有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2016/05/23 15:00
【資料】
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【項目】
82項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 事業の許認可と法的規制について
①人材派遣事業
当社は、労働者派遣法その他関連法令に従い、厚生労働大臣の許可を受け、人材派遣事業を行っております。現時点において、当社は、労働者派遣法等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により、当社並びにその役職員が法令に抵触した場合には、許可の取り消し又は業務の停止等の処分を受ける可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、労働者派遣法その他関連法令については、経済環境・社会環境の変化に応じて改正される可能性が高く、改正内容によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の場合は、シニア人材に特化していることから、わが国の労働力不足や財政の逼迫によるシニア人材活用の必要性から改正によるリスクは競合他社と比較して小さいと思われるものの、労働者派遣法その他関連法令の改正内容によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材紹介事業
当社は、職業安定法その他関連法令に従い、厚生労働大臣の許可を受け、人材紹介事業を行っております。現時点において、当社は、職業安定法等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により、当社並びにその役職員が法令に抵触した場合には、許可の取り消し又は業務の停止等の処分を受ける可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
会社名許認可の名称監督官庁許可番号取得年月日有効期限
株式会社キャリア一般労働者派遣事業厚生労働省派13-304437平成21年7月1日平成29年6月30日
有料職業紹介事業厚生労働省13-ユ-304348平成21年11月1日平成29年10月31日

③その他
当社は、看護師や介護士をはじめとした有資格者を対象とした人材派遣、人材紹介を行っているため、今後これらの資格を規定する社会福祉士及び介護福祉士法や保健師助産師看護師法等が改定された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 社会保険料の負担について
当社は、社会保険加入要件を満たす派遣スタッフの社会保険への加入を徹底しております。社会保険料の保険料率や対象範囲は、社会的情勢によって改正されていることから、社会保険料の会社負担金額が上昇した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) スタッフの確保について
当社は、シニア人材及び介護施設等に向けた人材ビジネスに特化した事業を行っております。様々なシニアスタッフの個々のライフスタイルを尊重し、自分に合った時間で楽しんで働くことのできるより適切な職場を提供することを目指し、スタッフにアンケート、ヒアリング、カウンセリングなどを行うことにより、変化しやすいスタッフのライフスタイルを把握し、これまでのキャリアとライフスタイルから適合する多様なニーズに対応することで効率的なスタッフ登録とマッチングを推進し、就業機会の創出を行うことで、当社のブランド力の向上を図っておりますが、競合他社と比較して当社の信用力、ブランド力が低下した場合、優良なシニアスタッフ及び看護師、介護士等のスタッフ確保が困難もしくは非効率となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競争の激化について
人材ビジネス業界は、比較的少額の資本からでも参入が容易なため、多数の競合他社が存在しております。当社といたしましては、設立以来、シニア人材に特化した人材ビジネスを行っており、競合他社よりも優位となりうる実績とノウハウを有していると考えておりますが、多くの競合他社が当社の事業分野に参入した場合、価格競争激化による収益性の悪化など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) コンプライアンスについて
当社は、業務に従事する者(派遣社員及び業務委託先の従業員を含む)が法令や社内規程を遵守するよう、コンプライアンス規程を制定し、教育・研修などを通じた啓発活動を行うことにより従業員等のコンプライアンス意識を高めるとともに、内部通報窓口の設置やコンプライアンス委員会の開催によりコンプライアンス違反の把握と未然防止に努めております。
しかし、万が一重大なコンプライアンス違反が発生した場合、顧客等から信頼を著しく損ね、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 個人情報の取扱いについて
当社は、登録スタッフなどの個人情報を保有しており、その取扱いについては、個人情報保護法に従い、当社業務管理システムによって管理され、プライバシーマーク認証、ISO9001:2008認証も取得しております。しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に漏えいし、情報主体者に被害が発生した場合には、損害賠償及び社会的信用の失墜などにより、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害及びシステム障害について
当社は、全国に営業拠点を有しており、地震、津波、台風などの自然災害が発生した場合に対して迅速かつ的確な対応をして参りますが、想定外の大規模災害が起きた場合、一定の事業運営が困難になる可能性があります。また人材ビジネスの事業の性質上、多数のスタッフや顧客企業と提携しており、スタッフの安否確認や契約内容の調整等、多大な業務負荷を要することから当社の事業運営に影響を与えるとともに、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、事業活動をコンピュータシステムやネットワークに大きく依存しており、当社の業務管理システム内に、登録スタッフの個人情報や顧客企業の基本情報等を大量に保有しております。このため、システムのセキュリティ強化やバックアップ体制の強化等、不測の事態に備えて対策を講じておりますが、これらの対策にも係らず人為的ミスや自然災害などにより管理システムに障害が発生した場合、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。またそれが長期化した場合には、スタッフに対する勤怠管理、給与の支払、顧客に対する代金の請求、与信管理の業務等に支障を来し、当社の提供するサービスの信頼性の低下や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 代表取締役への依存について
代表取締役である溝部正太は、経営方針及び事業戦略全般の策定等に加えて、当社の事業部門の責任者を兼務しており、多方面において重要な役割を果たしております。当社は、代表取締役に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により代表取締役に不測の事態が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 内部管理体制について
当社は、平成21年4月に設立し、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業展開や成長を支えるためにも内部管理体制のより一層の充実を図っていく予定であります。
今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、事業展開に影響が出るなどして、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材ビジネス業界の動向について
当社が属する人材ビジネス業界は、社会情勢、景気動向や雇用情勢等の影響を受けやすいものであります。今後、市場環境の悪化や既存顧客の人材需要が大きく減退し、景気後退した場合には、顧客との労働者派遣契約数の急激な減少や人材紹介の需要減など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)資金使途について
今回の株式上場時における公募増資の資金使途につきましては、現時点では、自社WEB媒体の強化やスタッフ募集のための広告宣伝費、基幹システムの導入費用、借入金の返済に充当する予定であります。
しかし、経済情勢の急激な変化に迅速に対応していくため、現時点における資金計画使途以外に充当する可能性があります。また、調達した資金の使途の全てが必ずしも当社の成長に寄与するとは限らず、当初の計画どおりの成果を上げられない可能性があります。
(12)新規事業進出について
当社では、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業への取り組みを進めていく方針であります。新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当社の目論見どおりに推移せず、新規事業への投資に対し、十分な回収を行うことができなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)訴訟について
現時点で、当社は損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。当社は法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員その他の第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、当社の登録スタッフによる派遣先等でのトラブルが発生した場合や、取引先等との関係に何かしらの問題が生じた場合には、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。かかる損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社の社会的信用、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)大株主について
当社の創業者である川嶋一郎は、平成25年9月まで当社の代表取締役会長を務めておりましたが、現在は取締役会長(非常勤)として経営方針及び経営戦略立案への提言を主な職務としており、業務執行については代表取締役社長である溝部正太を中心とした常勤取締役により行われております。川嶋一郎は当社の取締役会長であるため、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、本書提出日現在、当社発行済株式総数の69.7%を保有しており、将来的に同氏により当社株式が売却された場合、当社株式の市場価格や流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)役員所有株式に係る質権設定について
当社役員である溝部正太、蒲原翔太、髙見澤幸治及び中川光一郎(以下「対象者」という。)と株式会社みずほ銀行(以下、本(15)において「銀行」という。)との間には金銭消費貸借契約及び手形貸付が締結されており、当該契約に基づき対象者が保有する株式の全部または一部に、下記表の通り、対象者が銀行に対して負担する債務の担保として質権が設定されております。
保有顕在株式数質権対象株式数
溝部 正太291,010株11,000株
蒲原 翔太219,660株174,660株
髙見澤 幸治16,000株16,000株
中川 光一郎3,000株3,000株
合計529,670株204,660株

下記に定めるいずれかの事由が生じた場合には、法定の順序にかかわらず、また被担保債務の期限が到来したかどうかにかかわらず、並びに当社普通株式の売却等を行わない期間(本募集に係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の平成28年12月23日までの期間をいう。)にかかわらず、その債務の弁済に充当するため、銀行により質権対象株式の売却が行われる可能性があります。
・対象者について次の事由が一つでも生じた場合
一支払の停止または破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき
一手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき
一対象者の預金その他の銀行に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき
一対象者の責めに帰すべき事由によって、銀行に対象者の所在が不明となったとき
一銀行に対する債務の一部でも履行を遅延したとき
一担保の目的物について差押または競売手続の開始があったとき
一銀行との約定に違反したとき
一上記のほか対象者の債務の弁済に支障をきたす相当の事由が生じたとき
本書提出日現在、銀行による質権対象株式の総数は204,660株であり、発行済株式総数2,000,000株の10.2%に相当しております。東京証券取引所における売却又はその他の方法により質権対象株式の売却が実際になされた場合、又はその可能性が顕在化した場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
(16)BH株式会社が出資する企業との関係について
当社の取締役会長である川嶋一郎が代表取締役を務めるBH株式会社は、創業支援やスタートアップ投資を目的とした経営コンサルティング事業を行っており、人材ビジネスに関わる出資先として下表の会社に出資しております。
会社名事業内容BH株式会社/
川嶋一郎の出資比率
株式会社ブレイブ看護師、介護士、コールセンターを主とした人材派遣19.9%
株式会社アズスタッフドライバー、保育士を主とした人材派遣91.1%
WML,.ltd米国における人材紹介35.2%

株式会社ブレイブは当社と同様に看護師、介護士、コールセンター等の人材ビジネスを展開しております。BH株式会社は、創業支援を目的として株式会社ブレイブに出資しておりますが、株式会社ブレイブの株式は同社の現経営陣が過半数を保有しており、また川嶋一郎は役員ではないことから、株式会社ブレイブはBH株式会社及び川嶋一郎から独立した経営が行われております。
なお、当社は、BH株式会社が出資する会社との間で取引関係はなく、人的な交流も行われておりません。株式会社ブレイブの取締役は当社の株主でありますが、安定株主として出資しており比率として2.2%と当社の経営に直接関与するものではありません。
BH株式会社の運営方針は、原則として、創業時もしくはスタートアップ期の企業に対し資金提供を行い、企業の成長に応じて段階的な株式譲渡により資金回収を行い、同時に持株比率を低下させるものとしております。そのため、出資先各社の経営は経営陣に一任し、経営判断及び事業展開には一切関与せず、人材ビジネスを営む会社の役員の兼務や、出資先各社間の交流、関係強化は行わない方針であります。当社としましては、コーポレート・ガバナンスの強化の一環で、BH株式会社及び川嶋一郎による事業調整の可能性を排除することを目的に、当社及びBH株式会社並びに川嶋一郎との間で、BH株式会社及び川嶋一郎が今後新たに当社と競合する事業を行う企業への出資を事前に防止するための協定書を三者間で締結し、当社事業に毀損が生じないよう管理しております。なお、出資前に、当社会長である川嶋一郎は当社取締役会にて当該出資予定先の事業内容の説明を行い、川嶋一郎を除く取締役会参加者が競合の有無について協議の上、その結果を川嶋一郎へ伝えることとしております。
当社は、派遣する就業スタッフのシニア化を目的として事業を行っており、株式会社ブレイブと違いはあるものの、介護市場における人材派遣・紹介事業において競合関係が生じていないことを外形的に説明することが難しいと判断しております。BH株式会社としては、今後段階的な株式譲渡等により株式会社ブレイブ株式の持株比率を優先的に低下させていく方針であります。
新規公開後も川嶋一郎は当社の筆頭株主であり、BH株式会社を通じ様々な会社への出資も継続することとなりますが、当社は独立性の高い社外役員を選任し透明性の高いガバナンス体制を構築しているほか、BH株式会社との人的・資本的関係を有していないことから、事業展開にあたっては、独自に意思決定し実行して参ります。ただし、川嶋一郎及びBH株式会社の各社に対する出資や経営の方針等に変更が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。