有価証券報告書-第17期(平成30年3月1日-平成31年2月28日)

【提出】
2019/05/30 13:45
【資料】
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【項目】
102項目

事業等のリスク

当社グループの事業においてリスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 経営環境の変化について
当社グループのビジネスは、企業を主要顧客としております。これまで、顧客企業のIT投資意欲の上昇を背景として、事業を拡大してまいりました。
しかし、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業のIT投資意欲が減退するような場合には、新規顧客の開拓の低迷や既存顧客からの受注の減少等から、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合について
当社グループは、大手・中小を問わず競合企業が存在しております。また、海外には類似製品が存在しております。そのため、競合他社の技術力やサービスの向上、海外の類似製品の日本国内への市場参入により競争が激化するような場合には、当社グループが提案している営業案件の失注や、製品販売及びサービス提供の契約の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 「Atlassian」への依存について
当社グループのツールソリューション事業の大部分は、「Atlassian製品」を中心とした製品販売及びサービス提供であります。従いまして、当社グループの成長は「Atlassian製品」の市場の拡大に対し、大きく依存しております。また、当連結会計年度における仕入高に対するAtlassian Pty Ltd.の占める割合は87.5%となっております。なお、当社グループはAtlassian社と「Atlassian製品」のライセンス販売に係るパートナー契約を締結しております。(契約内容は、[経営上の重要な契約等]を参照ください。)当該契約における解除条項は、90日前までに書面で通知する、又は重大な違反があった場合と定められておりますが、同社との関係は良好であり、当該パートナー契約の解除事由に該当する事項は現時点では発生しておりません。こうした現状を踏まえ、「Atlassian製品」以外のツールの提供(Alfresco、Tableau等)といった新たな事業展開に努めておりますが、競合製品の登場、製品・サービスの陳腐化などによる競争力の低下により「Atlassian製品」の市場規模が縮小するような場合や、Atlassian社の経営戦略あるいは取引条件に変更があるような場合、同社とのパートナー契約の解除事由に抵触し契約解除された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替レートの変動について
当社グループは、主にAtlassian製品の販売をしておりますが、Atlassian製品については豪州から輸入しており、仕入代金の支払いについては米ドル建てで行っております。
そのため、仕入価格については、日本円と米ドル間の為替相場が円安傾向となった場合、円換算した仕入価格が上昇することになります。当社グループは為替予約の活用等により為替リスクの低減に努めておりますが、当社グループの想定以上に円安が進んだ場合、市場環境いかんでは、かかる仕入価格の上昇分を適正に製品の販売価格に転嫁することが出来ず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 海外での事業展開について
当社グループは、グローバルでの事業展開が重要であると考えており、米国に子会社を設立し、自社ソフトのマーケティング活動を行っております。適切な人員配置等により、事業の拡大を図る方針でありますが、当社グループの想定通りに事業展開が進まなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 代表取締役への依存について
当社グループにおいて、創業者である代表取締役大貫浩は、当社グループの経営方針及び事業戦略を決定するとともに、ビジネスモデルの構築から事業化に至るまで重要な役割を果たしております。また、今後も当社グループの業務全般においては、同氏の経営手腕に依存する部分が大きいと考えられます。
当社グループでは、取締役会等の重要な会議において役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化等により、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が業務執行を継続することが困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 納入予定時期の変更について
当社グループは、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と大きく乖離し納入時期が変更となって売上・収益の計上が翌四半期あるいは翌連結会計年度に期ずれする場合があります。期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは連結会計年度において当社グループの経営計画と経営成績に乖離が生じる可能性があります。
(8) 経営成績の季節変動について
当社グループの主要商品であるAtlassian製品等のライセンスは通常1年毎に更新が行われます。また、顧客により更新時にアップグレード(ユーザー数の増加)が行われる場合は、ライセンス売上の増加につながります。過年度においてライセンスの売上高は、3月、6月、2月が他の月より多くなっております。顧客の事情により更新月が前後する場合もありますが、ライセンスの更新・アップグレードにより、3月、6月、2月のライセンス売上が多くなる傾向が見られます。
Atlassian製品等の環境構築、カスタマイズ、保守・運用等を行うSIにおいては、3月決算企業の各四半期末である3月、6月、9月、12月に検収が行われることが多く、特に顧客の決算期末が集中する3月には多くなる傾向があります。したがって、当社グループのSI売上にも同様の傾向が見られます。
一方、当社グループでは、事業拡大を図るため技術要員、開発要員、営業要員等の人員増強を行っているため、労務費、人件費、研究開発費等が期首から期末にかけて増加する傾向があります。
このため、当社グループでは、上半期に利益が多くなる傾向があります。
当社グループでは、新規ライセンス販売やクラウドサービスの推進等により利益の平準化を図っておりますが、ライセンスの更新・アップグレードやSIの受注が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保・育成について
当社グループは、今後も事業拡大を進めていくにあたり、営業も含めた優秀な人材を確保するとともに人材の育成が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループは採用活動及び研修体制の充実等により人材流出の防止に努めております。しかしながら、必要とする人材の安定的な確保が出来なかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) Atlassianの認定技術者等の確保・育成について
Atlassian認定技術者等の人数は、パートナーランクの決定とAtlassian製品の仕入ディスカウントに関係します。現在のパートナーランクは、最高位のプラチナであります。当社は現在のプラチナランクに必要な認定技術者等の人数は確保しております([事業の内容]注2を参照ください。)。当社グループは、今後も事業拡大を進めていくにあたり、Atlassian認定技術者を確保、維持することが重要な課題であると認識しております。このため、当社グループは採用活動及び研修体制の充実等により人材流出の防止に努めております。しかしながら、プラチナランクに必要なAtlassian認定技術者の維持が出来なかった場合は、パートナーランクが変更されることによって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 外注先の確保について
当社グループのツールソリューション事業において、必要に応じて、システムの設計・構築、保守・運用等について協力会社に外注しております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財務状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報管理体制について
当社グループは、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針 を策定し、役職員及び協力会社に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施しているほか、ISO27001、ISO27017の認証を取得するなど、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) システムトラブルについて
当社グループの事業は、インターネットを経由して行われております。従いまして、インターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス提供のため、サーバー設備やセキュリティの強化等のシステム管理体制の整備を行っておりますが、アクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加や外部からのサイバー攻撃、自然災害及び事故などによる予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 自然災害等について
地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、感染症の流行(パンデミック)等により、当社グループにおいて人的被害又は物的被害が生じた場合、又は、外部通信インフラ、コンピュータネットワークに障害が生じた場合等の事由によって当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけており、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、業績や財政状態等を総合的に勘案し、配当を検討したいと考えております。当社グループは、当面は内部留保の充実を図り、更なる成長に向けた事業の拡充や組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においては、事業基盤の整備状況や事業展開の状況、経営成績や財政状態等を総合的に勘案し、配当を検討したいと考えておりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(16) 資金使途について
当社の今回の公募増資による調達資金の使途については、今後の事業拡大に向けた人員採用費、人件費、既存製品改善及び新製品開発のための研究開発費、基幹システム構築のための設備投資資金、米国子会社Ricksoft, Inc.への投融資等に充当する予定であります。なお、米国子会社では、当社からの投融資資金を人員増強のための人件費及び自社ソフトのグローバル販売のための広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、経営環境等の急激な変化により上記の資金使途が想定どおりの成果をあげられない可能性があります。
(17) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は9.04%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。