有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/08/29 15:00
【資料】
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【項目】
84項目

事業等のリスク

以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業経営環境に関するリスクの変化について
当社は、企業の法人営業課題に特化し各種サービスを提供しております。現在は、就業人口の減少、雇用の流動化といった労働環境の変化による顧客企業の営業やマーケティング関連への投資マインドの上昇を背景として事業を拡大しておりますが、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の営業やマーケティング関連への投資マインドが減退するような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)主要既存取引先への依存度について
当社の既存主要取引先10社における販売実績は、売上高全体の70.0%(第16期)となっており、引き続き主要取引先への依存度が高くなっております。当社の事業拡大のためには新規事業・顧客等の獲得が必要であり、この依存度は低下していくと考えておりますが、順調に新規事業・顧客等の獲得が進まず、主要取引先において内製化や営業戦略の方針変更が起こった場合、当社との契約が更新されない等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社のインサイドセールスアウトソーシングサービスは、BtoBアウトバウンド市場に属しています。当社は、先行者メリットを活かし顧客数を伸長するとともに顧客のニーズに合ったサービスの開発を行うことで優位性を高めております。しかしながら、大小様々な競合が存在することから、参入障壁は著しく高いものとはいえず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社により類似したサービスが開発され価格競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)新規サービスについて
当社は、法人営業支援を中心としたサービスの業容拡大を目的として、今後もサービスの多様化や新規サービスへの取り組みを進めていく方針です。そのため、人材の採用、教育、システム開発費等の追加的な支出が発生する場合や、サービス内容の多様化や新規サービスが計画のとおりに推移しない場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)技術革新への対応について
当社のシステムソリューションサービスは、クラウド上のシステム開発市場である「クラウドSI」市場に属しております。クラウドSI市場では、新技術の開発及びそれに基づく新しいサービスの導入が頻繁に行われており、あわせて顧客のニーズも非常に変化の激しい業界となっております。そのため常に新しい技術要素に対して情報の収集、蓄積、分析及び習得に取り組んでおりますが、技術革新において当社が予期しない急激な変化がありその対応が遅れた場合や、新技術に対応するために当初予定していなかったシステムへの投資が必要になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(6)システムトラブルによるリスクについて
当社の各種サービスは、通信設備を通じて提供しており、サービスの保守、運用、管理は通信ネットワークに依存しております。各種サービスの安定的な提供のためのサーバー設備の増強や情報セキュリティ責任者が適切なセキュリティ手段を講じることにより外部からの不正アクセスの回避等を行っておりますが、以下のシステム障害が発生した場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
① サービス提供コンピュータシステムへの急激なアクセス増加や電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因
によって当該コンピュータシステム及び周辺システムがダウンした場合。
② コンピュータウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合。
③ 従業員の過誤等によって、当社の提供サービスのプログラムが書き換えられることや、重要なデータが削除
された際、事態に適切に対応できずに信頼失墜や損害賠償による損失が生じた場合。
(7)特定人物への依存について
代表取締役社長である吉田融正は、当社の創業者であり、会社経営の最高責任者として経営方針や事業戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしています。当社は、吉田融正に過度に依存しない経営体制を整備するため、取締役会における役員間の相互の情報共有や事業部制の導入による経営組織の強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により吉田融正が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(8)人材の採用、育成について
今後の業容拡大を図る中で、各サービスにおいて人材の採用、及びその維持は不可欠であると認識しております。また日本におけるインサイドセールス経験者の数は未だ限定的であり、入社後の社内における研修実施、育成を積極的かつ継続的に進めております。しかしながら、人材獲得競争が激化し、優秀な人材の採用が困難となる場合や在職している人材の大量の社外流出が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報管理体制について
当社は、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するために情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しておりますが、このような対策にもかかわらず重要な情報資産が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信頼の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)内部管理体制について
当社は、企業価値の拡大を図るうえでコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するために充分な体制を構築していると考えておりますが、未だ成長途上にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するために、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産権の侵害におけるリスクについて
当社は、会社名及び提供しているサービスの名称について商標登録申請をしております。また、第三者の知的財産権の侵害の可能性については、社内規程に基づき顧問弁護士等を通じて事前調査を行い対応しております。しかしながら、万が一、当社が第三者の知的財産を侵害した場合、当社への損害賠償請求やロイヤルティの支払い要求、使用差し止め請求等が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)自然災害について
当社が提供するサービスにおいて顧客の情報資産が格納されるサーバーは、日本国内において2拠点以上で管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺のネットワーク設備等に被害を及ぼす災害、事故等が発生し情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)配当政策に関するリスク
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しております。しかしながら、本書提出日現在、当社は成長過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業の多角化、新規事業への取り組み等のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化に向けた投資に充当することで、さらなる業容拡大を実現することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針でありますが、配当の実施及びその時期等については現時点において未定であります。
(14)新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク
当社は、取締役、監査役及び従業員に対し新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在でこれらの新株予約権による潜在株式数は181,600株であり、発行済株式総数1,454,700株の12.5%に相当しております。
(15)瑕疵担保責任及び品質保証引当金に関するリスク
① システムの不具合について
当社は、システムソリューションのサービスを実施するためのシステムの開発・提供をしておりますが、顧客の検収後にシステムの不具合(いわゆるバグ)等が発見される場合があります。当社におきましては、品質管理の国際標準であるISO27001の認証を取得して、品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めておりますが、それでもなお、製品に不具合等が発見された場合には、補修作業に伴う費用の増加、信用の低下、損害賠償などの要因により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
② 製品の不具合の可能性について
一般にソフトウエア製品の高度化および複雑化により、完全に不具合を解消することは不可能といわれております。そこで、顧客によるシステム運用段階で発生する不具合への対応を見込んでおりますが、想定以上の規模の不具合や当社の過失によるシステムの不具合が顧客に損害を与えた場合には、当社の信用力の低下により、当社の財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。