訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/12/02 15:00
【資料】
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【項目】
94項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を、取りまとめております。また、必ずしもリスクと考えられない事項についても、当社の事業活動を説明する上で、投資者の判断基準になりうる事項については、積極的な情報開示を行っていく観点から記載しております。
当社は、リスク発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でおりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。そのため、将来発生しうる可能性があるすべてのリスク及び当社株式への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)販売代理店への依存について
当社の製品は、主として販売代理店を経由しエンドユーザーに販売されております。また、大手通信会社のセレクト商品に選定されていることから、その通信会社の特約店である販売代理店への販売が多くなっております。しかしながら、当社製品の取扱量の大きい販売代理店との関係が販売代理店の事業方針の変更などで悪化した場合や、大手通信会社の事業方針の変更などでセレクト商品ではなくなった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(2)技術革新について
当社の属する情報セキュリティ機器の業界においては、次々と新しいマルウェアの脅威が発生しているほか、技術革新のスピードが速く、スマートデバイスやクラウドへの対応を含めた利用者のニーズも常に変化しております。当社はこれらの変化に対応すべく、新技術の開発や新機能の追加等を実施するよう努めておりますが、新たなセキュリティの脅威やスマートデバイスやクラウドに対する対応が遅れた場合、または当社製品の代替製品が登場した場合等には、当社製品の競争力が弱くなり、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(3)人材の確保について
当社が事業を拡大及び継続するために、開発力の強化・技術ノウハウの蓄積は最重要課題となります。当社は、現在、人員増員の計画を進めておりますが、人員が確保できない場合は、当社の成長が鈍化する可能性があります。また、技術人員が競合他社に流出し、当社の技術ノウハウが漏洩した場合、当社の事業活動に支障が生じ、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)特定事業への依存について
当社は、経営資源を中小規模事業者向けのセキュリティソフトウェア事業に集中させております。マルウェア対策製品だけではなく、業務管理サーバーも積極的に展開を行い、収益の多様化を図っています。しかし、事業環境の変化等により、中小規模事業者向けの市場が縮小するような場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(5)当社製品の導入ユーザーにおけるセキュリティ事故について
当社のアンチマルウェア製品においては900万種類以上のウイルスデータベースを活用するとともに、アドウェア、スパイウェア、ハイジャッカー、ハッキングツール、トラッキングツール、Hostsファイル、グレーツール等への対策を組込み、幅広いマルウェア対策を可能なものとしています。しかしながら、当社製品の導入ユーザーがサイバー攻撃等でセキュリティ事故を発生させた場合には、当社製品に対しての信用が低下する場合があります。そのような場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(6)システムリスクについて
当社の事業はインターネット環境において行われているため、IDC(インターネットデータセンター)を活用し、セキュリティレベルの高いネットワーク環境の構築に努めております。しかし、自然災害等の予期せぬ事象の発生により、IDCのサービスの停止やネットワークインフラが使用できないようになった場合は、当社の事業活動に支障が生じ、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)訴訟リスクについて
本書提出日現在において、当社が当事者として関与している訴訟手続きはありません。しかし、今後当社の事業展開の中で、当社製品の導入企業がセキュリティ事故に遭遇し、製品の開発者である当社が起訴され敗訴した場合、または第三者の権利・利益を侵害したとして損害賠償等の訴訟その他の法的手続が行われ、その訴訟その他の法的手続の内容および結果、損害賠償の金額によっては、当社の事業展開に支障が生じ、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(8)情報漏洩リスクについて
当社事業において、ネットワークやセキュリティシステムに関するクライアントの機密情報や、当社内で使用する技術情報を中心とした機密情報を取扱う場合がございます。当社では従業員との間で機密保持の契約を締結しているとともに、運用体制の整備や従業員への教育を通じて機密情報の外部漏洩を厳しく管理しております。しかしながら、これらの措置をとっていても、機密情報などを当社関係者が持ち出し流失した場合等において、当社の信用が失墜し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(9)知的財産権について
当社は運営事業に関わる知的財産権の適正な獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害することがないよう顧問弁護士に相談する等の対策を施しております。しかし、当社が認識していない知的財産権が既に第三者に成立しており、これを侵害したことを理由として損害賠償請求や差止請求を受けた場合、または当社の事業領域において、第三者の特許が成立した場合等に、当社の事業展開に支障が生じ、事業および業績に影響を与える可能性があります。
(10)法規制について
当社が行う事業において、現在、法令等の規制はございませんが、法令等の改正や新たな規制が加わった場合などには、当社の製品またはサービスに関して制限等が強くなり、その対応に費用がかかる可能性があり、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
(11)調達資金の使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、新設するR&D(注1)センターの設立に伴うデータ系サービス及びハニーポット(注2)の設置に関わる設備投資及び人材(開発人材・マーケティング人材・管理部門人材)の確保に伴う費用に充当する予定であります。これにより、新製品・サービスの開発提供及び開発力・マーケティング力の強化並びに内部管理体制の充実を目指し、継続的な事業規模の拡大を行います。しかしながら、急速な経営環境の変動等の影響により、調達資金が計画通り使用されない可能性があります。また、計画通り使用された場合でも、想定通りの効果を得られず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.R&Dとは研究開発(Research and Development)の略語であります。
2.ハニーポットについては、後記「第二部 企業情報 第2 事業の状況 6 研究開発活動」の(注)に記載の内容をご参照ください。
(12)小規模組織であることについて
当社は、現在従業員数が30名(平成27年10月末現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社は今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針であります。しかし、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)内部管理体制の強化について
当社は、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、積極的な人員の補充も行い、体制の整備に注力しております。しかし、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合等には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)関連当事者取引について
当社は、当社常務取締役(田部井浩二)が議決権の55.0%を所有し、その近親者も含めると議決権の大部分を所有している㈱シンセキュアが開発したソフトウェアの利用に係るロイヤリティを㈱シンセキュアに支払っております。このソフトウェアは、「アンチマルウェア及び業務管理製品」と、「業務管理サーバー」に搭載されている、企業のPC業務管理を支援するソフトウェアであり、両製品の重要な機能となっております。
㈱シンセキュアとの取引額は、平成27年3月期において23百万円、当社の売上原価全体に占める割合は4.7%、平成28年3月期第2四半期(累計)における取引額は16.1百万円、同6.2%であります。当社では、現在、㈱シンセキュアのソフトウェアより高機能なソフトウェアを自社開発しております(平成27年12月の完成を予定)。この自社開発ソフトウェアを現在使用している㈱シンセキュアのソフトウェアに代替させることによって、当該関連当事者取引を平成29年3月期までには解消することを目指しておりますが、それまでは当該関連当事者取引が継続する予定です。
なお、当社では、当該関連当事者取引について、その取引が当社の経営の健全性を損なってはいないか、その取引が合理的判断基準に照らし合わせて有効であるか、また取引条件は他のベンダーが供給するソフトウェアの使用料率や一般的なソフトウェアの使用料率と比較して、独立第三者間取引と同様の合理的な水準であるか等に留意して、当社取締役会の決議により実施しております。また、決議後は取締役会に対して取引状況を毎月報告するとともに、監査役監査や内部監査における取引の内容等のチェックを行っており、健全性及び適正性の確保に努めております。
平成26年3月期及び平成27年3月期の当社と㈱シンセキュアとの取引関係は以下のとおりです。
(単位:千円)
種 類会社等の名称又は氏名取引の内容取引金額科 目期末残高
平成26年3月期平成27年3月期平成26年3月期平成27年3月期
役員及びその近親者が議決権の過半数を所有している会社㈱シンセキュアロイヤリティの支払15,52423,937買掛金2,2112,341

(注)1.上記金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれております。
2.取引条件及び取引条件の決定方針等
ロイヤリティについては、両者が協議して決定した契約上の料率に基づき支払っております。
(15)特定の取引先への依存について
当社の製品に使用されるサーバー等の材料の供給元や、ウイルスデータの供給元については、安定した品質の確保や調達コストの観点より、少数の取引先に限った運営を行っております。使用されるサーバー等については、一般的な商品であり、またウイルスデータについても同水準のデータベースを提供可能な企業は複数存在するため、供給元の事情などにより供給元の変更が必要となった場合でも当社の事業継続に対するリスクは低いものと認識しておりますが、新規供給元との取引条件が、大幅に悪化する場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)競合について
インターネットセキュリティおよびデータセキュリティの製品販売を主力とする米国および欧州の企業は多くございますが、当社は1台でウイルスのみではなく、他の多数のマルウェアに対応したインターネットセキュリティにデータセキュリティ機能も付加させたアンチマルウェア製品を中心とした製品ラインアップにより、主に国内市場の中小企業向けに特化する形で業績を伸ばしてきました。しかし、情報セキュリティ業界での技術の日々の進歩は著しく、競合他社が当社に先駆けて新しい技術や手法により価格も含めより優位性の高い製品の開発・提供を行った場合や、当社の主要市場である中小企業向けマルウェア対策分野への参入企業が増えて価格競争が激化した場合等には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(17)配当政策について
当社は株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営上の重要な課題として位置付けております。当社は、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来配当を行っておりません。今後においても内部留保の充実を図り、事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指す方針であります。将来的には、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針でありますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
(18)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、会社法第236条、第238条および第239条の規定に従って、平成26年12月22日開催の臨時株主総会決議に基づき、当社役員、従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。
これらの新株予約権が権利行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。また、当社では今後も新株予約権の付与を行う可能性があり、この場合さらに1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は184,600株であり、発行済株式総数1,846,000株の10.0%に相当しております。新株予約権の詳細については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載の通りであります。