有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2018/11/15 15:00
【資料】
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【項目】
103項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 市場動向について
当社グループは、主にAP(人工知覚)市場を主要な事業活動の領域としております。AP(人工知覚)市場は、次世代ソリューション(第1 企業の概況 3 事業の内容 参照)への社会的な期待と現実的な発展可能性により、将来的な拡大が想定される市場でありますが、AP技術の発展が当社の想定どおりに進まなかった場合には、当該市場の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社グループの技術について
当社グループは、顧客や市場ニーズに対応した技術の提供を目的として、中長期的な研究開発方針を定め、当社グループの成長を牽引する研究開発課題に取組み、適切な時期に市場投入することに全力を挙げております。しかし、当社グループが属する情報通信業は、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、代替技術の急激な進歩、競合する技術提供者の出現、依存する技術標準・基盤の変化などにより、当社グループの技術優位性が継続的に維持できない可能性や、最適な市場投入ができない可能性があります。
当社グループにおいては、当該技術革新への対応を常に講じておりますが、万が一、当社グループが新しい技術に対応できなかった場合、あるいは当社グループが想定していない新技術や競合先が出現した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権の侵害
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業展開していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、その第三者から損害賠償請求及び差止め請求等の訴訟を起こされることにより賠償金の支払い等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 特定人物への依存について
当社の創業者であり、創業以来の事業推進者である代表取締役大野智弘は、当社事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社の事業活動全般において、重要な役割を果たしております。また、当社グループの技術部長であるJohn Williamsは、当社AP (人工知覚)技術の研究開発に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の研究開発活動全般において重要な役割を果たしております。
当社では、今後の業容及び人員拡大も視野に入れ、両名に過度に依存しないよう、幹部職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築などにより、経営組織の強化に取り組んでおりますが、何らかの理由により両名の業務遂行が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 小規模組織であることについて
本書提出日現在において、当社は、取締役4人、監査役3人、従業員3人(うち管理部門2人)と小規模な組織であり(Kudan Limitedを含む当社グループでは15人)、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社グループは、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強並びに内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人材の獲得、育成及び確保について
当社グループが継続的に成長を成し遂げていくためには、柔軟かつグローバルに対応できる組織作りが重要であり、それを支える優秀な人材の獲得及び育成は重要な要素のひとつとして挙げられます。当社グループは、優秀な人材、特に研究開発の要である博士研究員やPhDの採用を進めておりますが、これら要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合には、当社グループの成長を阻害する要因となる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) KudanSLAMの提供を開始してから間もないことについて
当社グループは、第3期(平成29年3月期)まではKudan AR SDKが収益の主たる源泉であったところ、第4期(平成30年3月期)よりKudanSLAMの提供を開始し、第5期(平成31年3月期)からは、グループの経営資源のほとんど全てをKudanSLAM及び関連する研究開発に投入しております。この結果、一時的に新規の特定の得意先に対する依存度が高くなっており、平成31年3月期第2四半期連結累計期間において、得意先上位5社で売上高の70%超を占めております。
中長期的に特定顧客の依存度は低下することが見込まれておりますが、それまでにこれら得意先の製品の販売の低迷や事業戦略の変化に伴う取引契約の条件変更或いは契約解消が起こった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提供するKudanSLAMは、顧客が研究開発目的で利用する開発ライセンスと、顧客が研究開発後、製品を市場投入する際に利用する販売ライセンスから構成されております。顧客の研究開発計画が継続すれば、開発ライセンス、販売ライセンス(ロイヤリティ収入等)の双方に係る収益の発生が期待されますが、顧客の研究開発計画の変更等に伴いライセンスの利用が継続されない場合には、当該顧客からの収益が継続しない可能性があります。本書提出日現在においては、KudanSLAMの提供開始から間もないことから、開発ライセンスが販売実績件数のうち多くを占めております。
一度当社のAP (人工知覚)技術が顧客製品に組込まれると、技術アップデート、カスタマイズ、製品化後のロイヤリティなど長期に亘り収益が発生することが期待されますが、顧客の研究開発計画、販売計画の進展如何により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) ライセンス契約に係る収益の変動について
当社グループが取扱うライセンス契約に係る収益の認識は、通常契約締結後のアルゴリズムの引渡しを起点に開始されます。また、収益の発生パターンとして、引渡し時にライセンスに係る収益を一時に認識する方法と、期間に亘り認識する方法が存在します。各ライセンス契約がどちらの発生パターンに該当するかは個別契約の内容によりますが、本報告書提出日現在において締結実績のあるライセンス契約の多くは、収益を一時に認識するパターンの契約に分類されております。
収益を一時に認識するライセンス契約の場合、各契約の締結までの進捗状況や顧客の研究開発計画の変化等により、収益認識のタイミングが当初計画したタイミングから変動する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外における事業展開、及び法規制等に伴うリスク
当社グループは、海外における事業展開を積極的に進めております。これらの事業展開においては、為替リスクだけではなく、現地における法規制を含む諸制度、取引慣行、経済事情、企業文化、消費者動向等が日本国内におけるものと異なることにより、日本国内における事業展開では発生することのない費用の増加や損失計上を伴うリスクがあります。海外における事業展開にあたっては、これに伴うリスクを十分に調査や検証した上で対策を実行しておりますが、事業開始時点では想定されなかった事象が起こる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 為替リスク管理について
当社グループでは、海外市場での事業拡大を積極的に進めており、為替に関する潜在的リスクが存在しております。当社グループは、当該リスクを最小限にするために、事前に十分な対策を講じておりますが、それらのリスクに対処できなかった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報管理について
当社グループは、事業を通じて取得した顧客が保有している機密情報(経営戦略上重要な情報等)及び個人情報を保有しております。情報の取り扱いについては、情報セキュリティ管理規程を整備し、適切な運用に努めております。このような対策にも関わらず、当社グループの人的オペレーションのミス、その他不測の事態等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等のリスクについて
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、台風、洪水等の自然災害または感染症の流行等が発生した場合、被災状況によっては正常な事業活動が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 社歴が浅いことについて
当社は、平成26年11月に設立されており、設立後の経過期間は4年程度と社歴の浅い会社であります。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示してまいりますが、当社の過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。
(14) 資金使途について
今回計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、現時点では、英国子会社における研究開発に係る人件費等や採用活動費及び当社の本社移転費用等に充当することを計画しております。
しかしながら、AP (人工知覚)技術を取り巻く市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性があります。また、計画どおりに資金を使用したとしても、期待どおりの効果を上げられない可能性があります。そのような場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 配当政策について
当社グループは、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。
(16) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は391,400株であり、発行済株式総数6,743,200株の5.8%に相当しております。