有価証券届出書(新規公開時)

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2019/02/15 15:01
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事業等のリスク

当社グループの経営成績、財務状況等に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合には適切な対応に努め、事業活動に支障をきたさないよう努力してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) IT人材事業に関するリスク
① 市場動向について
IT・インターネットの業界は過去20年間で飛躍的な成長を遂げており、今後も継続的に成長が見込まれております。それに伴い、技術リソースのニーズは常に高い状態にあります。しかしながら、予期せぬ法的規制や市場全体の成長が大きく鈍化した場合には、ITフリーランスのニーズも減少する可能性があり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループは、主にWebシステムやスマートフォン向けアプリ制作などに強みを持つITフリーランスを中心に集めております。そして、案件ベースで業務委託契約を締結し、顧客企業にサービス提供しているため、ITフリーランスは重要な経営資源であり、優秀なITフリーランスの継続的確保が事業拡大の必要条件であります。
今後も企業の各種システムやサービス開発への投資ニーズが増加傾向にあると予測され、ITフリーランスの確保について同業他社との競争は激しくなると考えられます。当社グループとしては、ITフリーランスのサポート体制を充実させることでITフリーランスとのエンゲージメントの強化を図っていますが、ITフリーランスの継続的な確保が十分に行えない場合は、顧客企業のエンジニア要請に対応できないことになり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 顧客の企業機密漏洩について
当社グループが行うIT人材事業は、顧客企業における新製品開発等に係る機密性、ノウハウの高い業務であるため、外部からの不正アクセスや想定していない事態によって個人情報の外部流出等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を与える可能性があります。
④ ITフリーランスによる不祥事に関するリスクについて
当社グループが行うIT人材事業は、当社と契約するITフリーランスが顧客先企業において事件や事故などの不祥事等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を与える可能性があります。
(2) ゲーム事業に関するリスク
① 市場動向について
スマートフォン向けゲーム市場は、高速データ通信に対応したモバイル端末の普及と、Apple・Googleなどのプラットフォーム事業者により急速に拡大した市場であり、今後も堅調な成長が見込まれております。しかしながら、プラットフォーム事業者の事業方針変更や予期せぬ法的規制、通信業者によるデータ通信料の改正などにより市場全体の成長が大きく鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 他社との競合について
当社グループが取り組む事業分野においては、数多くの競合他社が存在しております。当社グループは、常にクリエィティブ力や技術力、開発効率の向上策などに取り組むとともに、これまで培ってきた経験・ノウハウを活かした魅力的なゲーム制作を提供し続けることで、他社との差別化を図っております。しかしながら、当社グループの優位性を上回るような競合他社が出現した場合には、次第に顧客からの依頼は減少し、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 受託開発及び受託運営売上について
当社グループが顧客から得るゲーム制作の企画・開発・運営の対価は、開発業務の納品に合わせて受け取る受託開発売上、ゲーム配信後の運営に伴う受託運営売上、顧客の課金売上から一部分配収入により、安定的な収益が得られるよう努めております。しかしながら、納期や仕様変更の要請があった場合、何らかの理由により契約が終了するなどした場合には、売上の計上時期及び計上額が変わり、その結果によっては、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。また、ゲーム配信後に課金売上の低迷が継続する場合には、配信事業者の意向により受託運営売上の減額や配信停止により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ 開発期間の長期化について
当社グループのスマートフォン向けゲーム開発の期間は、1年から長い場合には3年を要します。開発が長期間にわたるため、計画段階において予測した開発期間と実際の開発期間に差異が生じる可能性があります。開発過程では、仕様追加や納期変更など計画段階では想定できなかった事態が生じた場合、その結果によっては、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
⑤ 受託案件の規模による業績変動について
当社グループのスマートフォン向けゲーム受託開発は、受託する案件の規模により受託売上金額も異なっております。また、何らかの要因で受託案件の売上計上時期に変動があった場合、それが四半期または事業年度毎の区切りによって、期間毎の業績が大きく変動する可能性があり、当社の経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 不具合発生等について
当社グループがゲーム開発を受託開発した場合、通常、顧客に対して納品したソフトウェアについて瑕疵担保責任を負います。当社グループは品質管理を徹底しておりますが、予期せぬ不具合等が発生した場合には、無償修補を行う必要があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 外注について
当社グループは、新規タイトル及び既存タイトルを含め、大量のアイテム、キャラクターデザイン、各種プログラミングなど制作に多くの工数を必要とします。その制作において、限られた期間内に一定の質・量を維持するために、社内での効率的な制作に加え、複数の外注委託先へ分散させながら、社外に制作の一部を委託する場合がございます。このような中、スマートフォン向けゲーム市場においては、ヒットゲームのトレンド変化やユーザー層の変化などにより市場ニーズも常に変化を続けており、そのニーズに適合させるために制作中のゲーム機能の改変が生じる場合や、外注委託先の対応遅れや不備、人件費の上昇による発注単価の上昇リスク等により、当社グループの想定以上の制作費用の発生が想定されます。この結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 技術革新について
当社グループの事業領域であるスマートフォン向けゲーム市場は、インターネット環境やネットワーク技術等に密接に関連しており、顧客ニーズの変化や新しいサービスの導入等にあわせて、通信技術やデバイス等の技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社グループはそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めておりますが、このような技術の進歩に起因するビジネス環境の変化に当社が適切に対応できない場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
(3) 組織体制に関するリスク
① 代表取締役社長を含む役員、幹部社員等への依存について
当社グループは、代表取締役社長を含む役員、幹部社員等の専門的な知識、技術、経験を有している役職員が、各グループの経営、業務執行について重要な役割を果たしており、当該役職員の継続勤務による経験値は、当社グループにおける重要なノウハウと考えられます。しかし、これら役職員が何らかの理由によって退任、退職し、後任者の採用が困難となった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
② 人員確保について
当社グループは、人材採用及び人材育成を重要な経営課題と位置づけており、IT・インターネット業界における優位性を確保すべく、人材採用と人材育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人材確保が困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 個人情報管理について
当社グループは、各事業運営を通じて取得した個人情報を保有しており、これらの個人情報の管理について、「個人情報の保護に関する法律」(平成17年4月施行)の規定に則って作成されたプライバシーポリシーを有し、その遵守に努めております。しかし、コンピューターシステムの瑕疵、コンピューターウイルス、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、役職員・パートナー事業者の過誤、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等に基づき、個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合、当社グループへの損害賠償請求や当社グループの信用の下落等の損害が発生し、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4) その他のリスク
① 新規事業について
当社グループは、「21世紀で最も感動を与えた会社になる」ことをグランドビジョンに掲げ、インターネットの普及によりめまぐるしく変化する人々の生活や企業の行動を的確に捉え、変化対応力を強みに、提供サービスの創造・進化を通じて常に成長し続けることを目指しております。コア事業であるIT人材事業とゲーム事業の継続的成長による経営基盤の強化を図り、将来にわたって確実に利益を出し続ける企業創りに専念し、その先の更なる飛躍につなげていく方針ですが、新規事業であるインターネット事業が想定通りに立ち上がらなかった場合に、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② ゴルフ市場について
当社グループのインターネット事業は、ゴルフ専門情報サイト「Gridge」のサービスを提供しております。当社グループにとっては、ゴルフ市場の成長性が当事業のビジネスの成長との関連性を有します。ゴルフ市場は、ゴルフ場利用者数の減少やゴルフプレーヤーの高齢化が問題視されており、業界全体として若年層や女性ゴルファーの開拓に取り組んでおりますが、ゴルフプレーヤー数の急激な減少やゴルフ業界が今後成長しない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 広告宣伝が期待どおりの効果を得られないリスクについて
当社グループの事業にとって、業務委託先となるITフリーランスや留学生などのお客様の増加は非常に重要な要素であり、インターネットでのプロモーション等を用いた広告宣伝活動を積極的に実施しITフリーランスや留学生の増加を図っております。広告宣伝活動については、IT人材事業とIT人材育成事業のいずれにおいても、ITフリーランスや留学生獲得効率を勘案の上、最適な施策を実施しておりますが、必ずしも当社グループの想定通りに推移するとは限りません。これらの要因によりIT人材事業のITフリーランスまたは、IT人材育成事業の留学生の獲得が計画どおりに推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
④ 海外進出について
当社グループは、海外での事業展開を進めております。進出先の国において、テロ・政変・クーデターなどによる政情不安と治安悪化、従業員のストライキ・ボイコットなどによる労働争議の発生、電力・用水・通信などのインフラの障害、伝染病の発生、その他予期せぬ税制・外為に関する法律・規制の変更など不測の事象の発生、文化や商習慣の違いによる取引先との関係における問題などが発生する可能性があり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ フィリピンのカントリーリスクについて
連結子会社のNexSeed Inc.はフィリピンにおける事業を展開しております。近年のフィリピンは、賃金水準が向上し、当社グループが希望する人材の確保が想定通りにできない可能性があります。また、台風等の自然災害により通信システムの障害等が発生し、都市機能が麻痺する場合や、フィリピン南部のミンダナオ島で頻発するテロ活動が他地域に拡大する場合には、当社グループの事業活動が期待通りに展開できない可能性や、当社グループの財政状況や経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑥ フィリピンにおける外国資本の出資規制について
連結子会社のNexSeed Inc.が事業展開しているフィリピンでは、教育事業等の公益事業について、同国の憲法により外国資本が出資できる上限が40%と定められています。そして、憲法の規定を受けて外国資本の投資にその規定の細則を定めるForeign Investments Act(以下「外国投資法」といいます。)と外国資本が自己の出資比率以上に会社を支配し、経済的利益を得ることを規制するAnti Dummy Law(以下「アンチダミー法」といいます。)が制定されております。(上記法令に基づく外国資本の投資規制を以下「外資規制」と総称します。)
そのためフィリピンにおける公益事業については、外国資本が経営権を維持し、事業の拡大を図ることは、外国資本単独では実現できず、フィリピンにて信頼関係のあるフィリピン国籍を有する個人であるパートナーもしくは、フィリピン資本の法人との協調が不可欠となります。
Technical Education and Skills Development Authority(教育事業者適格)を取得したNexSeed Inc.は、かかる外資規制の対象となっております。NexSeed Inc.株式の当社直接持分は39.8%、残りの60.2%はNexSeed Inc.の日本人従業員及びフィリピンにおいて信頼関係のあるフィリピン国籍を有する個人が保有しております。
さらに、長期にわたり当社との間に、信頼関係が構築されているフィリピン国籍を有する個人に取締役に就任いただき、経営権を維持するようにしております。
当社と現地パートナーであるフィリピン国籍を有する個人株主や取締役との間で信頼関係が失われるなどして、当社の意向に反するNexSeed Inc.の取締役の選任を行ったときは、当社と協調しない可能性の高い取締役が過半数を占める形だけではなく、それにより経営権を失い、当社の意図する事業計画を実行できなくなる恐れがあります。
⑦ 法的規制について
日本国内においてはインターネット上の情報流通や商取引、青少年のインターネット及びモバイルの利用等について議論がされており、当社グループ事業に関連して、ビジネスの継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制は現在のところありませんが、「下請代金支払遅延等防止法」(昭和31年6月施行)、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成14年5月施行)や、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(平成12年2月施行)、「個人情報の保護に関する法律」(平成17年4月施行)、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(平成21年4月施行)など、当社グループの事業領域に適用される主要な法的規制が存在しております。当社グループはそれらの法令に基づき、利用者に対する法令遵守・利用者モラルの周知・徹底に努め、不正アクセスの防御や情報漏洩防止に関する取り組みの強化を行っております。また、平成24年7月1日付で景品表示法の運用基準の改正があったように、今後インターネット及びインターネット上で情報の流通を仲介する事業者に対して、新たな法整備・既存の規制の強化等が行われることにより、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。また、当社グループの運営するサービスにおいて、違法行為によって被害・損失を被った第三者より、サービス運営事業者として当社グループが損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性があります。
⑧ 知的財産権について
当社グループは、インターネットビジネス業界における技術革新、知的財産権ビジネスの拡大等に伴い、知的財産権の社内管理体制を強化しております。また、当社グループが提供するサービスにおいて、当社グループが所有する知的財産権を第三者に使用許諾する場合や、当社グループが第三者の所有する知的財産権の使用許諾を受ける場合があり、知的財産権管理部門の強化、使用許諾契約の締結、社内啓蒙等による管理体制を強化しております。しかしながら、知的財産権の範囲が不明確であること、契約条件の解釈の齟齬等により、当社グループが第三者から知的財産権侵害の訴訟、使用差止請求等を受けた場合、解決までに多額の費用と時間がかかり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
⑨ 自然災害等について
地震や台風等の自然災害、未知のコンピューターウイルス、テロ攻撃といった事象が発生した場合、当社グループの事業が大きな影響を受け、混乱状態に陥る可能性があります。当社グループは、こうした自然災害等が発生した場合には、適切かつ速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めておりますが、自然災害、コンピューターシステムの停止、データベースの漏洩、消失等の影響を完全に防止、軽減できる保証はありません。当該事象は、当社グループの営業活動に影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランドイメージを傷つける可能性があります。さらに、当社グループの拠点及びコンピューターネットワークのインフラは、サービスによって一定の地域に集中しているため、同所で自然災害等が発生した場合には多大な損害を被る可能性があり、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 風評や評判について
当社グループの風評や評判は、お客様、投資者及び監督官庁等のステークホルダーとの信頼関係を良好に築くために非常に重要であります。しかしながら、法令違反、従業員不正、システム障害等が発生し、適切な対処が行えなかった場合には、風評や信用が損なわれる可能性があります。そのような場合に、お客様、投資者及び監督官庁等のステークホルダーとの信頼関係を失うことになり、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
⑪ ビジネスモデルが模倣された場合の影響ついて
当社グループのビジネスモデルの模倣等がなされた場合、当社グループの営業展開に支障をきたし経営成績に影響を与える可能性があります。
⑫ 調達資金の使途について
当社の公募増資による調達資金の使途につきましては、今後の事業拡大に係るITフリーランス集客費、留学生集客費、設備資金、広告宣伝費、人件費、その採用費等の運転資金に充当する計画であります。しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応するため、調達資金が計画どおりに使用されない可能性があります。また、計画どおりに使用された場合でも、期待どおりの成果があげられない可能性があります。
⑬ ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションを付与しております。 これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社グループ株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在これらのストック・オプションによる潜在株式数は221,320株であり、発行済株式総数4,428,920株の5.0%に相当しております。
⑭ 配当政策について
当社は、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来平成30年3月期までは配当を行っておりません。しかしながら、株主の皆様に対する安定的な利益還元の実施は重要な経営課題であると認識しており、今後の利益配分につきましては、業績動向を考慮しながら、将来の事業拡大や収益の向上を図るための資金需要や財務状況を総合的に勘案し、適切に実施していく方針であります。