有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/20 15:00
【資料】
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【項目】
79項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 低価格化の進展
セキュリティ市場の販売価格は、ここ数年間で低下しております。競合他社との兼ね合いや顧客要請によるものであり、技術者の生産性の向上やクラウドサービス化を推進して技術者に依存しないサービスの開発等、低価格でも利益の確保が可能な対応を進めております。しかし、それらの対応が奏功せず、採算の確保が出来なかった場合には、今後の事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新への対応に関するリスク
情報を窃取するための攻撃は日々新しい技術により考え出され、セキュリティ業界ではそれらへの対策としての防御サービスを絶えず考え実行しております。昨今では、標的型メール攻撃と呼ばれる攻撃手法やランサムウェアなどが出現してきましたが、それらの防御の為の新しいサービスを都度考案したり、最新技術を当社のサービスに取り入れることが、より良い品質提供には必要不可欠となっております。もし、それらの最新技術への対応が遅れ、他社に大きく先行された場合には、当社の経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(3) 当社が提供する製品のバグや欠陥の発生によるリスク
当社が提供するセキュリティ機器マネージドサービスやセキュアメールサービスにおいて利用しているプラットフォームは、海外製品を利用しております。予め十分な検証やテストを実施した後サービス提供を行っておりますが、サービス提供開始後に重大なバグや欠陥が発生する可能性も有り、そのバグや欠陥が原因で顧客のサービスに著しい損害を与えた場合、契約解除に伴う売上の減少等により当社の経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。
(4) 人材の確保・育成に関するリスク
当社のサービスは技術者の役務提供サービスによって行われており、今後の企業成長には人材の確保・育成が不可欠の要素となっております。当社では、中途採用を中心に即戦力として活用できる技術経験者を採用し、OJTによる実践を通じて社員の育成に注力しておりますが、業界ではITエンジニアが不足しており、中でもセキュリティのノウハウを持ったエンジニアのニーズは高く、その確保は容易ではありません。もし十分な人材の確保・育成ができない場合には今後の事業計画、とりわけ中期計画に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人材の流出に関するリスク
当社技術者のノウハウは経営の重要資源であります。従って、技術者の流出はサービス継続のリスクであります。日々のコミュニケーション強化の一層の充実に加えて、業績連動型の一時金支給、個人目標の達成度合いを考慮した年俸改定等、競業他社との比較で遜色のない処遇を設計しておりますが、人材が流出した場合には事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 当社情報セキュリティに関するリスク
当社のサービスでは顧客の重要な情報を入手します。これらの顧客情報の漏洩は事業展開において大きなリスクであります。社内教育の実践、各種データのアクセス権限による制約、書面情報の施錠管理、オフィスの入退室管理等、対策を講じて実践しておりますが、顧客情報の漏洩が発生した場合、事業展開、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 為替相場の変動について
セキュアメールサービスにおいては、Proofpoint,Inc.からのライセンス利用契約によりサービス提供をしております。円安が極度に進行すると、当該事業の費用が高騰します。為替相場の変動は、当社の経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) セキュリティ事業に特化していることによる影響について
当社は、セキュリティ事業に特化したサービス提供をしております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、セキュリティ事業の需要が低迷した場合には、当社の経営成績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
(9) 天災、災害、テロ活動などの発生や停電による影響
地震や天災といった災害、国内におけるテロ活動などの予期せぬ事態により、当社の業績や事業活動が影響を受ける可能性があります。また、全国的、地域的な停電や入居しているビルやデータセンターの事情によって電力供給が十分に得られなかった場合、当社の事業活動とサービスの提供が停止し、当社の経営成績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
(10)グループ会社との関係について
当社の親会社はSBIホールディングス株式会社(以下、親会社といいます。)であり、当社は連結子会社として親会社グループに属しております。
なお、当社と親会社グループとの関係は以下のとおりであります。
①資本関係について
親会社は、本書提出日現在において当社の議決権の78.28%を間接保有しており、当社に対する大株主としての一定の権利を有しております。このことから、親会社は議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の利益は他の株主の利益と一致しない可能性があります。なお、SBIインキュベーション株式会社は企業投資を目的とする会社であり、同社の今後の当社株式の保有方針及び処分方針によっては、当社株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。また、株式市場での売却ではなく、特定の相手先への譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。
②取引関係について
親会社グループとの取引については、セキュリティサービスの売上高は44,330千円(平成29年6月期 売上高の1.45%)、その他経費精算システムの利用等の取引が発生しておりますが、取引条件については、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。
③親会社からの独立性の確保について
当社の経営判断及び事業展開にあたっては、親会社の指示や事前承認に基づいてこれを行うのではなく、社外取締役1名を含む取締役会を中心とした当社経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。
(11)配当政策について
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としておりますが、通期業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、配当政策に影響を及ぼす可能性があります。
(12)四半期末月の業績偏重傾向について
当社の収益は、顧客のシステム投資等も含めた月ごとの予算配分等に影響を受けており、各四半期の末月である9月、12月、3月、6月に偏る傾向にあります。その中でも、特に顧客の決算月が集中する3月及び当社の決算月である6月に偏重する傾向があります。
当社では繁忙期の業務量を勘案して労働力を確保しているため、需要が低調な時期には、一定の固定費が見込まれる中で売上が低水準となり、一時的に損益が悪化する可能性があります。また、当社の決算月である6月に計上を予定していた売上が検収遅延等の理由により月ズレした場合等には、当社の経営成績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
(13)調達資金の使途について
当社が計画している公募増資による調達資金については、①人材の採用・育成等に係る採用・教育費、及び人件費、②業務効率化のためのシステム開発等の費用に充当する予定であります。しかしながら、当社が属するセキュリティサービス市場においては、業界としてエンジニアが不足しており、人材の採用が難しい等の理由で計画の変更を迫られた場合、システム開発が計画通りに進まなかった場合には、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があります。
また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性があります。
(14)ストックオプション行使による株式価値の希薄化について
当社では、取締役、監査役、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を用いたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は144,000株であり、発行済株式数3,455,730株の4.17%に相当しております。
(15)繰越欠損金の解消による影響等について
当事業年度末現在において、税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の業績が順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合や税法改正により繰越欠損金による課税所得の控除が認められなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。