有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/27 15:01
【資料】
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【項目】
85項目

業績等の概要

(1) 業績
第7期事業年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、海外経済の不確実性や地政学リスクの影響が懸念されますが、企業収益や雇用・所得環境の着実な改善を背景に、緩やかな回復傾向が続きました。
当社の主たる事業領域であるPHR関連業界におきましては、社会保障・税の一体改革で描かれた2025年の医療・介護の将来像の実現に向けて、医療行政は医療機関に対して機能分化を推し進める医療制度改革の舵取りを行っております。そのような背景のもと、2018年度診療報酬改定の基本方針が示され、様々な議論が展開されておりました。
当社は、「Empower the Patients」を事業ミッションに掲げ、患者と家族が自己管理をするためのツールを医療者が後押しすることで治療や重症化予防のための支援をします。医療従事者をはじめ、大手の製薬企業、医療機器メーカー等とともにサービスを開発し、事業の安定収益化に向けた様々な施策を講じてきました。
当事業年度における取り組みとしましては、成人期ADHD当事者のためのタスク管理サポートアプリ「AOZORA」、IBD(潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患)患者向けのPHRプラットフォームサービス「IBDサプリ」、PAH(肺動脈性肺高血圧症)患者向けのPHRプラットフォームサービス「PAHケアノート」、関節リウマチ患者向けのPHRプラットフォームサービス「リウマチダイアリー」などをはじめとする、希少疾患分野におけるPHRプラットフォームサービスを積極的に展開しました。また、臨床研究分野での患者PROデータのマネジメントにおける活用事例(IBD、心房細動等)も増えるなど、事業基盤の強化・成長に向けた取り組みにも注力してまいりました。さらに、糖尿病や生活習慣病患者向け自己管理をサポートする「Welbyマイカルテ」は、オムロンヘルスケア株式会社の血圧計、アークレイ株式会社の血糖測定器など複数メーカーとの機器連携を可能とし、また株式会社タニタヘルスリンクの各種サービスとの連携など、医療機関とつながるサービスの域を超えた統合プラットフォームとして、進化を続けてまいりました。導入医療機関は首都圏から地方へとエリアを拡大し、2月には、喜多方市において一般社団法人喜多方医師会と連携して「Welbyマイカルテ」を利用した「かかりつけ医による家庭血圧見守り事業」を開始しました。4月には大日本住友製薬株式会社社員向けの「デジタル健康管理サービス」、9月には足立区とKDDI株式会社が共同で実施する「特定保健指導プログラム」の実証事業に「Welbyマイカルテ」が採用されるなど、PHRプラットフォームサービスの普及が進みました。
その結果、当事業年度の売上高は474,753千円(前事業年度比87.3%増)となり、各希少疾患領域における製薬企業の患者治療サポートの取組事例が増加したことにより、全売上高の内、疾患ソリューションサービスの割合は約9割、マイカルテサービスの割合は約1割となりました。売上原価は、売上高の増加に伴う開発人件費及び外注費等の増加により、221,956千円(前事業年度比202.3%増)となりました。販売費及び一般管理費は、業容拡大に伴う人員増加による給料手当や採用コストの増加等、中長期的な成長に向けての支出費用が先行したことにより、326,158千円(前事業年度比3.1%増)となりました。以上により、営業損失は73,360千円(前事業年度:営業損失136,196千円)、経常損失は76,092千円(前事業年度:経常損失136,122千円)、当期純損失は76,963千円(前事業年度:当期純損失136,412千円)となりました。
なお、当社は、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第8期第3四半期累計期間(自 2018年1月1日 至 2018年9月30日)
当第3四半期累計期間(自 2018年1月1日 至 2018年9月30日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善傾向がみられるなど緩やかに景気が回復しております。しかしながら世界経済においては、海外経済、金利・為替相場の動向による影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当第3四半期累計期間において、既存のPHRプラットフォームの改善に加え、皮膚領域をはじめとする慢性疾患分野におけるPHRプラットフォームサービスの新規提供により、事業基盤の強化に向け注力してまいりました。また、「Welbyマイカルテ」は、企業の従業員向けの生活習慣病重症化予防プラットフォームとして、株式会社デジタルガレージと共に生活習慣病の重症化予防として、ユーザーの食事に対するAIによる指導について研究を開始しました。
その結果として、当第3四半期累計期間における業績は、売上高473,368千円、営業利益27,450千円、経常利益27,354千円、四半期純利益22,073千円となりました。各企業の従業員向け生活習慣病重症化予防ニーズが徐々に増えたことにより、全売上高の内、マイカルテサービスの割合は約3割弱まで上昇し、疾患ソリューションサービスの割合は約7割強となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度に比べて1,002,529千円増加し、1,091,469千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、23,631千円(前事業年度は138,555千円の支出)となりました。これは、税引前当期純損失76,092千円、未払費用の減少11,818千円に対し、仕入債務の増加24,716千円、前受収益の増加15,300千円、前受金の増加10,800千円などによることが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、8,070千円(前事業年度は27,393千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出9,294千円などがあったことが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,034,231千円(前事業年度は59,787千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入1,012,000千円などがあったことが主な要因であります。