有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/01/23 15:01
【資料】
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【項目】
87項目

事業等のリスク

当社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なものとしては、以下の内容が挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
①景気変動によるリスク
当社が提供するソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の政治・経済の大幅な変動による国内景気の悪化等がもたらす、顧客企業の設備投資の縮小や製品開発計画の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社の事業に係る市場の規模が縮小され、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
②不採算プロジェクト及びトラブル・クレーム発生に関するリスク
ソフトウエアによるシステム開発においては、開発規模の大型化、顧客の要求の高度化、複数のメーカーのソフトウエア製品を組み合わせて活用するソフトウエアのオープン化の進展等によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます高くなっております。当社はプロジェクト開発に関するリスク管理を目的として、商談発生時からPMBOK等の工程管理手法を活用しプロジェクトの進行を監視しておりますが、顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、これらシステム開発における品質や納期遅延の問題は、顧客の信頼を失うと共に大きな赤字を計上するだけでなく、顧客との間でトラブル・クレームとなり訴訟や商流の喪失・風評被害につながる可能性があり、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③情報等漏洩のリスク
当社は、顧客の情報システムや顧客の製品開発等に係るソフトウエア開発を行うにあたり、顧客の個人情報、機密情報、及び重要な顧客情報等を含んだ情報資産を取り扱っております。当社では、このような顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、ISMSの認証取得やプライバシーマークの認定取得に加えて、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ、常に情報漏洩のリスクの回避を図っております。しかし、万が一にも、当社又はその協力会社(外注先)より顧客情報資産の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④情報システムに関するリスク
当社は、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しております。情報システム運営に当たっては、ISMSの認証取得やプライバシーマークの認定取得に加えて、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ危機管理対応に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウィルス侵入、自然災害・事故等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤大口顧客依存に関するリスク
当社の各事業部門には、それぞれ大口取引先が存在します。当社は、大口取引先との取引関係を継続するために、品質・コスト・納期等に対する顧客満足度の向上を通して信頼関係の維持に努めると共に、新規顧客開拓を進めることにより顧客基盤の拡大に努める方針であります。しかし、大口取引先の事業方針及びソフトウエア開発投資計画の変更など、何らかの理由により、大口取引先との取引が終了又は大幅に縮小した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
日立グループとの大口取引実績
売上高(千円) 売上比率(%)
平成29 年5月期 1,167,404 21.4
平成30 年5月期 1,452,113 25.1
(注)ここでは、当社取引先別売上高の上位20社の範囲において、単独での売上高又はグループ関係にある取引先
に対する売上高の合計が、当社売上高の20%を超える取引実績のある大口取引先について、その売上高及び当社売上に占める割合を掲載しております。「日立グループ」とは、株式会社日立製作所、その子会社、関連会社及び子会社の100%子会社を対象としており、同グループに対する売上高の大半は、金融・公共関連事業に関するものであります。
⑥協力会社依存に関するリスク
当社は、生産性向上及び外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等の目的で、受託したシステム開発における一部プログラム作成業務を協力会社(外注先)に外部委託又は派遣による役務の提供を受けることがあります。また、協力会社への委託は、受注の機会損失を無くし顧客要請への迅速な対応を可能にすることから、当社の事業拡大において協力会社の確保や良好な取引関係の維持は不可欠であります。当社では、協力会社との取引関係をより強固なものにするために協力会社社員の教育・研修等の施策を実施しておりますが、今後、協力会社技術者の需給バランスの変化による、協力会社の要員の確保難や発注価格の高騰等が、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦人材確保のリスク
当社事業の継続、拡大、及び付加価値向上において、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保は不可欠なものであります。当社では、新人・中途採用を問わず計画的かつ継続的に人材の採用と育成を行い技術者の要員確保及び技術レベルの向上に努めております。しかし、こうした技術者の獲得競争は年々厳しさを増し、収益の要となるプロジェクトマネジメント技術を有する技術者の育成にも時間がかかるのが現状であります。こうした中で、景気変動をはじめ諸般の事情により採用人員が計画数を大きく下回った場合及びプロジェクトマネジメントやプロジェクトを支える技術の要となる従業員が離職した場合には、ソフトウエア開発力の低下を招き、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧労務管理のリスク
ソフトウエアによるシステム開発は、知識集約型かつ労働集約型の業務であります。また、顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的な重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、ソフトウエア開発にあたるエンジニアへの負担が増加するケースが多く、精神的なストレスや長時間労働による健康問題につながる可能性があります。当社では政府の掲げる働き方改革の方針を受け、過重労働の撲滅を最重要課題とし、常に従業員の健康に配慮した労働環境の整備に努めておりますが、予想外のトラブルや開発環境等の変化により、一時的に特定の従業員に業務負荷がかかるリスクがあります。こうした状況が労務問題に発展した場合には、他の従業員の士気の低下をはじめ、風評被害を含む社会的・法的問題につながり、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑨業績の季節変動のリスク
当社事業のソフトウエア受託開発は、顧客のシステム投資予算並びに新製品開発予算の対象となる他、顧客企業の予算執行のタイミングや開発システムの工期との兼ね合いから毎年度3月と9月に売上計上が集中し営業利益が偏重する傾向があります。なお、当社は納期管理を徹底しておりますが、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の5月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該期間での業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩価格競争に関するリスク
当社は、価格による差別化が競争優位を確保する要因の一つである、ソフトウエア業界に属しておりますが、今後はソフトウエア開発のグローバル化により国内企業に限らず海外企業を交えた価格競争が激化することが予想されます。当社では、こうした価格競争に対して継続的なプロジェクト管理や品質管理の強化を通じて開発コストの低減及び価格競争に左右されない技術の習得等により、常に収益性の向上に努めておりますが、競合相手との価格競争により収益性の低下や受注量の減少など、価格競争が当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑪法的規制に関するリスク
当社は、顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。前記の他法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合や法令に違反した場合等において、当社が的確に対応できなかった場合には、当社の事業活動が制限されると共に、社会的な信用の失墜により当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
⑫知的財産権に関するリスク
当社は、ソフトウエア開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように、社内に対し十分な啓蒙活動を行い、常に注意を払っておりますが、近年のソフトウエア開発は、多様化・複雑化しており、商業用に開発されたものではなく、比較的自由に参照・利用できるソフトウエアであるオープンソースの利用等により、当社の認識の範囲外で他者の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担の発生や損害賠償請求を受けるなど、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。