加したことによります。また、その他の費用として、2014年9月9日付で公正取引委員会より排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたことによる課徴金1,325百万円を計上しており、営業利益は3.3%減少し5,218百万円となりました。
営業費用をセグメント別に示しますと、ボールビジネスは前期比24.3%増加の26,089百万円、リニアビジネスは前期比22.9%増加の4,718百万円となりました。各セグメント別の営業費用は、ボールビジネス及びリニアビジネスで売上増加に伴う費用増加及び一時的な評価減等の費用増加となっております。また、ボールビジネスでは2014年9月9日付で公正取引委員会より排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたことによる課徴金1,325百万円を計上しております。これらの結果、ボールビジネスの営業利益は前期比5.3%減少の4,315百万円、リニアビジネスは前期比13.8%増の553百万円となりました。
上記以外に、各セグメントに帰属しない全社費用等16百万円を調整額として表示しております。前連結会計年度の調整額は26百万円であります。
税引前当期利益は前期比12.0%増加の6,427百万円となりました。主な要因は、営業利益は減少しているものの、金融収支として米国子会社にてその他の包括利益に計上していたグループ間長期ローンに対する為替差額の為替差益への振替1,524百万円や円安の影響で外貨預金等に係る為替差益が発生したことにより為替差益1,782百万円を計上していることによります。当期利益は前期比5.2%増加の3,845百万円となりました。これらの結果、売上収益営業利益率及び当期利益率は、それぞれ前期比3.3ポイント減少の14.5%、1.4ポイント減少の10.7%となりました。
第10期第3四半期連結累計期間(自 2015年1月1日 至 2015年9月30日)
売上原価は売上収益の増加及び一時的なコスト増加要因に伴い前年同四半期比11.4%増加の21,356百万円となり、売上総利益は前年同四半期比12.1%増加の8,411百万円となりました。この結果、売上総利益率は0.2ポイント増加し、28.3%となりました。販売費及び一般管理費は前年同四半期比15.4%増加の2,711百万円となりました。営業利益は45.1%増加し5,694百万円となりました。
営業費用をセグメント別に示しますと、ボールビジネスは前年同四半期比4.4%増加の20,252百万円、リニアビジネスは前年同四半期比11.4%増加の3,728百万円となりました。各セグメント別の営業費用は、ボールビジネス及びリニアビジネスで売上増加に伴う費用増加及び一時的な評価減等の費用増加となっております。これらの結果、ボールビジネスの営業利益は前年同四半期比54.4%増加の5,004百万円、リニアビジネスは前年同四半期比20.6%増加の501百万円となりました。
上記以外に、各セグメントに帰属しない全社費用等86百万円を調整額として表示しております。前年同四半期連結累計期間の調整額は3百万円であります。
税引前四半期利益は前年同四半期比5.0%増加の5,149百万円となりました。四半期利益は前年同四半期比20.8%増加の3,814百万円となりました。これらの結果、売上収益営業利益率及び四半期利益率は、それぞれ前年同四半期比4.4ポイント増加の19.1%、1.0ポイント増加の12.8%となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2事業の状況 4事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見直し
当社グループは、MEBOを実施した事により安定性重視から効率性・成長性重視に経営方針を転換し、安定的かつ持続的に企業価値を向上しうる企業体質を構築してまいりました。また、2014年11月に新経営体制を発足し、グローバルにマトリクス組織を導入し、各リージョンへの権限移譲による責任明確化及び横断的なファンクション機能によるグローバルコントロールを行う事により、より一層の拡販、コスト削減に努めてまいりたいと考えております。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
第9期連結会計年度(自 2014年1月1日 至 2014年12月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は10,452百万円と前連結会計年度末と比べ3,985百万円の減少となりました。当連結会計年度の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは3,366百万円の収入(前期比32.7%減)となりました。主要な要因は、利益において特殊要因として課徴金1,325百万円等の一時的マイナス要因はあるものの、一時要因も含む為替差益1,782百万円のプラスもあり税引前当期利益が6,427百万円となり、減価償却費及び償却費が1,706百万円、在庫管理を強化したことに伴うたな卸資産の減少575百万円などのキャッシュの増加要因があった一方で、為替差益1,709百万円、売上増加及び回転期間の長い国内での売上増加に伴う営業債権及びその他債権の増加1,138百万円、利息の支払額429百万円、法人所得税等の支払額2,645百万円などのキャッシュ減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは677百万円の支出(前期比77.1%減)となりました。主要な要因は設備投資が前年までに一巡したこともあり、更新設備やボトルネック工程への投資に限られたことで有形固定資産の取得による支出が756百万円となったことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは7,177百万円の支出(前期比1,335.3%増)となりました。主要な原因は、借入金についてはリファイナンスを行ったものの、純額では定期弁済による155百万円の支出によるものであり、また、MEBO以降行ってこなかった配当を行ったことによる配当金の支払額7,000百万円によります。
第10期第3四半期連結累計期間(自 2015年1月1日 至 2015年9月30日)
当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は15,656百万円と前連結会計年度末と比べ5,204百万円の増加となりました。当第3四半期連結累計期間の各活動におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは6,111百万円の収入(前年同四半期比78.8%増)となりました。主要な要因は、税引前四半期利益が5,149百万円となり、減価償却費及び償却費が1,339百万円、営業債権及びその他の債権の減少1,146百万円などのキャッシュの増加要因があった一方で、利息の支払額348百万円、法人所得税等の支払額1,774百万円などのキャッシュ減少要因がありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは539百万円の支出(前年同四半期比2.1%減)となりました。主要な要因は、有形固定資産の取得による支出が552百万円、有形固定資産の売却による収入が17百万円となったことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは135百万円の支出(前年同四半期比0.0%増)となりました。主要な要因は、長期借入金の返済による支出が135百万円となったことによります。
(6) 資本の財源及び運用についての分析
第9期連結会計年度(自 2014年1月1日 至 2014年12月31日)
当連結会計年度末の資産につきまして、流動資産は前期末に比べ1,976百万円減少し40,558百万円となりました。これは営業債権及びその他の債権が1,561百万円、たな卸資産が333百万円増加し、現金及び現金同等物が3,985百万円減少したことによります。
非流動資産は前期末に比べ428百万円増加し51,359百万円となりました。これは有形固定資産が368百万円、無形資産及びのれんが122百万円増加し、繰延税金資産が29百万円減少したことによります。
流動負債は前期末に比べ1,543百万円減少し5,269百万円となりました。これは営業債務及びその他の債務が419百万円、その他の流動負債が224百万円増加し、借入金が2,010百万円、未払法人所得税等が176百万円減少したことによります。
非流動負債は前期末に比べ1,428百万円増加し45,474百万円となりました。これは借入金が2,016百万円増加し、繰延税金負債が300百万円減少したことによります。
資本は前期末に比べ1,433百万円減少し41,174百万円となりました。これは資本金が60百万円、利益剰余金が1,799百万円、その他の資本の構成要素が1,644百万円増加し、資本剰余金が4,940百万円減少したことによります。
第10期第3四半期連結累計期間(自 2015年1月1日 至 2015年9月30日)
当第3四半期連結会計期間末の資産につきましては、流動資産は前期末に比べ3,599百万円増加し44,157百万円となりました。これは現金及び現金同等物が5,204百万円増加し、営業債権及びその他の債権が1,296百万円、たな卸資産が324百万円減少したことによります。
非流動資産は前期末に比べ1,265百万円減少し50,094百万円となりました。これは有形固定資産が1,121百万円減少したことによります。
流動負債は前期末に比べ141百万円減少し5,128百万円となりました。これは営業債務及びその他の債務が99百万円増加し、未払法人所得税等が89百万円、その他の流動負債が150百万円減少したことによります。
非流動負債は前期末に比べ571百万円減少し44,903百万円となりました。これは借入金が140百万円、繰延税金負債が247百万円、その他の非流動負債が172百万円減少したことによります。
資本は前期末に比べ3,046百万円増加し44,220百万円となりました。これは利益剰余金が3,810百万円増加し、その他の資本の構成要素が765百万円減少したことによります。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資及び運転資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金、銀行借入金及び社債発行により資金調達をすることとしております。また、今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
(8) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、ベアリング用ボールの製造販売を目的として創業し、以降、球面加工の技術を活かし鋼球の用途を広げてまいりました。また、リニアビジネスの分野では工作機械の精度を左右する重要部品としてボールねじ等の事業展開を行っております。
現在の製造業を取り巻く環境は、新興国の成長を積極的に取り組むべくグローバル展開が必須な状況となっており、機動的なマネジメントが要求されております。
このような環境下、当社グループは効率改善・コスト削減に取り組むとともに、リスクのある新規成長分野への投資強化も実行し、更なる成長戦略を進めていく方針であります。