有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/05/22 15:00
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【項目】
84項目

事業等のリスク

当社の事業展開上のリスク要因となる可能性のある主な事項については、以下のようなものがあります。必ずしも重要なリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と判断した事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスクの可能性を考慮した上で、リスクの発生の回避や分散、または問題が発生した場合の対応について最大限努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載のない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 事業内容について
① 景気動向及び業界動向の変動による影響
緩やかな回復基調を続けるわが国経済ですが、当社の業界においては東京オリンピック需要やインバウンド向け新規需要など2020年度までの成長は堅調であると予測されます。しかしながら2021年度以降、企業の広報活動の抑制により市場成長性が鈍化するおそれがあります。当社においても受注強化や営業提案力の強化等を積極的に取り組んでおりますが、新規需要の減少に伴い、既存サイトのリニューアル等のリプレイス案件に顧客が偏った場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
当社の事業領域においては、日々急激な技術革新が進み新しい機能開発が推進されております。当社では常に顧客ニーズに対応し、CMS市場におけるデファクトスタンダードを目指すべく、積極的な技術開発を行っております。しかしながら、当社のこれまでの経験が生かせないような技術革新があり、適時に対応ができない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業績の季節変動性について
当社は顧客である企業あるいは官公庁等の会計年度の関係により、3月に納品が集中する傾向にあるため、通期の業績に占める第4四半期会計期間の比重が高くなっております。また、売上高の小さい四半期においては、総製造費用に占める固定費及び販売費及び一般管理費は、固定費として毎四半期比較的均等に発生するため、営業赤字となることがあります。
そのため、特定の四半期業績のみをもって通期業績見通しを判断することは困難であり、3月における納品に検収不合格により大幅な改修依頼が生じる等、不測の事態が生じた場合には当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、決算期の異なる顧客の積極的開拓等、季節変動性の緩和を図っていく方針ですが、今後につきましても、第4四半期会計期間の偏重傾向は続くことが考えられます。
なお、第16期事業年度及び第17期事業年度における四半期別の売上高及び営業利益の構成は、次のとおりであります。
第16期事業年度
(自 2017年4月1日至 2018年3月31日)
第1四半期
会計期間
(4-6月)
第2四半期
会計期間
(7-9月)
第3四半期
会計期間
(10-12月)
第4四半期
会計期間
(1-3月)
通期
売上高(千円)117,334119,020181,018334,817752,191
営業利益(千円)3,54927,06228,735103,759163,107

第17期事業年度
(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
第1四半期
会計期間
(4-6月)
第2四半期
会計期間
(7-9月)
第3四半期
会計期間
(10-12月)
第4四半期
会計期間
(1-3月)
通期
売上高(千円)168,417146,608167,193362,392844,611
営業利益(千円)124△34818,298146,824164,898

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。
2.第16期の各四半期会計期間の数値は太陽有限責任監査法人による四半期レビューを受けておりません。
また、第17期第4四半期及び通期の数値について、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査は未了であり監査報告書を受領しておりません。
④ 特定の製品への高い依存について
当社の事業は主力製品である「infoCMS」に依存した事業となっております。今後も販売の拡大に努めると同時に主力製品への依存度を下げるため、新規の製品開発を図ってまいりますが、競合会社の新規参入や既存の会社との競合激化等の何らかの理由により当社の「infoCMS」の優位性が失われた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ プロジェクトの採算性について
当社の受託開発プロジェクトは想定される工数をもとに見積りを作成し管理をしておりますが、見積りの誤りや作業の遅れ等により超過コストが発生し、プロジェクトの採算悪化が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規製品の開発について
当社は、魅力的な新製品・新サービスの開発による売上高の増加が、今後の企業成長にとっての重要な要素であると考えております。そのため、AI関連技術など近年開発された革新的な技術について早期に積極的に取り組むことを経営戦略の重要な要素と位置づけております。
しかしながら、当該新技術の革新スピードは速く、その技術革新を予測することは極めて難しいため、当社が常に市場動向を正確に把握し技術革新に適合した魅力的な新製品を適時に開発できるとは限りません。そのため、技術革新や市場動向の把握に遅れをとった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業体制について
① 内部管理体制について
当社は、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能するような体制を構築、整備、運用しております。
しかしながら事業規模に応じた内部管理体制の構築に遅れが生じた場合には、当社の財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。
② 有能な人材の確保・育成について
当社は、自社開発したCMSプロダクトを核にWEBサイト構築・運用保守をワンストップで行う事業を展開しているため、WEBインテグレーション事業者であると同時にCMSプロダクトのメーカーであると考えております。優れたCMSプロダクト及びAI等の新規プロダクトを作り運用販売していくためには、継続的に幅広く優秀な開発及び営業の人材を採用し続けることが重要であると考えております。優れたプロダクトを開発販売していくためには、柔軟な思考力、論理的分析力、仮説構築力、実行力が必要であり、これら能力を既にある程度備えた人材の採用、あるいは備えていくであろう成長可能性のある人材の採用及び育成が重要であると考えております。この採用及び育成が十分でない場合に、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
当社は従業員73名(2019年3月31日)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成や採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これら施策が適時適切に進行しなかった場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報セキュリティについて
当社は、第三者による当社のサーバ等への侵入について、ISMS認証取得によるマネジメントプロセスを導入するほか、ファイヤーウォールや対策機器等のシステム的な対策を施し、かつ専門のエンジニアを配置することにより情報セキュリティ対策強化を推進しております。しかしながら、悪意を持った第三者の攻撃等により、顧客情報及び顧客の有する重要な情報を不正に入手されるといった機密性が脅かされる可能性や、顧客が利用するサービスの改ざん等のデータの完全性が脅かされる可能性及びサービス自体が提供できなくなる等のシステムの可用性が脅かされる可能性は否定できません。このような事態が生じた場合には、当社に対する法的責任の追及、企業イメージの悪化等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社の事業においては、安定したサービスを提供する必要がありますが、当社のサービスは、プログラム、システム及びサーバ・通信ネットワークに依存しております。
ユーザーにより良いサービスを提供するため、データベース・サーバ稼働率を高水準で維持し、サービスのシステム監視体制やバックアップ等の対応策をとっておりますが、災害や事故等の発生により通信ネットワークが切断された場合、急激なアクセスの増大によりサービスの稼働するサーバが一時的に動作不能となった場合及びサーバハードウェアに不具合が発生した場合には、安定したサービスが提供できなくなる可能性があります。また、社内利用の開発システムにも同様のことがいえます。この場合、一定期間の収益の低下、ユーザーからの信用低下及びブランドイメージの毀損及び開発業務の停滞等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制について
① 電気通信事業法、個人情報保護法について
当社ではメールアドレス等の多数の個人情報を保有しているため、電気通信事業者として総務省へ届出を行っており、通信の秘密等の保護の義務を課せられております。2007年8月にはISO・ISMSの認証を取得し、全社的な情報管理・業務フローの適正化の監視監督を担うISO委員会の活動を通じて個人情報保護に関するフローの見直し、従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報取扱状況の内部監査等を実施し、個人情報管理の強化に努めております。しかしながら、万が一個人情報保護法の改正に対する完全な対応が遅れた場合や情報が流出した場合には、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 当社による権利侵害について
当社は管理部にて、自社の事業活動が他社の知的財産権等を侵害していないかの確認を実施しております。当社が事業活動を行うプロセスにおいて使用しているシステムは第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら不測の事態、例えば外部に委託した調査の不備により第三者の知的財産権等の侵害が生じた場合、その紛争の解決のための費用または損失が発生する可能性は否定できないものと認識しております。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 風評に関するリスク
① ブランド毀損リスク
当社は、顧客に対するWEBサイトの構築を主たる事業としております。納品前においては、当社内における品質管理部門のデバッグを実施した後、顧客に納品し、顧客の検収を得ております。仮に顧客のWEBサイトをめぐって最終利用者と顧客との間にトラブルが生じた場合、当社のブランドイメージが悪化することがあります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② レピュテーションリスク
当社を対象として様々な情報が流れることがあります。このような情報については必ずしも事実に基づいていないものもありますが、真偽はともかく、ステークホルダーを含む第三者の行動に結びつく可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に大規模な自然災害が発生した場合には正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 配当政策について
当社は株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、現時点では、当社は成長過程にあると考えており、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながることと考えております。このことから、今後においても当面は内部留保の充実を図る方針であります。内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点においては配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。
(7) 大株主との関係について
当社は株式会社フォーカス(以下、「同社」という)から出資を受けており、新株式発行及び売出しの前である本有価証券届出書の提出日現在において同社は当社発行済株式の70.4%(議決権比率ベース)を保有する親会社に該当しております。
現在においては当社と同社との間に取引関係はありませんが、同社グループ会社との主要な取引については、後記「第5 経理の状況」「1財務諸表等」内の「関連当事者との取引」に記載しております。
当社は非常勤取締役として事業運営に知見を有する江村真人を同社から招聘しておりますが、出向者の受入れ等その他の人的関係はありません。
当社は同社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、当社の経営方針及び事業戦略等の重要事項の意思決定において、当社は同社からの独立性・自立性は保たれているものと考えております。しかしながら将来において、同社における当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいは同社の事業戦略が変更された場合等には、当社の事業展開に影響し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社では、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社の役職員に対して新株予約権を付与しております。
本書提出日現在における新株予約権による潜在株式は183,925株であり、発行済株式1,627,500株の11.3%に相当します。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 調達資金の使途について
当社はマザーズ上場に伴う公募増資資金について、ソフトウエア関連への設備投資、採用関連費、人件費、宣伝広告費、研究開発費、人員拡大に伴うオフィス増床等による費用に充当する計画としております。
しかしながら当社の所属する業界の環境変化や、これに伴う今後の事業計画の見直し等により、投資による期待通りの効果が上げられなくなる可能性や、場合によっては充当先の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。