有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/05 15:00
【資料】
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【項目】
145項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)当社グループ事業をとりまく環境に関するリスク
① 景気変動によるリスク
当社グループが提供するシステムソリューションサービスは、景気の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の経済情勢や景気動向等の理由による、顧客企業におけるシステム投資の縮小や製品開発の遅れ、事業縮小、システム開発の内製化等により、当社グループが提供するサービスに係る市場規模が縮小される可能性があります。従って、国内システム投資動向が悪化した場合及び当社グループの顧客が属する事業分野の市況が悪化した場合等には、既存顧客からの受注の減少や新規顧客開拓の低迷により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合によるリスク
当社グループは、情報サービス業界に属しており、多数の競合企業が存在しておりますが、今後はシステム開発のグローバル化により国内競合企業に限らず、海外企業も含めた人材獲得競争・価格競争が激化することが予想されます。当社グループでは、人材獲得競争に対しては人材確保に向けた各種施策を実施しており、価格競争に対してはプロジェクト管理や品質管理の強化を通じて開発コストの低減及び収益性の向上に努めておりますが、競合他社増加に伴い人材獲得競争・価格競争等が更に激化した場合には、受注量の減少、営業案件の失注や収益性の低下等により当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新によるリスク
当社グループが属する情報サービス業界の著しい技術革新に対応するため、当社グループでは採用、教育研修、開発環境整備等によって対応していく方針でありますが、当社グループが急激な技術変化等の方向性を予測、認識できない場合や、適時適切に対応できない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループ事業に関するリスク
① 特定の製品・サービス等の関係に関するリスク
当社グループは、SAPジャパン株式会社や株式会社オービックビジネスコンサルタント等との間にこれらの会社が提供する製品・サービス等に係る契約を締結し、顧客に対して当該製品・サービスの提供を行っております。当社グループは、こうした特定の取引先と安定した取引関係を継続しておりますが、何らかの事情により、特定の製品・サービス等の市場訴求力に大きな変動が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 顧客との関係継続に関するリスク
当社グループは、顧客との関係を強化し、当社グループの提供するサービスをご活用いただくことで顧客の事業パートナーとしてあり続けることを目指しております。しかしながら、顧客のニーズや期待の変化に対応しきれず、これらの顧客が当社グループとの取引又は契約関係を継続しない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ システム開発における品質や納期遅延の問題に関するリスク
システム開発においては、開発規模の「大型化」と顧客の要求の「高度化」、更にオープン化の進展によりシ
ステムの「複雑化」も重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されることにより、テスト段階以降のシステムエンジニアの負担が増加するケースが多く、開発時間の超過につながる可能性があります。これらに対し、品質委員会を毎月開催し、プロジェクトの進捗監視を通じてリスク管理を行っておりますが、品質や納期遅延の問題が生じた場合、プロジェクトの収支が不採算となるだけでなく、顧客の信頼を失うことにより顧客との間でトラブル・クレームに発展し、訴訟や商流の喪失・風評被害につながる可能性があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 人材の確保及び育成に関するリスク
当社グループの成長と利益は、人材に大きく依存します。従って、優秀な技術者やシステムエンジニア、管理者等、必要とする人材を採用、育成することは当社グループにとって重要であり、これに対して新卒採用や中途採用の促進及び研修制度の各施策を実施しておりますが、このような人材を採用又は育成することができない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 外注管理に関するリスク
当社グループは業務上必要に応じて、情報システムの構築等についてBPに外注しております。BPと長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、当社グループが質・量含めてBPの技術力及び技術者数を確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、当社グループの事業運営に支障をきたすことが考えられ、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 労務管理に関するリスク
一括請負契約のシステム開発のプロジェクトにおいては、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、予想外のトラブルや開発環境等の変化が生じた場合、品質や納期を遵守するため一時的に長時間労働が発生することがあります。当社グループでは、長時間労働の発生を未然に防ぎ、従業員の健康を損なうことがないよう、労務管理体制を整備しておりますが、やむを得ない事情により長時間労働が発生した場合には、システム開発の生産性の低下や従業員の士気の低下等により、社会的・法的な労務問題につながり、当社グループの業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 顧客情報等漏洩のリスク
当社グループでは、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。当社においては、ISO27001やプライバシーマークの認証取得を行い、各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育、各種ソフトウェアの監視、情報資産へのアクセス証跡の記録等各種の情報セキュリティ対策を講じ個人情報を含む重要な情報資産の管理を実施し、情報漏洩のリスクの回避を図っております。しかしながら、当社グループ又は協力会社より情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報システムに関するリスク
当社グループは、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しておりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウィルス侵入、自然災害・事故、電力供給の停止、通信障害等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招くだけでなく、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 法的規制について
当社グループの事業に関する法的規制につきましては、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」、「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「著作権法」、「不正競争防止法」等があります。当社グループはこれらの法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合又は法令に違反した場合等、当社が的確に対応できなかった場合には、当社グループの事業活動が制限されるとともに、社会的な信用の失墜により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 許認可について
当社グループは、顧客先に従業員を派遣してシステム開発等を行う場合があるため、労働者派遣事業者として厚生労働大臣の許可等を受け事業を行っております。当社グループの許可・届出状況については以下のとおりであります。
取得・登録者名許可名称及び
所管官庁
許可番号取得年月有効期限
当社労働者派遣事業許可
厚生労働省
派27-302521平成29年5月1日令和2年4月30日
ノックス株式会社労働者派遣事業許可
厚生労働省
派27-304415令和元年6月1日令和4年5月31日

当社グループは、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可を厚生労働大臣から取得して事業を行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業者として欠格事由(派遣法第6条)に該当したり、当該許可の取消事由(派遣法第14条)に該当した場合には、許可の取り消しや事業の全部または一部を停止できる旨を定めております。
当社グループでは各法に従い適正に事業を運営しておりますが、万一、当社グループ各社にて、重大な法令違反が発生し、許可の取り消し、または事業の停止を命じられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ただし、現在そのような事由は発生しておりません。
⑪ 知的財産権について
当社グループが行うシステム開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように充分に啓蒙活動を行い、常に注意を払って事業展開しておりますが、当社グループの認識の範囲外で他社の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償請求を受ける等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
① 自然災害等によるリスク
当社グループは、地震、火災等の自然災害の発生等を想定したリスク管理体制の整備を実施しております。しかしながら、当社グループにおいて、直接的な被害の発生や通信障害等による情報システムの深刻なトラブルの発生等により、当社グループの業務の遂行に支障が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、新株予約権方式によるストックオプション制度を採用しております。当社では、会社法第236条、第238条及び第239条の規定に従って、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
本書提出日現在の新株予約権に関する潜在株式の累計は、27,600株であり、これは発行済株式総数786,000株の3.5%に相当します。
なお、新株予約権の内容は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
③ 資金使途について
当社の新規上場に伴う調達資金の使途は、当社の基幹システムのリプレース等の社内システム投資、東京本社及び大阪本社の移転拡張、優秀な人材の採用費等を予定しております。しかしながら、市場環境や経営環境の変化により、目論見通りに事業計画が進展せず、調達資金が予定通りに使用できない場合、また、予定通りに使用したとしても、当初見込んでいた効果を得られない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。