有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/03/01 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
105項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断において重要であると考えられる事項については積極的に開示しております。
当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項目以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えられます。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、当社グループの事業または本株式の投資に関する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)関連市場及び顧客経営状態に関連するリスクについて
当社グループの顧客層は、自動車、デジタル家電メーカ、産業機械メーカ、建設機械メーカなど様々な分野に及んでおります。これら顧客企業の個別の経営状態の変動に関しては、様々な産業セクターへの営業活動を行ってその影響をできるだけ小さくするように努力しております。しかしながら大幅な為替変動や、グローバルな政策要因、地政学的要因等によって、それらの産業全体が業績に悪影響を被る場合があります。当社グループが提供するサービスは、顧客企業の数年先に発売される製品に関連します。そのため足元の景気動向に左右される可能性は比較的低い傾向にあります。しかしながら、顧客企業の研究事業や未来製品に関する投資計画に影響を与えるほどの事象が発生した場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定取引先及び特定産業分野への依存について
当社グループでは、アイシン精機株式会社グループとパナソニック株式会社グループからの売上高が増加しております。両グループから受注するソフトウェア開発の多くは自動車分野が大半を占めており、両グループを含む自動車分野での受注は当社売上高の32.3%となります。
自動車関連市場は自動運転技術の革新などにより今後も拡大していくと考えられ、革新技術への対応として、自動運転関連技術、仮想化技術、人工知能安全活用技術などの研究事業に注力し、革新技術の提供サービスの準備をグループ全体で進めております。このような活動を通じ、自動車関連市場の当社技術への需要はさらに高まると考えており、当該産業分野は最重要市場と位置付けております。
当社グループの方針として、アイシン精機株式会社グループとパナソニック株式会社グループを中心とした自動車関連の取引は今後も拡大させていく計画ではありますが、特定の取引先及び産業分野に依存する事業構造から脱却するよう、他の産業分野への展開や顧客開拓に尽力してまいりたいと考えております。しかし他産業分野への展開が進まず、かつ、当社グループの主要産業及び顧客からの受注が減少した場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)品質不良による損害賠償のリスクについて
組込システム事業のエンジニアリングサービス、リアルタイムオペレーティングシステム販売などにおいて、品質不良や納期遅延による損害賠償が発生する可能性があります。特に自動車向けは品質や納期に関する要求が厳密であり、場合によっては瑕疵対応や損害賠償を求められる可能性があります。当社グループは業務受注時から受注審議会、開発途中におけるプロジェクト評価会を実施しておりますが、万が一にも当社グループの責による品質不良や納期遅延による損害賠償請求が発生し、当社の加入しているIT賠償保険では損害賠償額を十分にカバーできなかった場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)不採算プロジェクトの発生について
当社グループのエンジニアリングサービスで不採算プロジェクトが発生する可能性があります。当社グループでは受注前にプロジェクトに内在するリスク(技術的、採算的、人材リソース的)について十分に検討する受注審議会を設け、可能な限り受注前に内在するリスクを解決し、また、リスクが取り除けない場合には事業の将来性などを勘案し受注可否を判断しております。さらに受注後は全プロジェクト個別に品質管理、予算管理、スケジュール管理を実施しております。しかし、それにもかかわらず当社の管理不良などにより不採算プロジェクトが発生した場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保と人件費、外注費の高騰について
当社グループの事業継続及び拡大においては、来るべきIoT/CPS関連技術の革新に対応しうる技術者、管理体制強化に伴う管理部門、当社技術を広く提供するための営業部門への有能な人材確保が必要であります。
当社グループでは、有能な技術者及び次世代経営幹部の採用を進めております。また、組織活性化と優秀な人材の定着を図っております。しかしながら、計画通りの採用が実現できない場合、技術者の確保が十分にできない場合、働き方改革への対策や優秀な人材確保に関する経費増、外注費やオフショア費用高騰、在籍人材の流出などにより、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)法令違反、法的規制に関するリスクについて
当社グループの事業において、税制や商取引、労働問題、知的財産権など様々な法的規制を受けております。当社グループはコンプライアンス重視のもと、これらの法規制やルールを遵守した経営を行っておりますが、万が一これらの法規制、ルールを遵守できなかった場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)その他訴訟等による損害賠償責任に関するリスクについて
当社グループの提供するエンジニアリングサービスは、ソフトウェアの開発が主たるサービスとなります。そのため、他社から何らかの知的財産権の侵害についての申し立てを受ける可能性は否定できません。当社グループが保有している個人情報や組込ソフトウェア開発に関する仕様、顧客企業が保持する技術情報などが社外に流出するリスクが存在します。また安全衛生上や労務上の問題により訴訟が発生する可能性があります。当社グループは、セキュリティ委員会を設置し、各種情報の管理体制を強化すると同時に、セキュリティ教育、eラーニングによる教育などを行っております。また労働安全や労働災害に関しても従業員のワークライフ・バランスを重視した経営を行っております。しかしながら、何らかの事由によって訴訟となる事案が発生し、当社が賠償を求められた場合、当社グループの財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。