有価証券報告書-第49期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 15:00
【資料】
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【項目】
126項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度の世界経済は、当初は比較的堅調に推移しましたが、夏場以降は減速傾向を強めました。
米国においては、住宅、労働市場が底堅さを維持し、9年半振りに政策金利が引き上げられましたが、後半に企業業績の悪化懸念が浮上して経済成長は鈍化しました。中国においても急速に景気減速感が強まり、人民元切下げを行う等、従来の高成長経済からの転換を図りつつあります。欧州においては、テロ・難民問題に金融機関等の業績悪化が加わり、景気回復テンポは極めて緩慢なものになっております。このため、年度後半には、株安、ドル安、原油安の流れとなりました。
我が国経済においても、物価が伸び悩み、今年度のマイナス成長も視野に入る中、日銀は初めてマイナス金利政策を導入しましたが、円安トレンドの修正で企業業績への影響が懸念され、依然として景気の牽引役が不在の状況が続いております。
当社グループが属するエレクトロニクス業界においては、電装化が進む車載関連機器が全体を牽引しましたが、好調だったスマートフォンが一巡感から一時の勢いを失い、レーザープリンター等OA機器も需要が落ち込んで、全体として盛上りを欠く内容となりました。
このような事業環境の下、当社グループでは、中国、ベトナム、日本、タイの4拠点体制で、継続してLCA(Low Cost Automation、 自社開発の自動・省力化設備)や三票制(設備工程能力票・作業負荷分析票・標準作業票を用いて標準的且つ効率的な生産方法を制定すること)活用による生産活動改善や、同一のシステム運営での体制により、お客様の生産に合った拠点生産を推進しております。また、バリューチェーンの拡充を目的に中国・東莞市のプラスティック成形品メーカーを買収して、UMC Dongguan Plastics Co.,Ltd.(三和盛塑胶製品(東莞)有限公司)として子会社化し、外装品を内製化して金型ビジネスにも参入しており、EMS事業基盤の拡充を図っております。
これらの活動の成果として、過年度から準備していた車載向け動力系制御基板の量産が本格稼働し、今後の車載機器取扱いの更なる飛躍の第一歩を踏み出したほか、当社の「物づくり」現場に共鳴した大手中華系顧客から初めて受託して複数の大型案件がスタートしました。さらに、景気減速下の賃金上昇に見舞われる中国事業を他社から引受け、軌道に乗せるビジネスも開始し、事業の柱になりつつあります。
この結果、当連結会計年度の売上高は1,100億51百万円(前連結会計年度比3.1%減)、営業利益は23億38百万円(前連結会計年度比14.4%増)、経常利益は21億5百万円(前連結会計年度比15.7%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は18億14百万円(前連結会計年度比19.0%増)となりました。
当社グループは、EMS事業とその他の事業を営んでおりますが、ほとんどがEMS事業のため、セグメント情報の記載を省略しております。
なお、EMS事業の製品分野別の売上高とその他の事業の売上高は以下のとおりであります。売上高の金額については、連結相殺消去後の数値を記載しております。
① EMS事業
当社グループの主たる事業であるEMS事業の売上高は1,096億30百万円(前連結会計年度比3.2%減)となりました。製品分野別の業績の概況は次のとおりであります。
(車載機器)
電装化の進展で車両1台当たりの基板数が増加傾向にあること、また、新たに環境対応車向け動力系基板を受注したことにより、売上高は347億89百万円(前連結会計年度比10.6%増)となりました。
(産業機器)
国内市場でのスマートメーター向け取扱高が増加したものの、主要顧客と競合する中国系企業の台頭や設備投資減少に伴う需要減の影響を受け、売上高は229億50百万円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。
(コンシューマー製品)
主要日系顧客の競争激化の影響を受け、売上高は126億84百万円(前連結会計年度比11.2%減)となりました。
(OA機器)
主要顧客の中国からアセアン各国への拠点移動に対し、中国拠点からベトナム拠点への移管を行い、落ち込みをカバーしましたが、OA機器全体の急激な需要減少から、売上高は249億19百万円(前連結会計年度比10.0%減)となりました。
(情報通信機器)
業務提携先の新製品量産を立上げましたが、中国拠点においてスポット受注の終了と既存顧客の在庫調整が長引いて、売上高は91億79百万円(前連結会計年度比26.6%減)となりました。
(その他)
精密成形・金型事業への新規参入により取扱高が増加し、売上高は51億6百万円(前連結会計年度比48.4%増)となりました。
② その他の事業
人材派遣業が好調に推移し、売上高は4億21百万円(前連結会計年度比21.0%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物につきましては、128億74百万円(前連結会計年度末比61.1%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、31億28百万円の収入(前連結会計年度は33億41百万円の収入)となりました。これは主に減価償却費、仕入債務の増加、売上債権の増加、たな卸資産の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、17億39百万円の支出(前連結会計年度は29億10百万円の支出)となりました。これは主にグループ各社における機械装置等の生産用設備とUMC Electronics Vietnam Limitedの工場増床工事に係る投資によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、39億31百万円の収入(前連結会計年度は77百万円の収入)となりました。これは主に新規上場に伴う資金調達によるものであります。