有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/20 15:00
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「夢に向かって成長しつづけよう」という経営理念の下、少子高齢化や労働者人口減少などの人口問題の解決を命題として企業活動を推進しております。人々の価値観やニーズがますます多様化する社会に対応するために、保育事業、介護事業及びICT事業を展開し、各事業間のシナジーを最大限に高め、「福祉の総合企業」として社会に貢献し続けてまいります。
(2)経営戦略等
少子高齢化社会の中で労働人口を確保するために、認可保育所の整備促進が図られております。
当社グループはこれに応じるべく、当面は新規の認可保育園の新規開設に最大限注力し、先行投資が継続する経営戦略を採用しております。
また、新規の認可保育園の開設エリアについては、ドミナント戦略を徹底し、将来の人口動向を元に経済発展が見込まれる地域のみに限定する方針です。さらに、保育事業のドミナントエリア内において介護事業を展開することにより、管理上のコスト削減を行い、シナジー効果を享受していく方針です。
ICT事業においても、認可保育園の運営によるノウハウの蓄積と商品サービスへの反映を通じて品質を高め、外販を加速させるとともに、自社で展開する施設においても利用することで、保育事業の拡大に伴う管理コスト増大を抑制し、シナジー効果を創出していく方針です。また、午睡(ごすい)センサーや連絡帳アプリの開発を行うなど、付加価値の創出にも努めていく方針です。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、旺盛な保育ニーズに応じるべく新規の認可保育園の開設に最大限注力しており、これまで戦略的に営業損失が生じる計画を採用しておりました。現時点では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその数値目標を定めておりませんが、企業価値を測る指標として、売上、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の前年比増による成長性を重視しています。今後、業界動向及び当社グループの業績の推移等を勘案し、早期に経営指標及び数値目標を決定する予定です。
(4)経営環境
政府による少子高齢化対策として打ち出された「ニッポン一億総活躍プラン」に掲げられている一億総活躍社会の実現に向け、保育並びに介護業界の環境整備が促進されております。当社グループでは、「日本の人口問題を解決する」を使命に、待機児童の解消、障害児支援及び高齢者介護などの問題を施設の運営によって解決できるように取り組んでまいります。また、ICT化が遅れている保育業界には、当社グループ独自の「CCS」の提供を通じて、保育士の事務・雑務の軽減につなげ、保育の質の向上と子どもを安心して預けられる環境づくりを提供してまいります。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの更なる事業の拡大に向けて対処すべき課題は、次のとおりです。
① 施設開設のドミナント戦略
当社グループが更なる事業の拡大をするためには、既存進出地域である東京都23区、千葉県内、大阪市内を中心として施設開設の拡充を図り、ドミナント戦略による地域ブランドの認知向上ならびに地域密着の推進により多様化する利用者ニーズに応じたサービス提供、人員の集中採用、効率的な人員異動による経費削減などを図ってまいります。
② 事業効率の向上
当社グループの規模拡大に合わせてスケールメリットを享受するためには、事業効率の向上が必要になります。このため、当社グループは、戦略的かつ機動的な経営体制を強化する目的で持株会社制を導入しており、本社機能は持株会社に集約しております。今後、当社グループの規模拡大に合わせて、本社機能の拡充とそれに伴うコスト増が想定されますが、事業効率の向上によりコスト増の抑制を図り、規模拡大によるスケールメリットを享受してまいります。
③ 採用強化による人材の確保
当社グループでは、施設数の増加に伴い、施設に必要な資格を有する優秀な人員の確保の重要性が増してきております。従来の経験者中心の採用だけではなく、新卒者の採用にも注力することで採用強化を図ります。当社グループでは、特に保育士の確保を強化し、施設の新規開設と施設運営に注力してまいります。
④ 品質の維持向上
当社グループは、保育・介護施設の運営を通じて、待機児童の解消、障がいをお持ちの方や高齢者の生活支援に貢献しております。そこで提供するサービスの質を向上させ、利用者の満足度を満たしていくように努める必要があります。
一方で、保育施設においては今後も新規開設の増加が見込まれ、企業規模の急拡大及び新規従業員の増加により、施設ごとの運営方針の不遵守化、属人化が懸念されております。当社グループは当該懸念に対して、研修制度の充実と適切な職員配置を通じて対処していく方針です。具体的には、研修を通じて施設運営方針を遵守させるとともに、社内で育成した施設長や管理職を配置することによって、既存・新規施設ともに品質を確保できる体制の構築に努めております。
⑤ ICT事業の営業力強化
保育ICT化に関する国の補助制度が設けられたことを契機に、今後も保育分野におけるICT市場は拡大することが見込まれております。このような市場拡大期において、当社グループも営業力を強化し、最大限のシェア獲得に努める必要があります。具体的には、自社の営業チームの強化に加えて、保育士人材紹介会社やクラウドソーシング会社と提携し、より広く全国の保育園にアプローチできる営業体制の構築に努めております。