訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/03/02 9:30
【資料】
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【項目】
102項目

業績等の概要

(1)業績
第60期連結会計年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
当連結会計年度における経済環境は、年度初めに消費税増税後の反動減の影響で、一時的なマイナス成長になったものの、その後の雇用・所得環境の改善や続く消費税増税の先送り、原油安などを背景に、マインドが上向き、企業の業績にも改善が見られました。しかしその一方で、国内の設備投資や輸出の回復は緩慢で、海外の景気動向の不透明感から、特に製造業では先行きに対して慎重で、足踏みが続いている状況です。海外においては、米国の経済は、第1四半期の停滞後の経済回復は設備投資の伸びなどから予想を上回り、雇用環境も改善するなど堅調に推移し、欧州についても地政学的リスクを抱えながらも、緩慢ではあるものの回復傾向を持続しています。しかしながら過剰投資の抑制政策を継続する中国経済の減速と、その中国経済の影響を受けるASEAN諸国市場は不透明感を増し、更に原油安によるロシアなどの産油国経済の悪化など、これまで世界経済をけん引してきた新興国経済の先行きについては不透明な状況で推移しました。
こうした状況の下、当社の事業が属する業界においては、国内では年度初めの消費増税後の反動減があったものの、その後の企業業績の改善を背景とした設備の更新需要に改善が見られました。しかしインフラ支出の増加という緩衝剤の投下にも拘らず設備投資全般に力強さは見えていません。海外では欧米の水処理市場、アジアの半導体市場が堅調に推移したものの、ASEAN諸国は総じて低調な状況で推移しました。
このような環境の中、国内営業本部においては、現場営業によるユーザーの囲い込みを図り「競合に勝つ」という基本方針をより深耕させるため、具体的には、①競合市場の徹底攻略、②有望市場「医療機器市場・水処理市場・新エネルギー市場等」の拡大、③システム・周辺機器の全市場販売、④販売チャンネルの活用、の4項目を基本戦略として実践致しました。
一方、海外営業本部においては、子会社、関連会社と連携して販売の拡大を図ってまいりました。具体的には①市場調査の強化、②海外拠点となる関係会社へのバックアップ体制強化を基本戦略として欧州、米国、アジア各重点地域への販売拡大を実践致しました。
以上の結果、国内営業においては、基本戦略のなかでも最重要テーマである「競合の徹底攻略」に対して、「メンテナンス本部との協業」と「競合ユーザーのリプレイス」という2つの施策が功を奏し、業績面に貢献致しました。また、海外営業においても同様に、基本戦略の「海外拠点となる関係会社へのバックアップ体制強化」が実を結びつつあり、販売の拡大につながりました。市場別では、国内・海外共に半導体・液晶市場が牽引役となり、その他、医療機器、化学等を含む主要市場が全般的に好調に推移しました。製品別も市場別と連動する形で全般的に好調に推移しましたが、そのなかでも半導体市場向けの空気駆動ポンプと医療機器市場向けをメインにするエアーポンプが特に好調でした。
なお、当連結会計年度における市場別売上の順位は、水処理市場、半導体・液晶市場、医療機器市場、化学市場、表面処理装置市場、新エネルギー市場の順でありました。
このような状況の中、当社グループの当連結会計年度における売上高は227億99百万円(前年比5.8%増)となりました。
利益面では、売上増加に伴い経費が増加したことに加え、設備投資も実施致しましたが、欧米における連結子会社の業績が堅調に推移したため、営業利益は9億89百万円(前年比6.3%増)となりました。営業外収益においては持分法による投資利益として3億74百万円を計上しましたが、為替差益が前年よりも減少したことにより経常利益は15億6百万円(前年比4.4%減)と僅かながら減益となりました。特別損益については、前連結会計年度においては特別損失としてのれん等の減損損失を計上致しましたが、当連結会計年度は固定資産売却益及び固定資産除却損のみとなった結果、税金等調整前当期純利益は15億5百万円(前年比11.5%増)と増益になりました。さらに、当期純利益は、法人税、住民税及び事業税が前年よりも減少したことにより、10億30百万円(前年比24.8%増)となりました。
なお 、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
第61期第3四半期連結累計期間(自 平成27年4月1日 至 平成27年12月31日)
当第3四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く経済環境は、国内経済では引き続き企業の投資意欲は底堅いものの、新興国経済の減速による輸出の伸び悩み等を背景に、国内製造業における景況感は前回調査との比較で、ほぼ横ばいとなっています。しかしながら先行きについては、海外経済の減速や在庫調整に対する懸念等から、やや悪化となる見通しになっております。一方、海外経済は、アメリカで利上げが決定したものの、雇用環境の改善、個人消費の持ち直し等が牽引し、拡大基調は継続しております。欧州は難民問題やテロ対策などを抱えていますが、内需主導で緩やかな回復基調は継続しております。中国はGDPが7%を切るなど、これまでの高度成長から安定成長に路線を切り替えていくと見られています。その影響はアジア経済にも波及し、更に昨今の為替動向や原油安の影響など、マクロ経済の先行きはより不透明な状況になっております。
こうした状況の下、国内営業においては「競合に勝つ」を基本方針に活動してまいりました。その結果、半導体・液晶市場、医療機器市場、表面処理市場、水処理市場、化学市場、新エネルギー市場の主力6市場すべてにおいて堅調に推移しております。一方、海外営業においては「市場拡大」を基本方針に活動してまいりました。その結果、医療機器市場、水処理市場、化学市場、新エネルギー市場が堅調に推移しております。特に中国における医療機器市場、米国、欧州における化学市場が堅調に推移しております。子会社であるIwaki America Incorporatedは干ばつの影響等を受けておりますが、第3四半期までは堅調に推移しております。Iwaki Europe GmbHはドイツ市場が牽引し、堅調に推移しております。Iwaki Singapore Pte Ltd.、IWAKIm SDN. BHD.はASEAN全般の経済の停滞を受け、低調な状況となっております。製品別では国内外化学市場、国内表面処理市場向けマグネットポンプ、海外水処理市場向け定量ポンプをはじめ、空気駆動ポンプ、回転容積ポンプ、エアーポンプ等が堅調に推移しております。
なお、当第3四半期連結累計期間における市場別売上の順位は、水処理市場、医療機器市場、半導体・液晶市場、化学市場、表面処理装置市場、新エネルギー市場の順でありました。
このような状況の中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は184億45百万円となりました。
利益面では、営業利益は12億40百万円、経常利益は16億38百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は12億35百万円となりました。
なお 、当社グループはケミカルポンプ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
第60期連結会計年度(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー△7億35百万円に対し、投資活動によるキャッシュ・フローは31億23百万円であり、財務活動によるキャッシュ・フローは△25億58百万円となりました。その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末と比較し1億40百万円減少し、40億32百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動の結果、資金は7億35百万円減少(前連結会計年度は10億16百万円の増加)しました。これは主に、売上債権の増加(15億11百万円)などによる資金減少要因が、税金等調整前当期純利益(15億5百万円)などの資金増加要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動の結果、資金は31億23百万円増加(前連結会計年度は8億47百万円の増加)しました。これは主に、定期預金の払戻(51億38百万円)などによる資金増加要因が、定期預金の預入(15億95百万円)などの資金減少要因を上回ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動の結果、資金は25億58百万円減少(前連結会計年度は13億77百万円の減少)しました。これは主に長期借入金による資金の増加(3億円)があった一方、長期借入金の返済(13億69百万円)及び短期借入金の返済(純減額 13億27百万円)により資金が減少したためであります。