訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/02/12 10:07
【資料】
PDFをみる
【項目】
104項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ゴルフ事業について
① ゴルフ市場の動向
当社グループのゴルフ事業(平成27年1月期における売上構成比69.1%)は、契約ゴルフ場との取引に大きく依存していることから、中長期的な成長性についてはゴルフ市場の動向、特にエンドユーザーであるゴルファーの人口及びプレー回数(ゴルフ場の延べ利用人員数)について分析することが有用と考えられます。
総務省のゴルフ場利用税調査によると、全国ゴルフ場の延べ利用人員数(70歳以上など非課税利用人員を含む)は平成4年度1億232万人のピークには及ばないものの、最近では東日本大震災による自粛や景気低迷の影響が一巡し、平成24年度8,674万人(前年度比2.9%増)、平成25年度8,674万人(前年度比0.0%増)と比較的底堅く推移しており、ゴルフが生涯スポーツあるいは国民的レジャーとして50~60歳代を中心に楽しまれている様子が伺われます。
ゴルフ業界では少子高齢化など人口構成の変化を見据えつつ、若年層や女性ゴルファーの開拓、ゴルフ場におけるサービス向上やプレー料金引き下げ、ゴルフの魅力や人気を高める情報発信などに取り組んでおります。しかしながら、ゴルファーの人口やゴルフ場の延べ利用人員数が期待どおりに増加する保証はなく、当社グループのゴルフ事業についても中長期的な成長性が制約される可能性があります。
② 天候、季節変動及び自然災害
ゴルフは屋外のスポーツ・レジャーであり、天候や季節変動による影響を受けます。台風、梅雨、猛暑、降雪などの時期には、ゴルフ場の利用人員数が減少する季節変動があります。また、プレー当日の悪天候によっては予約のキャンセルが発生する場合もあります。さらに台風災害や大雪等が発生した場合には、ゴルフ場が一時閉鎖され、復旧や再開まで相当の期間を要することも予想されます。
したがって、こうした要因が発生した場合にはゴルフ場の利用人員数が左右される結果、「1人予約ランド」の集客実績に応じた従量課金が増減し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 「1人予約ランド」の集客効果
ゴルフ事業の主軸である「1人予約ランド」は平成22年4月にサービスを開始後、平成27年1月期に登録会員数160千名、年間延べ予約件数554千件にまで拡大し、ゴルフ場にとってビジター集客の有力なツールとなっております。しかしながら、何らかの理由によって「1人予約ランド」の登録会員数や年間延べ予約件数が大きく減少した場合、あるいは個々の契約ゴルフ場(平成27年10月末現在574コース)にとって月額利用料(固定及び集客実績に応じた従量課金)に見合った集客効果が得られなくなった場合には、ゴルフ場との契約が解除され、あるいは契約の更新がされず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 「1人予約ランド」の従量課金導入
「1人予約ランド」の月額利用料についてはサービスを開始した当初は固定料金でしたが、登録会員数並びに延べ予約件数の拡大を背景として、平成26年1月期より集客実績に応じた従量課金の導入(既存の契約ゴルフ場を含む)を進めております。従量課金はゴルフ場にとって費用対効果がより明確化することから「1人予約ランド」の新規契約を促進する側面もあり、それが登録会員数並びに延べ予約件数の更なる拡大につながり、ひいてはASPサービスだけでなく広告・プロモーションサービスを含めたゴルフ事業全体の収益拡大に寄与するものと考えております。しかしながら、従量課金の導入によって新規契約が期待どおりに増加しなかった場合、もしくは、契約ゴルフ場1コース当たりの平均月額利用料が従前に比べて増加しなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ ゴルフ場への依存
ゴルフ事業を構成するASPサービス、広告・プロモーションサービス及びサポートサービスは、いずれもゴルフ場に大きく依存しております。全国ゴルフ場の延べ利用人員数は比較的底堅く推移しているものの、利用人員数の低迷や競争激化によるプレー料金の引き下げが響くなど経営状況の厳しいゴルフ場もあります。このため、当社グループでは契約ゴルフ場に対する与信及び債権管理について十分に留意しておりますが、予想以上に貸倒リスクが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合他社について
現在、ゴルフ事業においてインターネットメディア、システム提供を主たる事業領域としておりますが、当該分野においては大手企業を含む複数の企業が事業展開している状況にあります。当社グループでは、「1人予約ランド」等の独自のサービスの開発に努めておりますが、今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、高い資本力や知名度を有する企業が参入してくることで競合激化し、当該事業及び当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦ インターネットの技術革新
「1人予約ランド」を始めとしてゴルフ事業のASPサービスはインターネットを利用して提供しております。インターネットは技術革新の速度が速く、新たなサービスやビジネスが次々に創出されております。当社グループは、常に最新技術の把握に努め、新機能の開発及びサービス向上に展開できるよう体制整備を図っております。しかしながら、インターネットの技術革新に迅速に対応できなかった場合、あるいは対応するために多額のシステム開発費を調達できなかった場合には、当社グループが提供するサービスの陳腐化や競争力の低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ システムトラブル
当社グループはゴルフ事業のASPサービスを中心に、携帯電話、スマートフォン、パソコン、コンピュータなど情報通信ネットワークに依存した事業展開を行っております。安定的なサービス提供のため、サーバー設備等の拡張や運用体制の整備を行っておりますが、システムの不具合、想定を上回るアクセスの集中、人為的ミス、自然災害等によって通信ネットワークが切断あるいは制御不能に陥った場合には、復旧に多大な時間や費用を要するなど当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 個人情報保護法
当社グループは、ゴルフ事業を中心に登録会員等の個人情報を取得しております。このため、当社グループでは「個人情報の保護に関する法律」に基づき、個人情報保護規程、重要情報管理規程などを整備運用しております。具体的には、個人情報や機密事項を格納するファイルサーバーへの適切なアクセス権限の付与、入室制限など物理的な安全対策、業務委託先企業等に対する管理監督を徹底しております。しかしながら、これらの対策を講じたにも関わらず、個人情報の漏洩等の事象が発生した場合には、損害賠償請求や信用の下落等によって当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 法的規制
当社グループの事業に関係する法律として、「個人情報の保護に関する法律」の他に、一般消費者を対象とするWEBサイト「1人予約ランド」、「バリューゴルフショップ」及び「月刊バリューゴルフ」などに「特定商取引に関する法律」及び「不当景品類及び不当表示防止法」があります。当社グループはこれらの法的規制を遵守して事業に取り組んでおりますが、今後、不測の事態等により、万が一これらの法的規制に抵触しているとして当社グループが法的責任や損害賠償に問われた場合、当社グループの信頼性やブランドが毀損され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)広告メディア制作事業について
当社グループの広告メディア制作事業(平成27年1月期における売上構成比26.9%)は、情報誌発行会社など少数特定のクライアントに依存しております。当社グループでは、広告メディアの制作にかかる専門的なノウハウや業務品質を高め、納期を遵守するなどクライアントとの信頼に基づいた長期継続的な取引関係を構築する方針であります。しかしながら、当社グループが主力とする求人及びブライダルに関連した広告の出稿減少、情報誌の廃刊、雑誌からWEBへの急速な移行、クライアントの外注比率引下げや事業再編等の事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)メディカル事業について
当社グループのメディカル事業(平成27年1月期における売上構成比3.9%)は、医療機関によるシニア層向け医療関連書籍の出版を行っており、発行部数の大半は医療機関が自ら買い取って関係者に配布・分売しております。医療機関にとって最先端医療を情報発信して地域医療に貢献したいというニーズが背景にあり、書籍出版としてはニッチかつ地域的にも限定的な市場となっております。このため、比較的リスクの低い事業と認識しておりますが、当社グループの期待どおりに市場が拡大しなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)シニア層向け複合サービスの創出について
当社グループは、大手の情報誌発行会社をクライアントとする「広告メディア制作事業」から創業しましたが、ゴルファー向け情報誌「月刊バリューゴルフ」を発刊し、それを契機に「ゴルフ事業」として予約代行、顧客管理・集客支援ASP(「リピ増くん」「1人予約ランド」)、レッスン・イベント・トラベル(ゴルフ旅行)などの催行、さらにゴルフ場の運営受託・コンサルティングにまで事業領域を掘り下げてきました。次いで、ゴルフ事業のエンドユーザー(登録会員)にシニア層が多いことに着眼し、シナジーが発揮できる新規事業として「メディカル事業」に進出いたしました。現在のところ医療関連書籍の発行にとどまっておりますが、将来的には「ゴルフ」(ゴルフ場)、「トラベル」(旅行代理店)、「メディカル」(医療機関)などをシニア層に向けて有機的に複合した新しいサービスを創出してまいります。しかしながら、そうした新しい複合サービスが当社グループの想定どおりにシニア層の需要を喚起するとは限らず、また、シナジーが発揮できる保証もありません。
(5)業歴及び組織体制について
① 浅い業歴
当社グループは、創業以来、「世の中の「したい」を具現化し、生活を豊かにする情報を発信し続けるリーディングカンパニーを目指す」という経営ビジョンの下、経営資源が限られるなかにあっても常に新たなアイディアやサービスを発案し、事業展開して現在に至っております。しかしながら、業歴が浅いうえ、当社グループの事業やサービスが市場に定着し、収益基盤が確立したものとはなっておりません。したがいまして、当社グループの過年度の経営成績及び財政状態については、当社グループの定性的な経営情報と併せて検討する必要があります
② 特定人物への依存
当社代表取締役社長である水口通夫は、専門情報誌の制作・出版、ゴルフ場等向けインターネットビジネスに関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定・推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を果たしております。今後、当社グループは優秀な人材の採用・育成及び管理組織の充実を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりますが、何らかの事情により同氏が当社グループの業務執行が困難となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織と内部管理体制
当社グループは、事業規模に応じた比較的小規模な組織で運営されており、業務執行体制も規模に応じた人員になっております。そのため、優秀な人材が流出し、新たな人材の採用及び育成が図れない場合には、サービスの円滑な提供、魅力的な新サービスの企画、開発及び営業活動が阻害され、さらには内部管理体制やコーポレート・ガバナンス体制に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。今後、当社グループの成長や事業拡大に必要な人材を採用していく方針でありますが、優秀な人材の確保が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)その他の関係会社について
本書提出日現在において、当社第2位の主要株主である株式会社ゼネラルアサヒ(議決権の被所有割合27.3%)はその他の関係会社と位置付けられております。当社グループは同社との間で印刷業務の委託取引がありますが、その取引条件は、取引の都度決定しており、市場の実勢価格を勘案して決定しております。また、当社グループは同社から事業上や経営上の関与は一切受けておりません。
(7)その他
① 配当政策
当社は、未だ成長段階であることから、経営基盤強化を目的として、内部留保の充実を図るため、設立以来、配当を行っておりません。今後は、将来の事業拡大に必要な内部留保とのバランスを考えながら、企業価値の向上に努め、株主への利益還元を検討する所存です。現時点では配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
② ストック・オプション行使による株式価値の希薄化
当社グループは、取締役、監査役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は79,400株であり、発行済株式総数の5.8%に相当しております。
③ 調達資金の使途
当社グループが今回計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、主に人員拡充における採用費及び人件費、認知度向上に向けた広告宣伝費等に充当する予定であります。しかしながら、外部環境の変化により、当初想定どおりの時期に投資できない場合や、投資が実現した場合でも、当初想定した収益の確保が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、調達資金を当初の計画以外の使途へ充当する可能性があります。