訂正有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/28 15:00
【資料】
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【項目】
81項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられ、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項を以下のとおり記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものでありますが、以下の記載は当社の事業等及び株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。
(1)許認可と法的規制について
①人材サービス業界の状況について
当業界は労働者派遣法及び職業安定法が適用され、法令を遵守し継続的に健全な運営を確保できるしくみが求められております。直近の労働者派遣法の改正は平成27年9月30日に施行され、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業は労働者派遣事業に一本化されました。適正な運営が行われていない事業者が多かった特定労働者派遣事業は届出制から許可制に移行しました。
労働者派遣法違反の場合、まずは行政指導が行われ、その結果改善の余地がないとみなされた場合に罰則が適用されますが、労働基準法、労働安全衛生法、介護保険法、老人福祉法、高齢者住まい法、社会福祉士法及び介護福祉士法、社会福祉法、保健師助産師看護師法、理学療法士及び作業療法士法の罰則も適用される場合があります。
現時点において、上記に抵触する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合、罰則が適用され主要な事業活動に支障を来たすとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材派遣について
当社が行う人材派遣は、労働者派遣法第8条に基づく労働者派遣事業許可を受けて行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法 第6条)及び当該許可の取消事由(同第14条)に該当した場合には、事業の許可を取り消し、または、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において、上記に抵触する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合、許可が取り消され、または、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、主要な事業活動に支障を来たすとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、労働者派遣法及び関係諸法令については、労働環境の変化に応じて、これまでにも派遣対象業務や派遣期間に係る規制ならびに派遣元事業主における管理体制の強化の両面からの改正が実施されてきており、その都度、当該法令改正に対応するための対策を取ってきております。
今後、さらに労働者派遣法及び関係諸法令の改正が実施された場合、今後の事業運営方針ならびに業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の許可の状況
許認可の名称監督官庁許可番号取得年月日有効期限
労働者派遣事業厚生労働省派14-301172平成28年1月4日平成31年1月3日

③人材紹介について
当社が行う人材紹介は、職業安定法第32条の4に基づく有料職業紹介事業許可を受けて行っております。職業安定法では、人材紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法 第32条)及び当該許可の取消事由(同 第32条の9)に該当した場合には、事業の許可を取り消し、または、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において、上記に抵触する事実はないと認識しておりますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合、許可が取り消され、または、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、主要な事業活動に支障を来たすとともに、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の許可の状況
許認可の名称監督官庁許可番号取得年月日有効期限
有料職業紹介事業厚生労働省14-ユ-300992平成28年1月4日平成31年1月3日

(2)安全管理及び風評被害について
当社の派遣スタッフがサービスを提供する施設等のご利用者は、介護度の高い高齢者が多いことから、転倒や誤嚥等によって生命に関わる重大な事故に発展する可能性があります。当社では、当社の派遣スタッフが派遣先施設等の指揮命令下、誠実で安全なサービスを提供するよう指導しておりますが、万一事故が発生して、当社の管理責任が問われた場合には、関係者の信用が損なわれるとともに、当社に対する好ましくない風評が立つなどして、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3)人材の確保について
当社が事業規模を維持・拡大していくためには、それに見合った施設等へ派遣または紹介する登録スタッフの確保が必要になります。また、介護・医療における人材サービス事業においては、有資格者によるサービスが義務付けられている場合があるため、適切な資格を有する人材を確保する必要があります。
当社はスタッフ獲得のための就職相談会や復職支援サービス、職場見学会等を積極的に実施しておりますが、介護保険事業の拡大に伴って全般的に求人が増加していることから、優秀な人材の確保が難しく、施設等へ派遣または紹介する登録スタッフの量的・質的な低下を招くおそれがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)社会保険料の負担について
当社が行う人材サービス事業における費用の大半は派遣スタッフの人件費であり、人件費に含まれる社会保険料が増加すると利益を圧迫する要因となります。社会保険料の料率改定や社会保険の適用範囲拡大等の制度改正により、社会保険料の会社負担額が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)従業員等によるコンプライアンスについて
当社では、コンプライアンスマニュアルの制定、コンプライアンス通信の配信、内部通報窓口の設置等を通じて、従業員及び派遣スタッフ共に法令遵守の徹底及び内部管理体制の充実に努めておりますが、万一重大なコンプライアンス違反が発生した場合には、当社の信用が損なわれ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報管理について
当社は事業を展開する上で、当社に登録している派遣スタッフの個人情報、その他業務上必要となる各種情報を取り扱っており、これらの情報について厳重な管理を行っておりますが、不測の事態により情報の流出や消失などが発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、社会的な信用の失墜や損害賠償による多額の費用負担の発生などにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材サービス業界の動向について
人材サービス業界は、景気の変動や社会情勢、規制緩和、法律改正など、様々な分野での動きに影響を受けやすい業界でありますが、当社が営業基盤としている介護サービス業界においては慢性的な人材不足が続いており、高齢化社会の進展に伴い今後も人材の需要は増加するものと見込んでおります。
今後介護保険制度の改正等により介護サービス業界の労働環境や給与水準が改善され、人材不足が解消された場合には、当社に対する人材派遣や人材紹介の需要が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)競合について
人材サービス業界には多数の会社が存在しておりますが、当社が営業基盤としている人材サービス事業は介護・医療に特化しているため、他の一般事務派遣等と比較して相対的に参入障壁は高い状況にあると考えます。当社は、親会社における事業開始時点から現在に至るまでの経験から生まれた信頼と、全国に拠点を有する強み及び介護の資格を有している従業員が多いことを最大限に生かしてまいりたいと考えておりますが、介護関連サービス市場は今後も拡大が予測されており、介護・医療の人材サービス事業分野に多くの会社が参入した場合には競争が激化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)自然災害について
当社は全国に営業拠点を有しており、地震や水害等の大規模な自然災害が発生した場合に備えて、災害規程及びBCP(事業継続計画)に基づき、拠点ごとの体制を整備しております。しかしながら、想定を上回る規模で自然災害が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)システム障害について
当社では請求業務や勤怠管理等の様々な事業活動にITシステムを多用していることから、日頃から情報セキュリティ強化やデータ破損等の事故に備えたバックアップ強化に努めておりますが、大規模なシステム障害が発生した場合には、業務に支障が生じ業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)支店の新規開設について
当社では、支店を新規開設する場合には、支店の新設基準に基づき慎重に検討した上で出店しておりますが、事業環境の変化等により派遣先施設からの人材の需要が減少したり、当社において派遣または紹介する登録スタッフが確保できない場合には、計画通りに事業が進捗せず当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新規事業について
当社では、業容拡大と長期にわたる持続的な成長を実現するために、新規事業への取り組みを進めていく方針です。しかしながら、新規事業に必要な先行投資費用が想定を上回る場合や、事業環境の変化等により想定した収益が計画通りに得られない場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)取引先の信用リスクについて
当社では、取引先との契約において、当社独自の与信管理や調査等の結果をふまえ取引等の可否判断を行っておりますが、取引先が経営状況の急激な変化等により資金繰りの悪化や倒産に至り、万一高額な貸倒損失が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材紹介サービスに特有の取引慣行に基づく返金制度について
人材紹介サービスにおいては、当社の紹介した求職者が、求人先に入社した日付を基準に売上高を計上しております。当該サービスにおいては、人材紹介業界での取引慣行に基づき、求職者が入社した日から3ヵ月以内に自己都合により退職した場合は、その退職までの期間に応じて紹介料を返金する旨を求人先との契約に定めております。
当社は求人先と求職者双方のニーズを十分に斟酌した上で紹介を進めており、過去の返金実績に基づき返金引当金を計上しておりますが、当社の想定した返金率を上回る返金が生じた場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(15)内部管理体制について
当社は、平成28年1月に株式会社ツクイの人材開発事業を新設分割により分社化し設立いたしました。現在までに一定の内部管理体制を構築できたと考えており、今後の事業拡大を見据えて更なる人員確保や体制の整備を継続的に進めていく予定でありますが、それらの体制の構築が適時適切に対応できなかった場合、業務に支障が生じ業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)資金使途について
今回の株式上場時における公募増資の資金使途につきましては、現時点では、人材確保のための求人費用や広告宣伝費用、新規出店費用等に充当する予定であります。
しかしながら、経済情勢や雇用環境の変化及び制度改正への対応等によっては、現時点における資金計画使途以外に充当する可能性があります。また、調達した資金使途の全てが必ずしも当社の成長に寄与するとは限らず、当初の計画通りの成果をあげられない可能性があります。
(17)親会社との関係について
①親会社との資本関係
当社の親会社である株式会社ツクイは、本書提出日現在、当社の発行済株式総数(普通株式)の86.9%を保有しております。当社の経営判断において親会社の事前承認を必要とする取引や業務は存在しませんが、当社の取締役の選任・解任や合併等の組織再編、重要な資産・事業の全部または一部の譲渡、定款の変更及び剰余金の処分等、株主の承認が必要となる全ての事項に関しては、他の株主の意向や利益にかかわらず、株式会社ツクイが今後も影響を与える可能性があります。また、株式会社ツクイにおいて風評リスク等が顕在化した場合、当社に対しても当該リスクが伝播する可能性があります。
②親会社との取引関係
当社は株式会社ツクイに対し、人材派遣及び人材紹介等のサービスを行っておりますが、取引条件は独立第三者間取引と同様の一般的な条件で行われており、取引金額の重要性は低いものであります。
平成30年3月期における人材派遣及び人材紹介等の取引高は140,352千円(期末売掛金残高10,261千円)であり、当社の売上高に占める親会社への当該取引の割合は、1.8%と僅少であります。
当社が親会社と取引を行う場合は、親会社からの独立性の観点も踏まえ、取引内容及び条件等の健全性・適正性について、その他第三者との取引と比較しながら慎重に検討した上で実施してまいります。
③親会社との役員の兼任
本書提出日現在、当社役員に株式会社ツクイの役員を兼任している者はおらず、独立性を確保しております。
(18)訴訟の可能性について
現時点において、訴訟その他の請求が発生している事実はありません。当社では、コーポレート・ガバナンスやリスク管理、コンプライアンスについて継続的な強化を図っておりますが、今後事業の過程において予期せぬトラブルや問題が生じた場合には、当社の取引先、派遣先、従業員、派遣スタッフ等から損害賠償の請求や訴訟を提起される可能性があり、その金額や内容及び結果によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について
当社は、当社取締役、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は133,500株であり、発行済株式総数1,400,000株に対し9.5%に相当します。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、当社株式の1株当たりの価値が希薄化する可能性があります。