有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/06/24 15:00
【資料】
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【項目】
109項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、時代の潮流と本質をとらえ、型にはめずに挑戦することで「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、「エンターテイメントで世界を代表する企業になること」を目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、経営効率向上による収益性の向上と、良質なIPの開発・取得・発展によって企業価値の拡大を図るという観点から、売上総利益金額と経常利益率を経営指標としております。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
① エンターテイメント事業について
当社グループを取り巻くエンターテイメント市場においては、各種デバイスの高性能化と通信インフラの発達に伴って多種多様なエンターテイメントが日常的に供給されるようになり、持続的な市場拡大が見込まれる一方で、ユーザーの嗜好の多様化と製品寿命の短命化が進んでおります。そういった環境を踏まえ、当事業における当社グループ基本の経営戦略としては、a. 既存の主力コンテンツによるブランド力強化と収益拡大 b. 有力な新規IPの開発及び他社IPの取得 c. メディアミックスの体制強化 d. マーケットの変化をとらえ、適応できる組織の構築 の4つを掲げ、グループ全体としての成長を目指しております。
a. 既存の主力コンテンツによるブランド力強化と収益拡大
トレーディングカードゲームにおいては、大型IPへの回帰というトレンドを踏まえて「カードファイト!! ヴァンガード」を展開し、新規ユーザーの獲得ならびに、休眠ユーザーの掘り起こしによる市場拡大を図っております。また、「ヴァイスシュヴァルツ」では海外での日本アニメ需要の高まりを受け、海外でも人気のあるIPの英語版限定製品を発売するなど、国内のみならず海外を意識した展開をすることでさらなる収益拡大を目指しております。
モバイルオンラインゲームにおいては、既存の主力タイトルである「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」や「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」を基盤として、IPの特性やファン層を意識したモバイルオンラインゲームブランド「ブシモ」のブランド力をさらに高めてまいります。また、2019年内には「カードファイト!! ヴァンガード」のモバイルオンラインゲーム「カードファイト!! ヴァンガード ZERO」をリリース予定であり、トレーディングカードゲームとモバイルオンラインゲームのそれぞれで培ってきたノウハウを生かしたコンテンツをお届けし、さらなるブランド力強化を目指しております。
b. 有力な新規自社IPの開発及び他社IPの取得
「BanG Dream!(バンドリ!)」、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」に続く大型自社IPとしておよそ1年に1本のペースを目標に新規IPの企画・開発を進めております。例えば「BanG Dream!(バンドリ!)」から派生した「ARGONAVIS from BanG Dream!」は初の女性向け自社IPとして開発・展開しております。他社IPの取得としては、年間10タイトルほどのアニメ作品にマイナー出資することで版元との関係を良好に保ち、継続して有力タイトルの取得に努めてまいります。
c. メディアミックスの体制強化
多くの競合他社が特定領域のみで事業展開を行う中、当社はトレーディングカードゲームやモバイルオンラインゲームの開発を通じて培ったIP活用やイベント等オフライン展開のノウハウを基盤として、IPの特性を生かしたメディアミックス戦略を展開することを強みとしており、グループ会社がそれぞれに持つ役割を有機的に連携させ、自社・他社を問わず、可能性を秘めたIPをワンストップでプロモーションできるプラットフォーム機能のさらなる強化を目指しております。
d. マーケットの変化をとらえ、適応できる組織の構築
当社グループでは変化の激しいマーケットを的確に捉え、市場ニーズに即したコンテンツを供給するべく、少人数のIP軸チームが機動的なプロデュースを行いつつ、職能別組織により専門的な知見を組み合わせることが可能なマトリクス組織を構築しております。また、部門間での連携や組織の柔軟さを保つため、部門間で競争を引き起こすようなインセンティブや各種申請において複雑な手続きなどを設定せず、グループが一体となって新時代のエンターテイメントを創出すべくIPプロデュースに取り組んでおります。
②スポーツ事業について
政府は「日本再興戦略2016」の官民戦略プロジェクトの一つに「スポーツの成長産業化」を挙げており、スポーツ市場規模を2015年時点の5.5兆円から2020年までに10兆円、2025年までに15兆円に拡大することを目指し、2025年までに新たにスタジアム・アリーナを全国で20拠点設置することを掲げ、官民連携による消費マインド喚起を推進しております(注)。当社グループのスポーツ事業も消費者の旺盛な需要を背景として、堅調な成長を見込んでおります。
当社グループとしては、イベント運営体制の強化や海外への積極的な番組販売による収益の拡大と、若手選手の発掘と育成、海外人気選手の獲得による選手層拡充により、一層の国内外のファンの拡大とブランド力強化を図ることで国内No.1、アジアNo.1のライブスポーツエンターテイメントを提供することを目指しております。
(注)出典:文部科学省 スポーツ庁 平成29年度「スポーツ産業の成長促進事業③スポーツ関連 新事業創出支援事業」報告書
(4)対処すべき課題
① IPの大型化
当社グループは、提供されるエンターテイメントが増加し、お客様の可処分時間・所得を得ることがますます難しくなっている環境の中、選ばれるコンテンツとしてIPを大きく発展させていくことが課題と認識しております。エンターテイメント事業においては、IPごとのランクを見える化し、年商100億円以上のIPを複数保有できるよう目標を掲げ、当社グループ独自のメディアミックスプロモーションのノウハウを活用したIPの育成・発展に取り組んでおります。スポーツ事業においては、「新日本プロレス」や「KNOCK OUT(ノックアウト)」のブランドをますます浸透させることが必要と考えております。特に「KNOCK OUT(ノックアウト)」は国内キックボクシング業界でのNo.1団体を目指し、エンターテイメント事業で培ったブランディングノウハウの活用により選手のキャラクター化を進めてまいります。
② 海外市場でのポジションの確立
当社グループは、次なる成長市場として海外地域、特にアメリカ合衆国と中華人民共和国を戦略地域と認識しております。エンターテイメント事業においてトレーディングカードゲームでは、引き続き「カードファイト!! ヴァンガード」を中心にローカライズを強化しており、モバイルオンラインゲームにおいても2018年4月より英語版や中国語版へのローカライズを開始し、グローバルなパブリッシャーとしての地位確立を急務とした展開をしております。また、国内タイトルを海外へ展開するのみならず、有力な海外タイトルのライセンス取得によってさらなるグローバル化を推進いたします。スポーツ事業においては、巨大市場である海外への映像販売を強化することが課題となっております。当社グループとしては、国際スポーツ映像見本市「Sportel」への出展を行うなど、国際的なスポーツ代理店・放送局との良好な関係性の構築を積極的に行ってまいります。
③ 新技術への対応
当社グループは、技術の発達によりエンターテイメントの新たな表現が可能になり、お客様とのコミュニケーション方法が進化するという認識のもと、新技術への対応を適時に行うことが重要な課題であると考えております。したがって、当社グループは、近年普及が拡大しているスマートフォンやタブレット端末に限らず、次々と登場する新技術に適時に対応していくことが必要であると認識し、必要な対応や積極的な投資を行ってまいります。
④ 優秀な人材の採用・育成
当社グループは、IP創出における競争激化、グローバル環境での競争激化、お客様から求められるサービス水準のリッチ化に継続的に対応していくためには、優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えております。しかし、転職市場の盛況も手伝い、優秀な能力を持つ人材の採用は他社とも競合し、採用難易度は年々高くなっております。当社グループは、社内研修の強化、福利厚生の充実を図っていくとともに、志望者を惹きつけるようなオリジナリティのあるヒットタイトルを継続的にリリースしていくことで採用強化につなげたいと考えております。また、マーケットでのプレゼンスやコーポレートブランドを高め、会社の魅力を世の中に訴求していくことも継続的に行ってまいります。
⑤ 内部統制、コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループが今後更なる拡大を図るためには、持続的な成長を支える組織体制・内部管理体制の強化が重要であると考えております。当社グループとしては、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部管理体制の強化に取り組んでまいります。