訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2015/12/15 10:00
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【項目】
114項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を十分認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載が無い限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1.事業環境に関するリスクについて
(1)自治体における成人式の開催について
当社は、成人式用振袖等の販売及びレンタル事業等を行っております。
総務省統計局の発表によりますと、少子化は進みつつあるものの当社の主要顧客である新成人女性の人口は平成25年1月現在、平成26年1月現在ともに約59万人、平成27年1月現在では約61万人と、下げ止まり感が見られることから、引き続き大きな市場があると考えております。
しかしながら、成人式を主催する自治体が何らかの理由により成人式の開催を中止した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)名簿情報取得について
当社は、名簿業者より取得した名簿情報を参考に、ダイレクトメール送付や電話販促を行っております。
ダイレクトメール送付や電話販促による受注件数は全受注件数の約4割を占めており、当社が営業活動を行う上で有効な販促手段の一つとなっておりますが、個人情報保護法施行後、名簿情報の入手可能件数は減少傾向にあります。
当社は、現在、鮮度の高い名簿情報を取得する手段の一つとして若年層向けのコミュニティサイトである「SAKURA学園」「学祭・サークル応援NAVI」の運営を行っております。また今後、ファッションアイテムの販売・レンタル事業の展開によっても鮮度の高い名簿情報の取得に努めることで、名簿業者から入手する名簿情報の依存度を下げていく予定でありますが、名簿業者から入手する名簿情報の件数が極端に減少した場合や名簿情報の入手コストが大きく増加した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)季節的変動について
(和装事業)
当社の主力商品の一つであります成人式用振袖の販売及びレンタルは、例年その受注活動を、成人式までに納品が可能な7月~9月と、成人式終了後に翌年の新成人を対象とする1月~3月に重点的に行っております。また、売上高の計上(顧客へのお引渡し)につきましては、受注後、仕立てを行うため、受注から1~3ヶ月前後のタイムラグがある事から10月~1月、3月に集中する傾向にあります。このため、売上高及び利益は下半期(10月~3月)に偏重する傾向にあります。
当社はこの季節的変動を考慮した計画策定を行っておりますが、何らかの理由により計画どおりに受注を獲得できなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、平成27年3月期の各四半期の売上高と売上総利益は以下のとおりであります。
(単位:千円)
第1四半期会計期間
平成26年4月1日~
平成26年6月30日
第2四半期会計期間
平成26年7月1日~
平成26年9月30日
第3四半期会計期間
平成26年10月1日~
平成26年12月31日
第4四半期会計期間
平成27年1月1日~
平成27年3月31日
第25期事業年度
平成26年4月1日~
平成27年3月31日
売上高1,734,5822,060,6972,309,1642,322,0518,426,496
売上総利益1,026,7721,297,0501,524,1501,398,0255,245,998

(ウエディング事業)
一般的に挙式・披露宴は春(3月~5月)、秋(9月~11月)に多く行われる傾向があり、当社の各式場においても同様の季節的変動を受けております。
当社はこの季節的変動を考慮した計画策定を行っておりますが、何らかの理由により計画どおりに受注を獲得できなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、平成27年3月期の各四半期の売上高と売上総利益は以下のとおりであります。
(単位:千円)
第1四半期会計期間
平成26年4月1日~
平成26年6月30日
第2四半期会計期間
平成26年7月1日~
平成26年9月30日
第3四半期会計期間
平成26年10月1日~
平成26年12月31日
第4四半期会計期間
平成27年1月1日~
平成27年3月31日
第25期事業年度
平成26年4月1日~
平成27年3月31日
売上高1,130,889855,2291,572,2171,080,3254,638,662
売上総利益672,463442,923997,828602,9392,716,154

(4)市場規模の縮小傾向について
(和装事業)
呉服業界におきましては、産地工房の職人等作り手の高齢化、消費者のライフサイクルの変化等の影響により市場の縮小傾向が続いております。
当社は、着物の着方教室において、単に着物の着方を教えるだけでなく、着物を着て名所にお出掛けする等のイベントの開催を通じ着物を着る機会を提供し、着物を着ることの楽しさを感じて頂き、着物ファン拡大に努める等、潜在的なニーズの掘り起こしを行うことで、新たな需要の創出及び事業拡大に努めて参りました。今後、SPA(製造小売)の強化・拡大により、消費者の嗜好の移り変わりを迅速に商品に反映させ、かつ、より価格競争力のある商品を提供していくことにより、更なる事業拡大に努めてまいります。
しかしながら、市場規模の縮小傾向が更に続いた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウエディング事業)
ウエディング業界におきましては、挙式・披露宴をしない「ナシ婚」や招待客数を絞り込んだ「少人数結婚」が広がっており、市場規模拡大という点においてはマイナスに作用する傾向にあります。
当社では、本物志向にこだわった施設(建築技法や材質、調度品や美術品等)と専門的なサービスの内製化(料理、装花、美容、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発)により、高品質かつきめ細かなサービス等の提供をモットーとした結婚式場の運営により需要の喚起及び事業の拡大に努めて参りました。
しかしながら、市場規模の縮小傾向が更に続いた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)少子化問題について
(和装事業)
当社は、昭和56年をピークに低迷しているといわれている呉服業界に属しながら、販売チャネルの拡大及び出店戦略により着実に事業を拡大させて参りました。
しかしながら、当社が取り扱う振袖につきましては、主要顧客は成人式前の女性に絞られていることから、今後、少子化の影響に伴って、対象年齢以下の人口が減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウエディング事業)
総務省「国勢調査」及び「国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口」によりますと、わが国における結婚適齢期といわれる男女の人口は減少傾向にあると予測されております。また厚生労働省「平成26年(2014)人口動態統計の年間推計」によりますと婚姻組数は約65万組と、この10年間で約7万組減少しております。今後も結婚適齢期といわれる人口及び婚姻組数が減少した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競合について
(和装事業)
呉服業界は、縮小している着物市場の環境下において企業淘汰が顕著な業界であります。このような状況の中、当社は、幅広い販売チャネル網、納品から成人式までの着付け、撮影等のサポート体制により、顧客ニーズにマッチした商品やサービスの創出・提供により、競争力を高め、顧客満足度の向上を図り競合他社との差別化を実現することで事業を拡大して参りました。
しかしながら、今後競合他社が当社のサービス等を模倣、追随し、当社の特徴が標準的なものとなり差別化が難しくなる場合、また、競合他社が低価格を前面に打ち出した営業を展開した等の場合、結果として当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ウエディング事業)
当社のウエディング事業は、英国風のチャペル挙式及びハウスウエディングをコンセプトにした「キャメロットヒルズ」・「グラストニア」並びに「和魂洋才」をコンセプトにした「百花籠」を運営しております。
本物志向にこだわった施設(建築技法や材質、調度品や美術品等)と専門的なサービスの内製化(料理、装花、美容、写真撮影、アルバム等フォト製品の企画・開発)により、高品質かつきめ細かなサービス等の提供をモットーとした結婚式場の運営により事業を拡大して参りました。
しかしながら、今後当社が運営する式場と同一商圏に競合他社が参入または異業種からウエディング事業に新規参入するなど、他社との競合状況が激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)ブランドイメージの毀損について
当社の和装事業において、呉服・振袖等着物全般を扱う「一蔵」、主に振袖を扱う「オンディーヌ」など購買層、集客チャネル別にブランドを展開しております。またウエディング事業においては、本物志向にこだわった施設と専門的なサービスの内製化により、高品質かつきめ細やかな婚礼サービスの提供をしております。
当社では顧客からクレーム等を受けた場合、各事業本部及び人事総務部法務課等関連部門が連携し適切に対応できる体制となっております。
しかしながら、当社の商品・サービスに対し否定的な風評が拡大しブランドイメージの毀損が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)成人の年齢引き下げ案について
平成27年3月5日、民主、自民、維新、公明、次世代、生活の与野党6党は、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる「公職選挙法等の一部を改正する法律案」(18歳選挙権法案)を共同で衆議院に提出され、可決されました。それに関連し、成人の年齢を引き下げる案についても議論されております。
成人の年齢を引き下げる案の議論が進展し、民法第4条に規定する成年の定義が変更され成人式のあり方に何らかの大きな変化(受験期を避けるための開催時期の変更、主催者の変更等)が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業内容に関するリスクについて
(1)出店について
(和装事業)
当社では、出店を成長戦略の一つと捉えております。交通アクセスが良く、人が集まり、当社他店舗や施設と商圏が重ならないエリアを出店予定地域とし、面積や賃借料等の賃貸条件を勘案し出店場所を選定しております。
しかしながら、当社の出店条件に合致した物件がなく出店が出来ない場合や、出店が遅れた場合、また出店後に立地・経済環境・競合店状況等に変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取扱代理店との取引について
(和装事業)
当社は、直営店または取扱代理店を通じて一般顧客に対して呉服等の販売、振袖等の販売・レンタル等を行っております。
取扱代理店は当社の販売チャネルの一つとして非常に重要な役割を担っていると認識しております。
当社と取扱代理店との間において、今後も友好的関係を構築・維持できるものと認識しておりますが、何らかの理由による関係悪化等により取引の継続が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)個人情報流出のリスクについて
当社は、呉服等の販売、振袖等の販売・レンタル、成人式の前撮り写真撮影サービス、成人式当日の着付け及びメイクサービス、着物の着方教室の運営等(和装事業)並びに結婚式場の運営等(ウエディング事業)を通じて各種の個人情報を保有しております。
当社では、個人情報の漏洩の防止はもちろん、不適切な利用や改ざん等を防止するため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項の一つと捉えております。個人情報保護規程及び情報システム管理規程を制定し、個人情報を厳格に管理するとともに、全従業員への教育を実施する等、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、外部からの不正アクセスや社内管理体制の瑕疵等により個人情報が外部に流出した場合、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)差入保証金について
当社は、賃借により出店を行うことを基本方針としており、土地・施設の賃借に際して家主に差入保証金を差し入れております。差入保証金は、概ね賃貸借契約終了をもって当社に返還されるものでありますが、家主のその後の財政状態によって回収が困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)有利子負債依存度が高いことについて
当社は、これまで新規出店にかかる設備投資等を、金融機関からの借入等により調達して参りました。有利子負債残高、有利子負債依存度及び支払利息の推移は下表のとおりであります。
今後は、営業活動によるキャッシュ・フローの拡大から生み出される余剰資金等により、有利子負債依存度の改善を進め、財務体質の強化に努める方針ではありますが、新たな設備投資等に伴う金融機関からの借入の増加や、金融情勢の変動により金利が大幅に上昇した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
第24期事業年度末
平成26年3月31日現在
第25期事業年度末
平成27年3月31日現在
第26期第2四半期会計期間末
平成27年9月30日現在
有利子負債残高(千円)(注1)4,590,2564,074,7603,747,807
有利子負債依存度(%)(注2)39.833.530.3
支払利息(千円)49,27943,22218,091

(注1)有利子負債残高は、金融機関からの短期及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)、社債、リース債務及び長期リース債務の合計であります。
(注2)有利子負債依存度は、有利子負債残高を総資産で除した数値を記載しております。
(6)固定資産の減損について
当社は、保有する有形固定資産に対して「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。今後、店舗や式場等の収益性やキャッシュ・フローの状況が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)ウエディング事業における多額の設備投資計画について
当社は、ウエディング事業の更なる事業拡大のため、沖縄県名護市に宿泊施設を併設した結婚式場の建設を計画しております。当該計画は土地、建築費用及び諸費用合わせて3,300,000千円程度を想定し、現在、事業用地の一部について借地権を取得しております。
当該計画については、十分な調査及びマーケティングを実施しておりますが、何らかの事情により当該施設開発の許認可が下りなかった場合、工期が当初の想定より遅延した場合、または多額の設備投資に対し、当該施設が当社の想定通りに収益を計上できなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
3.会社組織のリスクについて
(1)特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である河端義彦は、当社の創業者であり、創業以来当社の代表取締役社長として、経営方針及び事業戦略を決定するとともに、新規ビジネスの開拓及びビジネスモデルの構築から事業化に至るまでの過程において重要な役割を果たしております。
当社は、権限の委譲や人材の育成、取締役会等において役員及び従業員の情報共有を図ることで、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2)人材の確保、育成について
当社は、事業規模の拡大による業務量の増加に伴い、人材の確保・育成は重要な経営課題であると認識しており、定期採用も中途採用も積極的に行うと同時に、社内研修等により人材育成の充実に努めております。
しかしながら、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適切な人材を十分確保できなかった場合には、当社の事業拡大が制約を受ける可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、店舗人員の退職者が一時的に多数発生した場合は、当社の営業力が低下し、当社の事業拡大が制約を受け、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)内部管理体制
当社は、当社の事業展開や成長を支えるため、今後も内部管理体制の一層の充実・強化を図っていく方針でありますが、事業の拡大及び人員の増加に対して適時適切な組織的対応ができなかった場合、事業展開に影響が出る等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.各種法規制について
(1)食品衛生法
ウエディング事業は、「食品衛生法」等の規制を受けており、管轄保健所から営業許可を取得しております。衛生面に関しましては、各セクションに食品衛生管理者を選任し、細心の注意を払い営業しております。しかし、食中毒等が発生した場合は、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)不当景品類及び不当表示防止法
当社は、カタログ等の広告物を制作するに当たり「不当景品類及び不当表示防止法」及びその後改正された法律並びに関係法令等の規制を受けております。当社では社員教育の実施や管理体制の構築等により当該諸法令の遵守を徹底しておりますが、万が一、これらの規制を遵守できなかった場合は、措置命令を受け、社会的信用の失墜により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更等による広告業界の自主ルールの整備や強化等がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)当社事業の販売及びサービスに関する法的規制について
当社は、電話販促や通信販売を行うことによる「特定商取引に関する法律」の規制、店舗販売員による販売勧誘を行うことによる「消費者契約法」の規制及び個人消費者保護の観点から制定された各種法令の規制を受けております。当社では社員教育の実施や管理体制の構築等により当該諸法令の遵守を徹底しておりますが、万が一、これらの規制を遵守できなかった場合は、行政処分の対象となることがあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来において、これらの法令等の改正または新たな法令等が制定され、当社が適切に対応できない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
5.その他
自然災害について
当社は、一定の集客が見込める全国主要都市のオフィスビルやショッピングセンター等に店舗を構え事業を展開しておりますが、これらの地域において予測不能な地震、風水害等の自然災害が発生し、本社及び各店舗に影響が生じ業務を停止せざるを得ない状況や、建物や設備が損傷しその修復に多大な費用が必要となった場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。