有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/05/23 15:00
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【項目】
84項目

事業等のリスク

本有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業に係るリスク
① 消費者ニーズの変化
新規ブランド及び商品の開発、育成並びにマーケティング活動の消費者ニーズへの適合状況は、当社の売上及び利益に大きな影響を及ぼします。当社では、消費者ニーズに応えるため、コールセンターに寄せられる顧客の声を広く収集する等して、消費者ニーズの変化に合わせて商品の改良を継続的に行っております。しかしながら、商品の開発はその性質上、様々な要因による不確実性が伴うため、当初意図した成果が得られない場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 競合の激化
当社が属する化粧品市場においては、国内外問わず大小の競合企業が存在しており、また、商品の製造を請負うOEM企業等の存在により製造設備を持たずに事業展開が可能であることから、参入障壁が低く、新規参入事業者も出現しております。このような競争環境の下、当社は、消費者ニーズを踏まえ、商品の改良を行いブランドの価値の向上に努めるとともに、顧客データベースやデータベースマーケティングのノウハウを活用した顧客との関係性構築を行っております。
しかしながら、既存の競合他社との競争の激化や、同業他社の不祥事等による業界イメージの悪化、大規模な資本や高い知名度・ブランド力のある企業等の新規参入、類似商品の販売等により、当社の顧客の流出やそれに対処するための様々なコストが増加した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定のブランド及び商品への依存
当社の主力商品であるオールインワン美容液ジェルシリーズは、売上高の大半を占め、当社の主要商品となっております。当社は、リブランディング等により「PERFECT ONE」のブランド力や品質等の維持・向上に努めるとともに、同商品以外に取扱い商品を増やし、特定の商品への依存の低減を図っております。しかしながら、当該商品が品質不良等によりブランド価値が毀損され販売量が大きく低下した場合、また、同商品に次ぐ商品の開発が当初意図した成果が得られない場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 商品の製造委託について
当社は、既存商品の製造を外部委託しており、当社と製造委託先との間で役割分担と責任を定めた書面を締結しております。
製造委託先における品質管理においては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における製造販売業許可を取得し、品質管理基準(GQP)手順を定め運用しています。特に適正な製造管理及び品質管理の確保のため、製造委託先に定期的に実地で監査を行い、衛生管理、製造体制、製造記録のチェックを行うことで製品品質の維持、改善に努めています。
また、当社は委託先に対して計画的に発注を行うことや、委託先との良好な関係を保つことにより、商品を安定的に供給できるよう努めています。
当社はこのように製造委託先、製造再委託先の管理には万全を期すことによりリスクの低減を図っておりますが、万が一、商品の製造委託先もしくは製造再委託先との急な契約の解消や天災等による生産設備への被害など不測の事態が生じた際には、当社製品の円滑な供給に支障を来すことが考えられ、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定の製造委託先との取引について
当社は、主力商品のオールインワン美容液ジェルを含む化粧品の大部分において、製造を日本コルマー株式会社に委託しております。現状は、化粧品が当社販売数の多くを占めることから、仕入高としても日本コルマー株式会社の比率が全仕入高の3分の2程度と高く、重要な取引先となります。よって、当社は日本コルマー株式会社に対して厳正な製造管理及び品質管理を徹底することに加え、製造を関西地方、中国地方、関東地方等の複数の工場に分散することでリスクを軽減するよう努めています。しかしながら、万が一、急な契約解消や天災等による生産設備への被害など不測の事態が生じた際には、当社商品の円滑な供給に支障を来すことが考えられ、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権について
商品に使用する商標権及び特許権につきましては、事前の調査で類似のものがないことを確認して出願しております。しかし、この出願の調査や当社における出願決定に期間を要した場合、他社が先に商標登録、特許登録する可能性があり、その場合は商品を該当の商標にて販売出来なくなるといった事態が生じる可能性があります。
⑦ 在庫の滞留又は欠品
当社は、在庫の保有状況をモニタリングしながら発注数量の調整を毎月実施し、滞留が予測される商品について販売施策を追加で立案することで在庫リスクの最小化を図っております。しかしながら、需要動向を見誤ったことによる欠品、ないし滞留在庫が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 法的規制等
イ 特定商取引に関する法律
本法は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引並びに訪問購入に係る取引をいう)の公正化を図ることで、消費者の保護を目的とするものであり、クーリング・オフ等の規制を定めております。当社は商品を販売するに当たり、通信販売を主要な販売経路としており、本法による規制を受けるものであります。
当社は、商品薬事管理課において、本法及び施行令に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する行為が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
ロ 不当景品類及び不当表示防止法
本法は、消費者の利益を保護するため、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽ったり、消費者に誤認されたりする表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額、総額を制限するものであります。
当社は、販売促進活動の一環として「広告」による宣伝を積極的に行っており、また営業戦略の一環として、お客さまに対し、本法の景品類に該当する販促品、商品等をご提供しておりますので、本法の規制を受けるものであります。
当社は、商品薬事管理課において、日本化粧品公正取引協議会が作成した公正競争規約に基づき厳正にチェックを行っておりますが、何らかの原因により本法に違反する行為が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
ハ 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
化粧品、医薬部外品及び医薬品を国内にて製造販売するためには、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)に基づく、製造販売の許可を取得する必要があります。当社は、当該許可が求める基準を遵守するために三役責任者の設置、品質管理の基準(GQP)、製造販売後安全管理の基準(GVP)を満たした活動を行うとともに、法令の定めに基づき5年毎の更新その他必要な手続きを行っております。
しかしながら、薬機法第12条の2(取消事由)等に抵触し、業務の一部若しくは全部の停止が命ぜられ、又は、製造販売に係る許可が取り消された場合、若しくは、将来において更なる規制強化されその対応が困難となる場合には事業における許可の取消等の事業制約要因となる可能性があり、これらの可能性が顕在化した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
[主要な許可の取得状況(令和元年5月23日現在)]
許可名称監督官庁取得年月日有効期限
第二種医薬品製造販売業許可福岡県知事平成28年9月1日令和3年8月31日
医薬部外品製造販売業許可福岡県知事平成28年9月1日令和3年8月31日
化粧品製造販売業許可福岡県知事平成28年9月1日令和3年8月31日
店舗販売業許可福岡市中央保健所平成28年7月1日令和4年6月30日
店舗販売業許可福岡市博多保健所平成27年4月1日令和3年3月31日
医薬品販売業許可福岡県知事平成29年10月1日令和5年9月30日

なお、上記許可について、平成31年4月末日現在において、事業の停止、許可取り消し及び事業廃止事由に該当する事実は有りません。
ニ その他
当社は国内外で様々な商品を取り扱っているため、関連する法令・規制は上記以外にも多岐にわたります。具体的には、会社法、税法、知的財産法、下請法、食品表示法、健康増進法、食品衛生法、個人情報保護法、さらには海外事業に係る当該国の各種法令・規制等となります。当社では法令遵守は極めて重要な企業の責務と認識のうえ、規程の制定、コンプライアンス委員会の開催、研修の実施等の対策を行い、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスク並びに社会的な信用やブランド価値が毀損されるリスクを回避できず、当該リスクが顕在化した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 顧客情報の管理
現在、当社の主力の販売形態は通信販売であるため、多数の個人情報を保有しております。これら当社が知り得た顧客情報等については、コールセンター、店舗、ホームページサービス利用の顧客の個人情報を格納するサーバーに厳格にアクセス制限をかけた上で、社内ネットワークとも物理的に乖離することにより、関係者以外はアクセスできないようにしております。また、アクセス可能な関係者においても、外部に情報を持ち出すことが出来ないように、システムの制御を掛けております。さらに、個人情報保護法の施行に対応して、社内規程の整備、社員教育の徹底等を行なうとともに、「プライバシーマーク(JISQ15001)」の認証取得や外部機関による情報セキュリティーに係る監査を受けております。
しかしながら、何らかの原因により万が一これらの情報が流出した場合には、当社に対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 原材料価格の高騰
当社商品の製造に不可欠な原材料等は、製造委託先が統括管理のもと調達しております。製造委託先は、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるように努めております。しかし、原油等素材価格の動向により、主要原材料の価格が高騰した場合は、当社の製造委託先からの商品仕入価格も上昇する可能性があり、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 配送コストの高騰
当社は、商品販売に際し運送会社に商品配送業務を委託しており、一部商品を除き無料配送サービスを提供しております。現在は複数の配送会社の使い分け等により委託価格の安定化を図っておりますが、今後配送コストが高騰した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 人財確保と人件費の高騰
当社は、継続的な事業発展のため、全国各地において様々な媒体、手法により新卒、中途の採用を積極的に行って人財確保に努めております。しかしながら、国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少や産業構造の変化を背景に、必要な人財を継続的に確保するための競争は厳しくなっております。また、人財確保のための採用費及び人件費が高騰しております。今後の競争激化により、必要な人財の確保が計画通りに進まなかった場合、あるいは、人件費が高騰し続けた場合、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 海外における販売
当社は、台湾や中国、香港、タイにおいて、海外代理店を通じて商品を販売しております。海外での事業活動において、予期し得ない経済的・政治的・社会的な突発事態の発生、テロ・戦争・内乱の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、自然災害、異常気象や天候不順等が、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 出店のリスク
当社は、百貨店やショッピングセンター内の出店を行っております。店舗別採算を確保した上で、成功事例を横展開しながら、店舗数を増加していくとともに、リスクの低減を図っております。しかしながら、当社が計画している出店時期に出店条件に合致した物件を確保できない場合、あるいは出店後の店舗の採算が計画通りに推移しない場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 消費者とのトラブル及び風評
当社は、消費者が期待する効能効果が体感できなかった場合や健康被害等が発生した場合に、消費者とのトラブルが生じる可能性があります。当社は、効能効果に係るエビデンスを取得し、効果を実感いただける商品を消費者に提供することに注力をしております。しかしながら、このようなトラブルの影響がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生ないし流布し、当社の商品イメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また当社の商品に直接関係がない場合であっても、他社の模倣品等によるトラブルや風評等により当社の商品のイメージが低下する等の事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 天災や突発的事象
当社のコールセンター、物流センター、事務所等、事業活動に必要な機能については、自社だけでなく外部パートナーと協業することにより、拠点を分散して事業継続性を高めています。しかしながら、分散しているものの、何れかの拠点が所在する地域に地震等の天災あるいは火災や爆発事故等が発生した場合には、顧客とのコミュニケーションや商品の販売等の機能に支障が出る恐れがあり、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、同じく当社の拠点が所在する地域に地震等の天災あるいは火災が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) その他のリスク
① 支配株主との関係について
本書提出日現在、当社の支配株主(第2位の大株主)である山田英二郎氏は、当社の創業者であり、元代表取締役であります。当社の支配株主(第3位の大株主)である山田恵美氏は、当社の元代表取締役であり、山田英二郎氏の配偶者であります。山田英二郎氏と山田恵美氏で直接所有分と合算対象分を含めて当社株式の75.50%を保有しており、今後も中長期的に保有する方針ですが、今後の株価の推移等によっては短期で売却し、なおかつ、市場で当該株式の売却が行われた場合や売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の経営戦略等に影響を与える可能性があります。
② 主要株主に係る質権設定について
当社の主要株主である公益財団法人新日本先進医療研究財団(以下「財団」という。)と株式会社西日本シティ銀行(以下「銀行」という。)との間には、財団が第1回新株予約権の行使にあたり実施した借入に係る金銭消費貸借契約が締結されており、ロックアップ期間の最終日(令和元年9月24日)後に保有する全株式に対して質権が設定される予定です。
質権が設定され、財団が銀行に対して金銭消費貸借契約上の債務を履行しなかった場合には、その債務の弁済に充当するため、銀行により質権対象株式の売却が行われる可能性があります。
本書提出日現在、財団が保有する株式は2,250,000株であり、発行済み株式総数20,581,300株の10.93%に相当しております。なお、財団は当社の東京証券取引所マザーズへの新規上場時に64,000株の売出しを実施する予定です。東京証券取引所における売却又はその他の方法により質権対象株式の売却が実際になされた場合、又はその可能性が顕在化した場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。