有価証券届出書(新規公開時)

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2018/08/21 15:30
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事業等のリスク

当社グループが営む事業におけるリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりであります。これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)保険引受に関するリスク
① 損害保険の引受に関するリスク
当社グループの損害保険事業においては、自動車運転に関わるリスクや地震・台風等の自然災害に関わるリスク等を引き受けております。保険料設定時に想定している経済情勢や保険事故発生率等が、その想定に反して変動した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性がありますが、とりわけ、地震・噴火・台風・水災・大雪その他の大規模な自然災害が、広範囲あるいは人口密集地において発生した場合には、更にその影響が大きくなる可能性があります。このような場合に備えて、当社グループは保険業法の定めにより異常危険準備金等を積み立てておりますが、この準備金等が実際の保険金支払に対して十分ではない可能性もあります。このような予測を超える頻度や規模で自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
② 生命保険の引受に関するリスク
当社グループの生命保険事業における収益は、保険料率の設定や責任準備金の額を決定するために使用する計算基礎率(予定死亡率・予定利率・予定事業費率)が、どの程度実績値と一致するか等によって大きく左右されます。予定死亡率よりも実際の死亡率が高かった場合、予定利率より実際の資産運用利回りが低かった場合及び予定事業費率よりも実際の事業費率が高かった場合には、想定よりも低い水準での収益しか得られないこととなります。生命保険事業においては、保険期間が長期に亘るという契約の特質上、このような前提としている指標に関する不確実性が内在するため、想定と大きく異なった保険金支払い等の事象が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
③ 少額短期保険の引受に関するリスク
当社グループの少額短期保険事業においては、地震・台風等の自然災害に関わるリスクからペットの診療費に関わるリスクまで、様々なリスクを引き受けております。保険料設定時に想定している経済情勢や保険事故発生率等が、その想定に反して変動した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性がありますが、とりわけ、地震・噴火・台風・水災・大雪その他の大規模な自然災害が、広範囲あるいは人口密集地において発生した場合には、更にその影響が大きくなる可能性があります。このような場合に備えて、当社グループは保険業法の定めにより異常危険準備金等を積み立てておりますが、この準備金等が実際の保険金支払に対して十分ではない可能性もあります。このような予測を超える頻度や規模で自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、少額短期保険業者に対して適用されている、いわゆる「経過措置」(※1)については、平成35年(2023年)3月末までの延長が認められましたが、その後においてこの経過措置の延長等がなされず、引受可能な保険の上限金額が引き下げられた場合には、これによる収入保険料の減少等により、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(※1)「経過措置」について
平成17年の保険業法改正により制度が創設された少額短期保険業者において、それまで共済事業を行っていた者に関しては、激変緩和のため、保険引受けの上限金額に経過措置(例:死亡保険における被保険者1人あたりで引受可能な保険の上限:本則では300万円・経過措置では1,500万円等)が適用され、この経過措置は、平成24年の保険業法改正により一度延長され、平成30年3月末にその期限が到来することとなっていましたが、再度平成35年(2023年)3月末まで延長されたものです。
④ 責任準備金の積み立て不足に関するリスク
当社グループが営む損害保険事業や生命保険事業においては、保険業法及びその施行規則に従い、将来の保険金や給付金の支払いに備えて、責任準備金を積み立てる必要があります。この責任準備金は、当社グループの負債の中で最も大きな部分を占めており、その計算にあたっては、保険契約にて保障(補償)される事象の発生する頻度や時期、保険金等の支払額、資産運用額等についての一定の前提を置いた上での見積りとしております。しかしながら、このような前提と実際の結果に乖離が生じた場合や、環境の変化等により将来乖離することが想定される場合には、責任準備金の積増しが必要となることがあり、その場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
⑤ 再保険に関するリスク
当社グループにおいては、引き受けた保険責任を分散し収益を安定させることを目的として再保険を利用しておりますが、再保険市場の環境変化により再保険料が高騰する場合や十分な再保険の手当てが出来ない場合があります。また、再保険会社の破綻等により再保険金が回収不能となる信用リスクも伴うため、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(2)保険業界を取り巻く環境に関するリスク
① 我が国の経済動向に起因するリスク
当社グループが営む事業においては、その収益の多くが日本国内にて生み出され、かつ個人向け保険商品の販売に起因するものであることから、我が国の景気や個人消費の動向等による影響を受けやすく、今後個人消費が大きく低迷する経済局面が到来した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
② 保険業界における競争激化に起因するリスク
当社グループは、保険マーケットにおいて、他の損害保険会社や生命保険会社等との激しい競争に直面しております。競合他社の中では、当社グループに比べて、商品内容やラインナップ、保険料水準等において優位性を有している会社があります。また、新規参入や経営統合によるシナジー効果の発揮等により、高い競争力を有した会社が今後新たに出現し、当社グループが、価格面や商品面等でこのような会社に劣後した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、SBI損害保険株式会社は、いわゆるダイレクト損保に分類される保険会社でありますが、マーケットにおいて、ダイレクト損保は、それ以外の競合他社に比べて価格優位性はあっても、サービス品質が低いとのイメージが広まった場合、ダイレクト損保のマーケットシェアが拡大せず、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
③ 保険マーケットの変化に起因するリスク
人口減少や少子高齢化、回復基調ではあっても大きくは回復しない個人消費の動向等を背景として、我が国の生命保険マーケットは、総保有契約高の減少をはじめとする様々な影響を受けております。とりわけ青壮年層の人口減少や保険ニーズの低下は、マーケット規模の縮小を生み、これにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、当社グループが取り扱う損害保険商品のうち、基幹商品となるのは自動車保険でありますが、自動車保険マーケットは、新車登録台数の動向が不安定であることや軽自動車等の比較的安価な車両の保有割合が上昇していること等により、ほぼ横ばいの状態であります。今後マーケット規模が大幅な縮小に転じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
④ 新技術又は技術革新に対応出来ないリスク
医療技術の進歩や自動車における自動運転技術の普及等、近年保険業界を取り巻く技術水準の進化は急速に進んでおります。また、これら技術革新を金融分野に応用するいわゆるFinTechについても、今後その本格的な推進が想定されます。例えば、自動車の自動運転技術が一般化すれば、自動車事故が減少し保険ニーズが低下することが想定され、これにより自動車保険マーケットは大きく変貌することとなります。当社グループは、このような技術革新に合わせた商品やサービスを提供しつつ、事業の継続的な拡大を図っていく必要がありますが、これへの対応が出来ない、あるいは不十分である場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
⑤ 保険業法の規制に関するリスク
当社グループは、保険業法及び関連法令の下、金融庁による包括的な規制等の監督を受けております。例えば、保険業法においては、業務範囲の制限、資産運用における運用範囲の制限、一定の準備金の確保及び最低限のソルベンシー・マージン比率(※2)の維持等が定められております。また、同法においては、内閣総理大臣に対し、各種の報告徴求や会計記録等に関する立ち入り検査の実施等、広範な権限を与えております。
我が国において、保険持株会社、損害保険会社および生命保険会社は免許制であり、少額短期保険業者は登録制であります。免許や登録に特段の期限の定めはないものの、これらの会社が、法令や定款に違反した場合、または公益を害する行為をした場合等には、内閣総理大臣は、業務の全部もしくは一部を停止させる、あるいは免許を取り消すこと等ができる旨も保険業法により定められております。
本書提出日現在において、当社グループにおいて上述の事由に該当する事実はありませんが、将来において免許が取り消される等の事態が生じた場合には、その会社は事業の継続が出来なくなり、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(※2)「ソルベンシー・マージン比率」について
保険会社は、一定程度の保険金等の支払いの増加や金利の低下による収入減など「通常予測できる範囲のリスク」に対しては、保険金の支払いを予め見込んで「責任準備金」として積み立てています。一方で、大規模な災害による保険金支払いの急激な増加や運用環境の悪化等の「通常の予測を超えたリスク」に対しては、「自己資本」や「準備金」等で対応することになります。つまり、「ソルベンシー・マージン比率」とは、保険会社が、「通常の予測を超えたリスク」に対して、どの程度「自己資本」や「準備金」等の支払余力を有するかを示す財務健全性に関する指標となります。
ソルベンシー・マージン比率は、保険会社に対して、早めの経営改善を促すための指標となるものであり、これが200%を下回ると、内閣総理大臣により早期是正措置命令が発動されることになります。
⑥ 当社グループの事業運営に係る法規制等の改正や新設に関するリスク
当社グループの保険事業に係る法規制等の改正や新設があった場合、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。例えば、国際会計基準審議会において公表された、保険負債を現在価値にて評価する等の新しい会計基準が、将来我が国においても導入された場合には、その時々の金利水準等の要素を考慮して責任準備金を計算することとなりますが、この場合において、想定している以上の積み立てが必要となる可能性があります。このように、当社の事業運営に関わる法規制等に、改正や新設が生じた場合には、これへの対応に係る追加的なコストの発生等も含めて、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(3)資産運用に関するリスク
① 金利変動に関するリスク
保険契約が長期に亘る生命保険事業を行っているSBI生命保険株式会社においては、保険契約の引受によって生じる負債の特性に合わせて運用資産を適切に管理し、長期的にも資産・負債のバランスを保ちながら、安定的に収益を確保することを目的として、「ALM」(Asset Liability Management:資産・負債の総合的管理)を実施しております。ALMにおいては、保険契約者に対する債務のデュレーション(残存期間)と運用資産のそれをマッチさせることが基本となりますが、これがミスマッチとなった場合には、金利変動リスクが生じる可能性があります。
具体的には、(現在のマイナス金利状態を含む)金利の低下局面においては、平均運用利回りが低下する一方で、既に保有している保険契約において設定している予定利率は変わらないため、いわゆる逆ざやが発生することがあり、これにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
これとは逆に、金利の上昇局面においては、平均運用利回りも上昇しますが、保有する公社債の価格が下落することにより、評価損や減損が発生することがあります。また、保険契約者がより高利回りとなる他の金融商品を選好することにより、解約率が上昇することがあります。これらにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
② 為替変動に関するリスク
当社グループは、本書提出日現在においては、為替変動をフルヘッジとすることを原則として外貨建ての資産を保有しております。しかしながら、将来において、フルヘッジではない外貨建ての資産を保有し、為替相場に大きな変動が生じた場合、あるいはヘッジされていたとしても、国内外の金利差が拡大し、ヘッジコストが高まった場合には損失が発生し、これらにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
③ 信用リスク
当社グループが保有する債券において、信用格付けの引き下げ等により、その発行体の信用力が低下した場合には、当該債券の市場価格も低下し、有価証券売却損や有価証券評価損が発生することがあります。また、発行体の財政状態が悪化することにより、元利金の不払い等の債務不履行に陥ることがあります。これらにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(4)流動性リスク
当社グループが営む保険事業においては、保険金、給付金及び解約返戻金等の支払いに備え、流動性を確保する必要があります。当社グループにおいては、各社の事業特性に応じて、十分な流動性資産を保有する等の適切な流動性の管理を行っております。その一方で、公社債等の流動性が低い資産も保有しているため、大量あるいは大口解約に伴う解約返戻金支出の増加、大規模な自然災害の発生による支払保険金の増加等により資金ポジションが悪化した結果、著しく低い価格でこれを売却することを余儀なくされることも含め、通常よりも著しく高いコストでの資金調達が必要となる場合もあります。この場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(5)SBIグループとの関係に関するリスク
① SBIホールディングス株式会社との資本関係等に関するリスク
SBIホールディングス株式会社は、当社の発行済株式数(普通株式)のうち95.8%を保有しており、また、上場時点においても当社の総議決権数の過半数を保有する予定です。よって、SBIホールディングス株式会社が、当社役員の選任・解任、他社との合併等の組織再編、定款の変更や剰余金の処分等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはSBIグループの総合金融サービス事業の一翼を担っていることから、SBIホールディングス株式会社はSBIグループの金融サービス事業戦略全体を勘案した議決権の行使を行う等、一般株主の利害と異なる議決権の行使その他の行為を行う可能性があります。
また、SBIホールディングス株式会社や当社グループを除くその他のSBIグループ会社において、財務内容、信用力、業績等に関するマイナスイメージが生じた場合には、当社グループも同様であるとの風評が生じ、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。
② 「SBI」の商標使用に関するリスク
当社グループは、SBIホールディングス株式会社に対し商標使用を申請しその使用の承諾を得て「SBI」の名称を使用しております。
当社が、SBIホールディングス株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合等には、「SBI」の商標を使用できない可能性や使用条件が変更される可能性があります。この場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ SBIホールディングス株式会社との人的関係に関するリスク
本書提出日現在、当社の取締役である朝倉智也は、親会社であるSBIホールディングス株式会社の専務取締役を兼務しております。同氏は、その豊富な経営経験に基づく知見の活用等を目的として、当社が招聘したものであり、親会社からの独立性は確保されている状況にあります。なお、当社グループはSBIホールディングス株式会社から8名の出向者を受け入れております(平成30年7月末日現在)が、いずれも当社グループの重要な役職に就いておりません。
④ SBIグループとの取引
当社グループとSBIホールディングス株式会社を頂点とするSBIグループ各社は、第三者である他社と同等の条件により、営業取引等を行っております。平成30年3月期における当社グループと当社グループを除くSBIグループとの主な取引は以下のとおりであります。
取引内容会社名取引金額
(百万円)
取引条件の決定方法
受入出向者人件費の支払(注)SBIホールディングス株式会社550出向元における給与金額と出向割合を考慮し、人件費負担額を決定しております。
オフィス転貸借契約に伴う賃料等の支払SBIホールディングス株式会社302SBIホールディングス株式会社が一括して賃借したオフィスの転貸借契約に基づく利用であり、専有面積に応じて負担しております。
Webサイト「保険の窓口インズウェブ」を通じた保険見積請求サービスや保険資料請求サービス費用の支払SBIホールディングス株式会社655収入保険料に占める割合や外部との一般取引条件を考慮し、決定しております。
ネットワーク基盤管理業務等のIT関連費用の支払SBIトレードウィンテック株式会社100外部との一般取引条件を考慮し、決定しております。
人材派遣料の支払SBIビジネスサポート株式会社485外部との一般取引条件を考慮し、決定しております。
クレジットカード決済手数料の支払株式会社ゼウス342外部との一般取引条件を考慮し、決定しております。

(注)SBIホールディングス株式会社からの受入出向者については、原則として平成30年3月1日をもって当社グループ各社へ転籍しております。
なお、当社および当社グループ会社では、SBIグループに属する他社との取引条件の適切性を確保するため、新たに重要な取引を実施する場合は、社外取締役を含む取締役会で決議する体制としております。
(6)事業運営に関するリスク
① 事務リスク
当社グループの事業運営においては、保険契約の申込、保険料の請求、保険金等の支払の保険契約の管理や資金決済等をはじめとして、極めて多岐に亘る事務プロセスが存在します。そのため、当社グループでは、手順書の整備や、重大な事務ミスが発生した場合には、その事例検証に基づく再発防止策の策定等により、事務リスク管理を行っております。しかしながら、これが十分に機能せず、重大な過失や不正行為等により、お客さまが損害を被った場合や当社グループの事務プロセスを大幅に見直す必要が生じた場合、あるいは訴訟等が提起され、その解決に相当程度の時間及び費用を要した場合や結果として損害賠償を命じられた場合等には、その補償や追加的なコストの発生等により、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
② 従業員、代理店、外部の業務委託先及びお客様等の不正により損失を被るリスク
当社グループの事業運営においては、従業員、代理店、外部の業務委託先及びお客様等の不正行為により、損失が生じるリスクがあります。
当社グループの従業員や販売代理店は、営業活動等を通じて、お客様の個人情報・経済情報を知りうる立場にあるため、この情報を使用して、詐欺、違法な販売活動やなりすまし犯罪等の不正が行われる可能性があります。また、お客様において、反社会的勢力であることを秘匿して当社グループと取引をする、あるいは保険契約を利用した詐欺やマネーローンダリング等の不正行為をすることがあります。当社グループでは、契約引受時や保険金支払時等において、これらを防止するあるいは見破るための態勢を整備しておりますが、完全には排除できない可能性があります。
これらの事象が生じ、当社グループのイメージが大きく低下した場合、あるいは訴訟等が提起され、その解決に相当程度の時間及び費用を要した場合や結果として損害賠償を命じられた場合、行政処分を受けた場合等には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
③ 外部の業務委託先に関するリスク
当社グループにおいては、例えば、情報システムの開発・保守・運用、お客さまへの各種通知等の印刷、SBI損害保険株式会社にて提供しているロードサービスや損害調査サービス、文書保管等のように、一部の業務を外部業者に委託しております。この外部業者において何らかの事故等が生じ、委託している業務の一部または全部が停止した場合には、当社グループからお客さまに対しサービスが提供出来なくなる可能性があります。更には、このような業務の停止が長期化する場合には、当社グループでは代替手段を検討することとなりますが、速やかかつ合理的なコストでの導入が困難である可能性があります。このような場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
④ 人材確保・労務に関するリスク
当社グループが営む保険事業においては、特に保険数理、資産運用及びリスク管理等の分野について、高度な専門性を有した人材を配置する必要があります。そのため、当社グループでは、優秀な人材の確保、育成・定着に努めておりますが、これらが不十分であった場合には、当社グループの商品性や収益性等が他社に比べて劣後することとなるため、業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、処遇や勤務管理等の人事労務面や、職場の安全衛生管理面での問題等に起因して、当社グループ従業員から訴訟等が提起される可能性があります。この場合には、その解決には相当程度の時間及び費用を要する場合があり、また、結果として損害賠償を命じられた場合には、当社グループの社会的信用、業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(7)事業中断に関するリスク
当社グループは、地震・噴火・台風・水災・大雪等の大規模な自然災害、新型インフルエンザ等の感染症の大流行、電気・ガス・水道等の社会インフラの大規模な障害等の発生に備えて、事業継続計画等を策定し、これら不測の事態においても、継続的に事業を運営出来る体制の整備に努めておりますが、このような危機管理にもかかわらず、当社グループの事業継続が阻害された場合、あるいは想定を超える影響を受け、設備やインフラの回復等に多額の費用や長期間を要することとなった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
また、このような状況下において、当社グループの事業が継続出来ていたとしても、社会・経済全体の活動が低下することによる影響を受けることにより、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(8)情報漏えいに関するリスク
当社グループ(業務運営上、関連する外部の業務委託先を含みます。)においては、個人情報を含む大量のお客さま情報や当社グループ各社の経営情報等の機密情報を保有しております。その中でも、個人情報については、個人情報の保護に関する法律等の関係法令に基づき、特に適切な取扱いが求められておりますが、近年サイバー攻撃等が多発している状況を鑑み、より厳重な管理態勢を整備しなければならないものと当社は認識しております。
そのため、当社グループでは、プライバシーポリシーを策定するとともに、情報漏えいに関する規程を整備し、これに則った事業運営等により、厳重な管理に努めておりますが、当社グループ従業員が個人情報を紛失する、あるいは外部からの不正アクセス等によりこれら情報が不正利用等された場合には、訴訟等が提起され、その解決に相当程度の時間及び費用を要する可能性や結果として損害賠償を命じられる可能性、あるいは行政処分を受ける可能性があり、これにより当社グループに対する信頼が損なわれることによる新契約の減少や解約の増加や、これへの対応に要する追加的なコストの発生等により、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(9)システムリスク
当社グループは、情報システムを利用して、保険募集、契約管理、保険金支払や資産運用等を行っておりますが、その中でも、保険募集においては、インターネットを活用した募集チャネル(ダイレクト募集チャネル)をメインチャネルとしていることもあり、事業運営上、情報システムは極めて重要な機能を担っており、更には、それへの依存度はかなり高い事業体であると言えます。
そのため、自然災害、事故、サイバー攻撃等による不正アクセスや情報システムの開発・運用における不備等により、情報システムの停止・誤作動、不正使用等が発生した場合、事業運営に深刻な影響が生じることを当社は十分に認識しており、ファイアウォールの設定やウイルス対策ソフトの導入等によるセキュリティ対策の実施や事業継続計画の策定等の各種の対策を講じてはおりますが、これらにもかかわらず重大なシステム障害が発生した場合には、訴訟等が提起され、その解決に相当程度の時間及び費用を要する、あるいはその結果として損害賠償を命じられることも含めた直接的あるいは間接的なコストの発生や、当社グループに対する信頼が損なわれることによる新契約の減少や解約の増加等により、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(10)風評リスク
当社グループに対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の記事・投稿等により流布した場合、それが事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループの社会的信用に影響を与える可能性があります。当社グループにおいては、これら風評の早期発見に努めるとともに、風評が発生した場合には影響の極小化を図る態勢を整備しておりますが、悪質な風評が流布した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(11)リスク管理の有効性に関するリスク
当社グループでは、保険引受リスク、資産運用リスク、流動性リスクやオペレーショナルリスク等にリスクを分類し、これらの管理手法等を定めた規程を制定すること等により、リスク管理を実施しております。
しかしながら、これらは、過去の経験や歴史的データをベースにして実行しているものであるため、将来発生するリスクを正確には予測出来ず、大きな変動が生じた場合や外部環境が急激に変化した場合等においては、有効に機能しない可能性があります。当社グループでは、当社グループを取り巻くリスクの状況を定期的に把握し、必要に応じてリスク管理手法の最適化を継続的に図っておりますが、これが有効でない場合には、予期していない損失を被る、あるいは行政処分を受ける等の可能性があり、これにより当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(12)配当に関するリスク
当社グループは、グループとして得た利益を、財務基盤の強化のための内部留保の充実や事業規模の拡大のため各種施策に利用する等、適切に活用してまいりますが、将来において、当社の傘下子会社の業績が拡大し、当社への配当が可能となった場合には、保険持株会社である当社が株主に対し実施する配当については、この子会社からの配当を原資とする予定です。
しかしながら、一定の状況下では、保険業法及び会社法上の規制等により、子会社が当社に支払うことが出来る配当の金額が制限される場合があり、また、子会社が十分な利益を計上出来ず、当社に対して配当を支払うことが出来ない状況が生じた場合等には、当社は株主に対して配当を支払うことが出来ない可能性があります。
(13)予測が困難な外的要因によるリスク
上記に掲げるリスク以外にも、国内外での紛争、暴動、テロリズム、過去に例のない大規模な事故・事件等の事前の予測が困難な外的要因により、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(14)ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
当社では、当社及び子会社の取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。また今後においてもストック・オプション制度を活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は、1,460,700株であり、発行済株式総数の約8%に相当しております。
(15)繰延税金資産に関するリスク
財務諸表と税務上の資産負債との間に生じる一時的な差異にかかる税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。
このため税制改正等により法定実効税率が変動した場合には繰延税金資産計上額が減少又は増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
評価性引当額は、将来税務上減算される一時差異及び繰越欠損金などについて計上した繰延税金資産のうち、実現が不確実であると考えられる部分に対して設定しております。
将来の税金の回収予想額は、当社グループ各社の将来の課税所得の見込み額に基づき算出されます。評価性引当額差引後の繰延税金資産については、十分な回収可能性があると考えておりますが、将来の課税所得の見込み額の変化により、評価性引当額が変動する場合があります。この場合、繰延税金資産計上額が減少又は増加し、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。
(16)過年度の業績推移について
当社は、平成28年12月19日にSBIグループ(SBIホールディングス株式会社、同社の子会社及び持分法適用会社から構成される企業グループ)の保険事業を統轄する保険持株会社の準備会社として設立されました。そして、関係当局からの認可等を受け、平成29年3月31日付でSBI損害保険株式会社、SBI生命保険株式会社、及び少額短期保険業を営む子会社3社を傘下に持つSBI少短保険ホールディングス株式会社を子会社化し、保険持株会社として営業を開始いたしました。以上の経緯から、過去の業績の比較をすることが困難であります。参考となる業績を示すと以下のとおりとなります。
① 当社グループの連結業績
(単位:百万円)(単位:百万円)
平成29年3月期平成30年3月期
結合損益計算書(注)連結損益計算書
経常収益57,647経常収益62,186
経常利益451経常利益1,059
税引前当期純損失(△)△97税金等調整前当期純利益843
当期純損失(△)△442当期純利益726

(注)結合損益計算書は、当社が持株会社になる前の企業集団としての業績の概況を把握するために、「結合財務情報の作成基準(株式会社東京証券取引所 平成16年6月23日)」に準じて作成した結合財務情報であり、当社が提出する独立した事業体の集団としての連結財務諸表とは異なるものであります。なお、当該結合財務情報については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
② 各社の通期業績
(単位:百万円)
平成29年3月期平成30年3月期前期比増減率
(%)
SBIインシュアランスグループ株式会社経常収益0353-
経常利益又は経常損失(△)△3116-
税引前当期純利益又は税引前当期純損失(△)△3116-
当期純利益又は当期純損失(△)△3110-
SBI損害保険株式会社経常収益23,37424,6285.4
経常利益又は経常損失(△)△1,59442-
税引前当期純利益又は税引前当期純損失(△)△1,59795-
当期純利益又は当期純損失(△)△1,55186-
SBI生命保険株式会社経常収益20,53822,2788.5
経常利益1,625497△69.4
税引前当期純利益964214△77.8
当期純利益729266△63.5
SBI少短保険ホールディングス株式会社経常収益648533.0
経常利益274△84.2
税引前当期純利益274△84.2
当期純利益272△89.5
SBIいきいき少額短期保険株式会社経常収益4,2054,97818.4
経常利益157155△1.8
税引前当期純利益1571644.4
当期純利益1111175.9
日本少額短期保険株式会社経常収益9,21410,0419.0
経常利益28632613.7
税引前当期純利益402325△19.1
当期純利益292229△21.6
SBIリスタ少額短期保険株式会社経常収益3753914.2
経常利益295796.6
税引前当期純利益2962112.8
当期純利益315370.2

(注)子会社各社の各数値は「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した数値を上表に記載しております。また、当該各数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定による監査証明を受けておりません。なお、SBIインシュアランスグループ株式会社及びSBI少短保険ホールディングス株式会社については、営業収益と営業外収益の合計を経常収益に記載し、営業費用と営業外費用の合計を経常費用に記載しております。