有価証券届出書(新規公開時)

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2018/09/13 15:00
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業績等の概要

(1) 業績
第8期連結会計年度 (自 平成28年11月1日 至 平成29年10月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、地政学リスクのくすぶる状況においても極めて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策を背景に緩やかに拡大してまいりました。国内需要面では、設備投資が企業収益や業況感の拡がりを伴いつつ改善する中で緩やかな増加基調にあり、個人消費は雇用、所得環境の着実な改善を背景に底堅さを増しております。特に労働需給は着実に引き締まり、有効求人倍率等においてバブル期並みの高水準に至る状況となってまいりました。
外食産業におきましては、労働需給の逼迫から雇用環境の中で正社員を始めパート、アルバイトの臨時社員についても適正数の確保が難しい状況にあります。前年比で増収傾向を維持していくためには競争力の維持、拡大の源泉となる社員の適正数確保が大前提となることから、まさに採用力が問われる経営環境に至っております。
このような環境の中で当社は、平成29年5月1日にプロデュース事業部門を展開する株式会社ファイナル・スリー・フィートを吸収合併し、自社製麺を直営店ならびにプロデュース店へ効率的に供給する体制を確立いたしました。また、平成29年8月1日には関西地区で直営店事業部門を展開する株式会社四天王を吸収合併し、直営店事業部門の統合により事業の合理化を進めました。これにより、これまで以上に直営店事業部門とプロデュース事業部門の部門間連携を機動的且つ的確に進め、事業拡大と採算性改善を一層進めてまいります。
事業部門別には、直営店事業部門において、国内はロードサイドを中心に引き続き積極的な出店を進め、提供商品の品質改善とメニューの充実を図るとともにサービスレベルの向上に努めてまいりました。特に商品開発力の底上げを図り、新メニュー開発、新業態開発に精力的に取り組み、既存業態の競争力強化と新規業態開発に繋げることができました。また、国道1号線の競争激戦区の「町田商店戸塚原宿店」、高級住宅街に位置する「町田商店仲町台店」といった当社グループがこれまで出店を行っていなかった地域において想定以上のお客様にご来店いただけました。一方、海外においては、シンガポール、ロサンゼルス、ニューヨークと3店舗を構える体制となり、国内より当社グループ直営店事業部門の強みを発揮できる人材を送り込むとともに、事業を軌道に乗せるための販売促進施策も積極的に実施し、売上拡大、採算性の改善に努めてまいりました。
プロデュース事業部門においては、国内のプロデュース事業部門のテコ入れのため、営業体制の再構築を図り、海外プロデュース案件としてタイ、フィリピンといったアジア展開を進め、事業拡大を図ってまいりました。
以上の結果、売上高は5,612,325千円(前年同期比23.7%増)、営業利益は627,109千円(同37.4%増)、経常利益は637,749千円(同47.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は218,947千円(同109.2%増)となりました。
当連結会計年度におけるセグメント別の概況については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、事業の概況については以下のとおり事業部門別に示します。
① 直営店事業部門
国内の既存の都市型店舗(駅近店)では、看板商品である横浜家系ラーメンの絶え間ない味のブラッシュアップを図ってまいりました。また、国内の郊外型店舗(ロードサイド店)では、強化した商品開発力を背景として、横浜家系ラーメン中心の商品ラインナップを見直し、季節限定ラーメンの投入、サイドメニューの充実とメニュー改善を進め、来客単価の増加等、一定の成果をあげてまいりました。
シンガポールにおいては、平成28年7月、ジャパンフードタウン(ショッピング施設)内に出店いたしました。また、アメリカにおいては、平成28年12月、ロサンゼルス郊外にE.A.K. RAMENという屋号で初出店を果たし、平成29年5月、ニューヨークにE.A.K. RAMEN第2号店を出店いたしました。
出店につきましては、当連結会計年度中に直営店13店舗の新規出店による増加及び業務委託店1店舗の増加(新規2店舗、売却1店舗)があったものの、直営店6店舗の減少(閉店2店舗、売却2店舗、業務委託店化2店舗)がありました。
この結果、当連結会計年度末の店舗数は、直営店44店舗、業務委託店6店舗、合計50店舗となりました。また、直営店事業部門の売上高は3,841,730千円(前年同期比28.4%増)となりました。
② プロデュース事業部門
プロデュース事業部門においては、プロデュース事業テコ入れのための営業体制の再構築を図り、営業活動を展開してまいりました。また、海外では、イタリア、タイ、フィリピンと事業拡大を図ってまいりました。しかしながら、会社としての出店戦略が直営店に力点を置いてきたことから、 プロデュース店舗数は、 当連結会計年度中に国内22店舗、海外2店舗の純増に留まり、国内331店舗、海外6店舗、合計337店舗となりました。この結果、プロデュース事業部門の売上は1,770,595千円(前年同期比14.6%増)となりました。
第9期第3四半期連結累計期間 (自 平成29年11月1日 至 平成30年7月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、25年ぶりの低水準にある失業率を背景に賃金上昇の期待が芽生え、企業から家計への所得移転が進み始める機運もあり、所得から支出への前向きな循環メカニズムも働き始めていることから、総じて緩やかな拡大基調にて推移してまいりました。国内では、企業収益や業況感が改善する中で民間設備投資が緩やかな増加トレンドを維持しており、個人消費は雇用、所得環境の着実な改善を背景に底堅さを見せており、公共投資も高めの水準を維持しております。一方、海外では、米国トランプ大統領の中国、EU等との関税を巡っての外交折衝が保護主義的貿易政策の色彩を強め、貿易戦争懸念を引き起こしつつあるもののグローバル経済自体は、着実な成長が続いております。
当社グループの属する外食産業におきましては、有効求人倍率が1.5倍を超える40数年ぶりの水準にて推移する等、労働需給が引き締まる雇用環境の中で社員の確保が厳しく、正社員はもとよりアルバイト、パートといった臨時社員についても適正数を維持することが難しい状況にあります。前年比で増収傾向を維持していくためには社員の適正数確保が絶対条件となることから、正社員の採用コスト、臨時社員の時給等、雇用関係コストが高止まりする状況に至っております。また、当第3四半期連結会計期間においては、日本各地の記録的猛暑、大阪府北部地震、西日本豪雨と業績に多大な影響を与える自然環境問題、自然災害が発生いたしました。
このような環境の中で当社グループは、前連結会計年度においてグループ内組織再編を進め、プロデュース事業を展開していた子会社の株式会社ファイナル・スリー・フィート、関西地区で直営店事業を展開していた子会社の株式会社四天王を吸収合併し、直営店事業部門とプロデュース事業部門の事業連携が機動的且つ的確に進められる体制を構築いたしました。当第3四半期連結会計期間においては、第2四半期連結累計期間に続き、国内直営店事業の新規出店を加速させるとともに、プロデュース店の確実な店舗数の増加により売上拡大を図ってまいりました。また、採算面では製麺工場も含めた会社トータルでのコスト削減活動等、当社グループの経営課題に前向きに取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は5,080,032千円、営業利益は612,979千円、経常利益は618,600千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は466,644千円となりました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の概況については、当社グループの事業が単一セグメントであることから、事業の概況については以下のとおり事業部門別に示します。
① 直営店事業部門
国内直営店事業部門においては、当第3四半期連結累計期間を通じて積極的な出店を続け、当第3四半期連結会計期間末時点で13店舗の新規出店を図りました。新規出店は、新業態店1店舗を除くとその殆どがロードサイド店であり、関東4店舗、関東以外の東日本3店舗、西日本5店舗とバランス良く出店を進めてまいりました。東北地方では、初出店となった「町田商店多賀城店」に続き「町田商店泉バイパス店」をオープンさせ、静岡県では「町田商店清水インター店」を初出店させる等、宮城県内、静岡県内のお客様から一定の評価をいただくことができました。また、関西地区では大阪府、兵庫県に続き、新たに京都府にも「町田商店長岡京店」を出店させる等、新規出店を加速させてまいりました。同時に各新規店舗のオープン直後の業績はどれも順調であることから、こうした出店活動を通じて横浜家系ラーメンの国内出店余地の可能性の高さを改めて認識することができました。
加えて、前連結会計年度より注力しております商品開発力の底上げにつきましても引き続き精力的に進めており、新メニュー、新業態のための競争力の高い商品を開発することができ、既存業態の競争力強化と新規業態開発につなげてまいりました。特に新規業態店として 豚骨ベースの醤油スープに、にんにく、野菜、背脂などをお好みで調整し、チャーシューをダイナミックに載せる、がっつり系のラーメン店「豚山」を立ち上げ、一定の評価を得ております。
また、社員、臨時従業員の適正数確保が重要経営課題となる中、社員紹介制度の構築、アルバイト社員のスキルに応じた時給アップを図り、厳しい労働需給の中でも事業拡大を妨げない採用状況を維持することができました。
海外直営店事業部門においては、アメリカにて、前連結会計年度においてE.A.K. RAMENという屋号でロサンゼルス、ニューヨークに店舗展開しており、ロス排除、食材見直し等、徹底した原価改善、シフトコントロールによる人件費削減等を進めるとともに、SNSへの情報発信も積極的に行なう等、口コミでの拡散を促し、売上拡大も図ってまいりました。この結果、ロサンゼルス店及びニューヨーク店では、月次決算ベースで本社費用配分前営業利益の黒字化が目指せる状況になってまいりました。なお、GIFT USA INC.として法人全体で黒字化するにはなお業績改善が必要な状況にあります。
以上の結果、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は、直営店54店舗(国内52店舗、海外2店舗)、業務委託店6店舗、合計60店舗となりました。また、直営店事業の売上高は、3,703,323千円となりました。
② プロデュース事業部門
プロデュース事業部門においては、前連結会計年度においてプロデュース事業部門テコ入れのための営業体制の再構築を図り、当第3四半期連結累計期間においては当該体制にて積極的な営業活動を展開してまいりました。また、海外では、イタリア、タイ、フィリピンと事業拡大を図ってまいりました。以上の結果、プロデュース店舗数は、当第3四半期連結累計期間に11店舗の純増となり、結果、国内342店舗、海外6店舗、合計348店舗となりました。また、プロデュース事業部門の売上は1,376,709千円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
第8期連結会計年度 (自 平成28年11月1日 至 平成29年10月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、804,898千円となり、前連結会計年度末に比べ65,280千円の減少となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は575,123千円(前年同期比30.1%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益431,488千円を計上し、減価償却費108,603千円、減損損失203,989千円等の非資金的費用があった一方、法人税等の支払額205,265千円があったこと等によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は476,867千円(前年同期比22.2%増)となりました。これは主に、新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出383,514千円、敷金及び保証金の差入による支出56,542千円、貸付による支出78,424千円等があった一方、敷金及び保証金を44,600千円回収したこと等によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動の結果、使用した資金は173,588千円(前年同期比22.6%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が1,180,363千円ありましたが、一方で長期借入金の借入による収入が1,025,000千円あったこと等によるものであります。