有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/25 15:01
【資料】
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【項目】
95項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 景気の変動
企業の広告宣伝・広報関連予算は企業の景況に応じて調整されやすく、景気動向に影響を受けやすい傾向にあります。当社グループの売上は、当該予算に依拠する傾向が強いことから、今後景況感が悪化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 災害・事故等に関わるリスク
企業の広告宣伝・広報関連予算は、自然災害、電力その他の社会的インフラの障害、通信・放送の障害、流通の混乱、大規模な事故、伝染病、戦争、テロ、政情不安、社会不安等が発生した場合、その影響を受けやすい傾向にあります。したがって、これらの災害・事故等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定の取引先への依存
当社グループは成長過程にあるため、大型案件の受注や取引拡大等により、特定の取引先への依存度が高い状態にあります。依存度が高い取引先としては、平成29年6月期は㈱明治が270,649千円(全体の32.8%)、凸版印刷㈱が189,025千円(同22.9%)、平成30年6月期は㈱ローソンが416,025千円(同28.7%)となっております。当社グループは、特定の取引先からの受注や失注が業績に大きな影響を及ぼすことのないように、更に新規顧客を獲得する努力をしておりますが、上記取引先の取引方針の変更や当社グループの新規取引先獲得の進捗如何によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業歴が浅いこと
当社グループは、各分野でサービス開始からの業歴が浅い状況にあります。第4期事業年度においてPRサービス、『アスラボ』サービス、第5期事業年度においてクリエイティブサービス、バズサービス、第6期事業年度においてクロスボーダー・ブランディングサービス、人材サービス、当事業年度においてコンサルティングサービス、クロスボーダー・コンサルティングサービスを開始しており、提供サービスの内容が変化しております。
当社グループは、投資家の投資判断に寄与するよう、財務情報だけでなく、会社の方針等の非財務情報もIR情報として積極的に開示していく方針でありますが、投資家が当社グループの将来の業績予想を行う等のために当社グループの過去の業績トレンドを活用することは、有用性が限定的となる可能性があります。
(5) 業績の変動要因
当社グループは、顧客ニーズに応じて価格や利益率の異なる複数のサービスを組み合わせて提案しており、受注する案件毎に提供するサービスや、案件毎の収益性が異なります。当社グループは、利益の確保を重視した営業活動を展開しており、目標の売上総利益を確保できるよう案件の組成に努めております。しかしながら、実際の受注案件の内容によっては、当社の売上高や売上総利益率は想定した水準から乖離する可能性があります。
また、顧客のニーズによっては、収益性の低いサービスの提供を余儀なくされる場合があります。そうしたケースが多く発生した場合、想定した売上高から十分な売上総利益を確保できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 広告業界における取引慣行
当社グループでは、一定期間にわたって取引先の営業活動を支援するリテナー取引においては、業務受託時に契約文書を締結しております。一方、スポット業務の受注等においては、業界慣習上、引合いから活動開始に至るまでの時間が極めて短期間で進行する場合があり、契約文書を締結しないまま業務を遂行する案件もあります。当社グループは、契約文書を締結しない場合においても、注文書や受注に関するメールログ等の受注記録を必ず保存することにより取引先との間で受注内容の齟齬を生じさせない対応を徹底しておりますが、取引先との認識の食い違い等により当社の業務に対し取引先との取引が成立しない事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定人物への依存
代表取締役社長伊達晃洋及び取締役副社長仲亀敦の2名は、当社創業のメンバーであり、当社グループの経営方針の決定、新規取引先開拓等、事業の推進上の重要な役割を担っております。当社グループでは、過度にこれら2名に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による分業体制の構築等により、経営組織の強化に取り組んでおりますが、何らかの理由によりこれら2名による業務執行が困難となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 人材の確保
当社グループは、サービス領域の拡大により多様な顧客ニーズに対応した最適な提案が可能になり、顧客からの高い評価を得られております。顧客への迅速な対応と顧客にとってのコストメリットを得られるため、サービス領域を内製化する方針であることから、人材が最も重要な経営資源であると認識しております。したがって、当社グループが今後も事業を拡大し、成長を続けていくためには、優秀な人材の更なる確保や定着が重要課題となります。当社グループでは、新卒採用・中途採用を積極的に実施するとともに、社内教育に注力することで、優秀な人材の確保や定着に努めておりますが、人材マーケットの環境変化等により、優秀な人員の適時確保が困難になった場合や、人材が流出してしまう場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 内部管理体制の構築
当社グループは社歴が浅く、業容拡大に伴う従業員の増加や新規事業展開に伴うリスク管理強化のため、コーポレート・ガバナンスと内部管理体制の強化に努めております。しかしながら、業容拡大や新規事業展開に比してこれらの施策が順調に推移しない場合、不祥事や不測の事態の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 知的財産権
当社グループは社歴が浅く、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、社内教育の実施や顧問弁護士等による調査・チェックを実施しておりますが、万が一、当社が事業推進において第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報管理
当社グループは、事業を推進していく中で、顧客の機密情報や個人情報を扱う機会があります。情報管理については必要な措置を講じており、その一環として平成27年11月にプライバシーマークを取得しております。しかしながら、不測の事態によりこれらの情報が流出した場合には、当社グループの業績及び社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 子会社の赤字計上
当社の子会社である㈱アスラボはプラットフォーム型のビジネスを目指しておりますが、一定の認知度獲得までは売上が獲得しづらいため、2期連続の営業赤字を計上しております。第7期平成31年6月期において営業利益の黒字化を見込んでおります。ユーザー獲得のためのマーケティングコスト投下などを効果的に進めることで、売上拡大及び継続的な黒字計上を目指しておりますが、想定どおりの効果が得られない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新規事業展開
当社グループは現在までの事業活動を通して培ったノウハウを生かし、更なる成長を目指して事業コンセプトそのものの検討から行なう事業開発事業やアジアを中心としたインバウンド・アウトバウンドに関するブランディングサービスを中心とした海外事業等の関連・周辺事業への積極展開を推進していく予定です。新規事業展開にあたっては慎重な検討を重ねたうえで取り組んでまいりますが、当該事業を取り巻く環境の変化等により、当初の計画通りの成果が得られない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 中国事業に関する長期の業務委託契約
当社は更なる成長を図るべく、日本国内事業に留まらず、世界第二位の経済大国である中国関連の事業強化を行っております。その一環として、中国の国家戦略である商品追跡管理プロジェクト「維信312」の日本展開を推進する株式会社共和JAPANと業務委託契約を締結し、同社に対し平成30年10月から7年契約の業務委託料3,500万円を平成30年9月に一括支払いし、「維信312」関連のプロモーション案件等を受注するためのサポートを受けております。しかしながら、「維信312」関連プロモーション案件等の受注が想定通りにいかない場合は計画した利益が上がらないリスクがあるほか、同社の財政状態によっては、資産計上(前払費用及び長期前払費用)した、同社に支払った業務委託費の減損損失の発生や資金回収が不能となるリスクを負っています。
当該契約の締結にあたっては、取締役会にて契約における採算性について十分な審議を行い、契約後においては取締役会にて定期的に進捗状況等を確認しておりますが、計画した利益が計上されないリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 中国合弁会社
当社の子会社である「北京伊藤商貿有限公司」は株式会社共和JAPANの取締役との合弁会社であり、当該取締役は同社の代表を兼務しております。同社は「日本と世界の架け橋となり、日本・中国社会へ貢献する」をミッションとして、中国進出を目指す日本企業、日本進出を目指す中国企業に向けたコンサルティングサービスをメインの事業領域として活動しております。
中国合弁会社につきましては社内で管理体制を構築し、主管部門が月次で経営成績や投資計画の進捗状況をモニタリングしております。しかしながら、事業環境の急変などにより、予期せぬ状況変化で事業計画からの大幅な乖離が生じ、対象会社に損失が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 配当政策
当社は、株主に対する利益還元と同時に、企業としての競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。当社グループは現在、未だ成長過程にあると考えており、そのため今後は更なる事業拡大を実現していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実及び事業投資の推進を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点においては配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(17) 新株予約権の付与
当社は、当社グループの役職員に対して新株予約権(ストック・オプション)を付与しており、将来的にも役職員の更なるモチベーションの向上及び優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブプランを実行することを検討しております。
したがって、既に付与されている新株予約権ならびに将来的に付与される新株予約権の行使がなされた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。本書提出日現在これらのストック・オプションによる潜在株式数は279,450株であり、発行済株式総数1,769,000株の15.8%に相当しております。