有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/09/19 15:00
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83項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断にあたってリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、かかるリスク発生の回避及び発生した場合の当社事業、業績又は財務状態への悪影響をミニマイズするための対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1) 事業及び事業環境に関するリスク
① 再生医療関連事業
a.市場環境について
当社の再生医療関連事業は、医療機関より委託を受けて、①自由診療領域において、患者から採取された脂肪組織より脂肪由来幹細胞を抽出・培養・凍結保存する加工業務、患者から採取された血液から成長因子等を濃縮・無細胞化した後に凍結乾燥(フリーズドライ)を施しPFC-FDを作成する加工業務及び患者の脂肪組織を預かる業務を行う受託サービス(以下、「加工受託サービス」)、並びに②主に自由診療領域における自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療に関連して、「再生医療等安全性確保法」に係る法規対応サポートサービス及び医療機器販売などの付随サービスを提供しております。現在、当社が扱う加工受託サービスの主な疾患領域は変形性膝関節症としており、当該疾患に対して当社の加工受託サービスを利用して医療機関が行う自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療件数は、国内外での有効臨床データの発表や当該治療方法の認知度の高まり等を背景に増加してきており、当社では今後もこの傾向は継続するものと認識しております。しかしながら、自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療はいまだ黎明期であり不確実性が高く、今後の法令諸規則の制定・変更や治療効果等の動向によっては医療機関における治療件数の増加が鈍化する事もありえ、その場合には、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社の加工受託サービスは、委託者である医療機関においては患者に対する自由診療領域に関するものであり、当社は医療機関から加工受託サービスの対価として委託費を受領しておりますが、将来、当社が提供する加工受託サービスに関する医療機関による治療が保険診療の対象となった場合には、診療報酬の改定等に伴い医療機関から当社への委託費の価格引下げ圧力が生じる可能性があります。また、当社の加工受託サービス分野に今後、競業他社が参入し競争環境が激化した際にも、同様に委託費の価格引下げ圧力が生じ得ます。このような要因により当社の加工受託サービスの委託費の価格低下が生じる場合には、今後の当社の事業推進や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
b.法的規制について
当社の再生医療関連事業で行う加工受託サービス及び医療機器の販売は、「再生医療等安全性確保法」、「医薬品医療機器等法」、「製造物責任法」、及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等の法令の規制を受けております。そして、再生医療関連事業の加工受託拠点である再生医療センターは、「再生医療等安全性確保法」に基づき、厚生労働大臣より「特定細胞加工物製造」の許可(施設番号:FA3160006 有効期間:2017年2月21日から2022年2月20日まで(5年間))を取得しているほか、医療機器の販売については、「医薬品医療機器等法」に基づき、医療機器製造業の登録(登録番号:13BZ201240 有効期間:2018年11月5日から2023年11月4日まで(5年間))を行っており、また、第三種医療機器製造販売業の許可(許可番号:13B3X10198 有効期間:2016年6月20日から2021年6月19日まで(5年間))及び高度管理医療機器等販売業の許可(許可番号:30渋保生高第52号 有効期間:2018年11月5日から2024年11月4日まで(6年間))を取得しております。
当社は、事業に関連する法規制やリスク対応等について、隔月に1回定期的に開催する社内のコンプライアンス・リスク協議会において検討するとともに、加工受託サービスに関しては「再生医療等安全性確保法」に準拠した「標準業務手順書」(SOP)に基づく作業工程と品質管理を徹底する等、これらの許可・登録の維持、法令及び関連する諸規則の遵守の徹底と管理体制の構築を図っておりますが、当社がこれら法令諸規則に抵触しているとして、許可・登録の取消し処分等を受けた場合、又はそれらに伴う当社信用の失墜などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、これら法令諸規則の予期しない制定・変更又は解釈の変更によって取引先の医療機関において新たな対応が必要となり、当社に対して加工受託サービス等を委託する事が困難となる等の場合や、当社において新たな対応が必要となり追加コストが発生する等の場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
c.品質・安全性の確保及び製造体制について
「再生医療等安全性確保法」に基づく当社の脂肪由来幹細胞に関する加工受託サービスは、厚生労働大臣から「特定細胞加工物製造許可」を得た再生医療センターで行っており、当該加工受託サービスの工程は、同許可の前提となる「標準業務手順書」(SOP)に基づき実施し、品質確保に努めております。また、同法の規制を受けないPFC-FDの加工工程におきましても、同許可に準拠したSOPを作成し、その規定に沿った品質の確保に努めております。
しかしながら、当社の管理不備により「標準業務手順書」(SOP)の規定に反する工程を実施し、その結果、当該加工受託サービスの品質に悪影響を与えた場合、当社の信用失墜を招き、当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、加工受託サービスにおける脂肪由来幹細胞の抽出・培養・保存及びPFC-FD加工の処理能力は、加工施設、各種加工機器、及び加工技術者それぞれの処理能力に依存します。当社では受託件数の増加を見込み、受託業務に使用する培地や機器等の改良・増設などにより作業工程を効率化し、また、専門的な知識・技能を有する優秀な人材の採用と育成を進めている他、加工業務の一部を外部事業者に再委託する事を検討しております。しかしながら、これら処理能力の増強以上のスピードで医療機関からの委託ニーズが伸長し、当社の処理能力上そのすべてを受託する事ができず事業機会を逸失する場合、又は受託するための処理能力の増強に係る費用が想定以上に膨らんだ場合、計画通りの人材の確保が行えない、若しくは当社の優秀な人材が流出した場合には、当社の再生医療関連事業の事業拡大に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
d.特定の取引先について
当社の売上計上先のうち、2018年10月期の当社総売上高に対する割合が10%を超える取引先は東京ひざ関節症クリニック(現 医療法人社団活寿会 東京ひざ関節症クリニック銀座院)であり、2018年10月期の売上高に占める比率は14.2%となります。同院は、当社の大株主である山川雅之氏による個人経営院でありましたが、2018年9月に個人経営院としては閉院、医療法人社団活寿会傘下の東京ひざ関節症クリニック銀座院として新たに開院し、同氏は現在、活寿会又は活寿会傘下の各院の経営及び運営に関与しておりません。当社といたしましては、新規取引先の開拓並びに大口取引先以外の既存取引先との取引深耕により、特定取引先に依存しない収益構造の構築に注力しておりますが、想定どおりに取引先開拓が進まず、かつ、既存の大口取引先からの受託件数が大きく減少した場合には、再生医療関連事業の事業拡大に支障が生じ、今後の当社の事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社で販売する医療機器の一部は、Medikan Co.,Ltdからの仕入れに依存しており、本書提出日現在において当該医療機器の代替製品は確保できておりません。当社では、代替品の確保に向けての施策を検討しておりますが、何らかの理由でMedikan Co., Ltdからの仕入れが実施できない状況となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
e.再生医療等治療に対する風評リスクについて
再生医療に関する規制の枠組みは、「再生医療等安全性確保法」及び、旧薬事法から改定された「医薬品医療機器等法」により整備されましたが、両法は2014年11月に施行された新しい法律であります。今後、両法に基づき再生医療を行う医療機関や関連サービスを提供する事業会社が増えるに従い、再生医療等に関して法令違反行為や医療過誤の発生、又は想定外の治療結果などが起こり得ます。
当社の再生医療関連事業は、主に、他人の細胞等を利用する他家治療に比べ患者の健康リスクの少ない自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療に関する加工受託サービスの提供であり、また、当社は、当社の加工受託サービスを利用して治療を実施する医療機関に対し、加工受託サービスの適切な利用法に関するサポートを行っており、また、当社の再生医療等法規対応サポートサービスを利用して、自家による脂肪由来幹細胞や血液を用いた治療を行う医療機関に対し「再生医療等安全性確保法」に基づき必要な法規対応に関するサポートを実施しておりますが、医療機関等による法令違反行為等や患者にディメリットとなるような治療、また違法な治療や医療過誤等により重篤な症状を引き起こす事象等が発生した場合には、再生医療全体に対する風評被害となり、結果として当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
f.研究開発について
当社では、様々な細胞が分泌する小型の膜小胞であるエクソソームに着目し、再生医療関連事業における新たな製造・加工受託分野の開拓や創薬事業への参入に向けエクソソームの研究開発を検討しております。本書提出時点においては、エクソソームに係る他事業者との共同研究を推進させる計画でありますが、詳細な研究方法、研究開発費の額や支出時期、具体的な事業化の内容や時期等は定まっておりません。このため、将来的には多額の研究開発費を投じる事により当社の経営成績や財政状態が現状と大きく変化する可能性があります。また、研究開発費に見合うだけの事業化等の成果が得られなかった場合等には、当社の事業拡大に支障が生じ、今後の当社の事業戦略や経営成績に影響を与える可能性があります。
② コンシューマー事業
a.市場動向・競争環境について
当社のコンシューマー事業が属する化粧品関連業界は、消費者ニーズの高まりや海外観光客の増加等により市場規模を拡大してきており、これを受けて当該業界への新規参入など競争環境も激化してきています。
当社は、再生医療関連事業で培ったノウハウとブランディングを他社製品・商品との差別化に活かし、コンシューマー事業の売上げを拡大してきておりますが、有力な競業品の登場等により当社が販売する化粧品の競争力が相対的に低下した場合、あるいは競争激化に伴い販売価格の低下を余儀なくされた場合には、当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
b.法的規制について
当社のコンシューマー事業で行う業務は、化粧品の仕入れ・販売に関する「医薬品医療機器等法」、自社製品の製造販売に関する「製造物責任法」、事業者の営業活動に関する「不正競争防止法」、製品の製造委託に関する「下請代金支払遅延等防止法」、一般消費者への直接販売に関する「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、及び「特定商取引に関する法律」、並びに「個人情報保護法」等の法令の規制を受けております。また、本業務を遂行するため、「医薬品医療機器等法」に基づき化粧品製造販売業の許可(許可番号:13C0X11314 有効期間:2016年8月26日から2021年8月25日まで(5年間))を取得しております。
当社は、これら法令及び関連する諸規則の遵守の徹底と管理体制の構築を図っておりますが、当社がこれら法令諸規則に抵触しているとして営業停止や課徴金等の行政処分を受けた場合や許可の維持ができない場合、製造物責任法等に基づく損害賠償責任が発生した場合、又はそれらに伴う当社信用の失墜などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、これら法令諸規則の予期しない制定・変更又は解釈の変更によって新たな対策が必要となった場合には、当社の本事業の推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
c.生産体制及び品質・安全性について
コンシューマー事業で取り扱う「シグナリフト」ブランドの化粧品については、販売する製品の製造設備を自社で保有せず、すべての製造を株式会社シャロームに委託しています。そのため、何らかの理由で同社への製造委託が維持できない状況となった場合、同社の製造拠点が事故や自然災害などにより生産停止になった場合などには、製造委託の代替先が確保されるまでの間、当社製品の販売機会損失を招き、コンシューマー事業の売上減少を通じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、本事業で販売する化粧品及び美顔器については、顧客の身体・衛生に危害が生じないよう細心の注意をもって品質と安全性の確認を行い、また、取扱い方法の適切な案内に留意しておりますが、当社が販売する化粧品及び美顔器により顧客の健康被害等が発生した場合には、賠償対応やリコール対応等による費用が発生し、また当社に対する信用が失墜するなどし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
d.広告宣伝戦略について
コンシューマー事業で取り扱う化粧品及び美顔器は、主にECサイトや自社Webサイトを通じて販売しております。特に当社が注力している「シグナリフト」ブランドの化粧品販売は自社Webサイトでの直接販売を中心としており、顧客獲得・販売効果を十分に検証しながらアフィリエイト広告やリスティング広告(※)等による宣伝を行っております。なお、自社Webサイトへの商品の掲載に際しては、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)や化粧品等の適正広告ガイドラインを遵守して、外部専門家の確認を経たうえで行う等、適法性の確保に努めているほか、アフィリエイト広告に係る自社ガイドラインを制定して適正なアフィリエイト広告の実施に努めております。
広告宣伝を行う際には、個々の製品・商品ごとの消費者の嗜好動向や販売見込みを十分に検討した上で、その実施時期・方法・支出金額等を決定しておりますが、広告宣伝による販売数の増加が期待した水準に満たない場合や、売上高増加の時期が想定より時間を要する場合、又は広告に関する規制強化等への対応等に時間や費用などを要する場合には、コンシューマー事業の収益の悪化を通じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(※) 「アフィリエイト広告」と「リスティング広告」はともにインターネットの主要な広告手法であり、前者は商品購入など実際に成果に繋がった件数に応じて広告費用が決まる成果報酬型の広告、後者は検索エンジンを使用してあるキーワードを検索した時に、検索結果に表示される広告です。
e.システム障害について
当社は、コンシューマー事業における商品販売において、パソコンやコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに強く依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合、サイトへの急激なアクセス増加や電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によりコンピュータシステムがダウンした場合、コンピュータウィルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、コンシューマー事業の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 共通
a.製造物責任について
当社の再生医療関連事業及びコンシューマー事業には、製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社は再生医療関連事業の細胞加工物及び医療機器並びにコンシューマー事業の化粧品及び美顔器について製造物責任保険を一部付保しておりますが、最終的に当社が負担すべき賠償額を全額カバーできるとは限りません。従いまして、当社が受託加工した細胞加工物が患者の健康被害を引き起こした場合、又は当社が販売する医療機器、化粧品及び美顔器の欠陥等による事故が発生した場合には、当社が製造物責任を負う可能性があり、当社の事業推進に支障が生じ、今後の当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、このような事例において結果として当社の責任が否定されたとしても、当社に対する信頼に悪影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
b.個人情報の保護について
当社のコンシューマー事業では、インターネット等の媒体を利用した個人顧客への直接販売を実施しており、購入者の個人情報を保有しております。また、再生医療関連事業において加工受託サービスを行う際、取引先の医療機関から患者の個人情報を入手する機会があります。
当社では、入手した個人情報の管理を徹底していますが、何らかの理由で個人情報の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合には、当社の社会的信頼の失墜や賠償金の支払い等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
c.知的財産権について
当社は、研究開発活動等により得た技術・ノウハウ等について、顧問弁理士の助言に基づき積極的に特許等をはじめとした知的財産権を確保するよう努めております。また、当社が他社の知的財産権を侵害しないよう十分に留意し疑義ある場合には顧問弁理士に調査を依頼するようにしております。
第三者により当社の知的財産権が侵害された場合や権利侵害を当社が行ったとして係争を起こされた場合、又は、当社が獲得した知的財産権が当社の想定に反し有効に活用できない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
d.自然災害等について
大地震等の自然災害及び火災等の事故等により、自社及び委託先の製造・加工設備の損壊、配送網の分断、多くの役職員の就業不可状況の長期化等の不測の事態が発生した場合、当社事業の継続に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 会社組織に関するリスク
① 社歴が浅い事について
当社は2015年11月に設立、本書提出日である2019年10月期は第4期となる社歴の浅い会社であります。当社は設立第1期から黒字決算を達成、その後も業績を拡大してまいりましたが、過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、今後の経営成績を判断するための情報としては不十分である可能性があります。
② 小規模組織に応じた内部管理体制である事について
当社の人員体制は、取締役4名(常勤の業務執行取締役は3名)、従業員56名(2019年8月31日現在)と小規模な組織であります。このうち管理部門は常勤取締役1名、従業員9名であり、現在の当社の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。
今後も内部管理体制の強化を図るべく、人材の採用と育成を積極的に進めてまいりますが、計画どおりに人員体制の強化が進まない場合には、内部管理体制の強化や当社の業務推進に支障が生じ、今後の事業拡大に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の事業推進者への依存について
当社の代表取締役社長である裙本理人は、当社の創業者であり、設立以来、代表取締役として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。
当社では事業担当取締役を配置、人員拡充による権限移譲を進めるなどし、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を行っており、今後も優秀な人材の確保・教育に努めてまいりますが、何らかの理由により、同氏が当社の業務を推進する事が困難となった場合、当社の事業推進に支障が生じ、今後の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 人材の確保と育成について
「第1 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」及び「第5 経理の状況」に記載したとおり、当社の業績は過年度において拡大しております。今後の更なる業績拡大のためには、各部門において優秀な人材の確保は重要な経営課題と認識しており、人員の採用・教育を進めております。
しかしながら、人材の確保・育成が計画どおりに進まず、又は優秀な人材の流出等が発生した場合には、当社の事業拡大に支障が生じ、当社の事業や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤ 大株主について
当社では、創業者の一人であり元代表取締役の山川雅之氏及び同氏の近親者が過半数の株式を有するシリアルインキュベート株式会社が、本書提出日現在において当社の発行済株式数の81.7%を保有しており、今回の上場に伴う公募増資の実施後も当社発行済株式総数の61.3%(「第一部 証券情報 第1 募集事項 1 新規発行株式」の(注)3.に記載の第三者割当増資が上限株式数まで実施された場合には59.0%)を引き続き保有する見込みであります。山川氏は、2007年4月に美容・形成外科のザ・クリニック東京を、また2016年3月に脂肪由来幹細胞を用いた再生医療の実践を目的に東京ひざ関節症クリニックをそれぞれ開院し、医療法上の開設者でありました。その後、ザ・クリニック東京については2012年5月に開設者を辞し、また、東京ひざ関節症クリニックについては2018年9月に個人経営院としては閉院し、現在山川氏は両院の経営及び運営に関与しておりません。
なお、ザ・クリニック東京は2017年10月期において当社の売上高に占める割合が10%を超える売上計上先であり、また、東京ひざ関節症クリニック(現 医療法人社団活寿会 東京ひざ関節症クリニック銀座院)は2018年10月期において当社の売上高の10%を超える売上計上先であります。今後何らかの理由で当社と両院との取引関係が継続できなくなった場合には、当社の事業や経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 財産状況等について
① 配当について
当社は、創業以来株主に対する剰余金の配当実績はありません。剰余金配当など株主への利益還元は重要な経営課題と認識しておりますが、当面は、財務の安定性と将来の成長に向けた投資等に備え、内部留保の確保を優先する事が企業価値向上を通じた株主利益の最大化につながるものと考えております。
将来的には、事業環境、当社の経営成績や財務状況、及びそれらを踏まえた投資計画等を総合的に勘案しながら株主への剰余金配当を検討してまいりますが、現時点においてはその実施時期や配当方針については未定であります。
② 新株予約権による希薄化について
当社は、長期的な企業価値向上へのインセンティブや優秀な人材の確保等を目的に、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、当社取締役、従業員及び社外協力者に対し新株予約権を付与しております。本書提出日現在、これら新株予約権に係る潜在株式数は142,400株であり、発行済株式総数1,440,000株の9.9%に相当します。
当社では、今後も、役職員等へのインセンティブ付与等を目的に、新株予約権又はそれに類するエクイティ・インセンティブプランを実施する可能性があります。現在の潜在株式及び将来に付与・発行される新株予約権等の権利行使が行われた場合には、当社株式の1株当たりの価値が希薄化し、さらに、かかる行使により交付された当社株式が市場で売却された場合には、当社株式の株価形成に影響を与える可能性があります。
③ 資金使途について
株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、今後の事業拡大に備えた設備拡充に伴う投資資金、ソフトウェア等の拡充資金、人件費・採用費、及び再生医療関連事業における学会運営費用や研究開発費に充当する予定です。しかし、事業環境や当社の事業戦略の変化によっては、現在予定している計画以外の使途へ充当する可能性があり、また現在の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。