臨時報告書

【提出】
2021/07/30 16:01
【資料】
PDFをみる

提出理由

当社は、2021年7月30日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)3,900,000株を1株に併合すること(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2021年9月7日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.本株式併合の目的
2021年5月14日付当社プレスリリース「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、当社は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注1)の一環として行われるスタジオ・クルーズ株式会社(以下「公開買付者」といいます。)による当社株式及び本新株予約権(注2)(以下「当社株式」及び「本新株予約権」を総称して「当社株券等」といいます。)に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権の所有者(以下「本新株予約権者」といいます。)の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行いました。
本公開買付けは、公開買付者が、当社株式を非公開化することを目的として、当社株券等の全て(ただし、当社が所有する自己株式(当社の株式給付信託(BBT)の所有分を除きます。)を除きます。)を取得するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われたものです。
公開買付者は、2021年5月17日から2021年7月5日までの間、本公開買付けを行い、その結果、本公開買付けの決済の開始日である2021年7月12日をもって、当社株式19,739,747株(所有割合(注4)81.60%)を所有するに至りました。
(注1)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員である公開買付け(公開買付者が対象者の役員の依頼に基づき公開買付けを行う者であって対象者の役員と利益を共通にする者である公開買付けを含みます。)をいいます(株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)の有価証券上場規程第441条参照)。
(注2)「本新株予約権」とは、以下の新株予約権を総称していいます。
① 共同株式移転(注3)に際して、2012年11月12日開催の株式会社AOI Pro.(以下「AOI Pro.」といいます。)取締役会の決議に基づき発行された第5回新株予約権に代わるものとして2017年1月4日付で発行された新株予約権(以下「第2回新株予約権」といいます。)(行使期間は2017年1月4日から2042年11月27日まで)
② 共同株式移転に際して、2014年12月25日開催の株式会社ティー・ワイ・オー(以下「ティー・ワイ・オー」といいます。)取締役会の決議に基づき発行された第10回新株予約権に代わるものとして2017年1月4日付で発行された新株予約権(以下「第7回新株予約権」といいます。)(行使期間は2017年1月4日から2024年12月25日まで)
③ 共同株式移転に際して、2014年12月25日開催のティー・ワイ・オー取締役会の決議に基づき発行された第11回新株予約権に代わるものとして2017年1月4日付で発行された新株予約権(以下「第8回新株予約権」といい、「第2回新株予約権」、「第7回新株予約権」、「第8回新株予約権」を総称して「本新株予約権」といいます。)(行使期間は2017年1月4日から2024年12月25日まで)
(注3)「共同株式移転」とは、AOI Pro.及びティー・ワイ・オーを株式移転完全子会社とし、当社を株式移転設立完全親会社とした共同株式移転(2017年1月4日効力発生)をいいます。
(注4)「所有割合」とは、(ⅰ)当社が2021年5月14日に公表した「2021年12月期第1四半期決算短信[日本基準](連結)」(以下「当社四半期決算短信」といいます。)に記載された2021年3月31日現在の当社の発行済株式総数(24,566,447株)に、(ⅱ)当社が2021年3月25日付で提出した第4期有価証券報告書に記載された2020年12月31日現在の全ての新株予約権(14,463個(目的となる株式数:344,966株))から、2021年1月1日以降2021年5月13日までに行使され又は消滅した新株予約権(506個(第5回新株予約権358個(目的となる株式数:32,220株)(注5)、第6回新株予約権148個(目的となる株式数:13,320株)(注6)))を除いた数の本新株予約権(13,957個(第2回新株予約権100個(目的となる株式数:50,000株)、第7回新株予約権6,747個(目的となる株式数:121,446株)、第8回新株予約権7,110個(目的となる株式数:127,980株)))の目的となる株式数(299,426株)を加算した株式数(24,865,873株)から、(ⅲ)当社四半期決算短信に記載された2021年3月31日現在の当社が所有する自己株式数(1,086,556株)から同日現在の当社の株式給付信託(BBT)の所有分(411,200株)を除いた株式数(675,356株)を控除した株式数(24,190,517株)(以下「当社潜在株式勘案後株式総数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下所有割合の記載において同じとします。
(注5)共同株式移転に際して、2011年1月14日開催のティー・ワイ・オー取締役会の決議に基づき発行された第8回新株予約権に代わるものとして2017年1月4日付で発行された新株予約権(行使期間は2017年1月4日から2021年1月14日まで)をいいます。
(注6)共同株式移転に際して、2011年1月14日開催のティー・ワイ・オー取締役会の決議に基づき発行された第9回新株予約権に代わるものとして2017年1月4日付で発行された新株予約権(行使期間は2017年1月4日から2021年1月14日まで)をいいます。
本公開買付け並びに本株式併合を含む本取引の目的及び背景の詳細は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせいたしましたとおりですが、以下に改めてその概要を記載いたします。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者が2021年5月17日に提出した公開買付届出書(その後の訂正を含みます。)その他公開買付者が公表した情報及び公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題
(i). 本公開買付けの実施を決定するに至った背景
当社グループ(当社並びにその子会社及び関連会社をいいます。以下同じです。)は、主にコンテンツプロデュース事業及びコミュニケーションデザイン事業を展開しております。当社の主要子会社の一社であるAOI Pro.は、1963年10月に株式会社葵プロモーションとして設立され、テレビCM制作事業を開始し、その後業容の拡大を経て、1990年4月に店頭登録銘柄として日本証券業協会に登録、1998年2月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2000年9月には東京証券取引所市場第一部に指定され、2012年7月に現在の商号である株式会社AOI Pro.に変更しております。同じく当社の主要子会社の一社である株式会社xpd(以下「xpd」といいます。)は1982年4月にティー・ワイ・オー(2021年1月4日付で、同社を新設分割会社、株式会社TYO(以下「TYO」といいます。)を新設分割設立会社とする新設分割を行い、株式会社xpdに商号変更しております。)として設立され、テレビCM制作事業を開始し、その後業容の拡大を経て、2002年4月に店頭登録銘柄として日本証券業協会に登録、2004年12月にジャスダック証券取引所に上場、2010年4月に大阪証券取引所JASDAQ市場に上場、2010年10月に大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場、2013年7月に大阪証券取引所と東京証券取引所の市場統合に伴い東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に上場、2013年10月に東京証券取引所市場第二部に市場変更、2014年1月には東京証券取引所市場第一部に指定されておりました。その後、2017年1月にAOI Pro.及びティー・ワイ・オーは経営統合し、当社は、両社の共同株式移転によりAOI Pro.及びティー・ワイ・オーの共同持株会社として設立され、AOI Pro.及びティー・ワイ・オーに代わり当社が東京証券取引所市場第一部に株式を上場、2021年1月には「コンテンツプロデュース事業」と「コミュニケーションデザイン事業」の2事業体制への組織再編を実施しております。当社グループは、ミッション「新しい『心動かす』で、新しい価値創出をしつづける。」の達成に向け、「未来を、感動を、人を、プロデュース。」をスローガンとして掲げており、「未来を」は成長領域へのチャレンジ、「感動を」は強みの一層の深掘り、「人を」は資産である人が成長する場、これらをグループ社員一丸となりプロデュースし、企業成長を目指しております。
コンテンツプロデュース事業は、主にAOI Pro.、TYO、株式会社TREE Digital Studio(2021年1月に株式会社デジタル・ガーデンを存続会社、株式会社メディア・ガーデン及び株式会社TTRを消滅会社とする吸収合併を実施し、株式会社デジタル・ガーデンは株式会社TREE Digital Studioに商号変更しております。)によって構成されており、広告会社を主な顧客として広告映像制作及び広告映像制作の後工程であるポストプロダクション(注1)を手掛けております。コンテンツプロデュース事業について、テレビCMにおける高クオリティ広告映像制作の実績及び経験を活かし、一層の事業成長を目指す方針です。
(注1)「ポストプロダクション」とは、広告映像の撮影後における、映像・音楽の編集、ナレーションや効果音の追加等の編集作業を総称したものです。
コミュニケーションデザイン事業は、xpdを中心に広告主との直接取引を通じて、広告主の広告・宣伝戦略に対して映像、並びにPR、イベント、空間デザイン等のソリューションの提供を手掛けております。広告主への直接的な営業スタイルを強化することにより、広告主のトータル・プロモーション戦略の立案から実行までを包含するワンストップソリューションを提供し、当社グループ内のクロスセルの早期実現を遂げる方針です。
また、コンテンツプロデュース事業及びコミュニケーションデザイン事業ともに、各事業の戦略に適した人材育成や技術開発、営業・管理体制の整備、さらにM&A等も活用しつつ、成長が期待されるデジタル動画広告制作の強化、及びこれまでの商流にとらわれない、より高収益のビジネスモデルの構築を目指しております。
近年、インターネットを中心としたデジタルメディア等の媒体の多様化や、スマートフォン・タブレット端末等に代表されるデバイスの多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(Virtual Reality=仮想現実)やAR(Augmented Reality=拡張現実)等のテクノロジーの進化もあいまって、広告事業を取り巻く環境は大きく変化しております。当社グループが主軸としているテレビCM制作市場は、企業のテレビ広告費の減少に連動して中期的に緩やかな縮小トレンドにあり、また当社グループの収益・利益の柱の1つであった複製(プリント)に係る売上・利益が減少する(注2)一方で、テレビ以外の映像媒体(インターネットを通じたデジタルメディア)へのデジタルシフトの加速により、デジタル動画広告制作市場は大きな成長が見込まれる等、当社グループを取り巻く事業領域は、その構造や重心の変化の過渡期にあると考えております。このような事業環境を踏まえて、当社グループは、従来のテレビCM制作を主軸としたビジネスモデルに加え、多様化するデジタルメディア等の媒体に対応した収益モデル及び多様化する広告主のニーズに対応する営業モデルの早期確立を目指して事業運営に取り組んできました。
(注2)当社グループは、2017年10月以前は、放送局に対して、テレビCM素材を電子記録媒体に複製(プリント)した上で納品しており、その複製にかかる売上・利益を計上しておりましたが、2017年10月以降、当社グループから放送局に対するテレビCM素材の提供方法としてオンラインでのデータ送稿が可能となったため、当社グループにおける複製(プリント)に係る売上・利益は減少しております。
(ii). 本公開買付けの実施を決定するに至った目的及び意思決定の過程
当社の代表取締役グループCEOである中江康人氏(以下「中江氏」といいます。)及び当社の代表取締役グループCOOである上窪弘晃氏(以下「上窪氏」といいます。)は、これらの広告事業を取り巻く環境の大きな変化を踏まえて、経営課題の解決のために様々な検討を行う中で、複数の経営コンサルタント、金融機関、コーポレートアドバイザリー会社、プライベート・エクイティ・ファンドとの接点をもち、中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社グループの経営戦略及び施策、さらには当社株式の非公開化や上場を維持した状態での最適な資本構成等について種々意見交換や協議を重ねてきたとのことです。なお、The Carlyle Group(関係会社及びその他の関連事業体を含め、以下「カーライル」といいます。)とはコーポレートアドバイザリー会社の紹介で2019年7月中旬に初めて接点を持ち、それ以降、カーライルとの間で当社グループの経営課題について不定期で議論を行っていたとのことです。
2020年2月以降のCOVID-19の感染拡大に伴い、当社グループは、感染拡大防止策を講じて業務を実施しておりましたが、2020年4月から5月の緊急事態宣言発令下では、撮影・編集スタジオの臨時休業や広告会社・広告主に対して撮影の延期要請を行うなど、COVID-19の感染拡大は、当社グループの事業に直接的な影響を与えました。また、COVID-19の感染拡大を受けた活動制限の影響により実体経済も低迷し、国内の広告市場においては、企業の広告費削減を受け、広告市場全体が落ち込み、当社グループが主軸としているテレビCM制作の需要は大幅に減少しました。
そのような事業環境の中、当社は、COVID-19による不安定な事業環境に対する当社グループの方針をステークホルダーに示すべく、上記の事業運営に関する具体的な取り組み、並びにCOVID-19の感染拡大による当社グループの事業への影響の足元の状況及び将来の見通しを織り込んで、中期経営計画に取り纏め、2020年8月24日に2021年度から2025年度の5ヵ年を対象とする当社グループ中期経営計画(以下「当社グループ中期経営計画」といいます。)を発表いたしました(なお、カーライルは当社グループ中期経営計画の策定に関与する立場になく、関与しておりません。)。
しかしながら、2020年秋以降もCOVID-19の流行は継続し、当社グループを取り巻く事業環境の変化のスピードは一層加速しました。具体的には、COVID-19の感染拡大の長期化に伴い企業の広告費全般の緊縮傾向が継続する中で、企業がより費用対効果が分かりやすい広告を志向し、テレビCMからデジタルメディア等の媒体に予算を振り分ける傾向が顕著となった一方で、より効率的・効果的な広告の実現のため、複合的なメディア戦略やオンラインマーケティング戦略等の広告に関する施策を制作会社から広告主に対して直接提供するサービスの需要の拡大は当社グループ中期経営計画で想定されていた以上の速度で進展しております。また、リモートワーク、オンライン会議、オンラインイベント・ウェビナー、キャッシュレス決済、デリバリー・サービス、ネット通販など生活全般の行動様式及び経済活動の変容は急速に浸透・定着し、それに伴って消費者が接する媒体の種類や、接する場所や時間も大きく変化し、広告の目的も店舗などリアルの場への集客とするものが急激に減少する等、生活全般の行動様式及び経済活動の変容は、広告の媒体及びコンテンツの双方における変化をもたらし、その変化は、当社グループ中期経営計画で想定されていたよりも早期に、かつ、急激に進展しております。中江氏及び上窪氏としては、このように事業環境の変化のスピードが一層加速していることに対応するためには、当社グループ中期経営計画で掲げた重点施策である「事業セグメントの再構築」、及び中長期的に持続可能な企業価値向上を目的とする事業展開方針である、事業領域の「掘り下げる」と「拡げる」戦略を当社グループ中期経営計画で想定していた時期よりも前倒しで実現させることの必要性を認識し、積極的な外部の優秀な人材の獲得、VRやAR等のテクノロジーへの投資、及びテクノロジーと映像制作が融合したコンテンツへの戦略投資等を早期に実施することで、当社グループの改革スピードを上げることが必要であるものと考えるに至ったとのことです。一方で、当社グループは、2020年12月期の業績が営業赤字に転落する厳しい状況の中、上場企業としてはコスト削減により短期的な利益を確保する必要があり、改革のスピードを上げるための中長期的な視点での大胆な戦略や投資を実施することは非常に難しい局面にあると認識しております。中江氏及び上窪氏は、2020年10月から11月にかけて、当社グループを取り巻く事業環境や今後の事業戦略を協議する中で、当社グループ中期経営計画で想定していた施策を前倒しで実現することに向けて、短期的には業績の悪化や株価下落リスクを当社の株主に負担させ、上場会社として安定的な株主還元にコミットできない可能性があり、また当社グループが上場会社としての株主還元のみにとらわれずリスクを伴う戦略的な意思決定を柔軟かつスピード感をもって実行していくためには、当社株式を非公開化するとともに、事業環境の変化に対応するために外部から優秀な人材獲得や広告のデジタル化への対応等に必要なリソース(ネットワーク、ノウハウ、資金調達等を含みます。)のサポートを得ることで当社グループ中期経営計画の早期達成に必要な人的及び資金的な経営資源を確保し、中期的な視点で当社グループの経営に注力できる状況を作り出すことによる、多様化する事業環境に対応する事業基盤の構築が有効かつ不可欠と考えるに至ったとのことです。
中江氏及び上窪氏は、COVID-19の影響の長期化及び当社グループを取り巻く事業環境の変化のスピードの一層の加速を踏まえ、上記の共通認識を前提として、接点を持った各社と意見交換・協議を重ねる中で、カーライルが当社グループ中期経営計画で掲げた戦略的方向性及び施策に対して深い理解を示したこと、広告業界においては人的ネットワーク及び経営のノウハウが極めて重要な成長ドライバーであるとの認識の下、カーライルとの協業により、カーライルの有する人的ネットワークに加え、カーライルが投資先企業を通じて蓄積した広告のデジタル化対応を含む最新の業界トレンド及び多様化する広告主のニーズの的確な把握、並びに全世界の様々な業界における投資先企業において得られた視点・ノウハウへの理解などを当社グループにおいて活用することにより、当社グループ中期経営計画で掲げる戦略の早期実現が可能となること、当社グループの中長期的な成長と企業価値向上に資する最適なパートナーであると判断したことから、2020年12月上旬から、カーライルとの間で、上場維持した状態での戦略実行ではなく、当社株式の非公開化を前提とする協議を本格化させたとのことです。なお、中江氏及び上窪氏は、カーライルとの協議が本格化される以前に、カーライルも含めて第三者から具体的な提案は受け取っていないとのことです。
中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年1月上旬から2021年1月下旬にかけての協議を通じて、当社グループの成長可能性や中長期的な経営環境の見通しを踏まえた当社グループの経営施策、さらには各々が認識する当社グループの経営課題や最適な資本構成等について議論を深める中で、当社グループが中長期に亘ってさらなる成長と企業価値向上を実現するためには、既存事業の収益力強化に加え、デジタル動画広告制作のような今後成長が期待される領域には、社内の経営資源に限定せず、社外からの人材や経営ノウハウを活用し、短期間で着実に実行できる体制を構築することが必要であるとの認識を共有するに至ったとのことです。
さらに、中江氏、上窪氏及びカーライルは、当社グループ中期経営計画が今後の広告業界の潮流を的確に捉えた有効な戦略であると考える一方で、上記のとおり、当社グループを取り巻く事業環境の変化のスピードは想定されていた以上に加速しており、当該事業環境の変化に対応するためには、当社グループ中期経営計画における重点施策等を想定していた時期よりも前倒しで実現させる必要があるとともに、そのような前倒しにより短期的には業績の悪化のおそれもある中で、上場企業としてスピード感をもった施策実行が困難となる可能性があるとの認識を共有し、短期的な業績の悪化や株価の下落のリスクを当社の既存株主に負担させることなく抜本的かつ機動的な経営戦略を断行して中長期的な視点から当社の企業価値を向上させるためには、当社株式を非公開化し、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、迅速かつ抜本的な事業変革を行うことが必要であるとの考えに至ったとのことです。
また、カーライルは、2021年1月下旬、中江氏及び上窪氏から、当社の企業価値向上により一層主体的かつ責任を持って関与する立場にあることを明確化すべく、中江氏及び上窪氏が所有する当社株式を本公開買付けに応募することにより得られた売却代金相当額につき、第三者割当の方法による公開買付者の株式の引受けその他の方法により公開買付者に対して出資する意向を有している旨の表明を受けたとのことです。
カーライルとしては、2021年2月上旬、中江氏及び上窪氏がこれまでに推し進めてきた当社グループの事業変革を切れ目なく継続しつつ、カーライルが考える戦略・施策を取り入れることが、当社の企業価値向上を実現していく上で必要であり、そのためには、中江氏は当社の代表取締役グループCEO、上窪氏は当社の代表取締役グループCOOであり、両氏は当社グループの持株会社である当社が2017年に設立されて以来、当社の取締役を務め、当社グループの各事業及び体制を熟知していることから、中江氏及び上窪氏が、本取引成立後も、当社の経営を担っていくことが重要であるものと考えるに至ったとのことです。また、カーライルとしては、中江氏及び上窪氏から表明を受けた公開買付者に対する出資の意向について、個人としての出資であるため本取引に要する資金全体に占める割合は限定的ではあるものの(当該時点においても、出資後における中江氏及び上窪氏の公開買付者に対する議決権割合は、いずれも1%未満となることを想定しているとのことです。)、個人としては決して小さくない額であるため、当社株式の非公開化及びその後の当社グループの経営に対する中江氏及び上窪氏による高いコミットメントであり、当社グループの役職員、取引先その他のステークホルダーとの関係性の維持・発展等の観点から、かかるコミットメントは本取引成立後の当社の企業価値向上に資するものであり、マネジメント・バイアウト(MBO)の方法により当社株式を非公開化すること、すなわち、中江氏及び上窪氏の依頼に基づきカーライルが公開買付者を通じて当社株式を非公開化した後、中江氏及び上窪氏が公開買付者に対して出資し、かつ、中江氏及び上窪氏が非公開化後も継続的に当社の経営を担うことには十分な合理性があると判断したとのことです。
中江氏、上窪氏及びカーライルは、当社と本取引の実施の可能性について協議を重ねた上で、当社に対して、2021年2月上旬に本取引に関する正式な意向を表明する提案書を提出したとのことです。その後、カーライルは、2021年2月中旬から2021年3月下旬までの間、本取引の実現可能性の精査のため当社グループに対するデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。また、当該デュー・ディリジェンス期間中である2021年2月16日に、当社が公表した「特別損失(連結)の計上及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」の内容についても、当社グループ中期経営計画の進捗に対して大きな影響がないことを確認しているとのことです。カーライルは、上記と並行して、中江氏及び上窪氏との間で、本取引の諸条件についての協議を続けたとのことです。具体的には、中江氏、上窪氏及びカーライルは、当社の事業及び財務に関する多面的かつ総合的な分析、過去の発行者以外の者による公開買付けの事例におけるプレミアムの実例及び当社の過去の一定期間における市場株価の動向等を参考に、価格帯別売買高分析において過去一定期間の相当程度の取引をカバーする水準を踏まえ、2021年4月7日、当社に対して、本公開買付けにおける当社株式の買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり741円とし、第2回新株予約権については、AOI Pro.の取締役に対して株式報酬型ストックオプションとして発行されたもので、権利行使の条件としてAOI Pro.の取締役の地位を喪失した日の翌日以降5年を経過する日までの間に限り権利行使できるとされており、公開買付者が第2回新株予約権を取得したとしても行使できないと解されること、第7回新株予約権及び第8回新株予約権については、当該各新株予約権における当社株式1株当たりの行使価格(第7回新株予約権:1,045円、第8回新株予約権:1,045円)が本公開買付価格の提案価格(1株当たり741円)を上回っていたことから、本公開買付けにおける本新株予約権1個当たりの買付け等の価格(以下「本新株予約権買付価格」といいます。)を1円とする旨の初回の価格提案を行ったとのことです。これに対し、2021年4月13日、当社から、当社株式1株当たり741円という本公開買付価格は、当社が実現しうる本源的価値が適切に反映された水準とはいえないこと及び近時の当社の株価推移を踏まえると、少数株主の利益保護の観点から妥当なプレミアムの水準とはいえないことを理由に、本公開買付価格の再検討を要請したことから(なお、本新株予約権買付価格の再検討は要請しておりません。)、中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年4月20日、本公開買付価格を1株当たり776円とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、2021年4月26日、当社から、当社株式1株当たり776円という本公開買付価格は、当社が実現しうる本源的価値が適切に反映された水準とはいえないこと及び近時の同種案件の動向に照らしても、少数株主の利益保護の観点から妥当なプレミアムの水準とはいえないことを理由に本公開買付価格の再検討を要請したことから、中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年4月27日、本公開買付価格を1株当たり800円とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、2021年4月28日、当社から、当社の2021年12月期の第1四半期決算の着地見通しが予算対比で大幅増収増益となる見込みであり、2021年12月通期業績見通しの修正の可能性が想定されること及び当社株式1株当たり800円という本公開買付価格は、当社が実現しうる本源的価値が少数株主に対して適切に分配される水準とはいえないことを理由に本公開買付価格の再検討を要請したことから、中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年5月10日、本公開買付価格を1株当たり885円とする旨の再提案を行ったとのことです。これに対し、2021年5月11日、当社から、当社の一般株主の利益を最大限追求するという観点より本公開買付価格の再検討を要請したことから、中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年5月12日、本公開買付価格を1株当たり900円、本新株予約権買付価格を1個当たり1円とする旨の最終提案を行ったとのことです。その後、中江氏、上窪氏及びカーライルは、2021年5月14日、当社から、本公開買付価格を1株当たり900円、本新株予約権買付価格を1個当たり1円とする旨の最終提案を応諾する旨の回答を受けたとのことです。
また、中江氏、上窪氏及びカーライルは、当社との交渉と並行して、2021年4月下旬、原文子氏、原砂織氏、原千浪氏、株式会社コスモチャンネル及び松本洋一氏に対し、2021年5月上旬、吉田博昭氏(原文子氏、原砂織氏、原千浪氏、株式会社コスモチャンネル及び松本洋一氏と併せて、以下「応募予定株主」といいます。)に対し、本取引の説明を行い、本取引を実施した場合の応募予定株式(本公開買付けの開始時点で応募予定株主が所有し又は共有していた当社株式を意味します。以下同じです。)の本公開買付けへの応募の可否について打診したところ、応募予定株主が本公開買付けへの応募に前向きであることを確認したとのことです。
その結果、中江氏、上窪氏及びカーライルは、当社グループに対するデュー・ディリジェンスの結果も踏まえ、2021年5月14日、本公開買付価格を1株当たり900円とし、本新株予約権買付価格については1円として、本取引の一環として公開買付者を通じて本公開買付けを開始することを決定し、公開買付者は、同日、応募予定株主との間で本公開買付けに係る応募契約を締結したとのことです。
② 当社における意思決定の過程及び理由
当社は、上記「① 当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題」に記載のとおり、2020年12月上旬に、中江氏及び上窪氏がカーライルとの間で当社株式の非公開化を前提とする協議を本格化させたことを受け、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、2020年12月上旬に、中江氏、上窪氏及びカーライル、当社並びに応募予定株主(以下「公開買付関連当事者」と総称します。)から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任するとともに、2021年1月中旬に、公開買付関連当事者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を選任いたしました。なお、当社は、2019年7月中旬以降、カーライルと当社において当社グループの経営課題について議論を行うに際しても、当該議論を行うにあたっての法的留意点等についてTMI総合法律事務所から助言を受けておりましたが、2020年12月上旬に、中江氏及び上窪氏がカーライルとの間で当社株式の非公開化を前提とする協議を本格化させたことを受け、改めてTMI総合法律事務所を本取引に係るリーガル・アドバイザーとして選任いたしました。
さらに、当社は、中江氏、上窪氏及びカーライルから、2021年2月上旬に本取引に関する正式な意向を表明する提案書を受領したことを受け、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2021年2月12日付で、特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置いたしました。
上記の体制の下、当社は、本取引の目的、本取引後の経営方針、本公開買付価格を含む本取引の諸条件について、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づいて、TMI総合法律事務所及びKPMGの助言を受けながら、公開買付者との間で複数回にわたる協議・検討を重ねました。
その結果、当社は、以下の点等を踏まえると、本取引が当社グループの企業価値向上に資するものであると考えるに至りました。
(ⅰ)上記「① 当社を取り巻く事業環境、当社の経営課題」に記載の当社グループ中期経営計画の公表後におけるCOVID-19の影響の長期化及び当社グループを取り巻く事業環境の変化のスピードの一層の加速を踏まえると、当社の中長期的な企業価値向上を図る観点からは、当社グループ中期経営計画で掲げた重点施策等を、当社グループ中期経営計画で想定していた時期よりも前倒しで実現させることが適切であること
(ⅱ)一方、当社グループ中期経営計画は、上場企業として求められる短期的な利益を確保しつつ、中長期的な視点での戦略・投資の実行を行うことを念頭に策定されたものであるところ、これを前倒しで実現しようとする場合には、短期的な業績の悪化や株価の下落のリスクを当社の既存株主に負担させるおそれがあることからすれば、そのようなおそれを回避しつつ中長期的な視点から当社の企業価値を向上させる方法として、当社株式を非公開化するという手法には合理性があると考えられること
(ⅲ)マネジメント・バイアウト(MBO)により当社株式を非公開化すること、すなわち、当社グループの事業内容を最も熟知している当社の代表取締役グループCEOである中江氏及び当社の代表取締役グループCOOである上窪氏の依頼に基づきカーライルが公開買付者を通じて当社株式を非公開化した後、中江氏及び上窪氏が公開買付者に対して出資し、かつ、中江氏及び上窪氏が非公開化後も継続的に当社の経営を担うことは、当社グループ中期経営計画で掲げた重点施策等を前倒しで実現させることの実効性を高める観点から、有用であり、また、中江氏及び上窪氏が当社の非公開化後に公開買付者に対して出資することは、当該出資後における中江氏及び上窪氏の公開買付者に対する議決権割合はいずれも1%未満となることが想定されており、当該割合自体は大きくないものの、当該出資の額は個人としては決して小さくない額であるため、当社株式の非公開化及びその後の当社グループの経営に対する中江氏及び上窪氏による高いコミットメントであり、当社グループの役職員、取引先その他のステークホルダーとの関係性の維持・発展等の観点から、かかるコミットメントは本取引成立後の当社の企業価値向上に資すると考えられること
(ⅳ)また、当社株式の非公開化に際して、カーライルとの協業を行うことは、カーライルの有する人的ネットワーク、カーライルが投資先企業を通じて蓄積した広告のデジタル化対応を含む最新の業界トレンド及び多様化する広告主のニーズの的確な把握、並びに全世界の様々な業界における投資先企業において得られた視点・ノウハウへの理解などを当社グループにおいて活用することが期待でき、合理的と考えられること
(ⅴ)一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなることが挙げられるものの、エクイティ・ファイナンスによる資金調達については、当社グループの現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、少なくとも当面の間その必要性は高くなく、また、知名度や社会的信用の向上についても、真摯な事業遂行により実現することが可能なものであることからすれば、当社グループにおける株式の非公開化に伴うデメリットは限定的と考えられること
また、当社は、以下の点等を考慮した結果、本公開買付価格は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断するに至りました(なお、当社は2021年2月16日に2020年12月期通期連結業績に関する「特別損失(連結)の計上及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」を公表しております。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で減少していた売上高が2020年12月期第4四半期に回復に転じたこと等により、売上高、営業利益、経常利益が業績予想を上回ったこと、一方で、特別損失に事業構造改善費用、減損損失を計上したこと等から親会社株主に帰属する当期純利益が業績予想を下回ったことが、2020年12月期連結決算の集計作業中に判明したために公表したものです。当該公表の影響については下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる当社株式の株式価値の算定において、株価参照期間に特段の調整を行うことなく市場株価法を用いることで織り込み済みです。)。
(ⅰ)本公開買付価格が、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの中央値を上回る金額であること
(ⅱ)本公開買付価格の決定に際しては、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること
(ⅲ)本公開買付価格が、上記措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われ、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案された価格であること
(ⅳ)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、当社が本特別委員会から2021年5月14日付で取得した答申書(以下「本答申書」といいます。)においても、本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当である旨判断されていること
なお、当社は、かかる判断に際し、本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2021年5月13日の東京証券取引所市場第一部における当社株式の終値589円に対して52.80%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアム率の計算において同じとします。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値620円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)に対して45.16%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値586円に対して53.58%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値507円に対して77.51%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であるところ、これらの市場株価には、当社が2021年5月14日公表した「2021年12月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の業績予想の上方修正の影響が反映されていないため、当該プレミアム水準のみを重視して本公開買付価格の是非を判断することはできないものの、少なくとも、当該上方修正の影響が反映されていない市場株価を基準としたプレミアム水準は、近時の他のMBO事例におけるプレミアム水準と比較して不合理に低い水準ではないと認められることから、当該上方修正の影響が反映されていない市場株価を基準としたプレミアム水準が本公開買付価格の妥当性を否定する理由とはならないことも考慮しております。
一方で、本新株予約権買付価格が1円とされていることから、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねることが適当であると判断いたしました。
以上より、当社は、2021年5月14日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行いました。
その後、上記のとおり本公開買付けは成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式(当社の株式給付信託(BBT)の所有分を除きます。)を除きます。)を取得することができなかったことから、当社に対して、当社の株主(当社を除きます。)を公開買付者のみとするため本株式併合の実施を要請いたしました。そのため、当社は、本意見表明プレスリリースの「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社株式3,900,000株を1株に併合する本株式併合を実施いたします。本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.本株式併合の割合
当社株式について、3,900,000株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1) 端数処理の方法に関する事項
① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由
本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株に満たない端数につきましては、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その売却により得られた代金を端数が生じた株主の皆様に対して、その端数に応じて交付いたします。
当該売却において、本株式併合が、当社株式を非公開化することを目的とした本取引の一環として行われるものであること、及び当社において自己株式数を増加させる必要も存しないことから、当社は会社法第235条第2項が準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で、当該端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却価格につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である900円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。
② 売却に係る株式を買い取る者となると見込まれる者の氏名又は名称
スタジオ・クルーズ株式会社
③ 当該者が売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法及び当該方法の相当性
公開買付者は、本株式併合により生じる端数の合計額に相当する当社株式の取得にかかる資金を、株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)及び株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)からの借入れにより賄うことを予定しているところ、当社は、みずほ銀行からの借入れに関する融資証明書及び三菱UFJ銀行からの借入れに関する融資証明書を確認することによって、公開買付者の資金確保の方法を確認しております。また、公開買付者によれば、今後、端数相当株式の売却に係る代金の支払に支障を及ぼす事象の発生は見込まれていないとのことです。
したがって、公開買付者による端数相当株式の売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。
④ 売却する時期及び売却により得られた代金を株主に交付する時期の見込み
当社は、本株式併合の効力発生後、会社法第235条第2項の準用する会社法第234条第2項の規定に基づき、本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の売却について、2021年10月中旬を目途に裁判所に許可を求める申立てを行うことを予定しています。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動しますが、同年10月下旬を目途に裁判所の許可を得て、2021年11月上旬を目途に公開買付者に売却し、その後、当該売却により得られた代金を株主の皆様に迅速かつ円滑に交付するための準備を行った上で、2021年12月下旬を目途に株主の皆様に端数相当株式の売却代金を交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合と同様にスクイーズアウト手続きの一環として行われる株式併合の他社事例における裁判所に許可を求める申立て、裁判所の許可の取得及び当該売却に係る代金を交付するために要する期間、当社のために当該売却に係る代金の交付を行う当社の株主名簿管理人との協議、並びに公開買付者による当該売却に係る代金の支払のための資金の準備状況及び確保手段を踏まえて、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われる見込みがあり、また、当該売却により得られた代金の株主への交付が行われる見込みがあるものと判断しております。
(2) 端数処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合により生じる端数の処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額は、上記「(1) 端数処理の方法に関する事項」に記載のとおり、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である900円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定しております。
本公開買付価格につきましては、本意見表明プレスリリースに記載のとおり、以下の点等を考慮した結果、当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であると判断しております。
(ⅰ)本公開買付価格が、KPMGによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限を上回るものであり、かつ、DCF法に基づく算定結果のレンジの中央値を上回る金額であること
(ⅱ)本公開買付価格の決定に際しては、下記「(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること
(ⅲ)本公開買付価格が、上記措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われ、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた結果として提案された価格であること
(ⅳ)当社が本特別委員会から取得した本答申書においても、本公開買付価格を含む本取引の取引条件が妥当である旨判断されていること
また、当社は、2021年5月14日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をした後、2021年7月30日に至るまでの当社の業況を踏まえ、本取引に関する諸条件を改めて検討した結果、2021年7月30日開催の取締役会において、本取引に関する判断を変更すべき要因がないと判断いたしました。
以上のことから、当社は、本株式併合によって生じる端数の処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3) 本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付け及び本株式併合がマネジメント・バイアウト(MBO)のための本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反状態が生じ得ること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、以下の措置を実施いたしました。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けを含む本取引に関する意見表明を行うにあたり、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関として、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるKPMGに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼しました。また、KPMGは、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係るKPMGに対する報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関につき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。
KPMGは、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所市場第一部に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法及び将来の事業活動の状況を評価に反映するためDCF法を用いてそれぞれ株式価値の算定を行い、当社はKPMGから2021年5月13日付で株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)を取得しました。なお、当社は、KPMGから本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
上記各手法において算定された当社株式1株当たりの価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。
市場株価法 :507円から620円
DCF法 :784円から982円
市場株価法では、本公開買付けに関する当社取締役会決議の前営業日にあたる2021年5月13日を基準日として、東京証券取引所市場第一部における当社株式の基準日終値589円、直近1ヶ月間の終値単純平均値620円、直近3ヶ月間の終値単純平均値586円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値507円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を507円から620円までと算定しております。
DCF法では、当社の2021年12月期から2025年12月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として当社が2021年12月期より将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、事業リスクを考慮した適切な割引率で現在価値に割り引いて当社の株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を784円から982円と算定しております。なお、割引率には加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital:WACC)を使用しております。加重平均資本コストは、資本資産価格モデル(Capital Asset Pricing Model:CAPM)により見積もった資本コストと、節税効果控除後の予想調達金利により見積もった負債コストを、当社及び類似上場会社の情報により見積もられた株主資本構成比率で加重平均することにより計算しており、8.9%~9.9%を採用しております。また、継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、永久成長率法では成長率を0.0%~1.0%としております。
KPMGがDCF法による算定の前提とした当社の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)に基づく財務予測は以下のとおりです。
本事業計画には、2025年12月期にかけて対前年度比において大幅な増益を見込んでいる事業年度が含まれております。主な要因として、2021年12月期は、いまだ新型コロナウイルス感染拡大による広告市場の落ち込みの影響が残るものの、今後は緩やかな回復が見込まれる中、当社グループ中期経営計画で掲げた重点施策である「事業セグメントの再構築」、及び中長期的に持続可能な企業価値向上を目的とする事業展開方針である、①グループ一体経営、②事業領域の「掘り下げる」と「拡げる」戦略を実現することで2025年12月期には売上高が68,034百万円、営業利益が4,351百万円となる損益計画を見込んでおります。
また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、本事業計画には加味されておりませんが、以下の財務予測においては、上場関連費用の削減効果のみ考慮しております。
KPMGは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から受けた情報、ヒアリングにより聴取した情報、一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、採用したそれらの資料及び情報が全て正確かつ完全なものであること、かつ、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でKPMGに対して未開示の事実はないことを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、KPMGは、当社及びその子会社の資産又は負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)について個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者算定機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。KPMGによる当社株式の株式価値の算定は、2021年5月13日までの情報及び経済条件等を反映したものであり、KPMGがDCF法による評価に使用した当社の事業計画については、当社の経営陣により当該基準日時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。ただし、KPMGは、算定の基礎とした当社の事業計画について、複数回、当社と質疑応答を行い、当社の現状を理解した上で、それらに不合理な点がないかという限りにおいて、当社の事業計画の合理性を確認しており、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。
(単位:百万円)
2021年12月期2022年12月期2023年12月期
売上高56,52059,01061,800
営業利益1,6222,7953,148
EBITDA2,6033,7844,424
フリー・キャッシュ・フロー△1,3881,1611,306

2024年12月期2025年12月期
売上高64,37668,034
営業利益3,6904,351
EBITDA4,9675,654
フリー・キャッシュ・フロー1,7451,857

上記の財務予測は、当社が2021年5月14日に公表した「2021年12月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」に記載の2021年12月期通期連結業績予想を考慮したものであります。
なお、当社は、本新株予約権買付価格に関して、第三者算定機関から算定書及びその妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付価格の公正性その他の本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、同事務所から、本取引に関する諸手続きを含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、TMI総合法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません。また、TMI総合法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず時間単位の報酬のみとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
本特別委員会は、当社が選任したリーガル・アドバイザーにつき、独立性及び専門性に問題がないことから、当社のリーガル・アドバイザーとして承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを、第1回の本特別委員会において確認しております。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2021年2月12日付で、公開買付関連当事者から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置いたしました。本特別委員会の委員としては、いずれも当社の社外取締役、独立役員及び監査等委員でもある萩原義春氏(司法書士)、髙田一毅氏(税理士)及び小久保崇氏(弁護士)の3名を選定しております。萩原義春氏は、司法書士として企業における上場準備・組織再編・M&A等を含む企業法務に関する業務を専門としており、当該分野に関する知見が豊富であることから、髙田一毅氏は、税理士として税務顧問・経営計画の立案等を専門としており、当該分野に関する知見が豊富であることから、小久保崇氏は、弁護士として組織再編・M&A・コーポレートガバナンスを含む企業法務に関する知見が豊富であることから、それぞれ本特別委員会の委員に選定しております。なお、当社は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず固定額の報酬を支払うものとされ、当該報酬には、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引が当社グループの企業価値の向上に資するかを含みます。)に関する事項、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)に関する事項、(c)本取引の手続きの公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)に関する事項及び(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含みます。)を決定することが当社の少数株主に不利益か否か(以下(a)乃至(d)の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問しております。
なお、当社は、本諮問事項の諮問に関し、当社取締役会において本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定を行わないことをあらかじめ決定しております。
本特別委員会は、2021年2月12日より2021年5月14日まで合計11回、合計約15.5時間にわたって開催され、本諮問事項について、慎重に検討及び協議を実施しております。具体的には、公開買付者から、本取引の目的・理由、公開買付関連当事者が本取引を検討するに至った経緯、本取引実行後の経営方針・投資計画等に関する事項等について説明を受け、質疑応答を実施しております。また、当社から、当社グループの事業の内容、外部環境、現在の経営課題、KPMGによる株式価値算定の前提とした事業計画の内容、公開買付関連当事者が本取引を検討するに至った経緯、公開買付者の提案内容等に関する事項等に関する説明を受け、質疑応答を行い、その合理性を検証しております。さらに、公開買付者と当社との間における本取引に係る協議・交渉について、当社からその経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、当社をして、本特別委員会が承認した交渉方針に従って交渉を行わせるなどして、公開買付者との交渉過程に関与しております。加えて、KPMGから当社株式の株式価値の算定方法及び結果に関する説明を受け、当該算定方法及び結果に対し財務的見地から質疑応答を行い、その合理性を検証したほか、TMI総合法律事務所から本取引において利益相反を軽減又は防止するために採られている措置及び本取引に関する説明を受け、当該措置の十分性等に関して質疑応答を行うとともに、当社から本取引の諸条件の交渉経緯及び決定過程等に関する説明を受け、質疑応答を実施しております。これらの内容を踏まえ、本特別委員会は本諮問事項について慎重に協議・検討を行っております。
本特別委員会は、このように本諮問事項について慎重に協議・検討した結果、2021年5月14日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要、(a)本取引の目的は合理的である、(b)本取引により当社の少数株主に交付される対価及びその種類を含む本取引の取引条件は妥当である、(c)本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引の手続きは公正である、(d)(a)乃至(c)その他の事項を踏まえると、当社の取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益であるとはいえない旨を内容とする本答申書を提出いたしました。なお、当該意見は、当社の取締役会が、(ア)本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権者に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けへ応募するか否かを本新株予約権者の判断に委ねる旨の決議を行うこと、及び(イ)本公開買付け後に株式併合又は株式等売渡請求の方法を用いたスクイーズアウト手続きを実施することを決定することについても、当社の少数株主にとって不利益なものであるとはいえないことを含むものです。本答申書の詳細につきましては、本意見表明プレスリリースをご参照ください。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む。)の承認
当社は、KPMGより取得した当社株式価値算定書、TMI総合法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に検討いたしました。
その結果、当社取締役会は、本取引が当社グループの企業価値の向上に資するものであると判断するとともに、本公開買付けは合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2021年5月14日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(全取締役8名のうち、中江氏及び上窪氏を除き、譲原理氏、松尾一平氏、和田こいそ氏及び監査等委員である取締役3名(うち社外取締役3名)を含む取締役6名)の全員一致で、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨、一方、本新株予約権者の皆様に対しては、本新株予約権に関して本公開買付けに応募するか否かについては、本新株予約権者の皆様のご判断に委ねる旨の決議を行いました。
また、当社は、2021年7月30日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(全取締役8名のうち、中江氏、上窪氏及び髙田一毅氏を除き、譲原理氏、松尾一平氏、和田こいそ氏並びに社外取締役、独立役員及び監査等委員である萩原義春氏及び小久保崇氏の取締役5名)の全員一致で、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化するために、本株式併合を実施することとし、本株式併合に係る議案を本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。当社の取締役のうち、髙田一毅氏は、業務上の都合により、当該取締役会を欠席しましたが、髙田一毅氏からも、当該取締役会に先立ち、当該取締役会決議に賛同する旨を確認しております。
なお、本公開買付けが中江氏及び上窪氏の依頼に基づいて実施されるものであること、また、中江氏及び上窪氏が本公開買付け後に公開買付者に対する出資を行う予定であることから、利益相反の疑いを回避する観点より、中江氏及び上窪氏は、上記の各取締役会における審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。
⑤ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、本公開買付けに際して、(i)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、当社株式の全て(ただし、当社が所有する自己株式(当社の株式給付信託(BBT)の所有分を除きます。)を除きます。)及び本新株予約権の全ての株式等売渡請求をすること又は本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主及び本新株予約権者の皆様に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用しないこと、並びに、(ii)株式等売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は1株当たりの本公開買付価格に当該各株主(公開買付者を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定されること、本新株予約権者の皆様に対価として交付される金銭は1個当たりの本新株予約権買付価格に当該本新株予約権者が所有する当社の本新株予約権の数を乗じた価格と同一になるよう算定されることを明らかにしていることから、当社の株主及び新株予約権者の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮したとのことです。
また、公開買付者は、本公開買付けの買付け等の期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、比較的長期間である36営業日に設定することにより、当社の株主及び本新株予約権者の皆様に本公開買付けに対する応募につき適切な判断機会を提供するとともに、他の買付者による買付けの機会を確保したとのことです。
さらに、公開買付者と当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを不合理に制限するような内容の合意は一切行っておりません。このように上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付けの機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮いたしました。
なお、本特別委員会は、市場における潜在的な買収者の有無を調査・検討する、いわゆる積極的なマーケット・チェック(本取引の公表前における入札手続き等を含みます。)については、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するために実施された各種措置の内容、その他本取引における具体的な状況に鑑みて、これを実施しなくとも特段、本取引の公正性が阻害されることはない旨を判断しております。
⑥ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)に相当する数を上回る買付予定数の下限の設定
公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を15,844,900株(所有割合:65.50%)と設定しており、本公開買付けに応募された当社株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限(15,844,900株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないこととしておりました。なお、買付予定数の下限(15,844,900株)は、当社潜在株式勘案後株式総数(24,190,517株)から、中江氏が所有する第2回新株予約権24個の目的となる株式数(12,000株)、当社の株式給付信託(BBT)の所有分(411,200株)、応募予定株式の数(2,432,375株)、中江氏が所有する当社株式(40,176株)、及び上窪氏が所有する当社株式(29,978株)を控除した株式数(21,264,788株)の過半数、すなわち、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主が所有する当社株券等の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する数(10,632,395株)に、応募予定株式の数(2,432,375株)、中江氏が所有する当社株式(40,176株)、及び上窪氏が所有する当社株式(29,978株)を加算した株式数(13,134,924株)を上回るものとなるとのことです。これにより、公開買付者の利害関係者以外の当社の株主及び本新株予約権者の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしたとのことです。
4.本株式併合の効力が生ずる日
2021年9月30日
以上