訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/03/02 9:30
【資料】
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【項目】
102項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものでありませんので、この点にご留意ください。
なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 変動の大きい市場環境に対するリスク
当社が製造・販売するケミカルポンプは、純度の高い薬液を取り扱う半導体や液晶パネル製造プロセスをはじめ、化学、電子部品、水処理、食品、製紙など幅広い産業分野で使用されております。半導体、液晶パネルを使用する液晶テレビ・パソコン等は市況変動が大きいため、当社グループの業績はこれらの製品の需要動向や生産設備投資動向などに左右される傾向にあります。また、化学製品についても素材の市況変動により生産量、生産設備投資動向が左右される傾向にあるため、これらの市場環境が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 国内企業の海外移転等により国内需要が減退した場合のリスク
当社グループが展開するケミカルポンプ事業は、幅広い産業分野に支えられておりますが、収益基盤である国内産業分野の経済状況、統廃合、製造拠点の海外移転等により、需要が長期的に停滞、減少した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外での事業展開によるリスク
当社グループは、北米、欧州、アジア等において、当社グループ又はその他の販売代理店を通じ当該地域における事業拡大を進めております。今後、日本国内での大幅な市場拡大が見込まれない中、当社グループがさらなる成長をするためには、業績の基礎となる日本国内市場を確保しつつ海外市場での事業を拡大することが必要と認識しております。具体的には、先進国における技術者駐在による医療機器市場や分析市場の先進需要の開拓や、需要拡大の著しい新興国における営業技術支援強化による販売の増加を進め、製品開発戦略においては日本に限らず世界各国の市場で通用する製品の開発を推進する方針であります。しかしながら、こうした取組みにもかかわらず、海外市場の変化、海外における競合の状況及び新製品開発の時期等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外の代理店政策においては、原則として一か国に一社の販売代理店を置くこととしており、当該国における当社製品の販売において代理店同士の競争を避け、各国の顧客ニーズを的確に吸い上げ、当社との情報共有を図りやすくしております。しかしながら、当該販売代理店の当該国市場における競争力の低下等が生じた場合、直ちに他の販売代理店への変更ができず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 合弁契約にかかるリスク
当社は、当社製品のグローバル市場での販売網確立のため、「第2事業の状況 5経営上の重要な契約等」に記載のとおり、海外諸国における現地法人又は現地経営者等と共同出資により当社製品を販売する会社を設立するための合弁契約を複数締結しております。これらの合弁契約が解消された場合、当社グループの海外売上高が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 当社商号の使用許可によるリスク
当社は、優位な販売戦略確立のため、当社の関係会社の他、当社が出資を行う一部の海外の販売代理店に対し、当社の商号「イワキ」を使用する権利を契約で付与しており、商号の使用においては当社の同意を前提としております。今後、当該販売代理店の悪評又は信用不安等が生じた場合や、商号が同一であることから当社グループ会社であると誤認された場合には当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品の品質にかかるリスク
当社の製品につきましては、品質管理部門において厳格に管理されておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできないため、製造物責任賠償保険に加入するなど当該問題発生に際しての備えを強化しております。しかしながら、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、当社グループに対する評価を著しく低下させ、売上高の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)原材料の価格変動リスク
当社製品には金属及び樹脂を原材料とした部品が多く使用されており、その仕入価格は市場価格の変動の影響を受けることがあります。原材料素材の需給関係等により原材料価格が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 競合のリスク
当社グループは、ケミカルポンプにおいて50年以上に亘り開発・製造の実績を積上げ確固たる地位を築いており高品質で耐久性に優れた製品を供給することで競合する新興国製の安価な製品との差別化を図っておりますが、今後競合製品の品質向上等により当社製品の優位性が維持できない場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 研究開発におけるリスク
当社グループは、市場要求と顧客ニーズを捉えた製品開発を行うことで、幅広い産業分野における販売拡大に努めておりますが、必ずしも想定した成果を得られる保証はなく、タイムリーに新製品を供給できない場合や顧客が要求する水準を満たすことができない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 為替変動のリスク
当社グループには、外貨建の売上、仕入、資産、負債があり、連結財務諸表作成のために円換算しています。主な通貨は米ドルとユーロであり、これらの通貨の為替変動が当社グループの業績と財務状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ全体では、外貨建売上が外貨建仕入を上回り、また外貨建資産が外貨建負債を上回るため、これらの通貨に対する円高が当社グループの業績と財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 金利変動のリスク
当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達を行っております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が借入契約の財務制限条項に抵触した場合は、金利の上昇を請求されたり期限の利益を喪失したりする可能性があり、当社の格下げや市場の混乱といった事態が生じた場合は、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。
(12) 自然災害発生によるリスク
当社グループの主たる生産工場は、埼玉県狭山市及び福島県田村郡三春町にあります。当該地域での地震発生等によりサプライチェーンの寸断や生産設備に被害を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが事業を展開する地域や販売先企業が拠点を置く地域において自然災害が発生し、当該地域において直接的な被害が出た場合や、市況が悪化し設備投資意欲が減退した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) システム関連のリスク
当社は、業務を円滑に行うため、ハードウェア・ソフトウェアの障害防止、コンピュータウイルス等による障害防止のために万全を期しておりますが、システム・サーバーダウン、コンピュータハッカーの侵入、ウイルス等による破壊的な影響を受ける場合があり得ます。システムに重大なトラブルが発生した場合には、受注・生産活動に支障が起こり当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 法的規制にかかるリスク
①安全保障輸出管理にかかるリスク
当社グループは海外15ヶ国に18社の関係会社を設置し積極的に海外展開を推進しておりますが、海外への製品や部品の輸出あるいは技術の提供を行う際には、外国為替及び外国貿易法とその関連法令に定められた安全保障輸出管理に係る規定を遵守して実施することが求められております。
具体的には、大量破壊兵器の開発・製造・使用・貯蔵のために使用されるおそれがあるとして規制されている貨物の輸出取引、仕向地、需要者、用途に安全保障上の懸念のある輸出取引は経済産業大臣の許可を得なければならず、許可を得て実施する取引は輸出許可条件を遵守して実施しなければならないとされており、これに違反した場合、関係した個人・法人に対して、最高10年の懲役、1,000万円以下(又は製品価格の5倍以下のいずれか高い方)の罰金などの刑罰、最高3年間の輸出禁止の行政制裁などが科せられることが定められております。
このような規制がある中で、当社は過去にアジア地域の当社グループ会社を経由して実施した当社製ポンプの輸出取引の一部において、輸出許可条件に定められた手続きに対する不備を発生させたことに加え、平成18年から22年に亘り経済産業省に対して不備の発生を隠ぺいして虚偽の報告を行っていたとして、平成25年に経済産業省より特別一般包括輸出許可等の取消しの行政処分を受けました。当社はこの事態を重く受け止め、その後、第三者委員会を設置し、第三者委員会から個別の原因・背景、その問題点の解明及び再発防止策の提言を受け、関係した役員及び社員の処分、安全保障輸出管理の統括部署である安全保障輸出管理室を社長直轄組織へと変更し、安全保障輸出管理室による事業部門及び海外の販売代理店に対する定期的な監査及び安全保障輸出管理教育の実施等の再発防止策を講じてまいりました。当該行政処分については、全ての関連部門が連携して再発防止体制の構築に取り組んだ結果、平成26年8月に行政処分が解除され特別一般包括輸出許可等を再取得しております。
このような背景を踏まえて、当社グループとしては引き続き正確で効率的な安全保障輸出管理体制の構築に注力することは当然ながら、単に安全保障面だけの問題で終わらせるのではなく、コンプライアンスを重視する企業風土を作り、強固な内部統制システムを確立すべき様々な取り組みを行い再発防止に努めております。しかしながら、今後安全保障輸出管理に係る不備を起こすことがあった場合には、一定期間の輸出禁止等を含む更なる行政処分を受ける可能性があり、当社グループの海外事業における業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②その他の法的規制にかかるリスク
当社グループは、ケミカルポンプ及びその周辺機器の開発、製造、販売(輸出入を含む)を主な事業としており、また、それに附帯する製品の修理及びアフターサービス並びに設置工事を行っております。このような事業を行うに際して、製造物責任法、独占禁止法、環境・リサイクル関連等の法的規制を受けております。また、事業を展開する海外の各国においては、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出入規制等さまざまな規制の適用を受けております。今後、新たな法令等の制定等規制の動向によっては、当社グループの事業展開が制約され業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 知的財産権にかかるリスク
当社グループは、他社と差別化できる技術を蓄積するべく研究開発を推進しており、自社が保有する技術等については特許権の取得により保護を図っております。しかしながら、当社グループが保有する知的財産権が第三者に不正に侵害された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは製造、販売する製品について他社の知的財産権を侵害することのないようリスク管理に取り組んでおりますが、当社グループが販売している製品や、今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性は完全には否定することはできません。また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、第三者より損害賠償等の訴訟が起こされる可能性もあります。これらの要因により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。