有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/13 15:00
【資料】
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【項目】
84項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 建設市場の動向によるリスク
当社は、受注先としてデベロッパー・ゼネコン・エンドユーザーを対象とし、それぞれに安定受注先を有しております。また、近年は、官公庁・再開発プロジェクトにも注力し、環境の変化による業績の変動に弾力的に対応できる体制の構築に努めております。しかしながら、経済環境の悪化に伴う予想を上回る民間建設需要の減少や、官公庁工事の削減、コストの大幅な変動等、著しい環境変化が生じた場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信用リスクについて
当社は、売上債権及び貸付金等の貸倒による損失に備えて、過去の貸倒実績率等に基づき貸倒引当金を計上しております。また、与信管理規程に基づき、取引先の信用力や支払条件等の審査を厳格に実施して与信リスクの最小化を図っております。しかしながら、景気後退による主要取引先及び一般取引先の信用不安等が顕在化した場合、貸倒引当金を超える貸倒損失が発生するなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 瑕疵リスクについて
当社が行う工事の施工には施工ミスにより瑕疵が生ずるリスクがあります。建設事業は、社会生活の基盤を造る事業であり、公共性・安全性が求められております。そのため、様々な規制・法令の適用があり、また、高い技術力の伴った施工能力を求められているので、施工ミスによる瑕疵が生じた場合は直接的損害のみならず、間接的損害の責任も問われる可能性があり、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制について
当社は、建設業法に基づき、国土交通大臣の特定建設業許可及び一般建設業許可を受けております。当社は当該許可要件の維持及び各法令の遵守に努めており、これらの免許取消事由に該当する事実はありませんが、万一法令違反等により当該許可の取消等、不測の事態が発生した場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、解体事業では建設業法のほか、関連法規として建設リサイクル法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、労働安全衛生法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、資源有効利用促進法等の様々な法規制を受けております。
当社はコンプライアンスの重要性を強く認識し、既存法規制等の規制はもとより、規制の改廃、新たな法的規制が生じた場合も適切な対応が取れる体制の構築を推進してまいります。しかしながら、何らかの事由によりこれらの法規制に抵触する等の問題が発生した場合、またはこれらの法規制の改正により不測の事態が発生した場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
許認可等の名称所管官庁等許認可等の内容有効期間主な取消事由
特定建設業許可とび・土木工事国土交通省国土交通
大臣許可
平成32年11月20日許可要件を満たさなくなった場合
特定建設業許可解体工事国土交通省国土交通
大臣許可
平成33年8月15日許可要件を満たさなくなった場合
特定建設業許可塗装工事業・
内装仕上工事業
国土交通省国土交通
大臣許可
平成34年7月26日許可要件を満たさなくなった場合
一般建設業許可土木工事業国土交通省国土交通
大臣許可
平成32年11月20日許可要件を満たさなくなった場合


(5) 労働災害について
当社の解体工事現場では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を推進しております。具体的には、社内に安全衛生委員会を設置し、日常的な安全教育等の啓蒙活動を実施するほか、経営幹部や安全環境管理部による安全パトロールの実施等、事故を未然に防止するための安全管理を徹底しております。しかしながら、何らかの事由により重大な労働災害が発生した場合は、当社の労働安全衛生管理体制に対しての信用が損なわれ、受注活動等に制約を受けるなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人材の確保について
建設事業は優秀な資格者と施工実績の良好な評価が、事業を継続拡大するためのベースとなっております。また、現場では主任技術者の配置が必須であり、今後の業容拡大のためには、優秀な人材の採用および育成が重要な経営課題と認識しております。現在有資格者の採用および社員の資格取得促進に注力しておりますが、今後必要な人材を継続的に確保できなかった場合、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 協力会社の確保について
当社は、工事の施工監理を行っており、優秀な協力会社の確保・育成・新規採用が不可欠であります。現状、長年取引を行っている協力会社を中心として受注工事に対応できる十分な施工能力を有しておりますが、将来主要な協力会社に不測の事態が発生した場合、施工能力に問題が発生するなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 建設機械の確保について
当社は、解体工事施工にあたり協力会社の重機・建設資材等及びリース会社の重機・建設資材等を使用して工事施工にあたっております。従って、重機等の保有に伴うリスクはないものの、重機等の調達が困難になった場合、工期遅延等が発生するなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 自然災害について
地震、台風等の大規模自然災害が発生した場合は、工事現場の復旧等、多額の費用が発生する可能性があります。当社ではこのような自然災害に対する安全対策には万全を期すよう、現場ごとに様々な工程に則した対策を講じさせております。しかしながら、当社の予期し得ない大規模な自然災害が発生した場合、工事の進捗遅延等が発生するなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 小規模組織であることについて
当社は、小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人材採用を行うとともに必要に応じてアウトソーシング、IT技術の積極的活用も検討し、業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) クレーム、訴訟等について
当社が行う建築構造物の解体工事ではその作業の性質上、近隣住民等からの騒音・振動・粉塵等に対するクレームが発生することがあります。当社では解体工事を開始するに際して、近隣住民等への明確で丁寧な説明を行うことで円滑な解体工事を目指しておりますが、何らかの事由により重大なクレームの発生やそれらが訴訟等に発展した場合、当社に対する否定的な評価や評判が広がるなど、当社の信用が低下し、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 売上高及び売上原価の計上基準について
当社は一定の要件を満たす工事案件において工事進行基準を適用しております。工事進行基準は、工事の進捗率に応じて収益を計上する方法であり、具体的には見積総原価に対する発生原価の割合をもって完成工事高を計上しております。当社は、工事案件ごとに継続的に見積総原価や予定工事期間の見直しを実施するなど、適切な原価管理に取り組んでおりますが、何らかの事由によりそれらの見直しが必要になった場合は、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、追加工事が見込まれる大型工事においては、着工時点では追加工事の金額・工期が確定できず、完成工事基準を適用せざるを得ない場合があります。そのような大型工事において、何らかの事由により工期の大幅なずれ込み等が発生した場合には、売上計上時期がずれるなど、当社の事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は第36期事業年度以前、すべての工事案件に工事完成基準を適用しておりましたが、内部管理体制が整備されたこと等を踏まえ、監査法人の指導も受けつつ、平成29年4月1日以降に着工した案件につきまして、一定の金額以上で、収益総額・原価総額・進捗率を合理的に見積れると判断した工事案件に工事進行基準を適用しております。具体的には、第37期事業年度の売上高7,861,876千円のうち、工事完成基準による売上高が3,693,130千円、工事進行基準による売上高が4,168,745千円(うち、第37期事業年度末時点において進捗中の工事案件に係る売上高が1,782,270千円)、第37期事業年度の売上原価6,058,604千円のうち、工事完成基準による売上原価が2,600,518千円、工事進行基準による売上原価が3,458,085千円(うち、第37期事業年度末時点において進捗中の工事案件に係る売上原価が1,556,505千円)となっております。
また、第37期事業年度の売上高及び売上原価には、第36期事業年度以前に着工した完成工事基準を適用する大型工事に係る売上高及び売上原価が計上されております。
(13) 創業者との関係について
当社の筆頭株主であるスリーハンドレッドホールディングス株式会社は、当社の創業者である田中俊昭の資産管理会社であり、本書提出日現在、当社株式の86.16%を所有しております。田中俊昭は、スリーハンドレッドホールディングス株式会社の株式を100%所有していることから、同社の所有分と併せて当社株式の88.97%を実質的に所有しております。平成29年3月期及び平成30年3月期において、当社と田中俊昭の間に取引があるほか、当社と同氏が議決権の過半数を所有する会社であるミノルホールディングス株式会社及び株式会社コレダコーポレーションの間にも取引があります。当社と田中俊昭、ミノルホールディングス株式会社及び株式会社コレダコーポレーションとの取引の具体的な内容は下表のとおりです。
会社等の名称又は氏名取引の内容取引金額(千円)
第36期事業年度第37期事業年度
平成29年3月期平成30年3月期
田中 俊昭相談役報酬の支払4,0008,004
ミノルホールディングス株式会社オフィスビルの賃借料及び水道光熱費の支払7,0014,805
オフィスビル賃借終了に伴う敷金返金5,5294,174
オフィスビル賃借終了に伴う原状回復費用1,420-
社員転籍に伴う退職金の移管支払2,236-
社員転籍に伴う退職金の移管受入1,863-
株式会社コレダコーポレーション宿泊・飲食(リゾートホテルの従業員福利厚生利用)代の支払189790
宿泊・飲食(リゾートホテルの営業施策利用)代の支払499330
飲食(割烹料理店の営業施策利用)代の支払4,1427,023
保養所管理手数料2,500-

(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.平成29年3月期は決算期の変更(事業年度末日を9月30日から3月31日に変更)を行ったことで
6ヵ月決算となっております。
田中俊昭は当社の創業者であり、昭和57年2月の当社設立時に代表取締役社長に就任しております。平成15年6月の代表取締役社長退任後、取締役会長、監査役を経て、平成28年12月の監査役退任後、名誉相談役として招聘しております。名誉相談役として招聘するにあたりましては、社外役員も参加する取締役会にて報酬額等を協議・決定しております。
当社、ミノルホールディングス株式会社及び株式会社コレダコーポレーションは、田中俊昭を創業者とする企業であり、従前は実質的に同一グループに属する企業であったことから、当社が株式上場の検討を始める以前より両社との取引が存在しております。
ミノルホールディングス株式会社への賃借料等の支払いにつきましては、本社ビルの購入等により平成29年10月で解消しております。また、同社との間で社員の転籍を実施しており、それに伴う退職金の移管を行っております。
株式会社コレダコーポレーションへの宿泊・飲食代の支払いのうち、リゾートホテルの従業員福利厚生利用につきましては、平成30年4月より利用を取り止めており、当該取引を解消しております。また、リゾートホテルの営業施策利用につきましては、平成29年7月より利用を取り止めており、当該取引を解消しております。割烹料理店の営業施策利用につきましては、平成30年5月より当該施設の利用を取り止めており、当該取引を解消しております。当社が保有する保養所の維持管理につきましては、平成29年3月より当該取引を解消しております。
なお、田中俊昭(スリーハンドレッドホールディングス株式会社、ミノルホールディングス株式会社及び株式会社コレダコーポレーションを含みます。)との取引の実施につきましては、「関連当事者取引規程」に基づき、その取引が当社の経営の健全性を損なっていないか、その取引が合理的判断に照らし合わせて有効であるか、また取引条件は他の外部取引と比較して適正であるか等に特に留意して、社外役員も参加する取締役会の協議・決議により行うことで、少数株主やその他の一般取引先に不利益が生じないように配慮いたします。