有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/11 15:00
【資料】
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【項目】
79項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「新しい食文化を創造し、来店されたすべてのお客様に豊かでハッピーな食事時間を提供します」というミッションの下、質の高い料理とサービスをバリュー(商品価値)のある価格で顧客に提供することを基本とし、当社で働くすべての人がチームの一員としてミッションを意識し、顧客のニーズに応じて柔軟に変化していくことが大切であると考えております。また、企業スローガンを「おいしい時間はつながる時間」として、おいしい料理を提供することで、顧客が家族や仲間と楽しい時間を共有できるよう従業員一同、取り組んでおります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
現在、当社は中国料理において3つの業態で店舗を展開しておりますが、中長期的な計画では、当該業態の中で最も安定した営業基盤を構築している「中国料理 浜木綿」の店舗展開を主として考えており、東海地方だけでなく、関東・関西エリアへの店舗展開を検討しております。長期的には、中華料理を主体とした中華居酒屋、都心型の台湾料理店、アメリカのようにテイクアウトを強化したカジュアルな中国料理店などの新たな業態開発や、一般家庭でも簡単に調理することができる食材セット等の販売、全国の中国料理店に加工食材を販売することなども可能であると考えております。今後の更なる店舗展開には、働き方改革や、人手不足を考慮した生産性の向上や合理化・省力化は、一層必要となってまいります。現在、セントラルキッチンによる調理割合は、仕入金額ベースで32%程度となっており、店舗の生産性を上げるために当該割合を高めていく必要があります。また、現場の調理オペレーションをより工夫することで、人材の活用も容易となり、出店速度の加速にも貢献するものと考えており、今後もセントラルキッチンでの増産を進めてまいります。そのため、愛知県稲沢市に新たなセントラルキッチンの新設を予定しております。当該セントラルキッチンは、店舗で行っていた調理の一部を実施するだけではなく、新しいメニューや調理法を開発し、現場のオペレーションを改善する新たな中国料理の創造の場としてまいります。
セントラルキッチンで様々なメニュー開発が行われ、新しい現場オペレーションにより、すべての店舗で安定した品質の料理が提供できるようになると、ホテルや飯店と呼ばれる専門店のような豊富なメニューが提供できる本格的な中国料理の業態による事業展開が可能になると考えております。
また、セントラルキッチンの新設と併せ、IT設備の活用も重要な施策と考えております。具体的には、タブレットを活用した注文システムの導入により、顧客に料理の情報を伝達することと併せ、アンケート機能も盛り込み顧客情報を蓄積・活用してまいります。最終的には決済方法の簡素化や予約をWebで受け付けることなども検討してまいります。また、業務マニュアルなども会社貸与のタブレットやスマートフォンなどからアクセスできるようにすることで、効率的な教育を可能にしてまいります。
セントラルキッチンの生み出すものは、おいしくて、新しい価値を感じられる料理、そして、従業員が短期間で調理を習得でき、どの店舗でもおいしくつくれる中国料理であり、それらに加えて、ITの活用による生産性の向上がこれからの中国料理店を支えるものと考えております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
損益からみた経営指標では、既存店の客数の増減を最も重視しております。客数は実施していることの正否のバロメータであると考えております。そのほか、当社の工夫の結果と工夫が生んだ付加価値を表す原価率、これからの会社の存続にもかかわる重要な指標である生産性(人時売上高:店舗売上高÷総労働時間)も重視しております。
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
今後における外食産業を取り巻く経営環境は、人口減少や少子高齢化に伴う市場規模の縮小、コンビニエンスストアなどの外食以外の業界を含めた企業間・店舗間競争の激化、労働力不足、原材料やエネルギーコストの上昇、また、企業業績の悪化懸念等による消費マインドの低迷など、今後も引き続き厳しい状況が続くものと予想されます。さらには顧客の嗜好やニーズがますます多様化し、商品・サービスに対する選別が厳しさを増すとともに、食の安心・安全志向、健康志向は一段と強まっております。
このような環境の中、当社といたしましては、継続的な成長の実現と企業価値の向上のため、以下の課題について重点的に取り組んでまいります。
① 人材の採用と育成
当社が今後、安定して成長していくためには、優秀な人材の確保が必要不可欠と考えております。当社の基本理念を理解し、賛同した人材の採用・定着を最重要課題とし、新卒・中途・パート・アルバイトの採用を積極的に行うとともに、教育・研修の強化を図り、優秀な人材の確保と育成に取り組んでまいります。
② 衛生・品質管理の徹底・強化
外食産業において、食中毒事故や偽装表示問題等により食の安心・安全に対する社会的な要請は高まる傾向にあります。当社におきましても、顧客に安心・安全な料理を提供することは最大の責務であり、重要な課題と考えております。そのため食材の情報及び品質の管理並びに仕入から提供までの衛生管理の徹底・強化に取り組んでまいります。
③ 経営管理体制の強化
店舗の新規出店による企業規模の拡大に伴い、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織作りが必要不可欠であると考えております。設備投資に対する意思決定の迅速化に加え、労働関連法令の改正への事前取組みや、店舗及びセントラルキッチンの衛生管理の徹底を行うなど、コンプライアンスにかかる環境変化にも迅速かつ柔軟に対応できるよう、経営管理体制の強化に取り組んでまいります。
④ 出店エリアの拡大と新業態の開発
当社は、3つの業態による中国料理店を主に東海地方において展開しております。さらなる事業拡大に向けて、出店エリアの拡大と新業態の開発が重要課題であると考えております。今後、中期的には、既存市場を拡充したエリアに主力業態である「浜木綿」を軸に出店を進めてまいります。長期的には、既存の業態を全国各地の主要都市にて展開していくとともに、客単価が高めでかつ回転率も高い首都圏対応の業態の開発や立地によっては客単価が低いものの一定の回転率が見込めるコンセプト型の業態の開発も検討してまいります。
⑤ 既存店売上高の維持・向上
外食業界は成熟した市場になっており、商品・サービスに対する選別化、企業間・店舗間競争の激化等により、厳しい経営環境となっております。その中で当社は、当社の強みである品質の安定した料理とサービス力を強化し、より充実した「豊かでハッピーな食事時間」を顧客に過ごしてもらえる環境を整え、既存店売上高の維持・向上に努めてまいります。
⑥ 新規出店の強化及び投資効果の維持・向上
当社が新たな収益を確保し、継続的に成長するためには、新規出店の強化と投資効果のさらなる向上が重要課題であると考えております。新規出店を着実に実行できるよう、継続的に物件に関する情報収集を徹底するとともに、物件情報の取得・調査・開発等のための人材確保及び社内体制の強化に取り組んでまいります。
また、出店初期投資額の削減に努め、投資回収完了の早期実現が可能な店舗づくりを目指してまいります。