有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/24 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
109項目

事業等のリスク

当社及び当社グループ(以下、本項目において、当社グループと総称)の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。なお、当社はこれらのリスク発生及びその可能性を認識した場合、発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)組織体制に関するリスク
① 新製品(新規トレーディングカードゲーム、新規モバイルオンラインゲーム)の適時リリース
新製品を適時に出荷できるかどうかは、新製品の開発プロセス(特にモバイルオンラインゲームの開発)、ライセンサーの許可、生産能力等、ソフトウエアの場合にはさらにデバッギング(注)、企図した水準に達していないなど顧客満足度向上のための追加開発、ミドルウエアメーカーや各種権利者からのライセンス許可等、様々な要因に左右されます。そのため新製品を計画通り発売又は出荷することができない場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) デバッギングとは、ソフトウエアのプログラムの誤り(バグ)を修正すること。
② ソフトウエア製品の製品・品質管理
当社グループのモバイルオンラインゲームにかかるソフトウエア製品は複雑であり、発売当初あるいは新バージョンのリリース時には検知されない欠陥が含まれている可能性があります。当社グループは、リリース前に公開・非公開の方法により広範な検査、デバッギング、テストプレイ等を行っておりますが、リリースしたソフトウエア製品に、顧客満足の喪失に結びつくような欠陥が含まれていないとは保証できません。このような喪失が生じた場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
③ 人材採用・人材確保
当社グループの成長と成功の継続は、経営幹部と他の重要な従業員の貢献が継続すること、そして新規に能力ある従業員を雇用できるかどうかに依存しております。特にソフトウエア産業は、従業員の流動性がきわめて高く、競合会社間では技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの獲得競争が行われております。当社グループは、競合会社間の従業員獲得競争の激化から、能力のある社員を雇用し、雇用を維持しておくことができない可能性があり、このような場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
④ 特定人物への事業依存
当社グループの創業者であり取締役である木谷高明は、当社グループの強みであるコンテンツの創出やプロデュースノウハウを蓄積しており、実際の事業の推進においても重要な役割を果たしております。
当社グループは、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成及び強化を進めております。しかしながら、人材の育成及び強化が未達の状態で、何らかの理由により同氏が当社グループの業務執行、プロジェクトの遂行ができない事態となった場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑤ 他社知的財産の侵害
現在又は将来において、当社グループに対する国内外からの著作権をはじめとする知的財産権に係る権利侵害の申立てが行われることにより、高額の訴訟費用を要する訴訟に至る、あるいはそのような申立てを機に、第三者から、多額の費用を要する何らかの権利又は利用の許諾を取得しなければならなくなる可能性があり、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。当社グループの製品の数、特にソフトウエア製品が増加することで、企図することなく第三者の権利の侵害が生じてしまう可能性が高まることから、このような申立てを受ける可能性は高くなります。なお、当社グループは、ソフトウエアの開発を第三者に委託しておりますが、当該開発会社によって他社の権利侵害が生じた場合も、上記と同様の事態が発生し、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。当社グループは、製品の製造、販売やサービスの提供を行う上で、多くの知的財産権を使用しており、当社グループの販売及びリリースする製品が他者の知的財産権を侵していないことを確認するために相当の注意を払っておりますが、それでもなお、事業を世界中に展開していることもあり、第三者から権利侵害の申立てを受ける可能性を否定することはできません。
⑥ 新たな法的規制への対応
当社グループがリリースするモバイルオンラインゲームに関しましては、その製品の先進性、発展性等から、現在法令面の整備が継続して行われております。当該法令面の整備は、モバイルオンラインゲームに対する法的規制となり得ることもあり、近年では「コンプリートガチャ(注)」と呼ばれる課金方法が「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」に違反するとの見解が2012年7月に消費者庁より発表されております。当社グループでは、既存の法令に抵触しないよう、また今後制定される法令が当社製品に影響を与えるような場合には適切に対応するべく相当の注意を払っておりますが、新たな法規制の制定により、当社グループの事業に多大な制約が生じるとともに当社の経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) コンプリートガチャとは、有料のガチャ等によってアイテム等を販売し、特定の組み合わせを集めたユーザーに特別のアイテム等を提供する行為
⑦ 個人情報の管理
当社グループは、トレーディングカードゲーム製品の大会の開催、ECショップを通じてのユーザーへの直接の製品販売等を通じて、ユーザーの氏名、住所、メールアドレス等の個人を特定しうる重要な情報を入手しているため、「個人情報保護規程」等の社内規程の制定と社内規程に基づく個人情報の入手、適切な管理に努めております。しかしながら、何らかの事情で重要な個人情報が漏洩した場合には、当事者による損害賠償請求、ユーザーに対する対応、当社グループの信用失墜により、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(2)事業環境に関するリスク
① 特定のタイトルにおける収益依存について
当社は、売上の大部分を特定のタイトルに依存している状況にあり、第12期連結会計年度においては、トレーディングカードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」、モバイルオンラインゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」、スポーツ「新日本プロレスリング」が売上の内、大きな割合を占めております。当社といたしましては、確立されたメディアミックスの実行によって既存タイトルのサービス向上に取り組む一方で、新規IPへの開発投資も積極的に実施することで新規IPの創出に注力してまいります。しかしながら、今後当該タイトルの収益が想定していた売上高より大きく下回った場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
② 広告宣伝のリスク
当社グループは、良質なIPの開発・獲得・発展を目的として事業を多角化しており、IPをトレーディングカードゲームやモバイルオンラインゲーム、音楽、メディア等様々なメディアに対し商品やサービス展開(メディアミックス)をグループ全体で担うビジネスモデルとなっているため、プロモーション施策を積極的に展開しております。第12期連結会計年度における販売費及び一般管理費に占める広告宣伝費の割合は47%と大きな割合を占めております。しかしながら、当初意図した広告効果が発現しなかった場合は、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
③ トレーディングカードゲームの国内市場規模の推移
トレーディングカードゲームの国内市場規模は近年伸び悩んでおり(注)、一定の市場規模ではあるものの今後成長が進まない場合、当社グループのトレーディングカードゲーム製品の販売も影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
(注) 出典:一般社団法人日本玩具協会「2017年度国内玩具市場規模」
④ オンライントレーディングカードゲーム市場へのユーザーの流出
近年、モバイルオンラインゲーム向けにリリースされるオンライントレーディングカードゲームのユーザーが増加傾向にあります。当社グループもオンライントレーディングカードゲームの開発を行っておりますが、オンライントレーディングカードゲームの市場が今以上に拡大し続けた場合、当社グループのトレーディングカードゲーム製品のユーザーが流出する可能性があり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑤ 紛争、訴訟の発生
当社グループが国内外で事業を継続・拡大を行っていく上で、投融資先、取引先又はユーザーとの間で訴訟等の紛争が生じ、これにより訴訟等が提起され、当社グループが多額の損害賠償金を支払うような事態が生じる可能性があります。⑤に記載のとおり、当社グループは第三者の知的財産権の侵害についての各種調査を実施しており、また、製品の開発等においても法的規制・製品の安全性の確認を実施することで、第三者の権利を侵害するリスクを減少させるよう努めておりますが、第三者からの訴訟の提起を受ける可能性はゼロではなく、訴訟の提起を受ける場合、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑥ 技術革新への対応
当社グループのリリースするモバイルオンラインゲームの市場は、技術革新やユーザーの嗜好の移り変わりのスピードが非常に速く、新たなサービスやコンテンツが日々生み出されております。その技術革新やユーザーのニーズへの対応をはじめとする新たなサービス・コンテンツが生み出されることにより、モバイルオンラインゲームの市場規模は今後も拡大が続くことが予想されます。
当社グループでは、技術、マーケティング、販売、開発及びプロデュースの能力が高いスタッフの採用・育成等を通じて、係る技術革新への対応を続けておりますが、当社グループの技術対応への遅れや設備投資などのコストの増加により、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑦ 競合他社との競争激化
現在、モバイルオンラインゲームの市場においては、数多くの競合他社が存在しております。また、海外も含め新たに当該市場に参入する会社も多く、競合他社との競争は今後さらに激化していくものと考えられます。当社グループは、自社IP及び他社からの利用許諾を得たIPを活用し、外部の優秀な開発会社に開発を委託することで激化する競争に対抗し得る魅力的なコンテンツを今後もリリースしていくことに注力してまいります。しかしながら、画期的なサービスを提供する競合他社や参入企業等との競争が激化し、当社グループの優位性が損なわれた場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑧ モバイルオンラインゲーム市場の衰退又は成長減退
当社グループが重要分野と位置づけて事業を展開しているモバイルオンラインゲーム市場は、今後も海外においては市場規模が拡大していくものと予測しております。しかしながら、当該市場の成長が当社グループ予測を下回る事態や、新たな法的規制の導入等により、市場の成長を阻害する要因が発生した場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑨ システムの継続性確保、セキュリティ対策
当社グループは、インターネットを介して商品・サービスを提供しており、当該商品・サービスの提供を継続し、顧客満足度の向上を図るためには、システムや通信環境が安定的に稼働することが前提であると認識しております。そのため、当社グループはインターネットを介した商品・サービスを安定的に提供するため、当社グループの管理するシステムや通信環境に相応の費用を投じております。しかしながら、当社グループの提供する商品・サービスのユーザー数及びデータ量が当社グループの予測から大幅に乖離する場合、想定よりも多額の費用を投じる必要が生じることがあります。加えて、システムの不具合や通信障害、自然災害、事故、ネットワークを通じての不正アクセス及びコンピュータウィルスの感染など、予期せぬ問題が発生した場合には、安定したサービスの提供が困難となり、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑩ モバイルオンラインゲーム運営事業者の動向
当社グループのモバイルオンラインゲームは、Google LLC.やApple Inc.をはじめとした大手プラットフォーム事業者を介して、各社のサービス規約に従ってリリースされております。したがって、プラットフォーム事業者の事業方針の転換等によりサービス規約が変更され、システム利用料等が大きく変更されることがあれば、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑪ スポーツ事業の動向
当社グループは、連結子会社の新日本プロレスリング㈱及び㈱キックスロードにおいてプロレス及びキックボクシングの興行やグッズの企画販売及び試合を中心とした動画コンテンツの企画・制作・配信を行っており、今後もイベント運営体制の強化等によりファン層の拡大を図っていく方針であります。しかしながら、プロレスやキックボクシングの人気低迷や人気選手の負傷による長期欠場、流出、選手による不祥事発生等により、事業の拡大を阻害する要因が発生した場合には、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑫ カントリーリスク
当社グループでは当社グループ製品の海外での発売、モバイルオンラインゲームのローカライズ配信など、海外における取引が増加しております。しかしながら、海外における取引は、現地政府による外国為替の停止、関税の引き上げ及び政府の公用収用による財産の没収等の様々なカントリーリスクに晒される可能性があります。また、海外での取引では為替レートの変動リスクが生じるため、契約上当該為替リスクを当社グループが負担せざるを得ない場合、当該為替リスクによる金銭的な負担を当社が負うことがあります。加えて、海外において当社グループのベンダーや顧客を増やす過程において、製造物責任、設備責任、製品の欠陥又は労働問題等の訴訟リスクや予期しない破産のリスクにさらに晒される可能性があり、これにより当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑬ 自然災害、事故等について
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、システムの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループ所在地近辺において、大地震等の自然災害や事故等が発生した場合、当社グループの設備損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの経営成績及び収益性に影響が生じる可能性があります。
⑭資金使途について
今回計画している公募増資による調達資金の使途については、良質なIPの開発・取得・発展を目的として、自社IP及び他社IPの開発費、新規IPに係る広告宣伝費に充当する予定であります。しかしながら、当社グループの遂行する業務においては急速に事業環境が変化することも考えられ、環境変化に柔軟に対応することを優先し、現時点における資金計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性があります。
㉒ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、役員、従業員および社外協力者に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。現在付与されている、または今後付与するストック・オプション又は自己新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。本書提出日現在、ストック・オプションの目的となる株式数は1,408,000株であり、発行済株式総数13,606,000株の10.35%に相当します。