有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/21 15:00
【資料】
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【項目】
94項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1)スポーツ人財の確保について
当社の新卒事業並びに中途事業を継続及び拡大させていくために、スポーツ人財の確保、つまり、人財登録数は最重要項目の一つであります。そして、当社が人財の確保をするための母集団となるスポーツ人財の総数、求職者の総数そのものの減少は、そのまま当社の登録人財の減少に繋がります。出生率の低下、各大学の部員数の減少などによる廃部などにより母集団が大きく減少し、人財登録数が当社の計画とおりに進まない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)体育会学生の属人的なロイヤリティについて
特に新卒事業において、当社に登録する体育会学生は、当社従業員の出身大学・出身部活動のコネクションを活用したり、従業員の属人的な繋がりに依存する部分も大きいです。つまり、人財側の目線からは「スポナビ、スポーツフィールドに登録している」よりも、「当社社員の〇〇さんの就職支援を受けている」という意識を持っている人財も多数存在します。そのため、従業員の退職などの要因により、これらの人財や体育会の部活動との結びつき、つまり当社へのロイヤリティが薄まる可能性やスポナビ20XXへの登録人数が減る可能性があります。それによって、当社を経由して企業へ入社する人財数が減少し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)他社データベースの利用について
特に中途事業において、求職者の募集は各種SNSなどの他社データベースを活用しております。データベース提供企業とは良好な関係を維持するとともに、複数のデータベース提供企業と連携して特定のデータベース提供企業に大きく依存し過ぎないように情報源を多元化しております。しかし、データベース提供企業の方針転換が行われ当社が利用できなくなった場合に、求職者の獲得ができず、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)スポーツ人財に対する価値の低下について
当社の事業は大前提として、部活動経験・スポーツ経験が社会人として必要なスキル・人格を身に付け、活かすことができると考えております。しかし、①即戦力人財を新卒者・既卒者ともに求める風潮が企業人事側に広がった場合に、特定の理系職などのより専門的な知識を有する人財などが重宝されて、相対的にスポーツ人財の価値が下がる可能性があること、②体育会のサークル活動化と言われる部活動の規律・モラルの低下による人財の質の低下が様々な部活で蔓延すること、又はそのような認識が社会に広がること、の2点が今後起こった場合に、当社の事業及び当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)従業員の確保・育成について
当社の新卒者向け人財紹介事業・既卒者向け人財紹介事業は、求職人財との密な関係を構築して、ミスマッチの少ない紹介を行うことを強みとしています。そのため、業務システムの改善などにより業務効率を上げる取り組みは行っておりますが、従業員一人が担当できる人財数には限りがあり、そのため、従業員一人当たり生産高を高めるにも限界があります。今後、採用市場の動向によって、人財の確保・育成が計画とおりに進まない場合や、既存人財の社外流出などが生じた場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)代表取締役への依存について
代表取締役である篠﨑克志は、経営方針及び事業戦略全般の策定などを行っており、多方面において重要な役割を果たしております。当社グループは、代表取締役に過度に依存しない経営体質の構築のため、積極的な権限委譲などを進めておりますが、本人への事故など何らかの理由により代表取締役に不測の事態が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)業績の季節変動について
当社が提供する新卒者向け・既卒者向けの就職支援サービスは、求人企業と求職中のスポーツ人財をマッチングさせるサービスの提供であります。そのため、当社の業績は顧客企業における採用活動時期・スポーツ人財の就職活動時期・経済団体連合会から発表される「採用選考に関する指針」などの影響を受け、変動する可能性があります。なお、現在は顧客企業の多くが12月から翌年8月にかけて、特に新卒者向けの採用活動・選考活動を行うことから、当社の売上高もそれらの期間と重なる第1四半期から第3四半期に偏る傾向があります。そのため、採用選考の流れに大きな変化がある場合、当社の四半期売上に影響を及ぼす可能性がありますが、通年の売上への影響は僅少なものと考えております。
なお、第9期事業年度における四半期別の売上高及び営業利益又は営業損失は、次のとおりです。
第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期通期
売上高(千円)423,346411,108414,901257,5201,506,875
営業利益(千円)又は
営業損失(△千円)
106,23365,25081,342△124,224128,601

(注) 各四半期会計期間の数値は、会計監査人によるレビューを受けておりません。
(8)景気変動について
当社の事業は企業の採用計画に大きく左右されます。そのため、景気が想定を超えて変動し、企業の採用意欲が著しく低下した場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)新規参入と競合について
当社の主要事業が属している人材サービス業界については、すでに上場している会社を含めて競合他社が多数存在しております。人材サービス業界は参入障壁が比較的低い業界であるため、今後、新規参入企業の増加などにより競争がさらに激化した場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)採用手法の多様化・技術革新について
新卒採用、中途採用において、当社も様々なサービスを創出し、採用市場における様々なニーズに応えようとしております。しかし、リファーラル採用や人工知能を用いた採用など企業の採用手法が多様化・普及した場合に、当社の既存サービスである3事業が代替される可能性があり、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)求職者の内定承諾辞退・自己都合退職について
新卒者向け:人財紹介事業の場合は学生の自己都合による内定承諾辞退で、既卒者向け:人財紹介事業の場合は、求職者の自己都合による入社後早期退職で、紹介手数料の全額又は一部を返金する旨を申込書又は契約書上で記載しております。雇用状況の変化などにより、自己都合による内定承諾辞退並びに早期退職者が急増する場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)イベント出展料・紹介手数料について
イベント事業におけるイベント出展料、並びに、人財紹介事業における紹介手数料は、求人先企業と、契約書又は申込書により手数料・率、及びキャンセル・返金の取り決めを行っております。イベント事業又は人財紹介事業における企業間競争の激化により、手数料・率、及びキャンセル・返金の取り決めに関して大きな変更があった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は原則として地域による料金設定をしておらず全国横並びのため、特に、賃金・物価水準が相対的に安価な地域における、求人先企業からの料金引き下げ要請や同業他社への切り替えが起こる可能性があります。
(13)販売代理店について
当社は、イベント事業の顧客の獲得、それに付随する業務の全部又は一部について、販売代理店に委託しており、イベント事業の売上高全体に占める販売代理店の割合は、平成30年12月期では0.8%となっております。イベント事業における販売代理店の影響は大きくありませんが、販売代理店において法令などに違反する行為があった場合、当社が監督官庁から警告・指導を受けるなど監督責任を追及される可能性があります。その他の要因を含めて、販売代理店の信頼性やイメージの低迷に伴い当社グループの信頼性や企業イメージが低下し、事業展開や顧客獲得・維持が困難になり、その結果、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)セキュリティについて
当社グループが運営している「スポナビ20XX」「スポナビキャリア」などの各種メディアにおいては、当社グループのサーバーに求人企業情報並びに人財情報をはじめとする様々な情報が蓄積されているため、これらの情報の保護は極めて重要になります。そのため、当社グループではこれらの情報の消失や外部への漏洩・流出を防ぐため、従業員ごとのID付与と役職ごとの権限設定、ファイアウォール、データ自体の暗号化などにより不正アクセスの防止を行うとともに、定期的なバックアップの実施によるデータ消去のリスクを減少させております。しかしながら、不測の事態によって情報の消失や外部への漏洩事故が発生した場合、当社グループの信用が失墜し、企業イメージが低下することにより、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)コンプライアンス・内部管理体制について
当社グループは、平成22年1月に設立し、未だ社歴が浅く成長途上にあり、今後の事業展開や成長を支えるためにもコンプライアンス・内部管理体制のより一層の充実を継続して図っていく予定であります。
今後、事業規模・組織規模の拡大に合わせて、コンプライアンス・内部管理体制も充実・強化させていく方針ではありますが、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的な対応ができなかった場合、事業展開に影響が出るなどして、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)法的規制・制度動向について
当社グループの人財紹介事業は、職業安定法に基づく有料職業紹介事業者として厚生労働大臣の「有料職業紹介事業許可(許可番号:13-ユ-306448)」を受けております。許可の有効期間は5年(平成29年4月1日~令和4年3月31日)であり、適宜更新を行う方針であります。
職業安定法は、職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整を果たすべき役割に鑑み、その適正な運営を確保するために紹介事業を規制しており、厚生労働大臣は、当社グループが有料職業紹介事業者としての欠落事由(職業安定法第32条)、もしくは当該許可の取消事由(職業安定法第32条の9)に該当した場合には、許可の取消や業務の全部または一部の停止を命じることが出来る旨を定めております。
本書提出日現在において、当社グループにおいて職業安定法に定めるこれら欠落事由または取消事由に抵触する事項は生じておりません。しかしながら、今後において何らかの理由により当社グループが当該法令に抵触する事態が生じた場合、営業停止または許可取消等により事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)個人情報について
当社は新卒事業、中途事業を行っているため、多数の人財の個人情報並びに顧客企業の求人情報などの顧客機密情報を有しております。また、その個人情報及び個人情報にかかわる全ての情報を当社の最重要資産と認識しており、個人情報保護規程を整備・運用し、当社の代表取締役が指名した個人情報保護責任者とともに、各Div.ごとに指名された個人情報保護担当者により従業員のモラル向上、ICT開発本部長と連携を取り情報システム面でのセキュリティ対策にも講じております。
上記対策にも関わらず、個人情報などの機密情報の外部流出が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜などにより、当社グループの経営成績や財務状況のみならず、最悪の場合、事業存続にも影響を及ぼす可能性があります。
(18)資金の流動性について
当社グループは、営業取引及び投融資活動において、金融機関からの借入など資本市場からの資金調達を行っております。資金調達にあたっては、資金需要見通しに基づき、手元流動性の確保に努めておりますが、国内外の金融市場の混乱や金融規制の変更、当社グループへの信用格付の引き下げ又は金融機関の融資方針の変更など調達環境に大きな変化が生じた場合には、資金調達の制約や調達コストの増加などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19)自然災害・事故について
当社グループの全国11箇所にある事業拠点、なかでも管理本部などの本社機能を有する本社オフィス(東京都新宿区)、そしてサーバーなどの設備並びにICT開発本部を有する大阪オフィス(大阪府大阪市北区)が所在する地域で、大地震、台風などの自然災害及び事故、火災などにより、業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限などの不測の事態が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があることから、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストックオプション(新株予約権)を発行しております。ストックオプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は65,280株であり、発行済株式総数816,000株の8.0%にあたります。
(21)資金使途について
当社グループが予定している公募増資による調達資金については、人員拡大に伴うオフィス拡大のための設備投資資金、事業拡大のための採用資金、新卒者向け人財紹介事業及び既卒者向け人財紹介事業における求職者確保のための広告宣伝費及び財務体制及び経営基盤安定化のための金融機関からの借入金の返済に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。
(22)配当政策について
当社は設立以来配当を実施しておらず、主には高い成長性を維持するために、利益の再投資を行ってまいりました。株主への利益還元を行うことが経営上の重要な課題の一つであると認識しておりますが、当面は財務基盤の強化を目的として、内部留保の充実を優先したいと考えております。将来については配当の実施やその他の株主還元策を実施することも検討いたしますが、現時点においてはそれらの具体的な実施の可能性や時期については未定であります。