有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/13 15:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
96項目

事業等のリスク

当社グループの事業遂行には様々なリスクを伴います。本書提出日現在において、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主なリスクは、以下のとおりであります。なお、これらは、当社グループが事業を遂行する上で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境について
① 当社グループの事業について
当社グループは、ヘルスビッグデータ事業、遠隔医療事業、調剤薬局支援事業の各分野を新たな成長領域ととらえ、事業機会の捕捉・拡大及び収益力の強化に取り組んでおります。事業計画策定及び投資にあたっては慎重かつ精緻に調査を行っておりますが、予期せぬ事態により計画どおり進捗しなかった場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の記載のとおり、中長期的な経営戦略を掲げております。しかしながら、当社グループがかかる目標を達成することができるか否かは、本「2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。
中長期的な経営戦略を策定する中で、当社グループは、産業動向、新規取引先数、取引額、コスト変動等の様々な前提を置いております。このような前提は必ずしも正しいという保証はなく、当社グループは前提が誤っていたことによる影響に対応して経営戦略又は事業運営を適時に変更することができない可能性があります。
② 他社との競合について
当社グループの競合他社は、その資本力、サービス・商品、技術開発力、価格競争力、顧客基盤、営業力、知名度などにおいて、当社グループより優れている場合があります。競合他社がその優位性を現状以上に活用してサービスや商品の販売に取り組んだ場合、当社グループが販売競争で劣勢に立たされ、当社グループの期待通りにサービス・商品を提供できない、又は顧客を維持・獲得できないことも考えられ、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが競合他社より先駆けて導入した、又は高い優位性を有するサービス、商品又は販売手法に関して、競合他社がこれらと同等又はより優れたものを導入した場合や、競合他社が当社グループよりも低い価格でこれらを提供した場合、当社グループの施策が期待した効果を上げることができない場合、当社グループの優位性が低下し、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 取引先の与信リスクについて
当社グループは、新たな成長分野における事業機会を模索する中、各事業領域における新たな取引先の開拓を積極的に行っております。取引先の個別与信の判断及び各事業領域の取引慣行等の事業ノウハウを習得しておりますが、景気後退等による不測の取引先の倒産等が発生することで、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報システムへの依存について
当社はレセプトデータの分析をシステムに依存しております。また、当社の連結子会社である株式会社ドクターネットが提供しております遠隔読影マッチングサービスは、コンピュータシステム及びそのネットワークに多くを依存しております。そのため、当社グループとしてセキュリティの強化をはじめ、データのバックアップ体制の強化、データ量やアクセス数増加に応じたハードウェアの増強等、システムトラブル対策を講じております。しかしながら、これらの対策にも関わらず、人為的過誤、自然災害、第三者によるセキュリティ侵害や不正アクセス等によりシステムトラブルが発生した場合には、当社グループに直接損害が生じ、提供するサービスの低下を招く等の影響を及ぼす他、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 当社グループが提供するサービス及び製品に関するクレームについて
当社グループが開発・販売を行うデータ情報、遠隔読影マッチングサービス、システム製品については、欠陥等の不具合を事前に回避するための十分な管理体制を確保しております。しかしながら、万が一不具合などの問題を回避できずユーザー等に損害を与えた場合は、損害賠償請求等が発生する可能性があり、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 遠隔画像診断サービスにおける誤診リスクについて
当社の連結子会社である株式会社ドクターネットでは、医療機関と放射線診断専門医(契約読影医)をデジタル環境でつなぎ、医療機関に対して遠隔画像診断サービスを提供しており、サービスの提供を契約読影医に依存しております。契約読影医は当社グループの独自の基準に従い、それぞれの得意分野、専門分野ごとにカテゴライズされ、依頼に応じた最適なマッチングを行う他、当社グループによる独自の品質管理も実施しております。しかしながら、契約読影医による予期せぬ不法行為の発生やトラブルなどが生じ、それに当社グループに重大な過失が認められた場合には、損失補償および対外的な評価の悪化を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 売上収益の季節的変動の影響について
当社が製薬企業、研究機関及び生損保企業に対し、個別の要望事項に対してデータベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」は下期にかけて需要が高まる傾向にあります。一方、当社が行っているデータビジネスのコスト構造は固定費中心であるため、結果として下期に利益が偏重する季節的変動があります。
(2)法的規制について
⑧ 個人情報等の漏洩リスクについて
当社グループは、個人情報取扱事業者として個人情報にかかる義務等の遵守を法令上求められております。
当社グループでは情報セキュリティポリシーを制定し、安全性及び信頼性に万全の対策を講じるとともに、特に関連性の高い傘下のグループ会社では「プライバシーマーク」を取得する等個人情報保護に努めておりますが、人為的過誤、自然災害、第三者によるセキュリティ侵害や予測しない不正アクセス等により、個人情報その他の顧客情報や当社グループの機密情報が漏洩し、また、その漏洩した情報が悪用された場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等が発生する可能性があります。さらに顧客情報の漏洩等が当社グループの信用低下や企業イメージの悪化につながることで、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 特許及びその他の知的財産権について
当社グループが研究開発及び生産活動を行う中で様々な知的財産権にかかわる技術を使用しており、それらの知的財産権は当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたもの等であると認識しておりますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが所有する知的財産権に関して第三者から侵害される可能性もあり、その場合においても当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 許認可等に関するリスクについて
当社グループは、製薬の販売を営む子会社及び医療機器の販売を営む子会社を有しております。これらの子会社には、監督官庁の許認可等を受けて営業が可能となる事業が含まれているため、行政指導や許認可の取消し等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び事業計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 個人情報保護規制等の変化によるリスクについて
個人情報保護法の改訂により、匿名加工情報の利活用手続きが厳格化した場合に、当社が匿名加工されたレセプトデータや健診データを取得するためのコストが上昇するリスクがあります。レセプトの仕様変更があった場合には、レセプトの取込システムや分析システムの改修が必要となります。提供しているソフトウエアを改修しなければない場合、ソフトウエアの変更作業に伴う業務量の増大が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ その他の法的規制の変更に関するリスクについて
当社グループは医療保険制度、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)による法規制を受けております。上記の法令について大幅な制度変更が実施され、提供しているソフトウエアを改修しなければない場合、ソフトウエアの変更作業に伴う業務量の増大が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは海外での事業活動を行っておりますが、予期しえない法規制・許認可制度の変更の発生等が、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業体制に関するリスク
⑬ 人材の確保・育成について
当社グループは、今後の事業拡大を進めていくにあたり、優秀な人材を確保するとともに人材育成が重要な課題であると認識しております。このため、採用活動の充実、人材流出の防止に努めておりますが、必要とする人材の確保ができなかった場合や中核となる優秀な人材の流出等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 親会社グループとの関係について
本書提出日現在、当社の親会社のノーリツ鋼機株式会社は、当社の議決権の85.9%を所有しております。これに伴い、ノーリツ鋼機株式会社は、株主総会の特別決議を要する事項(例えば、吸収合併、事業譲渡承認、定款変更等を含みますが、これらに限りません)に関する決定権又は拒否権を保有するとともに、株主総会の普通決議を必要とする事項(例えば、取締役の選解任、剰余金の処分や配当等を含みますが、これらに限りません)に関する決定権又は拒否権を保有しております。したがって、株主総会の承認を必要とする事項に関し、ノーリツ鋼機株式会社が影響を及ぼす可能性があります。
また、ノーリツ鋼機株式会社との良好な関係は当社グループの事業の核であり、何らかの理由により関係が悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社と当社の親会社の企業集団であるノーリツ鋼機グループとの間の主な関係等についての詳細は、下記に記載のとおりであります。
a.ノーリツ鋼機グループ内の他社との競合について
ノーリツ鋼機グループ内において、ヘルスケア事業には、当社グループ以外に、バイオマーカー検査事業を行うNKメディコ株式会社、遺伝子検査事業を行うGeneTech株式会社、歯科医院に対する歯科材料の通信販売事業を行うフィード株式会社、医療機関に対する経営コンサルテーション事業を行うエヌエスパートナーズ株式会社が属しております。これらの事業は、ヘルスケア関連事業ではありますが、ICTを活用したサービス提供を主としたものではなく、当社グループの行う医療ビッグデータ事業や医療機関や調剤薬局に対するICTを活用した支援事業とは、競合することはありません。
b.ノーリツ鋼機グループとの取引関係について
当社グループは、ノーリツ鋼機グループ内の各社と一部業務委託等の取引がありますが、一般取引先と同様の条件となっております。当社グループの独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引については、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性等取引内容について審議し、社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いております。
(過去に当社がノーリツ鋼機グループの役職員に対して発行した新株予約権について)
当社は2013年9月に、ノーリツ鋼機グループに所属する役職員に対し当社の新株予約権を有償で発行しました。ノーリツ鋼機グループでは、投資事業を継続的に営む中で、投資ファンドやコンサルティング会社などの出身者で構成する投資チームを構築しておりました。そして、確実な投資回収のための投資担当者に対する業績伸長のインセンティブ付けを目的に、投資担当者の自己負担を伴う有償型の新株予約権を発行することをルール化しておりました。当社においてもノーリツ鋼機グループの当該方針に従い、新株予約権を発行しました。
今般当社が上場するにあたり、ノーリツ鋼機グループからの独立性を確保する観点から、当社が投資担当者へ発行した新株予約権の取り扱いについて、ノーリツ鋼機株式会社の監査等委員及び外部の弁護士を構成員とした特別委員会を設置し検討を行いました。検討の結果、当社がノーリツ鋼機グループの傘下に入った後、投資担当者の貢献もあり当社の業績が拡大した事実を踏まえ、当社の事業運営に直接かつ継続的に関与している者を除き、投資担当者へ発行した新株予約権を時価にて買い取ることとしました。当該方針に従い、2018年3月30日付でノーリツ鋼機株式会社の100%子会社であるNKリレーションズ合同会社へ当該新株予約権の譲渡が行われました。
(4)その他、経営成績に影響を及ぼす可能性のある事項について
⑮ 企業買収にかかるリスクについて
当社グループは、成長戦略実現のため、積極的に企業買収を実施する予定であります。企業買収にあたり、対象となる企業の資産内容や事業状況についてデューディリジェンス(適正価値精査)を実施し、事前にリスクを把握しております。しかしながら、事業環境や競合状況の変化等に伴って当社グループが期待する利益成長やシナジー効果が目論見どおりに実現できない可能性があり、また今後予期しない債務又は追加投入資金等が発生する可能性があり、これらが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 投資に伴う減損リスクについて
当社グループの所有する固定資産は将来の収益を生み出すことを前提に資産として計上しております。しかしながら、事業環境や競争状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、企業買収に伴い発生した相当額ののれんを計上しております。当社グループは、当該のれんにつきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 新株予約権による株式の希薄化について
当社グループでは、役員、従業員等を対象として、業績向上に対する意欲・士気向上、及び優秀な人材の確保のため、ストック・オプション制度を採用しております。
これらのストック・オプションの行使が行われた場合、発行済株式総数が増加することにより1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑱ 配当について
当社グループは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識しておりますが、内部留保の充実を図るため、配当を実施しておりません。将来的には、経営成績を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。現時点において配当実施の可能性及びその実施時期につきましては、未定であります。