有価証券届出書(新規公開時)
事業等のリスク
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項には、以下のようなものがあります。ただし、現在、事業活動の前提となる事項の継続に支障をきたす要因は発生しておりません。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)不動産市場の動向について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場は、堅調に推移しております。不動産仲介サービスにおいて取扱い件数の多い中古マンション市場では、新築分譲マンション価格の高騰に対する中古マンションの割安感や、購入者層の中古マンションに対する忌避感の減少などにより需要が増大しており、安定的に収益を確保しやすい環境が継続していると考えております。しかしながら、海外経済の不確実性や政策の変更、また、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの前後の不動産市況の動向や人口減少に伴う不動産需要の縮小等により不動産市場が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)不動産市場の季節的要因について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場においては、新年度開始にまたがる第4四半期及び第1四半期に取引が多くなる傾向があるため、第4四半期及び第1四半期において経営成績が不調となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の不動産仲介サービスの売却部門における契約手数料の四半期ごとの割合は以下のとおりであります。
(単位:%)
※1年間の契約手数料を100%とした場合の各四半期の契約手数料が占める割合であります(2019年3月期)。
(3)不動産に係る政策の変更について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場においては、2019年10月の消費税の税率引上げにより、今後住宅需要の減少を招く懸念があります。経済政策の一環として、住宅ローン減税や住宅取得における贈与税の非課税枠等、不動産関連の税制の変更等により、消費税増税の影響が軽減される可能性もありますが、採られる政策の内容により不動産市場が落ち込み、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)業法について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスにおいては、不動産仲介会社として、宅地建物取引業法や金融商品取引法等の不動産取引に関する各種法令を遵守する義務を負っております。
当社グループは、これら法令を遵守して業務を行っており、現在まで行政処分や指導を受けたことはなく、また継続に支障を来たす要因は発生しておりません。しかし、今後偶発的な事象等により、これら業法違反を犯したとして許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、関連する法令が新たに制定され又は既存の法令が改廃された場合には、当社グループの事業の一部が制約を受け、対応のために追加的な費用がかかるなど、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在当社グループが取得している許認可等は以下のとおりであります。
(5)不動産の表示に関する公正競争規約等について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスにおいては、不動産仲介会社として、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不当景品類及び不当表示防止法」により、広告宣伝活動の制約を受けております。当社グループは、効率的な集客のためインターネット上の広告等を積極的に行っておりますが、これらの広告が上記制約に違反した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)スマートホームサービスにおける土地の仕入れについて
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、マンション建設が可能な広さがあり且つ駅から徒歩圏内にある等の条件を満たした資産性の高い土地の仕入れが不可欠であります。これらの条件を満たした土地の仕入れが十分に行えない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)スマートホームサービスにおける在庫について
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、不動産市場が悪化した場合には、在庫の不動産を販売できずに滞留在庫になり原価割れで販売する、あるいは評価減を計上しなければならないというリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)スマートホームサービスにおける瑕疵担保責任について
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、当社グループが購入した不動産に権利、構造、環境等に関する欠陥・瑕疵があった場合、原則として売主に瑕疵担保責任を追及できますが、必ずしも金銭的な補償を完全に得られるとは限りません。その結果、取得した不動産について瑕疵の修復などの追加費用等が発生する場合があります。
また、当社グループが販売した不動産に瑕疵があった場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、瑕疵の修復などの追加費用が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)AI及びIT業界の動向について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術を応用することで、従来では解決困難であった課題に対するソリューションを提供する企業が増えてきております。これら競合他社との競争が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)技術革新への対応について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、技術革新のスピードが速く、既存の技術及び知識の陳腐化が生じやすくなっております。当社グループでは最先端技術を有する企業とのアライアンス等により絶えず技術及び知識のアップデートを行うよう努めておりますが、技術動向の大幅な変更や代替技術の登場により、当社の技術及び知識が陳腐化した場合には、当社サービスの競争力が失われることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術に関する知識を有する人材の確保が最優先事項であると考えております。
当社グループでは、この方針のもと、人材の採用・育成を継続して行っていく方針ですが、昨今の労働市場における人件費の高騰等により人材が十分に確保できない場合や、当社グループの役職員が社外に流失した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)システム障害について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」は、インターネット上で提供するサービスとなっているため、インターネットのシステム障害等によりサービスの安定的な提供が行えなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)大手不動産ポータルサイトとの競合について
大手不動産ポータルサイトのビジネスモデルは、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりませんが、今後、大手不動産ポータルサイトが、当社グループの「ITプラットフォーム事業」のように、不動産取引のプロセス全般に対してサービスの提供を開始した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ヤフー株式会社が単独で運営する「Yahoo!不動産」は、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりませんので、当社グループの「ITプラットフォーム事業」とは競合しないと考えております。
(14)AIソリューション事業の開始が2018年からであることについて
AIソリューション事業は、2018年9月から開始し、同年10月のSRE AI Partnersの設立を受け、順調に顧客を獲得し、解約実績も現状ありません。しかし、事業が立上げ初期であることもあり、今後、事業計画どおりに顧客獲得が至らない場合や既存顧客より契約を解約された場合には、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)小規模組織であることについて
当社グループは、創業時から、少数精鋭の専門家集団を目指しているため、組織規模が小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い人員増強を図るとともに、本書提出日現在未設置である内部監査専任部署の設置や、社内情報を一気通貫で把握できるワークフローシステムの導入等により管理体制も併せて強化・充実させていく方針でありますが、事業の拡大に応じた組織の拡充を行えなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)個人情報の取扱いについて
当社グループでは、個人情報の管理に細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)情報管理について
当社グループでは、顧客の秘密情報に触れる場合があります。情報の取扱いについては、紙ベースのものは施錠できるキャビネットでの保管を、データ情報についてはパスワードを付したうえアクセス制限のかかったフォルダへ保管する旨義務付けており、情報漏えいには細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)訴訟の可能性について
当社グループが管理する物件における管理状況や入退去時の状況に対する顧客からのクレーム、当社グループが販売した物件における瑕疵の発生等を原因とする訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(19)委託先への依存について
当社グループは、少数精鋭による効率的な事業運営を行うため、「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」の開発及び保守業務の一部について外部への委託を行っておりますが、委託先を十分確保できなかったり、委託先の倒産等不測の事態が起きたりした場合には、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)営業地域の限定について
当社グループは、経営資源を集中させ効率的な事業運営を行うため、営業拠点地域を原則的に東京を中心とする大都市圏に限定しております。これら地域において災害等が発生した場合には、他の地域での営業活動によるリカバリーを行えないため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21)M&A及び業務提携について
当社グループは、同業他社等に対するM&A及び業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化するのみならず、不連続的かつ飛躍的な成長が可能であると考えており、M&A及び業務提携を積極的に検討してまいります。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務及びビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、精査、検討をすることにより、可能な限りリスク回避に努めますが、M&A及び業務提携後において、当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要を及ぼす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、M&Aについて具体的な計画はありません。
(22)資金使途について
今回、当社グループが計画している公募増資による調達資金の使途については、AI技術の研究開発費用、ITの研究開発費用、IoT技術の研究開発費用、IoTスマートホーム物件取得に係る借入金の返済や営業用不動産の取得費用、統合基幹業務システム開発費用、広告宣伝費用及び人材採用費用に充当する予定であります。しかし、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。
(23)配当政策について
当社グループは、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元も重要な経営課題として認識しております。現在当社グループは成長過程にあると認識しており、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。将来的には各期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案したうえで株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
(24)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は849,300株であり、発行済株式総数13,728,000株の6.2%に相当いたします。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、将来的に当社株式上場後の株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(25)Zホールディングスグループとの関係について
当社グループは、Zホールディングス株式会社から出資を受けるとともに、ヤフー株式会社が運営するインターネットサービスである「Yahoo! JAPAN」から当社に対して送客を行う業務提携契約を締結しております。また、「ITプラットフォーム事業」に関し出向者を受け入れている等の協力関係にあります。このヤフー株式会社との協力関係が解消された場合、「おうちダイレクト」サービスの運営に支障をきたす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(26)ソニーグループとの関係について
① ソニーグループ内における当社の位置づけについて
当社グループは、AI技術とITを使った実業(リアル)の課題を解決する力を強みとしており、ソニーグループ内企業との事業及び展開地域における競合は生じておりません。
ただし、将来的にソニーグループの経営方針に変更が生じた場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② ソニーグループとの取引及び取引条件について
ソニーグループ内において、ソニー株式会社とは同社の従業員の転勤に伴い空き家となった自宅の借上及び管理業務を当社に委託する取引があります。またソニー株式会社の関連会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社等と、当社の「不動産事業」や「ITプラットフォーム事業」でのマーケティングにおいて取引を行っております。当社はこれらの会社に対し広告関連業務、ホームページ等のコンテンツ制作業務において取引を行っております。
なお、キャッシュ・マネジメント・システムとして利用していたSony Global Treasury Services Plc.との取引は2019年8月をもって解消しており、当社資金のソニーグループからの独立性を確保しております。
第5期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における当社とソニーグループとの取引内容のうち、関連当事者情報注記に開示した取引以外の主な取引は以下のとおりであります。
(その他の関連当事者取引)
上記の他にもソニーグループ内において少額の取引を行っておりますが、取引条件及び取引条件の決定方針等については、一般条件を参考に協議のうえ設定しております。
関連当事者取引については、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」内の関連当事者情報にも記載しております。
③ ソニーグループとの人的関係について
本書提出日現在、当社取締役8名のうち、親会社であるソニー株式会社より1名選任しております。兼任している役員は以下のとおりであります。
なお、当社グループはソニーグループの人的資源を活用し、これまで出向者を受け入れてきましたが、今後は原則的に新たな出向者の受け入れは行わず、転籍及び出向解消等により、出向者数を限定的なものとする方針であります。
今後、当社グループに対するソニーグループの出資比率が変更された場合には、これらの人的関係が変動する可能性があります。
(27)経営上の重要な契約等
当社グループの経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で契約が終了したり、契約の履行に支障が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(28)商号変更による影響について
当社は、2019年6月1日付で、商号を「ソニー不動産株式会社」から「SREホールディングス株式会社」に変更しております。創業当時から使用してきた「ソニー不動産」の名称が変更されたことにより、これまで当社が築いてきた認知度が低下したり、ソニーグループの一員であることが認識されづらくなり、不動産事業における物件を売りたい売主からの問合せが減少するおそれがあります。商号変更後から現時点までにおいてそのような事象は発生しておりませんが、今後発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)不動産市場の動向について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場は、堅調に推移しております。不動産仲介サービスにおいて取扱い件数の多い中古マンション市場では、新築分譲マンション価格の高騰に対する中古マンションの割安感や、購入者層の中古マンションに対する忌避感の減少などにより需要が増大しており、安定的に収益を確保しやすい環境が継続していると考えております。しかしながら、海外経済の不確実性や政策の変更、また、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの前後の不動産市況の動向や人口減少に伴う不動産需要の縮小等により不動産市場が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)不動産市場の季節的要因について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場においては、新年度開始にまたがる第4四半期及び第1四半期に取引が多くなる傾向があるため、第4四半期及び第1四半期において経営成績が不調となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の不動産仲介サービスの売却部門における契約手数料の四半期ごとの割合は以下のとおりであります。
(単位:%)
第1四半期 (4月~6月) | 第2四半期 (7月~9月) | 第3四半期 (10月~12月) | 第4四半期 (1月~3月) |
26.2 | 23.7 | 22.5 | 27.6 |
※1年間の契約手数料を100%とした場合の各四半期の契約手数料が占める割合であります(2019年3月期)。
(3)不動産に係る政策の変更について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスが属する不動産市場においては、2019年10月の消費税の税率引上げにより、今後住宅需要の減少を招く懸念があります。経済政策の一環として、住宅ローン減税や住宅取得における贈与税の非課税枠等、不動産関連の税制の変更等により、消費税増税の影響が軽減される可能性もありますが、採られる政策の内容により不動産市場が落ち込み、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)業法について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスにおいては、不動産仲介会社として、宅地建物取引業法や金融商品取引法等の不動産取引に関する各種法令を遵守する義務を負っております。
当社グループは、これら法令を遵守して業務を行っており、現在まで行政処分や指導を受けたことはなく、また継続に支障を来たす要因は発生しておりません。しかし、今後偶発的な事象等により、これら業法違反を犯したとして許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後、関連する法令が新たに制定され又は既存の法令が改廃された場合には、当社グループの事業の一部が制約を受け、対応のために追加的な費用がかかるなど、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在当社グループが取得している許認可等は以下のとおりであります。
許認可等の名称 | 免許証番号 | 有効期限 | 主な許認可取消事由 |
宅地建物取引業者免許 | 国土交通大臣(1)第9297号 | 2023年1月11日 | 不正な手段により当該登録を受けた場合や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)。 不正又は著しく不当な行為があった場合は業務停止(宅地建物取引業法第65条) |
(5)不動産の表示に関する公正競争規約等について
当社グループが提供している「不動産事業」の不動産仲介サービスにおいては、不動産仲介会社として、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不当景品類及び不当表示防止法」により、広告宣伝活動の制約を受けております。当社グループは、効率的な集客のためインターネット上の広告等を積極的に行っておりますが、これらの広告が上記制約に違反した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)スマートホームサービスにおける土地の仕入れについて
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、マンション建設が可能な広さがあり且つ駅から徒歩圏内にある等の条件を満たした資産性の高い土地の仕入れが不可欠であります。これらの条件を満たした土地の仕入れが十分に行えない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)スマートホームサービスにおける在庫について
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、不動産市場が悪化した場合には、在庫の不動産を販売できずに滞留在庫になり原価割れで販売する、あるいは評価減を計上しなければならないというリスクがあります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)スマートホームサービスにおける瑕疵担保責任について
当社グループが提供している「不動産事業」のスマートホームサービスにおいては、当社グループが購入した不動産に権利、構造、環境等に関する欠陥・瑕疵があった場合、原則として売主に瑕疵担保責任を追及できますが、必ずしも金銭的な補償を完全に得られるとは限りません。その結果、取得した不動産について瑕疵の修復などの追加費用等が発生する場合があります。
また、当社グループが販売した不動産に瑕疵があった場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、瑕疵の修復などの追加費用が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)AI及びIT業界の動向について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術を応用することで、従来では解決困難であった課題に対するソリューションを提供する企業が増えてきております。これら競合他社との競争が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)技術革新への対応について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、技術革新のスピードが速く、既存の技術及び知識の陳腐化が生じやすくなっております。当社グループでは最先端技術を有する企業とのアライアンス等により絶えず技術及び知識のアップデートを行うよう努めておりますが、技術動向の大幅な変更や代替技術の登場により、当社の技術及び知識が陳腐化した場合には、当社サービスの競争力が失われることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術に関する知識を有する人材の確保が最優先事項であると考えております。
当社グループでは、この方針のもと、人材の採用・育成を継続して行っていく方針ですが、昨今の労働市場における人件費の高騰等により人材が十分に確保できない場合や、当社グループの役職員が社外に流失した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)システム障害について
当社グループが提供している「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」は、インターネット上で提供するサービスとなっているため、インターネットのシステム障害等によりサービスの安定的な提供が行えなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)大手不動産ポータルサイトとの競合について
大手不動産ポータルサイトのビジネスモデルは、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりませんが、今後、大手不動産ポータルサイトが、当社グループの「ITプラットフォーム事業」のように、不動産取引のプロセス全般に対してサービスの提供を開始した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ヤフー株式会社が単独で運営する「Yahoo!不動産」は、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりませんので、当社グループの「ITプラットフォーム事業」とは競合しないと考えております。
(14)AIソリューション事業の開始が2018年からであることについて
AIソリューション事業は、2018年9月から開始し、同年10月のSRE AI Partnersの設立を受け、順調に顧客を獲得し、解約実績も現状ありません。しかし、事業が立上げ初期であることもあり、今後、事業計画どおりに顧客獲得が至らない場合や既存顧客より契約を解約された場合には、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)小規模組織であることについて
当社グループは、創業時から、少数精鋭の専門家集団を目指しているため、組織規模が小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い人員増強を図るとともに、本書提出日現在未設置である内部監査専任部署の設置や、社内情報を一気通貫で把握できるワークフローシステムの導入等により管理体制も併せて強化・充実させていく方針でありますが、事業の拡大に応じた組織の拡充を行えなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)個人情報の取扱いについて
当社グループでは、個人情報の管理に細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)情報管理について
当社グループでは、顧客の秘密情報に触れる場合があります。情報の取扱いについては、紙ベースのものは施錠できるキャビネットでの保管を、データ情報についてはパスワードを付したうえアクセス制限のかかったフォルダへ保管する旨義務付けており、情報漏えいには細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)訴訟の可能性について
当社グループが管理する物件における管理状況や入退去時の状況に対する顧客からのクレーム、当社グループが販売した物件における瑕疵の発生等を原因とする訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(19)委託先への依存について
当社グループは、少数精鋭による効率的な事業運営を行うため、「ITプラットフォーム事業」及び「AIソリューション事業」の開発及び保守業務の一部について外部への委託を行っておりますが、委託先を十分確保できなかったり、委託先の倒産等不測の事態が起きたりした場合には、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)営業地域の限定について
当社グループは、経営資源を集中させ効率的な事業運営を行うため、営業拠点地域を原則的に東京を中心とする大都市圏に限定しております。これら地域において災害等が発生した場合には、他の地域での営業活動によるリカバリーを行えないため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21)M&A及び業務提携について
当社グループは、同業他社等に対するM&A及び業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化するのみならず、不連続的かつ飛躍的な成長が可能であると考えており、M&A及び業務提携を積極的に検討してまいります。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務及びビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、精査、検討をすることにより、可能な限りリスク回避に努めますが、M&A及び業務提携後において、当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要を及ぼす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、M&Aについて具体的な計画はありません。
(22)資金使途について
今回、当社グループが計画している公募増資による調達資金の使途については、AI技術の研究開発費用、ITの研究開発費用、IoT技術の研究開発費用、IoTスマートホーム物件取得に係る借入金の返済や営業用不動産の取得費用、統合基幹業務システム開発費用、広告宣伝費用及び人材採用費用に充当する予定であります。しかし、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。
(23)配当政策について
当社グループは、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元も重要な経営課題として認識しております。現在当社グループは成長過程にあると認識しており、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がるものと考えております。将来的には各期の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案したうえで株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
(24)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は849,300株であり、発行済株式総数13,728,000株の6.2%に相当いたします。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、将来的に当社株式上場後の株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
(25)Zホールディングスグループとの関係について
当社グループは、Zホールディングス株式会社から出資を受けるとともに、ヤフー株式会社が運営するインターネットサービスである「Yahoo! JAPAN」から当社に対して送客を行う業務提携契約を締結しております。また、「ITプラットフォーム事業」に関し出向者を受け入れている等の協力関係にあります。このヤフー株式会社との協力関係が解消された場合、「おうちダイレクト」サービスの運営に支障をきたす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(26)ソニーグループとの関係について
① ソニーグループ内における当社の位置づけについて
当社グループは、AI技術とITを使った実業(リアル)の課題を解決する力を強みとしており、ソニーグループ内企業との事業及び展開地域における競合は生じておりません。
ただし、将来的にソニーグループの経営方針に変更が生じた場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② ソニーグループとの取引及び取引条件について
ソニーグループ内において、ソニー株式会社とは同社の従業員の転勤に伴い空き家となった自宅の借上及び管理業務を当社に委託する取引があります。またソニー株式会社の関連会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社等と、当社の「不動産事業」や「ITプラットフォーム事業」でのマーケティングにおいて取引を行っております。当社はこれらの会社に対し広告関連業務、ホームページ等のコンテンツ制作業務において取引を行っております。
なお、キャッシュ・マネジメント・システムとして利用していたSony Global Treasury Services Plc.との取引は2019年8月をもって解消しており、当社資金のソニーグループからの独立性を確保しております。
第5期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における当社とソニーグループとの取引内容のうち、関連当事者情報注記に開示した取引以外の主な取引は以下のとおりであります。
種類 | 会社等の名称又は氏名 | 所在地 | 資本金又は出資金 (百万円) | 事業の内容又は職業 | 議決権等の所有( 被所有)割合(%) | 関連当事者との関係 | 取引の内容 | 取引金額 (千円) | 科目 | 期末残高 (千円) |
親会社 | ソニー株式会社 | 東京都 港区 | 874,291 | 情報通信機械器具製造業等 | (被所有) 直接 56.29 | 役員の兼任、出向者の受入、従業員の自宅借上げ業務の受託等 | 商標等の使用料支払 | 28,118 | 販売費及び一般管理費 | 12,405 |
管理受託業務等 | 24,024 | 売上高 | 2,189 | |||||||
上記受託業務に付随する原状回復業務等 | 10,852 | 売上高 | 1,497 | |||||||
出向費用の支払 | 34,185 | 販売費及び一般管理費 | 2,980 |
種類 | 会社等の名称又は氏名 | 所在地 | 資本金又は出資金 (百万円) | 事業の内容又は職業 | 議決権等の所有( 被所有)割合(%) | 関連当事者との関係 | 取引の内容 | 取引金額 (千円) | 科目 | 期末残高 (千円) |
同一の親会社を持つ会社 | ソニーグローバルソリューションズ株式会社 | 東京都 品川区 | 100 | ソニーグループのITインフラの設計・開発事業等 | - | ネットワーク使用料等 | ネットワーク使用料等の支払 | 25,216 | 販売費及び一般管理費 | 5,181 |
同一の親会社を持つ会社 | ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 | 東京都 品川区 | 7,969 | インターネット関連事業等 | - | 広告関連業務の委託 | 広告費用等の支払 | 14,500 | 販売費及び一般管理費 | 1,756 |
同一の親会社を持つ会社 | ソニー生命保険株式会社 | 東京都 千代田区 | 70,000 | 生命保険及び生命保険の再保険事業等 | - | 顧客紹介業務の委託等 | 紹介料の支払 | 18,503 | 販売費及び一般管理費 | 3,555 |
(その他の関連当事者取引)
上記の他にもソニーグループ内において少額の取引を行っておりますが、取引条件及び取引条件の決定方針等については、一般条件を参考に協議のうえ設定しております。
関連当事者取引については、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」内の関連当事者情報にも記載しております。
③ ソニーグループとの人的関係について
本書提出日現在、当社取締役8名のうち、親会社であるソニー株式会社より1名選任しております。兼任している役員は以下のとおりであります。
当社における役職 | 氏名 | 兼務先における役職 |
取締役(監査等委員) | 齊藤 義範 | ソニー株式会社経営企画管理部エンタテインメント・金融グループ ゼネラルマネジャー |
なお、当社グループはソニーグループの人的資源を活用し、これまで出向者を受け入れてきましたが、今後は原則的に新たな出向者の受け入れは行わず、転籍及び出向解消等により、出向者数を限定的なものとする方針であります。
今後、当社グループに対するソニーグループの出資比率が変更された場合には、これらの人的関係が変動する可能性があります。
(27)経営上の重要な契約等
当社グループの経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で契約が終了したり、契約の履行に支障が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(28)商号変更による影響について
当社は、2019年6月1日付で、商号を「ソニー不動産株式会社」から「SREホールディングス株式会社」に変更しております。創業当時から使用してきた「ソニー不動産」の名称が変更されたことにより、これまで当社が築いてきた認知度が低下したり、ソニーグループの一員であることが認識されづらくなり、不動産事業における物件を売りたい売主からの問合せが減少するおそれがあります。商号変更後から現時点までにおいてそのような事象は発生しておりませんが、今後発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。