有価証券届出書(新規公開時)

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2019/09/17 15:00
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事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①経済状況等の変動
当社の提供するIM-DMPはデジタル及びオフラインのマーケティングに活用されるため、日本国内外の経済状況、各業界の動向、各企業の経営成績やマーケティング予算、広告代理店の広告取扱高の変動等による影響を受ける可能性があります。また、消費税率の引き上げや政府・日本銀行の政策・世界経済の動向等によって、個人消費の減速や企業活動の停滞が発生する可能性があります。
当社の顧客の商品・サービスの市場規模や活動が縮小し又は停滞する場合には、当社のサービスに対する需要が減速する等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②インターネット市場の動向について
当社はインターネット関連のデータ保有を強みとするデータマネジメントプラットフォーム「IM-DMP」を事業基盤としており、当社事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。
しかしながら、インターネットの普及に伴う弊害の発生やその利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因等により、今後のインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が阻害された場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③顧客ニーズの変化について
インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。また、インターネット広告市場においては、顧客ニーズが急速に変化することから、頻繁に新しい商品やサービスが導入されており、当社においてもこれらの変化に迅速に対応していく必要があります。
当社においても顧客ニーズの変化に対応するため、新たな広告商品へのデータ連携を行っておりますが、予期しない顧客ニーズの変化があった場合には、その対応に係る追加のシステム開発等が必要になります。適切な対応に支障が生じた場合には、競争力の低下及びクライアント企業の流出等を招き、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④技術革新について
当社は、インターネット広告分野において事業を展開しておりますが、当該分野においては技術の進歩及び変化が著しく、新技術及び新サービスが頻繁に導入されております。また、スマートフォンやタブレット端末等、パソコン以外の多様なデバイスも急速に普及しております。このため、当社は、エンジニアの採用・育成やインターネット広告に関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、今後の技術革新への対応が遅れた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤競合他社の動向について
当社の競合となる、パブリックDMPを中心としたDMP事業を行っている事業者は、国内において数社存在しております。当社の提供するIM-DMPは、当社の方針及びパブリックDMPというサービスの性質上、プライベートDMPとも積極的に連携を行っており、プライベートDMP事業者の多くと協力関係を構築することで、より顧客ニーズに対応できる優位性を確保しております。また、海外においても、機能面では当社のIM-DMPと競合する、パブリックDMPのサービスを提供するDMP事業者が存在しておりますが、海外の事業者が日本国内のマーケットに参入するためには、日本国内のデータプロバイダーとのアライアンスが障壁になるものと考えております。
当社は国内の新規参入企業の増加に対して、上記の通り、協力事業者との連携やデータプロバイダーとのアライアンス強化の対策を講じておりますが、今後何らかの事業環境の変化により、国内または海外の新規参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が増加した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥DMPの接続先について
当社の提供するIM-DMPは、データの入力元、出力先の両面において、インターネットリサーチ会社、提携するWebメディア、外部事業者の運営するプライベートDMPやDSP、アクセス解析ツール、オンラインリサーチツールなど様々なデジタルマーケティングツールと接続しております。当社では、多種多様な接続先を競争力の源泉の一つと考え、顧客ニーズの高い新規接続先の開拓や、当社の保有するデータのDSPへの連携率の向上といった既存の接続先との連携機能の強化など、接続先の維持拡大を施策として進めております。
しかしながら、これらの接続先の方針や仕様の変更により、接続先が減少した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)組織体制に関するリスク
①特定の人物への依存について
当社の代表取締役である簗島亮次は、DMPを含め様々なWebマーケティングに関するノウハウや新規事業の立案、業界での情報収集等に関して豊富な知識と経験を有しており、当社の事業運営において重要な役割を果たしております。当社では、同氏に過度に依存しないよう、経営体制の整備、権限委譲及び次代を担う人材の育成強化を進めております。
しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②内部管理体制について
当社は今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。
しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③少人数での組織編成及び優秀な人材の確保について
当社は、業務執行上必要最低限の人数での組織編成を行っており、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。
そのため、当社は優秀な人材の確保及び育成のために採用活動および人事制度の強化に努めておりますが、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制に関するリスク
①訴訟等について
当社は、法令及び契約等の遵守に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。
しかしながら、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備等により訴訟を提起された場合には、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②インターネット広告の配信に関連する法的規制について
当社はIM-DMPを最大限に活用するためのワンストップサービスを提供しており、様々な広告配信ツールを利用してクライアント企業の求める方法でデジタル広告の配信を行うデータ活用広告配信サービスを展開しております。現在のところ当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の法的規制が存在しております。
個人情報の取扱いについては「個人情報の保護に関する法律」(以下、「個人情報保護法」という)等が存在しております。「個人情報保護法」第2条第1項では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって」、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文面、図面若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」又は「個人識別符号が含まれるもの」と定義しておりますが、当社がDMP事業において収集する様々な属性情報には、それ自体で、又は他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別することが可能な情報は含まれておりません。したがって、当社がDMP事業において収集する様々な属性情報には個人情報が含まれておらず、これらの情報について、個人情報保護法上の対応は行っておりません。しかしながら、インターネット上のプライバシー保護の観点から、Cookie(ウェブサイトの閲覧情報等を一時的に保存しておくためのウェブブラウザ上の記憶領域やそこに保存される情報)や広告ID(スマートフォンやタブレットのアプリケーションで利用される広告用の端末識別子)に対する規制等、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。また、現在、個人情報保護委員会において、個人情報保護法について、2015年改正法制定以降の社会・経済情勢の変化を踏まえ、いわゆる3年ごと見直しを進めており、2019年4月25日に「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」が公表され、当該中間整理についていわゆるパブリックコメントに付しております。なお、EU一般データ保護規則(GDPR)等の外国法令等には、Cookie等に対し、個人情報や個人データと同等又は類似の規制を行っているものがありますが、当社としては、これらの外国法令等の適用のある国又は地域からはCookieを用いたデータ収集を行っていないこと等から、これらの外国法令等の適用を受けないものと考えております(ただし、本書提出日現在、域外適用の範囲を含め、これらの外国法令等の解釈及び運用は、必ずしも確立しておりません。)。
そのため、今後、個人インターネット広告の配信に関連する分野において新たな国内外の法令等の制定や、EU一般データ保護規則(GDPR)を含む国内外の既存法令等の改正等による規制強化がなされた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、個人情報保護法の改正により、当社がDMP事業において収集する様々な属性情報が同法の定義する個人情報に該当することとされた場合には、ウェブサイトのユーザーからの同意取得が必要となることによるIM-DMPの総データ数の減少及びこれに伴うサービス品質の低下、Cookieを利用した一部のサービスの提供が困難になること、並びにCookieを利用しない代替的な技術の実用化に伴う費用の増加等が想定され、その結果、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③知的財産権について
当社が運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後も、侵害を回避するための著作権等の管理、監視等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性、または新たに当社の事業分野で第三者により知的財産権が成立する可能性も考えられます。そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)システムに関するリスク
①システム基盤について
当社では、様々なクラウドプラットフォームやクラウドサービスを活用することで、信頼性・安定性が高く、開発効率・コスト効率の良いシステムを実現しております。特定の事業者・サービスに依存しない構成を目指しております。
しかしながら、利用中のサービスの契約内容の変更、急激な価格変動、システム障害等によるサービスの一時的な中断、サービス内容の見直しによる機能提供の停止が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②情報セキュリティについて
当社は、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として取引先から預託された機密情報の管理・運用を行っております。情報管理には万全な方策を講じておりますが、万が一当社の従業員や取引先等が情報を漏洩または誤用した場合、またシステム上の不具合やコンピューターウィルス、不正アクセス等に起因する情報の漏洩が発生した場合には、当社が社会的信頼を失い、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①親会社グループとの関係について
(ⅰ)親会社グループにおける当社の位置づけ
当社は、親会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスを中心とした企業集団(以下、フリークアウトグループ)に属しております。フリークアウトグループにおいては、従来から手がけるDSP領域のみならずデジタル広告における周辺分野への展開を推進しております。その中で、広告主が持つ自社Webサイトのアクセスデータ、広告配信データ、会員データ等の1stPartyデータを独自の解析ソフトウェアを用いて分析するプライベートDMP「MOTHER」の提供を行っております。
当社は、フリークアウトグループにおいて、グループ外のデータプロバイダーから受け取った様々な属性情報を持つ3rdPartyデータを用いて広告主のマーケティング課題を解決するため、パブリックDMPであるIM-DMPを中心としたDMP事業を営んでおります。フリークアウトグループにおけるDMP事業は、DSPを利用する広告主自身が保有している1stPartyデータを分析するためのDMPの提供であるため、フリークアウトグループ内に当社のDMP事業と競合関係にあるサービスはありません。
(ⅱ)取引関係
当社と当社の兄弟会社である株式会社フリークアウトとの間には、仕入取引(2018年9月期の取引金額は1百万円。当社が広告配信サービスを併せて受注する際に、クライアント企業が株式会社フリークアウトのDSPサービスの利用を希望する場合に行う取引。)及び販売取引(2018年9月期の取引金額は25百万円)があります。当該取引の取引条件については、当社と関連しない会社との取引条件を参考に、交渉の上決定しております。
(ⅲ)資本関係
当社は、フリークアウトグループにおいて独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスは本書提出日現在、当社発行済株式の70.52%を保有しており、当社は同社の連結子会社であります。同社は当社の株主総会における取締役の任免等の議決権行使を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使にあたり、同社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。
また、フリークアウトグループ内の他社において、財務内容、信用力、業績等に関するマイナスイメージが生じた場合には、当社も同様であるとの風評が生じ、当社の業績に悪影響が生じる可能性があります。
(ⅳ)人的関係
本書提出日現在、当社の役員9名(取締役6名、監査役3名)のうち、株式会社フリークアウト・ホールディングスの役員を兼務する者は1名であり、その者の氏名、当社及び株式会社フリークアウト・ホールディングスにおける役職は以下のとおりです。なお、当社の経営上の重要な意思決定において、株式会社フリークアウト・ホールディングスによる事前承認事項は存在しないため、同社からの独立性の確保という点で、当社の自由な事業活動が阻害される状況にはありません。
氏名当社における役職株式会社フリークアウト・ホールディングスにおける役職
永井 秀輔取締役(非常勤)取締役CFO(常勤)

(ⅴ)フリークアウトグループ内の他社との競合について
現在、当社の方針決定および事業展開の決定については、当社独自に決定しており、フリークアウトグループ内の他社との競合関係はありません。しかし、株式会社フリークアウト・ホールディングスおよびその子会社は世界中でさまざまな事業の運営に関わっており、また、新たな事業や投資の検討を日々行っていることから、今後、当社は投資機会の追求にあたりグループ内他社と競合する可能性があります。当社としては、それらの会社との連携を検討するなどの対応を行っていきますが、当社の事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
②配当政策について
当社は、経営基盤の安定化を図るために内部留保の充実を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要な経営課題であると認識しております。そのため、事業基盤の整備状況、業績や財政状態などを総合的に勘案のうえ配当を実施してまいりたいと考えております。しかしながら、当面は事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とさせていただく所存であります。
③新株予約権行使による株式価値の希薄化について
当社では、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権が行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は663,250株であり、発行済株式総数2,400,000株の27.64%に相当しております。
④季節変動について
当社の売上は、広告主の広告予算をベースに構成されるため、広告主の予算の月ごとの配分の影響を受けます。特に年度末に予算が配分される広告主との取引は、多くの広告主が年度末として設定している12月および3月に売上が集中する傾向があります。したがって、安定的に月次業績が推移する業種に比し売上及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙時に業務を継続するための労働力を確保する必要があり、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤自然災害等について
当社は、自然災害や事故に備え、システムの定期的なバックアップや稼働状況の監視によりシステムトラブルの未然防止及び回避に努めております。
しかしながら、地震等の大規模災害の発生等により本社または外部のクラウドプラットフォームのデータセンターが被害を受けた場合、当社事業の継続に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥調達資金の使途について
当社が株式上場時に計画している公募増資による調達資金については、新規採用人員の教育採用費および人件費に充当する予定であります。
しかしながら、当社が属する業界においては変化が著しく、環境変化に柔軟に対応するため、調達資金を本書提出日現在における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。