有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/09/11 15:01
【資料】
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【項目】
83項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
現在のわが国の経済は、リストラ等の進展により企業業績は回復しつつあるものの、依然として先行きに不透明感があり本格的な景気回復とは言い難い状況が続いております。そこで、今後当社と致しましても更なる事業の再構築等を推進していく必要性があり、特に下記の項目について重要課題として取り組んでおります。
(1) 経営方針
当社は、「謙虚な心で皆様と共に進む」を社是とし、従業員・家族・お客様・株主様・お取引先様と共に進み、弊社にかかわる全ての方々が幸せになるための経営を行うことを経営方針としております。
経営方針達成のため、当社は人材育成による社業の向上、利益還元を行い、皆様の満足度向上に努めます。
(2) 経営戦略
当社の2020年(平成32年)までの重点施策として「おもてなしの心」「情報共有と共働」「健やかな経営」を三本柱として掲げております。具体的には、業界のリーディングカンパニーになるべく更なるユーザビリティの強化と業務効率化に磨きをかけ、積極的業務提携と戦略的投資を行います。また、これからの少子高齢化社会においても優秀な人材の確保が可能となる人事・研修制度の充実を図ります。
(3) 目標とする経営指標
当社は、目標とする経営指標として前期対比売上高成長率及び売上高経常利益率を掲げております。これらを重要な指標として認識し、業界のリーディングカンパニーになるべく更なるユーザビリティの強化と業務効率化に磨きをかけ、積極的業務提携と戦略的投資を行います。
(4) 経営環境
印刷業全般につきましては、景気の低迷やノートパソコン・スマートフォン等の普及による紙媒体の需要減により、個人・零細企業を筆頭に廃業・倒産が続いている傾向にあり、今後も生産量及び出荷額の減少傾向は続くとみられています。
その一方、印刷通販は1990年代後半に登場した後、インターネットの普及と共に急速に市場が拡大していき、今後の成長見込みも伸び続ける予測が立てられています。
印刷通販業界への参入企業は平成19年頃から爆発的な増加傾向が見られましたが、それに比例して価格競争も激しさを増し、近年は新規参入企業数は減少傾向にあります。今後もこの業界に新規参入する企業数は多く見込まれず、上位数社が市場規模の約3/4を独占する寡占市場と化していく予測が現実のものになりつつあります。
(5) 人材の育成と確保
当社が将来にわたり事業を発展していくためには、多様な専門技術に精通した人材、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要な課題であります。そのため、総合的な研修制度の導入やキャリア支援制度の構築、目標管理制度に基づいた公平な評価・処遇制度の充実、および自己啓発支援制度の充実等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し、社員の定着と育成に努めています。
また、福利厚生面では事業所、及び社員寮内等に社員食堂や託児所の設置を今後すすめていく予定です。
(6) 印刷品質の更なる向上
当社は、平成24年7月に一般社団法人日本印刷産業機械工業会(JPMA)が認定する「Japan Color認証制度」による認証を取得しており(東京西工場、九州工場)、精度の高い印刷色を再現することで、品質の安定化を図るとともに、検品体制を強化し、万全の状態で製品をお届けできるよう品質の向上に努めてまいります。
また、福利厚生面では事業所、及び社員寮内等に社員食堂や託児所の設置を今後すすめていく予定です。
(7) 情報セキュリティ対策の強化
当社は、インターネットを通じて顧客情報を取り扱うため、情報セキュリティ対策については当社の重要課題と位置付けております。そのため、個人情報保護対策としてプライバシーマークを取得し、情報セキュリティへの対応策としてISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得いたしました。今後は、これらのシステムにおいて運用レベルの向上を図るとともに、内部統制についても引き続き強化してまいります。
(8) 受注サイトユーザビリティの強化
データ保管期間の延長、保管データの修正サービスといったデータ関連サービスの利便性向上に加え、5週間以内で印刷物を保管し、指定日時に納品を行う分納サービス等を行っております。今後についても、更なるサポート体制の充実および新サービスの展開を計画しております。
(9) 印刷材料の購買力の向上
平成28年10月期から平成29年10月期において、印刷売上高に対する洋紙等の材料費の割合は、35.7%から36.2%で推移しております。
今後、同業者間における価格競争力を強化するためには、売上高に対する材料費の比率を引き下げる必要があります。そのためには、当社購買部門における仕入管理の強化及び仕入業者間での適正な競争を促していく必要があります。
(10) 環境、社会への配慮
当社が持続的な成長を目指すうえで向上的な利益の確保も重要ですが、その一方環境や社会へ配慮することも求められており、対応をすすめております。例えば、オフセット印刷におけるインキのノンVOC化については他社に先駆け、平成28年10月期から100%ノンVOCインキ(注)を使用しております。
(注)ノンVOCインキ 構成成分中の高沸点石油系溶剤を植物油等に置き換えて1%未満に抑えたインキ