有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/20 15:00
【資料】
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【項目】
79項目

業績等の概要

(1)業績
第18期事業年度(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境に改善が続き、緩やかな景気回復基調にあったと判断しております。しかしながら、北朝鮮と米国の対立構造の明確化や、米国トランプ政権の不安定さに起因する政治経済情勢についての不透明感が全く払拭できない状況にあると考えられます。
このような経済環境のもと、ITセキュリティ市場においては、依然として標的型メール攻撃や企業システムの脆弱性を突いて情報を窃取しようとする攻撃が後を絶たず、重要な経営課題としてあげられるようになってまいりました。また、クレジットカード業界ではPCI DSS準拠を経済産業省が今まで以上に強く勧めている背景もあり、2020年の東京オリンピックまでに日本のセキュリティを強化する動きは一段と活発になっております。
企業ニーズは、情報漏洩を起こさないためのトータルシステムや「CSIRT(Computer Security Incident Response Team、シーサート)」と呼ばれる緊急時対応組織の組成、「PCI DSS」への準拠など、従来のエンドポイントに代表される部分的な対策から、経営の観点からの対策へと明確に移ってきており、当社の営業活動もそのような訴求を強く推進してまいりました。また、案件の拡大や大型化に伴い業界全体で人材不足が顕在化しており、過去にない規模での採用に経費をかけてまいりました。
この結果、当事業年度の業績につきましては、上述しました背景をもとにコンサルティングサービスやセキュリティ監査が大きく伸び、売上高は3,067,424千円(前期比14.0%増)となりました。営業利益は、老朽化したメールサービスの刷新、新サービス展開のための原価増加や、上場準備や事業拡大に伴う従業員の増加による採用費用等の販売費及び一般管理費の増加がありましたが、178,045千円(前期比49.3%増)となりました。また、営業外費用として、リースや借入金の利息等を計上し、経常利益は152,082千円(前期比74.5%増)となりました。さらに、特別損失として固定資産除却損を計上した結果、当期純利益は145,928千円(前期比69.6%増)となりました。
第19期第3四半期累計期間(自 平成29年7月1日 至 平成30年3月31日)
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等により、緩やかな回復基調が続きました。先行きについては、海外経済の不確実性や米国の動向に留意する必要があるものの、引き続き緩やかに回復していくことが期待されています。
当社が属する情報セキュリティ業界は、ランサムウエアと呼ばれる身代金要求型のマルウエア事件が起きたり、教育機関からの情報漏洩があったりと、昨年に引き続き情報窃取の攻撃とそれに伴う被害が後を絶たず、企業からの対策要請は拡大しました。また、クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCI DSSへの準拠性監査サービスについても、経済産業省が2018年(平成30年)3月を一つのターゲットにしていたこともあり、過去最高の受注件数となりました。
一方、案件数の増加に伴い人的リソース不足が顕在化し、今までにないペースで採用を推進し、同時に自動化、システム化も推進してまいりました。
この結果、売上高は2,519,133千円となりました。営業利益は、人員の増加に伴う人件費の発生等がありましたが、それらを吸収して185,426千円となりました。また、営業外費用として、リースや借入金の利息等を計上し、経常利益は163,397千円となりました。四半期純利益は161,527千円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ216,544千円増加し、267,927千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は399,708千円(前期比5.8%増)となりました。その主な内容は、減価償却費259,316千円や税引前当期純利益147,566千円の計上などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は164,363千円(前期は146,574千円の支出)となりました。その主な内容は、固定資産の取得による支出162,795千円があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は19,940千円(前期は201,398千円の支出)となりました。その内容は、短期借入れによる収入100,000千円や長期借入れによる収入100,000千円があった一方で、ファイナンス・リース債務の返済による支出146,008千円や長期借入金の返済による支出47,263千円、短期借入金の返済による支出26,668千円があったことによるものであります。