有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/13 15:00
【資料】
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【項目】
79項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① コンテンツ配信市場の動向について
当社の主力サービスが属するコンテンツ配信市場は拡大を続けておりますが、歴史が浅い新しいマーケットでもあります。当社としましては引き続きコンテンツ配信市場へ注力してまいりますが、利用者の嗜好の急激な変化、法制度の改正等により当社が関わるサービスが規制対象となった場合、その他、業界における取引慣行や価格体系の変化など、計画策定時の想定を超える不確定要素が顕在化した場合には、当社の経営方針や経営戦略の変更を余儀なくされ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2018年7月期においてはマンガアプリへの依存度が高く、コンテンツ配信市場、特に電子マンガ配信市場の動向が、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② Apple Inc.及びGoogle Inc.の動向について
当社のスマートフォンアプリはApple Inc.及びGoogle Inc.が運営する各アプリマーケット上において提供しており、当社の売上高に占める当該スマートフォンアプリによる売上高の割合は高くなっております。利用規約の変更など、プラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ スマートフォン及びタブレット端末等の普及について
当社の主力サービスが属する市場については、スマートフォン、タブレット端末等の普及が市場拡大に貢献しておりますが、スマートフォン、タブレット端末等の普及が当社の見込みよりも遅れた場合は、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競合他社について
当社の主力サービスが属するコンテンツ配信市場は、法制度や規制又は特許等による参入障壁が低く、コンテンツ提供元である出版社等も非独占的にコンテンツ提供を行っております。このような状況を踏まえ、当社では今後もコンテンツラインナップの充実と当社が提供する配信システムの強化により、競合他社との差別化を図ってまいります。しかしながら、今後、当社の取扱うコンテンツ及び配信システムで他社との十分な差別化が図れない場合、利用者のニーズに適合したサービスの開発・提供や先進技術への対応等が遅れることによりサービス・技術の陳腐化を招いた場合には、当社が関わるサービスの利用者数が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 外的要因(自然災害等)について
当社は、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しております。地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害、火災や停電・電力不足、テロ行為、コンピューターウイルスなどの攻撃により、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、当社の各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。これらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 特定顧客への依存について
当社の売上高は、特定顧客への依存度が高く、2018年7月期においては、主要顧客である株式会社小学館に対する売上高は499,268千円であり、当社の売上高全体の81.8%を占める規模となっています。なお、同社に対する売上高のうち、「マンガワン」による売上高がその大部分を占めております。
マンガワンは、サービスの方針について同社と協議の上、決定しております。しかしながら同社の方針、業績及び財政状態によっては、売上高や広告宣伝費を含む当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。今後、提供サービスの差別化、新規技術の獲得を促進することで売上高の維持・拡大に努めるとともに、新規顧客開拓を進めてまいりますが、競合企業がさらなる付加価値の創造を行うこと等によって新規顧客開拓が思うように進まなかった場合には、同社への依存度が軽減されず、同社の動向及び取引の動向によって、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
同社との契約期間は1年ごとの自動更新となっております。ニーズに合わせて自社で設計したオリジナルサーバーを提供しており、顧客満足度を高めるべく努めておりますが、競合他社の動向やシステムリスクの顕在化等、何らかの理由により同社との契約が終了ないし大幅に縮小した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ システムリスクについて
当社が関連するサービスは、スマートフォン等の端末によるインターネット接続によって提供されておりますが、当社が関連するサービスに対するアクセスの急激な増加等、一時的な負荷増大によって当社又は携帯電話通信キャリアのサーバーが作動不能に陥った場合や、当社のハードウエア又はソフトウエアの欠陥により正常な情報発信が行われなかった場合には、システムが停止しサービス提供が不可能となる場合があります。さらには、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入や当社担当者の過誤等によって、当社や取引先のシステムが置き換えられたり、重要なデータを消失又は不正に入手されたりする可能性があります。
当社としては、侵入防止策、担当者の過誤を防止する体制を採っておりますが、もし上記のような障害等が発生した場合には、当社に直接損害が生じる他、当社の社会的信用・信頼の低下を招きかねず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権に係るリスクについて
当社では第三者の著作権等の知的財産権を侵害しないよう常に注意しておりますが、意図せず知的財産権を侵害した場合や、第三者から当該知的財産権に関する対価の支払要請が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海賊版サイトの台頭について
コンテンツビジネスにおいては、海賊版が流通することによってコンテンツホルダー、著作権者、ベンダーなどが本来受け取るべき収益について機会損失が発生する場合があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 人材の確保と定着化について
当社が成長、拡大するうえでサーバーエンジニアリングに長けた知識と経験を有する人材の確保が極めて重要となります。当社は当該分野でのスキル・経験を有する技術者の採用拡大を予定しており、今後も中途採用・新卒採用をあわせ優秀な人材の確保を進めてゆく方針ですが、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではありません。適切な人材を十分に確保できなかった場合には、当社の事業拡大に制約を受ける可能性があります。
⑪ 小規模組織について
当社組織は、従業員数が2019年5月31日現在で41名(臨時従業員を除く)と規模が小さく、現在の社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では、今後の事業強化、拡大に対応して人材の採用、育成と管理体制の強化を進めてまいりますが、必要な人材の確保や社内教育等が順調に進まなかった場合には、当社の事業拡大に影響を与え、その結果、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 内部管理体制について
当社は、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるという考えのもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。
また、当社では、役職員等の内部関係者の不正行為等が発生しないよう、リスク管理規程を制定し、当社の役職員が遵守すべきルールを定めており、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である松原裕樹は、当社の強みである事業モデルの創出や経営方針及び経営戦略の策定において、取締役である山田剛史は当社の技術開発においてそれぞれ中心的な役割を果たしております。当社は、両名に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し人材の育成・強化に注力しておりますが、現状では両名が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 法的規制に関するリスクについて
当社の事業は、個人情報の保護に関する法律、景品表示法、特定商取引に関する法律、資金決済法等、多岐にわたって関連しております。今後の法改正などにより当社事業分野において新たな法的規制が適用されることになり、当社の事業展開が制約を受けたり、対応措置をとる必要が生じたりする場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 著作権管理に係るリスクについて
当社は電子書籍配信サービスが主力となっております。当該サービスをユーザーに提供するにあたり、コンテンツホルダーと著作権者(漫画家)との間で著作権に関する契約を締結しております。著作権の管理はコンテンツホルダーが責任を負いますが、著作権の管理に問題があり、著作権者から訴訟等が発生した場合、電子書籍配信サービスにおけるコンテンツホルダーの運営方針や掲載するコンテンツ数等が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 個人情報の取扱いについて
個人情報の取扱いにつきましては、コンプライアンスの一環として、「個人情報の保護に関する法律」に沿った対応をとり、社内ルールを策定するなどの社内体制を整備しております。しかしながら、第三者による不正アクセスなどにより個人情報の漏洩があった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 配当政策について
当社は、株主に対する配当や自社株買い等の利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、それと同時に内部留保の充実により経営基盤を強化すること、収益力強化及び収益基盤の多様化のための投資に充当することも重要であると認識しております。
したがって、経営成績や財政状態を総合的に勘案したうえで株主に対する利益還元を実施する方針でおりますが、当面は実施する見込みはなく、当該方針が投資家の支持を得られなかった場合、当社株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 調達資金の使途について
当社が計画している公募増資による調達資金については、事業規模の拡大に係る人件費、サーバー購入に係る設備投資資金、オフィス増床に係る賃借料及び敷金並びに借入金の返済に充当する予定であります。しかしながら、当社が属するIT市場においては変化が著しいため、計画の変更に迫られ、調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定していた投資効果を上げられない可能性があります。