訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/12/07 15:00
【資料】
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【項目】
59項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 法的規制の新設・改廃、違反等によるリスク
事業展開をしている国内外において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、製造物責任法、独占禁止法、知的財産権法、外国為替及び外国貿易法等、様々な法規制下にあります。当社グループは、法令遵守を基本としておりますが、万が一当社グループがかかる法的規制に違反した場合には、罰金、業務停止その他の制裁が課され、当社グループの社会的評価及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後さらにその規制が強化された場合、事業活動における影響が懸念され、費用負担増も予想されます。このような規制が行われた場合には、業績などに影響を与える可能性があります。
なお、当社は、鋼球等の取引に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、2014年1月21日に公正取引委員会による立入調査を受け、同委員会による調査に全面的に協力してまいりました。また、2014年9月9日、同委員会から独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為があったとして、排除措置命令及び課徴金納付命令を受け、1,325百万円の課徴金を納付しております。
(2) 有利子負債に関するリスク
当社グループは、多額の有利子負債の元利金支払のために、また、特にボールビジネスにおいて十分な在庫を維持するための資金を確保するために追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の資産の売却先の有無等様々な要因に依存しております。さらに、金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 原材料の価格の上昇、調達等に伴うリスク
当社グループの事業活動には、原材料及び部品等が適時、適切に納入されることが必要であります。その一部については、原材料及び部品等の特殊性から購入先が限定され、代替品を入手することが困難なものがあります。かかる原材料及び部品等について供給遅延等が生じた場合、又はそれらの購入先との間で取引関係の終了や生産能力の問題が生じた場合、必要な原材料及び部品等が不足すること、又は購入するための費用負担が増加することにより、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。また、新興国の景気変動や世界的な経済情勢等により原材料価格が上昇した場合、製品価格への反映や歩留まり向上等によるコストダウンによる吸収を図っておりますが、想定以上の上昇により、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
(4) 知的財産権リスク
当社グループは、事業活動、事業展開に有用なノウハウや製造技術及び特許権、商標権などの知的財産権の取得及び保護に努めております。また、他社の知的財産権に対しても問題が発生しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、当社グループのノウハウや製造技術が漏洩したり、他社が当社グループの知的財産権を侵害した場合、又は当社グループが意図せず他社の知的財産権を侵害した場合、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
(5) 海外事業の展開に伴うリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、中国、アメリカ、ポーランド、台湾、インド、イギリス、タイ及び韓国に海外製造拠点を有しております。また、将来において上記以外の海外市場に進出する可能性もあります。しかしながら、これらの海外市場における事業展開には、投下資本の回収が当初の事業計画どおり進まないリスク、生産拠点の統廃合や撤退に伴うリスクのほかに、次のような海外事業展開に共通のリスクがあります。
① 各国の予期しない法律や規制の変更
② 社会・政治及び経済状況の変化又は治安の悪化
③ 輸送の遅延及び電力等のインフラの障害
④ 各種税制の不利な変更又は課税
⑤ 保護貿易諸規制の発動
⑥ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
⑦ 雇用制度及び社会保険制度の違い
⑧ 労働環境の変化や人材確保・教育の困難性
⑨ 知的財産保護の困難性
⑩ 疫病の発生
⑪ 為替リスク
(6) 製品の欠陥に伴うリスク
当社グループは、国内外で行う事業活動において、製品の欠陥により第三者が損害を被った場合、当該製品のリコール対応に多大な費用負担を余儀なくされ、又は製造物責任法に基づく民事賠償責任を負う可能性があります。当社グループは、高品質で安全な製品を供給しておりますが、予期しない問題が発生した場合、当社グループの社会的評価が低下するなど、業績などに影響を与える可能性があります。
(7) 経済環境に関するリスク
当社グループの製品の需要は、自動車、電子機器、消費財及び工作機械向け精機等の最終製品の需要に左右され、工業生産量の全体的な落ち込み及びこれに伴う最終製品市場の悪化の影響を受ける傾向があり、特に当社の製品は自動車産業の市場悪化の影響を強く受ける傾向があります。また、世界的な経済環境の悪化に起因する各産業セクターにおける生産の減少も、当社グループの製品の需要を減少させ、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
(8) 顧客集中に関するリスク
当社グループの製品の大半は、比較的少数の製造業者(特に、鋼球についてはボールベアリングの製造業者、ボールねじについては工作機械及び射出成形機の製造業者)を主要な顧客としており、当社グループとこれらの主要な顧客との関係が悪化した等の理由により主要な顧客を失った場合には、当社グループの業績などに影響が生じる可能性があります。
(9) 新素材セラミック球の製造及び販売に関するリスク
当社は、セラミック製造業者との提携により、従来のセラミック球よりも安定的かつ低コストな生産が可能な新素材セラミック球を開発し、その生産を開始しております。新素材セラミック球の増産は、当社グループの重要な事業戦略の1つでありますが、品質の確保、原材料の入手、素球の生産能力の十分な確保及び新素材セラミック球の採用に関する顧客の承諾・認証プロセス等が当社の想定どおりに進まない場合や、競合製品が登場した場合又は当社が新素材セラミック球に関する知的財産権を十分に保護できない場合には、当社グループの将来的な業績などに影響が生じる可能性があります。
(10) 他社競合リスク
当社グループは、顧客や市場ニーズに対応した高品質で安全な商品、サービスを提供することに全力を挙げて取り組んでおります。しかしながら、当社グループは他社との競合に晒されており、今後において、新製品の開発が計画どおりに進捗せず、品質、価格、在庫量及びマーケティング等に関連して競合他社に対して十分な競争力を確保できない場合には、当社グループの売上が減少する可能性があり、その場合業績などに影響を与える可能性があります。
(11) 環境問題リスク
当社は、環境保全活動を重要な経営方針の一つとして、ISO14000を取得しその充実を図っております。これまで、重大な環境問題を引き起こしたことはありません。しかしながら、今後において環境問題を引き起こし、損害の賠償、生産の停止、社会的評価の低下等の可能性、又は新しい規制への対応による費用負担の増加等により、業績などに影響を与える可能性があります。
(12) 財務報告に係る内部統制
当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の構築及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、内部統制報告制度の運用開始後、当社グループの財務報告に重大な欠陥が発見される可能性があります。また、将来にわたって常に有効な内部統制を構築及び運用できる保証はなく、さらに、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。
(13) 固定資産の価格下落
当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(14) のれんの減損
のれんの減損テストについては各資金生成単位で行っており、ボールビジネスについては主に世界の自動車需要や産業機械需要の動向により影響を受け、リニアビジネスについては主に設備投資関連需要の影響を受ける事となります。ボールビジネスは比較的広いエンドユーザーを持っており、個々の需要動向の影響が薄まる傾向にありますが、リニアビジネスについては設備投資関連需要への依存度が高い傾向にあります。当社グループが保有しているのれんについて、収益性の低下等に伴い資産価値が減少した場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(15) 災害の発生
当社グループの生産拠点において、地震、風水害、火災等の災害又は事故が発生した場合は、事業所ごとに自衛団を組織して、被害を最小限にとどめるべく努力をいたしますが、被害状況によっては、又は社会インフラの損壊など予想を超える事態が生じた場合には、当該生産拠点における生産活動が停止し、製品の出荷が停止若しくは遅延し、又は設備の修理、代替等のため多大な損失・費用を被る可能性があります。また、新型インフルエンザ等の感染症及び国内外の電力供給問題等の発生により当社グループの生産能力が悪影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの業績などに影響を与える可能性があります。
(16) 人事労務及び経営陣に関するリスク
当社グループの事業においては、国内外において専門性の高い熟練した従業員を確保する必要があり、かかる従業員を確保できない場合、当社グループの事業に影響が生じる可能性があります。また、当社グループは一定の経営陣及び幹部従業員に依存しておりますが、当社の新経営陣は近時に発足したものであり、また、当社グループの経営陣及び幹部従業員が大量に流出した場合にも、当社グループの事業及び業績などに影響が生じる可能性があります。
(17) 筆頭株主であるカーライル・グループとの関係について
2011年3月に、野村プリンシパル・ファイナンス㈱が保有する当社株式の全部が投資会社であるカーライル・グループが運営するCJP TN Holdings,L.P.に譲渡され、筆頭株主に異動が生じております。当該筆頭株主の異動に伴い、当社はカーライル・グループのアドバイザリー会社であるカーライル・ジャパン・エルエルシー(以下「同社」といいます。)と経営等に関する契約等を締結し、同契約に基づき、同社より取締役2名、監査役2名を受入れておりました。
なお、同社と締結した上記の契約は2012年6月30日に解消しており、本書提出日現在の同社からの招聘役員は、取締役1名であります。また、本書提出日現在のCJP TN Holdings,L.P.による出資比率は96.3%(議決権比率ベース)となっており、当社と同社との間に重要な営業上の取引関係はありません。
当社は、独立性、自主性に基づき企業運営を行っておりますが、カーライル・グループの経営方針等に変更があった場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
同社は上場時において、一部当社株式の売却を行う予定であるほか、上場後においても同社の保有・処分方針次第では、当社株式の株価形成に影響を与える可能性があります。
(18) 新成長戦略に関するリスク
当社グループは、精密ボール業界内におけるリーディングメーカーの地位の維持・発展を実現すべく新成長戦略を策定しております。当該新成長戦略には、海外顧客への浸透アップ、セラミックボールのさらなる拡販、中長期的な成長が期待できる中国・インド・アジアでの成長、新成長分野創出の強化等の取り組みが含まれております。
しかしながら、策定された新成長戦略は、業務改善やコスト管理の実現等の当社グループに関する事項のみならず、主要顧客の戦略や当社製品を使用した最終製品の市場動向等の当社グループのコントロールが及ばない事項を含む、多くの前提に基づいたものとなっております。
したがって、当社グループが新成長戦略を成功裡に実施し又は成長目標を達成できるという保証はなく、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。